上 下
18 / 69
第四章

第37話 やってきましたベールズ・シティのハンターギルド

しおりを挟む
 ブックマーク&ポイントありがとう御座います。
********************************************

 ベールズ・シティのハンターギルドは巨大な煉瓦造りの建物で、外観からしてノーステールのハンターギルドとは随分違いすごく立派だ。

 例の如く装備のみなさまにはアイテム化してもらい中に入る。夕方という時間もあり多くのハンターで混み合っている。そんな中、買い取りカウンターを探すと。

 「おっ! あそこだ。思ったよりすいてるね」

 買い取りカウンターには一組のハンターパーティーしかおらず誰も並んでいな。これはラッキーと思い早速後ろに並ぶと。

 「そこの少年。番号札を取って下さい」

 と査定中の女性ギルド職員さんに言われてしまった。

 番号札? よく見ると買い取りカウンターの脇に番号の書かれた木札が置かれていた。

 これを取ればいいのか。木札を取ってみると。木札には39番と書かれていた。

 げっ! 39番待ちですか? そんなに待ってたら日が暮れてしまう。今夜も魔法のテントで寝るのだからまた街の外に出ないといけないのに、夜になったら門が閉まっちゃうよ。素材を売るのまた後日にしようかな。などと考えていると。

 「次! 31番の人! 買い取りカウンターに来て下さい」と先ほどの女性職員が大きな声を上げて呼びかける。

 あっ! そうか、別に39番待ちじゃなくて39番目に札を取っただけなんだ。よく考えれば分かる事なのにやっぱり初めて来た街だから少し舞い上がっていたのかな。

 しかし、どの道まだ時間がかかりそうなので空いている席を探し、自分が呼ばれるのを待つ事にした。

 とはいえ暇だ。なんかないかな。…………!! そうだ! せっかくだからここにいる人達のレベルを調べてみよう。という事で、先ずは今、買い取りカウンターで買い取りしてもらっている4人組の冒険者のレベルをセバスさんに聞いてみた。

 『畏まりました。右の者から45・39・48・41で御座います』

 思ったよりレベルが低いな。他人はどうだろう? という事で次々セバスさんに鑑定してもらった。すると全体の95パーセントのハンターはレベル60以下で、レベル100オーバーのハンターは2パーセントしかいない事が分かった。

 僕ってレベル109だし結構強いのかな? 実感全くないけど。やっぱりレヴィが強すぎるんだよな。いっつもボコられるし、ちっとも成長している感が無いんだよね。

 くそっ! いつかレヴィをギャフンと言わせてやる。


 「次! 39番! 買い取りカウンターにお願いします」

 そうこうしているうちのどうやら僕の番が回ってきたようだ。待たせては悪いとすぐの買い取りカウンターに向かう。

 買い取りカウンターには先ほどの女性職員が待っていた。歳の頃は20代半ばくらいだろうか。ショートカットの黒髪と黒い目が印象的な美人さんだ。早速木札を渡すと。

 「じゃあ、ギルドカードと素材を出して下さい」

 ラムさんのような対応もいいが、こういった丁寧な対応がやっぱり僕としては安心出来る。

 早速、オーガとオーガロード、それから訓練の時に倒したレベル50以上の魔物の素材を追加で10体分出し、最後にギルドカードを出して渡そうとすると。

 「…………」

 あれ? 女性職員さんが素材を見て口を開けたまま固まっている。あっ! オーガロードか! オーガロードに驚いているのか。

 「あ、あの……。ギルドカード」

 僕が声を掛けると、ハッ! と我に返った女性職員さんは、僕のギルドカードをひったくるように奪うと、食い入るようにギルドカードを見ている。ちなみにラムさん見せた時と内容は変わっておらずランクはBでランキングは圏外だ。

 僕的にはあれだけ高ランクの魔物を連続で倒しているんだから、そろそろランキング入りしてもいい気がするんだけど中々ランキング入りしない。やっぱり3年間の累積ポイントなだけに3年以上前からやっている人達に混ざってランキング入りするのはさすがに大変そうだ。

 「Bランク……。どう見てもまだ子供なのに……」

 確かに子供なのは否定しないけど、一応こう見えて正式に仕事が出来る16歳にはなっているんだけどね。

 ちなみに大人と認められる年齢は18歳からだ。16歳は成人ではないが、一応働き手として仕事に就ける年齢だ。だから、多くの孤児は16歳でひとり立ちして働き始める。

 「あの、何か問題ありましたか?」

 僕が女性職員さんに聞くと。
 
 「こ、これは失礼しました。まさかそんなにお若いのにBランクになられているとは思いませんでしたので」

 慌てた女性職員さんは大きさの声で言い訳を始める。その声を聞き、周りのハンター達がざわつき始める。

 「おい、あのガキBランクらしいぞ」や「信じられん」などの声が聞こえてくる。みなさん、せめて本人に聞こえないように話してください。と言うより、女性職員さん。僕の個人情報をそんな大きい声で発表しないで下さい。

 「あっ! 失礼しました。私なんて事を……」

 どうやら自分がやらかした事に気が付いたようだ。まあ、言っちゃったものはどうしようも無いんだけど。

 「えっと、色々言いたいですが、今回はいいですから、はやく査定してもらえませんか?」

 兎に角早くここから立ち去りたい。注目されるのは苦手だ。

 「はい! 畏まりました。直ちに」
 
 そういうと早速査定を始める。その間周りを見ると、多くのハンターが僕の方を見ながらヒソヒソ話をしている。ただ、結構内容が聞こえるんだよね。どうやら僕を仲間に引き入れないか相談している声が多いようだ。僕的にはみんなもいるし今更誰かとパーティーを組む気はないんだけどね。

 しばらく待っていると、査定が終わったようで、女性職員さんが声を掛けて来た。

 「お待たせしました。今回の査定額ですが、金貨26枚と銀貨45枚です。よろしいでしょうか」

 おお、流石オーガ37体+オーガロード更に+αだ。この前騎士団に貰った分を合わせるとしばらくは働かなくても有意義な生活が送れそうだ。

 「それで願いします」


 その後、待っていましたとばかりに一気に僕の前にハンター達が集まり、スカウト合戦が始まってしまった。そしてすべての誘いを断り、僕がギルドから出られたのはお金を受け取ってから1時間もたった後だでした。

 この時ばかりは魔物と戦っている方が楽だなと思ったひと時でした。
************************************************
 最後までお読みいただき、ありがとうございます。
 ブックマークや評価ポイントを頂けると、とても励みになります。

アルファポリス様でランキング参加する事にしました。下のバナーからよろしくお願いします。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

婚約破棄と領地追放?分かりました、わたしがいなくなった後はせいぜい頑張ってくださいな

カド
ファンタジー
生活の基本から領地経営まで、ほぼ全てを魔石の力に頼ってる世界 魔石の浄化には三日三晩の時間が必要で、この領地ではそれを全部貴族令嬢の主人公が一人でこなしていた 「で、そのわたしを婚約破棄で領地追放なんですね? それじゃ出ていくから、せいぜいこれからは魔石も頑張って作ってくださいね!」 小さい頃から搾取され続けてきた主人公は 追放=自由と気付く 塔から出た途端、暴走する力に悩まされながらも、幼い時にもらった助言を元に中央の大教会へと向かう 一方で愛玩され続けてきた妹は、今まで通り好きなだけ魔石を使用していくが…… ◇◇◇ 親による虐待、明確なきょうだい間での差別の描写があります (『嫌なら読むな』ではなく、『辛い気持ちになりそうな方は無理せず、もし読んで下さる場合はお気をつけて……!』の意味です) ◇◇◇ ようやく一区切りへの目処がついてきました 拙いお話ですがお付き合いいただければ幸いです

「不細工なお前とは婚約破棄したい」と言ってみたら、秒で破棄されました。

桜乃
ファンタジー
ロイ王子の婚約者は、不細工と言われているテレーゼ・ハイウォール公爵令嬢。彼女からの愛を確かめたくて、思ってもいない事を言ってしまう。 「不細工なお前とは婚約破棄したい」 この一言が重要な言葉だなんて思いもよらずに。 ※約4000文字のショートショートです。11/21に完結いたします。 ※1回の投稿文字数は少な目です。 ※前半と後半はストーリーの雰囲気が変わります。 表紙は「かんたん表紙メーカー2」にて作成いたしました。 ❇❇❇❇❇❇❇❇❇ 2024年10月追記 お読みいただき、ありがとうございます。 こちらの作品は完結しておりますが、10月20日より「番外編 バストリー・アルマンの事情」を追加投稿致しますので、一旦、表記が連載中になります。ご了承ください。 1ページの文字数は少な目です。 約4500文字程度の番外編です。 バストリー・アルマンって誰やねん……という読者様のお声が聞こえてきそう……(;´∀`) ロイ王子の側近です。(←言っちゃう作者 笑) ※番外編投稿後は完結表記に致します。再び、番外編等を投稿する際には連載表記となりますこと、ご容赦いただけますと幸いです。

宝箱の中のキラキラ ~悪役令嬢に仕立て上げられそうだけど回避します~

よーこ
ファンタジー
婚約者が男爵家の庶子に篭絡されていることには、前々から気付いていた伯爵令嬢マリアーナ。 しかもなぜか、やってもいない「マリアーナが嫉妬で男爵令嬢をイジメている」との噂が学園中に広まっている。 なんとかしなければならない、婚約者との関係も見直すべきかも、とマリアーナは思っていた。 そしたら婚約者がタイミングよく”あること”をやらかしてくれた。 この機会を逃す手はない! ということで、マリアーナが友人たちの力を借りて婚約者と男爵令嬢にやり返し、幸せを手に入れるお話。 よくある断罪劇からの反撃です。

《勘違い》で婚約破棄された令嬢は失意のうちに自殺しました。

友坂 悠
ファンタジー
「婚約を考え直そう」 貴族院の卒業パーティーの会場で、婚約者フリードよりそう告げられたエルザ。 「それは、婚約を破棄されるとそういうことなのでしょうか?」 耳を疑いそう聞き返すも、 「君も、その方が良いのだろう?」 苦虫を噛み潰すように、そう吐き出すフリードに。 全てに絶望し、失意のうちに自死を選ぶエルザ。 絶景と評判の観光地でありながら、自殺の名所としても知られる断崖絶壁から飛び降りた彼女。 だったのですが。

【完結】彼女以外、みんな思い出す。

❄️冬は つとめて
ファンタジー
R15をつける事にしました。 幼い頃からの婚約者、この国の第二王子に婚約破棄を告げられ。あらぬ冤罪を突きつけられたリフィル。この場所に誰も助けてくれるものはいない。

僕の家族は母様と母様の子供の弟妹達と使い魔達だけだよ?

闇夜の現し人(ヤミヨノウツシビト)
ファンタジー
ー 母さんは、「絶世の美女」と呼ばれるほど美しく、国の中で最も権力の強い貴族と呼ばれる公爵様の寵姫だった。 しかし、それをよく思わない正妻やその親戚たちに毒を盛られてしまった。 幸い発熱だけですんだがお腹に子が出来てしまった以上ここにいては危険だと判断し、仲の良かった侍女数名に「ここを離れる」と言い残し公爵家を後にした。 お母さん大好きっ子な主人公は、毒を盛られるという失態をおかした父親や毒を盛った親戚たちを嫌悪するがお母さんが日々、「家族で暮らしたい」と話していたため、ある出来事をきっかけに一緒に暮らし始めた。 しかし、自分が家族だと認めた者がいれば初めて見た者は跪くと言われる程の華の顔(カンバセ)を綻ばせ笑うが、家族がいなければ心底どうでもいいというような表情をしていて、人形の方がまだ表情があると言われていた。 『無能で無価値の稚拙な愚父共が僕の家族を名乗る資格なんて無いんだよ?』 さぁ、ここに超絶チートを持つ自分が認めた家族以外の生き物全てを嫌う主人公の物語が始まる。 〈念の為〉 稚拙→ちせつ 愚父→ぐふ ⚠︎注意⚠︎ 不定期更新です。作者の妄想をつぎ込んだ作品です。

追放したんでしょ?楽しく暮らしてるのでほっといて

だましだまし
ファンタジー
私たちの未来の王子妃を影なり日向なりと支える為に存在している。 敬愛する侯爵令嬢ディボラ様の為に切磋琢磨し、鼓舞し合い、己を磨いてきた。 決して追放に備えていた訳では無いのよ?

処理中です...