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第三章 最後の攻略者襲来!

騒がしいお昼ご飯(1)

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 魔法学校は、クラス分けされているが、基本的に大学のように自分の好きな授業をとれるので、クラスごとの集まりというものは、あまりない。
 
 上級生と同じ授業を聞くこともよくあるし、上級生と一緒にお昼ご飯を食べることもよくある。
 かといって、こう、仲良く男女がお昼を食べるというのは珍しい。
 
 クルト君は私の横でメイド長のマリーが作ったサンドイッチを食べている。
 仲良く男女、といっても、クルト君は、ほとんどお兄ちゃん的な存在なので、『男女』に当てはまらないと思うのだけど。
 
 クルト君と、登校の馬車の中で、今日のお昼ご飯を一緒に食べる約束をしたのだ。
 いつもなら、友達と普通に食べているのに。

「レイラ、食べないの?」
「え、ああ、ううん、食べる、食べるよ」

 同じく、メイド長のマリーが作ったサンドイッチを食べる。

 食堂の中、男女二人が、まぁ若干仲良さげに、である。
 上級生から新入生まで、たくさんの人間が集まる食堂で、である。

 クルト君は気づいていないけれど、若干物珍しそうに、通りすがりの人たちは私たちを見ている。

 アカツキ君と一緒にご飯を食べた時と違うのは、もちろん、相手がクルト君だからである。
 この学校で、クルト君は、生徒会長補佐という役職を持っており、有名人なのだ。

 だから皆、こちらを向くのだ。
 成績優秀、将来有能、貴族であり、イケメン生徒会長補佐の、クレーデル・ランベルト・クルトの横にいる女は誰だ、と。

「美味しい? レイラ?」
「え、うん……このタマゴのサンドイッチがとっても美味しいよ」

 正直、見られすぎて、落ち着かない。
 曖昧な返事をしてしまったけれど、クルト君は顔をほころばせた。

「よかった、これ、実はね、僕が作ったんだ」
「え、うそ!」

「レイラに嘘なんてつかないよ、ああ、でも、このタマゴの奴だけだよ、あとは全部マリーが作ったんだ」
 バスケットの中に入ったサンドイッチを見る。
 シャララン、と効果音がしてきそうなほど綺麗な色のサンドイッチたち。

 マリーが作ったのと混ざってても、違和感なく食べられるクルト君の料理。
 ハイスペックすぎる……。

 彼に料理上手という情報まで加わったら、親衛隊も手が付けられなくなるのではないだろうか。 こう、クルト君の凄さか何かで。
 
 私とクルト君の間に座るテオは、無心でサンドイッチを食べている。
 小さい彼用に作られたサンドイッチは、瞬く間になくなっている。

「すごいよ、クルト君、本当に美味しい……」
「そう? よかった」

 にこにこと優しく目を細め、クルト君は笑っている。
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