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第七章
第83話 敵の本拠地に侵入しました。
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『おお、ここが魔王城だね』
『いや、邪神の城だから魔王城じゃなくて邪神城じゃないかな』
『いえ、ここは魔王城でも邪神城でも無く、ただの魔族たちの城だと思われます』
レヴィと僕の会話を聞いて冷静にセバスさんが答える。
確かに、魔族には元々王は居ない為、魔王は存在しない。それに邪神は千年間おらず最近復活しただけなので、当然邪神の為に造られて城でも無い。つまり、この城は魔王城でも無ければ邪神城でも無く、ただの魔族たちの城という事で間違い無いという事だ。
現在僕達は、邪神や魔族に見つからないように短距離転移を繰り返し、最後は開放されていた窓から魔族たちの城へ侵入した。
『大きな魔力は7つ。そのうち一つは異常な程に魔力が大きいので、それが邪神だと思うよ。残りの6つが最上位魔族って事かな』
『確かに一番大きな魔力は以前に感じた邪神の魔力と同じように感じます。残りの6つのうち二つからも以前戦ったジルベルトやハルトムートと同じ魔力を感じますので間違いはないでしょう。ただなんといいますか……』
『この微妙な違和感が気になるんだよね』
微妙に言いよどむセバスさんに、僕が言葉を付けたす。
『はい、なんと表現していいのか分かりませんが、何か違和感を感じます』
『何かズレてる感じね』
それにアキーレさんも同意する。
『まあ、何があってもボク達なら大丈夫だよ。早く邪神のとこまで行こう』
相変わらずレヴィは軽い感じで言うが、ホントに大丈夫かな?
『セバスさんはどう思います?』
『そうですね。取り敢えずイジスが居れば危険は少ないかと、ただ、今まで以上に慎重に行動していく必要はあるかと』
『そうですね……』
『主よ。私が必ずお護り致しますので、ご安心下さい』
イジスさんもこう言ってるし、セバスさんも問題無さそうと言っているし一応大丈夫かな……
『分かりました。よろしくお願いします。イジスさん』
『御意』
『では、早速行きましょう』
『しゅっぱーつ』
念話ではしゃぐレヴィの声を聞きながら僕たちは城の中を進み始めた。
◇ ◇ ◇
『やっぱり罠ですかね』
『おそらくはそうでしょう』
魔族の城に入って既に20分が過ぎている。ここまでそれなりの距離を歩いたが、一度も魔族に出くわしていない。まだ時間も昼を過ぎた程度で、とてもじゃないが寝静まっている時間じゃない。本来であればこれ程の城、多くの人が往来しているのが当たり前のはずだ。それなのにこの城の中には、そう言った人の気配が全くしないのだ。するのは先ほど感じた邪神と最上位魔族の気配だけ。
『それに転移も無理みたいですしね』
城に潜入する時もそうだったが、この城には転移阻害の結界が張られているようで、全く転移魔法が発動しなかった。半神人である僕の転移魔法が発動しないのだから、この結界を張っているのは間違い無く邪神なんだろう。
『まあ、入っちゃったものは仕方ないよ。ある程度覚悟していたんだし、ボク達もいるんだし問題無いっしょ』
相変わらず軽いな……まあ、レヴィの言う事ももっともだけど。
更に邪神の下に向け進む事十分。ようやく邪神が居ると思われる部屋の前に到着した。そこにはドラゴンと悪魔が戦う意匠が彫られた巨大な扉があった。
『如何にもって感じだね』
『確かに如何にも謁見も間って感じだね』
レヴィの言葉に僕も同意する。
『邪神の気配もこの中から感じますし、間違い無いとは思いますが……』
いつに無くセバスさんの発言にキレが無い。
『セバスさんも感じますか……違和感』
『はい、やはりアキーレが言っていたようにズレのようなモノを感じます』
それは僕も感じている。いや、城に入った時以上に強く感じている。それはもう確信に変わるほどに……
『まず間違い無いく罠ね』
そう断定したアキーレさんに僕も頷く。
『罠だろうと、食い破っちゃえばいいんだよ。どうせ引き返せないんだし』
そう言ったのはやはりレヴィだ。確かにその通りなんだけど……
『主、参りましょう。我らが付いております』
イジスさんに後押しされたわけではないが僕は一つ頷くとその扉に手を掛けた。
そこは謁見の間でも王者の間でも無かった。唯々何もない薄暗い空間が広がっていた。
『これは……』
明らかにおかしい空間が目の前に広がっており、その先からは姿は見えないが邪神の気配が感じられる。中から感じる魔素は異常なほどに濃厚で、S級迷宮の深層のそれより遥かに強烈だった。
『この先に邪神が待っている、って事だろうね』
勿論気配を感じるという事もあるが、これだけの魔素を放つ存在は邪神しかいない。だから僕は確信出来た。
『恐らくは……ただ、嫌な予感がいたします』
ただ、セバスさんが言うように僕も同じように嫌な予感をヒシヒシと感じていた。
だが……だからと言ってここで引き返すつもりもない。だから……
『既に僕達が入った事に邪神は気が付いているでしょう。どんな歓迎がされるか分かりませんが、後には戻れません。行きましょう』
そう言いて僕は薄暗い部屋の中に踏み入れた。
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『おお、ここが魔王城だね』
『いや、邪神の城だから魔王城じゃなくて邪神城じゃないかな』
『いえ、ここは魔王城でも邪神城でも無く、ただの魔族たちの城だと思われます』
レヴィと僕の会話を聞いて冷静にセバスさんが答える。
確かに、魔族には元々王は居ない為、魔王は存在しない。それに邪神は千年間おらず最近復活しただけなので、当然邪神の為に造られて城でも無い。つまり、この城は魔王城でも無ければ邪神城でも無く、ただの魔族たちの城という事で間違い無いという事だ。
現在僕達は、邪神や魔族に見つからないように短距離転移を繰り返し、最後は開放されていた窓から魔族たちの城へ侵入した。
『大きな魔力は7つ。そのうち一つは異常な程に魔力が大きいので、それが邪神だと思うよ。残りの6つが最上位魔族って事かな』
『確かに一番大きな魔力は以前に感じた邪神の魔力と同じように感じます。残りの6つのうち二つからも以前戦ったジルベルトやハルトムートと同じ魔力を感じますので間違いはないでしょう。ただなんといいますか……』
『この微妙な違和感が気になるんだよね』
微妙に言いよどむセバスさんに、僕が言葉を付けたす。
『はい、なんと表現していいのか分かりませんが、何か違和感を感じます』
『何かズレてる感じね』
それにアキーレさんも同意する。
『まあ、何があってもボク達なら大丈夫だよ。早く邪神のとこまで行こう』
相変わらずレヴィは軽い感じで言うが、ホントに大丈夫かな?
『セバスさんはどう思います?』
『そうですね。取り敢えずイジスが居れば危険は少ないかと、ただ、今まで以上に慎重に行動していく必要はあるかと』
『そうですね……』
『主よ。私が必ずお護り致しますので、ご安心下さい』
イジスさんもこう言ってるし、セバスさんも問題無さそうと言っているし一応大丈夫かな……
『分かりました。よろしくお願いします。イジスさん』
『御意』
『では、早速行きましょう』
『しゅっぱーつ』
念話ではしゃぐレヴィの声を聞きながら僕たちは城の中を進み始めた。
◇ ◇ ◇
『やっぱり罠ですかね』
『おそらくはそうでしょう』
魔族の城に入って既に20分が過ぎている。ここまでそれなりの距離を歩いたが、一度も魔族に出くわしていない。まだ時間も昼を過ぎた程度で、とてもじゃないが寝静まっている時間じゃない。本来であればこれ程の城、多くの人が往来しているのが当たり前のはずだ。それなのにこの城の中には、そう言った人の気配が全くしないのだ。するのは先ほど感じた邪神と最上位魔族の気配だけ。
『それに転移も無理みたいですしね』
城に潜入する時もそうだったが、この城には転移阻害の結界が張られているようで、全く転移魔法が発動しなかった。半神人である僕の転移魔法が発動しないのだから、この結界を張っているのは間違い無く邪神なんだろう。
『まあ、入っちゃったものは仕方ないよ。ある程度覚悟していたんだし、ボク達もいるんだし問題無いっしょ』
相変わらず軽いな……まあ、レヴィの言う事ももっともだけど。
更に邪神の下に向け進む事十分。ようやく邪神が居ると思われる部屋の前に到着した。そこにはドラゴンと悪魔が戦う意匠が彫られた巨大な扉があった。
『如何にもって感じだね』
『確かに如何にも謁見も間って感じだね』
レヴィの言葉に僕も同意する。
『邪神の気配もこの中から感じますし、間違い無いとは思いますが……』
いつに無くセバスさんの発言にキレが無い。
『セバスさんも感じますか……違和感』
『はい、やはりアキーレが言っていたようにズレのようなモノを感じます』
それは僕も感じている。いや、城に入った時以上に強く感じている。それはもう確信に変わるほどに……
『まず間違い無いく罠ね』
そう断定したアキーレさんに僕も頷く。
『罠だろうと、食い破っちゃえばいいんだよ。どうせ引き返せないんだし』
そう言ったのはやはりレヴィだ。確かにその通りなんだけど……
『主、参りましょう。我らが付いております』
イジスさんに後押しされたわけではないが僕は一つ頷くとその扉に手を掛けた。
そこは謁見の間でも王者の間でも無かった。唯々何もない薄暗い空間が広がっていた。
『これは……』
明らかにおかしい空間が目の前に広がっており、その先からは姿は見えないが邪神の気配が感じられる。中から感じる魔素は異常なほどに濃厚で、S級迷宮の深層のそれより遥かに強烈だった。
『この先に邪神が待っている、って事だろうね』
勿論気配を感じるという事もあるが、これだけの魔素を放つ存在は邪神しかいない。だから僕は確信出来た。
『恐らくは……ただ、嫌な予感がいたします』
ただ、セバスさんが言うように僕も同じように嫌な予感をヒシヒシと感じていた。
だが……だからと言ってここで引き返すつもりもない。だから……
『既に僕達が入った事に邪神は気が付いているでしょう。どんな歓迎がされるか分かりませんが、後には戻れません。行きましょう』
そう言いて僕は薄暗い部屋の中に踏み入れた。
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