わたしの王子の願いごと

高橋央り

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31.揺れる私…

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キュキキィィィ―――ッ

車が急に曲がったので、美菜は驚いて辺りを見た。
「あ、ごめん。今のは荒すぎた…。ガソリン入れなきゃなんなくて」
優しい声で皇真が言った。
「大きめのサービスエリアだから、少しだけ休憩しようか」
「あ、はい」
病気の憲斗のことで頭いっぱいだった美菜は、喉がからからだったことに気付いた。

美菜は、さすが皇真は優しいなと思い掛けたところで、長時間運転してくれてる彼こそ休憩が必要だと思った。
「あ、私、何か飲み物とか買って来ます。何がいいですか?」
ふふっと皇真が笑う。
「そんなことしなくていいんだよ。ガソリン入れたら一緒に行こう」
美菜は、超紳士的な皇真に感心したが、甘えてばかりではダメになる気がした。
「風にも当たりたいんで、おいしいコーヒー買って来ますね」
「え…あ、あぁじゃぁ、お願い。ありがとう」
美菜は、給油中の車から下りた。

少し冷たい夜風を抜けて、彼女は賑わうサービスエリア内に入る。
トイレの後、店内の光景を見て、すぐに後悔した。
カップルだらけじゃん!!―――。。。
美菜は、バレンタインのことを思い出した。
「しまったなぁ…、1人でイケてない女が何やってんだ状態だよぉぉ…」

小声で自分と会話しながら、美菜はコーヒーの店を探す。
周囲では、数百のキラキラしたカップルや子連れの夫婦が、はしゃいでいる。
俯いたままお化けのように進む美菜に、金髪の女達が笑う。
「びっくりしたぁ。ここ出るのっ?って思ったし」
「あ、私も思った。恐い恐いあの人ぉ。ははは」
笑われている美菜は、自分がさっきの涙でほぼノーメイク状態であることを思い出した。

「こ、こんな私に会ったって…、憲斗…、嬉しくないよね……」
美菜は自分が一体何をすれば、憲斗のためになるのか、分からなくなった。
憲斗が私なんかを好きな訳がない……。
美菜は、通路の真ん中で動けなくなった。
「ははっ、何あれ?」
「ふっ、まさか、お漏らし??」
「えっ、嘘ぉ、やめて…」
近くの美女たちが、美菜から離れていく。

美菜は「私じゃ、憲斗を……、助けられない……」と零す。
彼女は、足の力が抜け、膝が地面に近づくのを感じた―――――…。
ガッ―――
美菜は背後から誰かに抱きしめられた。
「大丈夫っ?」
温かくて逞しい腕は、皇真のものだった―――。

「運転に酔ったかな?!」
そう言って、皇真は超絶イケメンフェイスを、美菜に近づける。
「え、いやっ、だ、大丈夫です」
皇真は少し安心して、頷いた。
「心配したぁ…」と言った彼は、美菜の手を握る。
美菜は、優しく引く手に、心を引っ張られた感覚を覚えた。
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