上 下
17 / 69
第四章

第36話 迷宮都市に到着です

しおりを挟む
 ブックマーク&ポイントありがとう御座います。
********************************************

 翌朝僕は新たな目的地、ブリンテルト王国南部の街、ベールズ・シティに向け出発した。

 ベールズ・シティはブリンテルト王国南部にある大都市であり、近隣にD級、C級、A級の3つの迷宮がある事で有名な都市だ。つまり昨日の話し合いで決まったのが、この街を拠点にしてA級迷宮に潜りながら僕を鍛えるという事だ。

 現在ベガに乗って、そのベールズ・シティに向け順調に飛行中。
 

 ちなみに今回の旅からアキーレさんとキーレとアーレが新たに仲間に加わり、現在僕の防具として装備中だ。

 鎧化したアキーレさんは体のラインにそった細身の金属鎧。色も漆黒ですごく格好いい。そしてキーレとアーレも漆黒の金属足鎧で意匠もアキーレさんとよく似ている。やはり同じ魔道具師の作品だからかな。

 あと、キーレが左足用でアーレが右足用。キーレには縦に金色のラインが入り、アーレには銀色のラインが入っているといった感じだ。

 装備して見ると全身真っ黒。よく考えるとイジスさんも漆黒だから、まさに漆黒の剣士と言った出で立ちだ。我ながら格好いい。何だかこれだけで強くなった気がする。

 そういえばアキーレさんもキーレやアーレもなんでこんなにピッタリサイズなんだ? 確か3人ともエルザさん用に創られ、何度も調整までされていたはずなのに。しかもエルザさんは女性。女性用に創られた鎧がなんで男の僕に合うのかも疑問だ。

 という事で、アキーレさんに聞いてみると。

 『わたくし達3人は、装備者に合わせて大きさも形も自動に調整されるように創られているのよ』

 と答えが返ってきた。そんな事まで出来るんだ。確か製作者はエシルソンさんって人だったよね。千年前の世界最高の魔道具師って次元が違う天才度合いでビックリだよ。

 更に言うと当然のように3人ともSSSランクの魔道具だ。現在の世界最高レベルの魔道具師でもSランクの魔道具ですら作るの難しいんじゃないかな? 分からないけど。

 何だか僕の装備ってすべて伝説級の魔道具なんですが……。

 うん、深く考えるのはよそう。胃が痛くなってくる。


 ◇ ◇ ◇
 
 
 それから僕達の旅は訓練と移動の連続で順調に進んだ。そして、アキーレ達の家を出てから4日目の夕方、ついに迷宮都市ベールズ・シティに到着した。

 さすがはブリンテルト王国第二の都市ベールズ・シティだ。街壁からして迫力が違う。

 石造りの街壁は10mを超える高さがあり、更には魔法による強化もされている。近くにA級迷宮を含む3つの迷宮があるだけあって魔物対策も万全なんだろう。

 城門周辺には多くの人が往来しているがそれほど時間も掛からず中に入る事が出来た。中の様子を観察すると流石は迷宮都市と言われるだけあって、ハンターらしき格好をした人達を多く見かける。みんな強そうだ。

 『たいしたヤツは、いなさそうだね』

 レヴィさん。絶対人前でそんな事言わないでください。

 
 その後ハンターギルドの場所を衛兵さんに聞き、早速向かうことに。屋台が立ち並ぶエリアの入るといつものようにクイが僕の服を引っ張る。
 
 いつもの事なので早速大猪の串焼きを買いに向かおうとすると、レヴィはもちろんだがキーレとアーレ、更にはアキーレさんまで人化して物欲しそうにしている。

 「えっと、アキーレさん達も食べます?」

 そう聞くと、アキーレさんは、

 「頂くわ。ずっと森にこもっていたから、人の食べ物が恋しくなるのよね」

 と答え、猫耳少女2人は激しく頷く。

 という事で、屋台で女性陣全員に大猪の串焼きを買ってあげ食べる事に。もちろんクイには3本買い与えました。

 屋台のそばのベンチに座り6人仲良く串焼きを食べていると。ガラの悪そうな5人組の男が声を掛けてきた。

 「よう! 姉ちゃん達。そんなひ弱そうなガキなんかほっといて、俺達といい事しねぇか?」

 うわ! いかにもって感じのが出て来たな。見た感じハンターのようだけど、そんなに強そうに見えない。感じる気配も大したことない。
 
 『セバスさん。この人達って、全員レベル40以下ですよね』

 自分の感覚に対して自信が無いので念のためセバスさんに確認してみる。

 『左様で御座います。先頭の者が一番高くレベル35。他の者は右から31・29・32・28で御座います』

 うん、弱い。良くそんなんで僕らに絡んで来たな。……、いや、僕がパッと見弱そうな子供に見えるからか。確か僕が相手の強さを読み取れるようになったは地獄の特訓ループの後からだったもんな。これくらいのレベルのハンターじゃ、相手の強さを見極めるのは難しいか。


 「これは、中々美味しいわね」

 「でしょ。ボクも初めて食べた時はホッペが落ちるかと思ったよ」

 なんてレヴィとアキーレさんが男達を完全無視して話している。

 クイは当然、真摯に大猪の串焼きに向き合い、男達など眼中にない。

 年少組(実年齢は千歳を超えているけど)のキーレとアーレは意味が分からず。僕の方をぼんやり見ながら一生懸命、大猪の串焼きにカブリついている。うん、可愛らしい。

 うん。みなさん大猪の串焼きの方が重要なようで、男達には全く興味が無いようです。

 誰にも反応してもらえない男達の顔色が次第に真っ赤に変わっていく。怒っているのか、恥ずかしいのか。恐らく両方だろうな。

 「おい! お前ら無視してんじゃね!!」

「少しはこっち見ろや!!」

 など色々罵声を飛ばし始めるが女性陣の反応は薄い。唯一反応を見せたのはレヴィで、

 「うるさい!」

 の一言だけだった。そりゃ火に油、怒るよね。そして、その標的がどうしてか僕にくる訳で、

 「おい! ガキ。お前舐めてるのか?」

 いや、僕何一つ発言してないのですが。

 「お前が女どもに舐められているからこんな生意気な女どもになるんだよ」

 確かに女性陣に舐められているは認めるけど、あなた達が舐められているのは僕の所為ではないですよ。

 はぁ、仕方ない、面倒だけど追い払うか。

 「すいません。彼女たちもああ言っていますし、今回は穏便に済ませてもらえませんか?」

 取りあえず下手に出てみるが、おそらくダメでしょう。

 「お前、ふざけてるのか? この状態で穏便も糞もねぇだろ!」

 ですよね。僕もそう思います。でも穏便に済ませた方が身の為だよとは言えない。言ったらどうせもっと怒るだろうし。

 「はぁ、じゃあどうします? やりますか?」

 僕の言葉に男達は少々驚いた顔を見せるがすぐにニヤニヤ笑いだし。

 「そうだな。それがいい。で、俺達が勝ったらここにいる女3人と、お前のその大そう立派な装備品をいただいてやる」

 女性も装備品も同じものが殆どなんですが……、そう言えは女3人って事はキーレとアーレは子供だからいらないって事なのかな?

 「分かりました。いつでもどうぞ」

 なんかこの人達が出て来てからどっと疲れた。早く終わらせてハンターギルドに行こう。

 「「「「「てめ―!舐めやがって絶対ぶち殺してやるからな」」」」」

 おお、綺麗に揃った。仲がいいことで。

 そこからは説明する必要もないですね。レベル109の僕とレベル30前後の男達では勝負にもならず、全員ワンパンで終了でした。周りを見ると5人全員気持ち良さそうに伸びている。まあ、こんなもんでしょう。

 周りの人達はこういった光景を見慣れているのか、全く気にする様子もなく通り過ぎて行く。さすが迷宮都市、荒くれ者が集まる分、治安は良くないのだろう。

 「ね~、もう終わった?」

 レヴィが僕に声を掛けてくる。他のみんなも串焼きを食べ終わったようで、レヴィの後ろで談笑している。

 「うん、終わったよ」

 俺の答えに「ふ~ん」とだけ答えると。

 「じゃあ、ハンターギルドに向かうよ」

 と先頭を切って歩き出した。
************************************************
 最後までお読みいただき、ありがとうございます。
 ブックマークや評価ポイントを頂けると、とても励みになります。

アルファポリス様でランキング参加する事にしました。下のバナーからよろしくお願いします。
しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

【完】真実をお届け♪※彷徨うインベントリ※~ミラクルマスターは、真実を伝えたい~

桜 鴬
ファンタジー
スキル無限収納は、別名を亜空間収納といわれているわ。このスキルを所持する人間たちは、底無しとも言われる収納空間を利用出来るの。古の人間たちは誰もが大気中から体内へ無限に魔力を吸収巡回していた。それ故に誰もが亜空間を収納スペースとして利用していた。だけどそれが当たり前では無くなってしまった。それは人間の驕りからきたもの。 やがて………… 無限収納は無限では無く己の魔力量による限りのある収納となり、インベントリと呼ばれるようになった。さらには通常のスキルと同じく、誰もが使えるスキルでは無くなってしまった……。 主を亡くしたインベントリの中身は、継承の鍵と遺言により、血族にのみ継承ができる。しかし鍵を作るのは複雑て、なおかつ定期的な更新が必要。 だから…… 亜空間には主を失い、思いを託されたままの無数のインベントリが……あてもなく……永遠に……哀しくさ迷っている………… やがてその思いを引き寄せるスキルが誕生する。それがミラクルマスターである。 なーんちゃってちょっとカッコつけすぎちゃった。私はミラクルマスター。希少なスキル持ちの王子たちをサポートに、各地を巡回しながらお仕事してまーす!苺ケーキが大好物だよん。ちなみに成人してますから!おちびに見えるのは成長が遅れてるからよ。仕方ないの。子は親を選べないからね。あ!あのね。只今自称ヒロインさんとやらが出没中らしいの。私を名指しして、悪役令嬢だとわめいているそう。でも私は旅してるし、ミラクルマスターになるときに、王族の保護に入るから、貴族の身分は捨てるんだよね。どうせ私の親は処刑されるような罪人だったから構わない。でもその悪役令嬢の私は、ボンキュッボンのナイスバディらしい。自称ヒロインさんの言葉が本当なら、私はまだまだ成長する訳ですね!わーい。こら!頭撫でるな!叩くのもダメ!のびなくなっちゃうー!背はまだまだこれから伸びるんだってば! 【公開予定】 (Ⅰ)最後まで優しい人・㊤㊦ (Ⅱ)ごうつくばりじいさん・①~⑤ (Ⅲ)乙女ゲーム・ヒロインが!転生者編①~⑦ 短編(数話毎)読み切り方式。(Ⅰ)~(Ⅲ)以降は、不定期更新となります<(_ _*)>

ダンジョン発生から20年。いきなり玄関の前でゴブリンに遭遇してフリーズ中←今ココ

高遠まもる
ファンタジー
カクヨム、なろうにも掲載中。 タイトルまんまの状況から始まる現代ファンタジーです。 ダンジョンが有る状況に慣れてしまった現代社会にある日、異変が……。 本編完結済み。 外伝、後日譚はカクヨムに載せていく予定です。

異世界営生物語

田島久護
ファンタジー
相良仁は高卒でおもちゃ会社に就職し営業部一筋一五年。 ある日出勤すべく向かっていた途中で事故に遭う。 目覚めた先の森から始まる異世界生活。 戸惑いながらも仁は異世界で生き延びる為に営生していきます。 出会う人々と絆を紡いでいく幸せへの物語。

チャリに乗ったデブスが勇者パーティの一員として召喚されましたが、捨てられました

鳴澤うた
ファンタジー
私、及川実里はざっくりと言うと、「勇者を助ける仲間の一人として異世界に呼ばれましたが、デブスが原因で捨てられて、しかも元の世界へ帰れません」な身の上になりました。 そこへ定食屋兼宿屋のウェスタンなおじさま拾っていただき、お手伝いをしながら帰れるその日を心待ちにして過ごしている日々です。 「国の危機を救ったら帰れる」というのですが、私を放りなげた勇者のやろー共は、なかなか討伐に行かないで城で遊んでいるようです。 ちょっと腰を据えてやつらと話し合う必要あるんじゃね? という「誰が勇者だ?」的な物語。

レアモンスターの快適生活 ~勇者や魔王に目を付けられずに、楽して美味しくスローライフしよう~

スィグトーネ
ファンタジー
 剣と魔法のファンタジー世界。  その森の片隅に住む【栗毛君】と呼ばれるウマこそ、今回の物語の主人公である。  草を食んで、泥浴びをして、寝て……という生活だけで満足しない栗毛君は、森の中で様々なモノを見つけては、そのたびにちょっかいを出していく。  果たして今日の彼は、どんな発見をするのだろう。 ※この物語はフィクションです ※この物語に登場する挿絵は、AIイラストさんで作ったモノを使用しています

5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?

gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。 そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて 「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」 もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね? 3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。 4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。 1章が書籍になりました。

「黒炎の隼」

蛙鮫
ファンタジー
人々を襲う怪物。忌獣を一人で討伐し続ける青年。松阪隼人。そんな彼がとあるきっかけで忌獣を討伐する組織『忌獣対策本部』の戦闘員を育成する学園『金剛杵学園』に入学する事になる。

半分異世界

月野槐樹
ファンタジー
関東圏で学生が行方不明になる事件が次々にしていた。それは異世界召還によるものだった。 ネットでも「神隠しか」「異世界召還か」と噂が飛び交うのを見て、異世界に思いを馳せる少年、圭。 いつか異世界に行った時の為にとせっせと準備をして「異世界ガイドノート」なるものまで作成していた圭。従兄弟の瑛太はそんな圭の様子をちょっと心配しながらも充実した学生生活を送っていた。 そんなある日、ついに異世界の扉が彼らの前に開かれた。 「異世界ガイドノート」と一緒に旅する異世界

処理中です...