FULLMOON 番外編

藤野 朔夜

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アジスタとグライシズ

くれてやると言ったアイツ ※

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「ふっ、くっ……」
  手は自由にしてあげてるけど、アジスタ声殺すのに、手使っちゃってるもんなぁ。
  失敗したかも。手の自由、奪っとけば良かった。声が聞けない。
「アジスタの良いトコ、教えてよ」
  言外に声を聞かせろ、と言っているんだけど。
  アジスタは、手を口から離してくれなかった。
  ふーん。良いけどね。好きにしよう。
  舐めた分、滑りは良くなったから、指はもう三本入れてる。
  前はもう放置してるけど、多分ココが前立腺。声頑張って殺してても、体が反応してるから、無意味だよ。
  だらだら流れてる先走りで、後ろの潤いがさらに増してる。
  多分、もう大丈夫だとは思うんだけど。
  体勢が、アジスタにはキツイかも。でも、後ろからは、アジスタの表情見えなくなるから嫌。
  アジスタの下ろしてる足も、ぐいっとソファの上に上げてしまう。
  うーん。僕のやりたい放題だけど。アジスタは特に抵抗してこない。
  視覚的にすごい眺め。
  抵抗したら抵抗したで、なんとでもする気でいたけど。
  解した場所に、僕のを宛がう。
「ねぇ、アジスタ。抵抗してこないけど、良いの?」
  ふいに、問いかけた。まだ、入れてはいない。
「くれてやる、と言ったのは、私だからな」
  乱れた息の中、アジスタは言った。
  ま、アジスタがそう言ったのはたしかだし。僕の聞き間違いでもないし。
  でも、僕も真意をちゃんと伝えてなかった、っていう負い目はちょっとだけあるんだよ。
  常識から逸脱している自覚は、一応ある。だた、この行為が、常識から逸脱してるとは、思ってないけどさ。
「もっと、早くにこうしてたら、良かった」
  そうしたら、アジスタの視線を弟たちに取られても、僕は平常心でいられたかもしれない。
  そのまま、ぐっとアジスタの中に押し入った。
  さすがに、キツイな。慣らしたとはいえ、アジスタはこっち初めてみたいだしね。
「う、くっ……」
  やっぱ、体勢変えてあげれば良かった。
  眉間にしわがいっそう寄って、苦しそうなアジスタの表情。
  それにさえ、興奮してるんだから、僕は本当に始末におえないと思うんだ。
  触ってあげてなかった、前に手を伸ばす。
「動くの我慢するから。アジスタ、平気になったら、教えて」
  そんな風に言ってみるけど。アジスタから、実際に欲しがってもらえるとは、思ってない。
  苦しく締め付けてるのが、少しだけでも緩んだら、多分僕が我慢利かなくて動きそうだしね。
「はっ、別に、我慢、しなくて、いい」
  途切れ途切れに、そんなこと言ってくるアジスタ。
  僕の理性で押さえつけた我慢、無駄にしないでよ。
「さすがに、ここまでキツク締め付けられたら、僕だって苦しいんだよ」
  そう答えて、前を少し強めに擦る。
「く、あ、はっ……」
  途切れるアジスタの熱い吐息が、僕に全部かかってくる。
  あぁ、駄目だ。まだ、駄目だ。
  焼き切れそうな理性を総動員する。
  前に連動するかのように、後ろが蠢いた。
「グライシズ……」
「動いて、平気そう?」
  聞いた僕に、アジスタは目を合わせたまま、無言で頷いてくれた。
  名前呼んで、教えてくれるとか、可愛いのはアジスタだよ。
  最初はゆっくりと。僕の熱を、アジスタにわからせるように。
  ぐちゅりと鳴る音が、卑猥に響いた。
  早く動きたい気持ちもあるけど。ゆっくり動くと、よりアジスタを僕も感じられる。
  さっき、指で見付けた前立腺を、僕ので擦り上げるように動く。
「くあ、っん……」
  声殺せるとか、アジスタまだ余裕だね。
  ソファの背もたれに、肩が固定されてるのが、キツそうだな。
  このままだと、僕も動きたいように動けないし。
  一端ズルリと、先端まで抜きとる。
「う、んあ、……」
  アジスタの腰を掴んで、引き寄せる。
  ズルリと、足が下に落ちる。そこで、アジスタを無理矢理回転させた。
  とんでもない、力技に出たけど。ま、いっか。
「あ、う、……」
  膝立ちで、ソファの座る部分に、アジスタの上半身。
  僕は後ろから、貫き直して、そのまま動いた。
  次から、押し倒すのはベッドの上にしよう。やっぱり、アジスタの顔、見たいんだよね。
  キツそうな体勢と、僕が動きにくいってことで、あきらめたけど。
「く、あ、あぁ、……」
  無理矢理体勢を変えたせいか、アジスタが声を押さえられなくなってるのか。
  前立腺を刺激するだけじゃ、足りないのはわかってるから、前もちゃんと弄ってあげてる。
  片手は腰をひっつかんでるけど。僕の手跡、残りそう。
  あぁ、そういえば。ちゃんと前戯してあげてないから、僕の跡、付けてない。
  上に着てるものは、脱がせてないし。僕なんて服、脱いでもいない。
「ごめんね、アジスタ。今度はもっと、気持ち良くしたげるね」
  僕が勝手に暴走しただけ、なんだけどさ。
  今度なんてない、とか言われたら嫌だから、今のうちに言っておく。
「はっ、あ、グライ、シズ……」
  中の締め付けが増してる。
  それに、手の中にあるアジスタのも、質量を増してる。
「イきそう?」
  聞いたら、頷きが返ってきた。
「僕も、限界かな」
  だって、念願叶ってるから。
  それだけで、イきそうだったの、我慢したからね。
「イって良いよ」
  あぁ、顔見たい。キスしたい。
「ん、あ、っあぁぁ……」
  先端の尿道口を、爪でカリッと引っ掻いたのが、切っ掛けになったみたい。
  うん。アジスタの好きなコト、ちゃんと覚えとくよ。
  僕も、アジスタの締め付けに、我慢を止めて、吐き出した。
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