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第二章
第20話 特訓が終わりました
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訓練(というかあれは修行だな)を始めて1ヵ月が過ぎた。
訓練の内容? そんな恐ろしい事、思い出したくもないです。
兎に角僕はこの1ヵ月、鬼仕様の訓練を乗り切ったのだ。
おかげで今では、レヴィに本気で打ち合ってもらえる程度には剣術を習得し(まだ一本も取った事は有りません)、全属性の魔法も実践レベルで使用出来るまでに習得した(セバスさん曰く、初心者から脱した程度らしい)。
もちろん、イジスさんの盾術やクイの弓術も、何とか合格点をもらえる程度には、習得する事が出来た。
4人からそれぞれ合格点をもらえたという事で、取りあえず山籠もりが本日で終了する事となったのだ。
「やったー!! これでようやく旅に出られぞ!!」
僕は大きく背伸びをして目一杯叫んだ。
「おつかれ~。思ったよりも時間かかったし、まだまだ弱いけど。まあ、いいんじゃない」
くっ! 人が気持ちよく喜んでいるのに、レヴィめ……。
「おめでとう御座います。クラウド様はハンターとして立派に成長なされました」
う、セバスさんは嬉しい事を言ってくれる。レヴィとはえらい違いだ。
「主と拙者の力があれば、いかなる敵も打ち倒せるでしょう」
イジスさん。その自信を得るまでには、僕はまだ到達できていません。
「ご主人様、そんな事より早くノーステールに戻って大猪の串焼きをいただきましょう」
クイはいつも通りだな。
取り敢えず、これで一応は地獄の特訓ループから解放された。まあ、これからも毎日、朝と夜に訓練は続けるらしいけど。
そんな訳でノーステールのハンターギルドに、倒した魔物の素材の売却兼、旅立ちの報告をしに行く事にした。
◇ ◇ ◇
ノーステールに着くと、クイが串、串うるさいので先に大猪の串焼きを買いに行く。
「おっちゃん。6本ちょうだい」
「はいよ、6本な」
少し恰幅のいい店のおっちゃんは、当然のように串を僕に1本、レヴィに2本、クイに3本渡した。
実は山籠もりをしていたとは言え、休みとして週に一度、ギルドに倒した魔物の素材を売りに来ており、その度にここで串焼きを買っていたのだ。
「坊主。いつもありがとな」
このおっちゃん、いい人感が、にじみ出ているよな。
「そうだ、おっちゃん。実はそろそろノーステールを出ようと思うんだ。だからここに来るのも、もう最後かも」
「そうか、寂しくなるな。お前ら、無理しないで元気でやれよ」
「うん、ありがとう。おっちゃんも元気でな」
「おじさん。バイバイ」とレヴィも続く。
クイは3本目の串を食べ終え。って、もう食べ終わったのか。
「この味は二度と忘れません。いずれまた必ず戻ってまいります」
なんて言っている。よっぽど、ここの味が気に入ったようだ。
そんな感じで屋台のおっちゃんに別れを告げ、僕達はハンターギルドに向かった。
◇ ◇ ◇
ハンターギルドに入る時、いつものように、レヴィとクイは人化を解き装備品に戻っている。
いつもはここで、イジスさんが護衛として僕の後ろに立って付いてきてくれるのだが、レヴィから「もう、特訓終わったんだから、護衛はいいんじゃない」の一言で今回は一人でギルドに入っていく事になった。
ハンターギルドに入ると一斉に僕に視線が集まる。
いつもの事だが、なんでここの人たちは、僕が入ってくると一斉にこちらを見るんだろう。
視線を無視して買い取りカウンターに向かう。
買い取りカウンターにはいつもの受付嬢さん、ラムさんが僕を迎えてくれた。
「よう、久しぶり。今日もいつもの素材の売却か?」
「はい、これです。査定お願いします」
今日は、いつものゴブリンの魔石に加え、グレーウルフの毛皮と魔石、オークの肉と魔石、フォレストリザードの皮や爪などの素材一式といった大量の素材を持ち込んだ。
数は多いがすべてレベル30以下の魔物で、普通のハンターなら一人で充分倒せる魔物だ。
ちなみに、レベル50以上の魔物も多く持っているけど、今のところ出さないようにしている。出すとラムさんがビックリしちゃうしね。
「おっ! 今回は大漁だね。少しは実力が付いてきたみたいだな。だけどまだまだ弱っちいから、無理はするんじゃねぇぞ」
ラムさん、相変わらず口は悪いけど、やっぱり優しいな。
「はい、これからも頑張ります。後1つ、報告というか、実はこの街を離れようかと考えています。お世話になっていたラムさんには、お知らせしておこうと思いまして」
ラムさんから素材の売却代を貰いながら話す。ちなみに今回の収入は金貨1枚と銀貨6枚だった。
ラムさんは僕の言葉にかなり驚いた様子で固まっている。
「あのラムさん?」
「あ、あ、ああ、すまん。ちょっと驚いてな」
とても、ちょっとどころじゃなかった気がするけど。
「それでいつ出ていくんだ?」
「えっと、明日には出発するつもりです」
「そ、そんなに早く……」
どうかしたのかな?
「わ、分かった。無理しないで、元気でやれよ。またいつでもノーステールに寄ってくれ」
「ありがとうございます。しばらく会う事はないと思いますが、ラムさんもお元気で」
寂しそうにしているラムさんに最後の別れを告げて僕はギルドを後にした。
と言いつつ、この後すぐにラムさんと再会する事になるのだが。
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最後までお読みいただき、ありがとうございます。
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第21話を本日12時に投稿します。
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訓練(というかあれは修行だな)を始めて1ヵ月が過ぎた。
訓練の内容? そんな恐ろしい事、思い出したくもないです。
兎に角僕はこの1ヵ月、鬼仕様の訓練を乗り切ったのだ。
おかげで今では、レヴィに本気で打ち合ってもらえる程度には剣術を習得し(まだ一本も取った事は有りません)、全属性の魔法も実践レベルで使用出来るまでに習得した(セバスさん曰く、初心者から脱した程度らしい)。
もちろん、イジスさんの盾術やクイの弓術も、何とか合格点をもらえる程度には、習得する事が出来た。
4人からそれぞれ合格点をもらえたという事で、取りあえず山籠もりが本日で終了する事となったのだ。
「やったー!! これでようやく旅に出られぞ!!」
僕は大きく背伸びをして目一杯叫んだ。
「おつかれ~。思ったよりも時間かかったし、まだまだ弱いけど。まあ、いいんじゃない」
くっ! 人が気持ちよく喜んでいるのに、レヴィめ……。
「おめでとう御座います。クラウド様はハンターとして立派に成長なされました」
う、セバスさんは嬉しい事を言ってくれる。レヴィとはえらい違いだ。
「主と拙者の力があれば、いかなる敵も打ち倒せるでしょう」
イジスさん。その自信を得るまでには、僕はまだ到達できていません。
「ご主人様、そんな事より早くノーステールに戻って大猪の串焼きをいただきましょう」
クイはいつも通りだな。
取り敢えず、これで一応は地獄の特訓ループから解放された。まあ、これからも毎日、朝と夜に訓練は続けるらしいけど。
そんな訳でノーステールのハンターギルドに、倒した魔物の素材の売却兼、旅立ちの報告をしに行く事にした。
◇ ◇ ◇
ノーステールに着くと、クイが串、串うるさいので先に大猪の串焼きを買いに行く。
「おっちゃん。6本ちょうだい」
「はいよ、6本な」
少し恰幅のいい店のおっちゃんは、当然のように串を僕に1本、レヴィに2本、クイに3本渡した。
実は山籠もりをしていたとは言え、休みとして週に一度、ギルドに倒した魔物の素材を売りに来ており、その度にここで串焼きを買っていたのだ。
「坊主。いつもありがとな」
このおっちゃん、いい人感が、にじみ出ているよな。
「そうだ、おっちゃん。実はそろそろノーステールを出ようと思うんだ。だからここに来るのも、もう最後かも」
「そうか、寂しくなるな。お前ら、無理しないで元気でやれよ」
「うん、ありがとう。おっちゃんも元気でな」
「おじさん。バイバイ」とレヴィも続く。
クイは3本目の串を食べ終え。って、もう食べ終わったのか。
「この味は二度と忘れません。いずれまた必ず戻ってまいります」
なんて言っている。よっぽど、ここの味が気に入ったようだ。
そんな感じで屋台のおっちゃんに別れを告げ、僕達はハンターギルドに向かった。
◇ ◇ ◇
ハンターギルドに入る時、いつものように、レヴィとクイは人化を解き装備品に戻っている。
いつもはここで、イジスさんが護衛として僕の後ろに立って付いてきてくれるのだが、レヴィから「もう、特訓終わったんだから、護衛はいいんじゃない」の一言で今回は一人でギルドに入っていく事になった。
ハンターギルドに入ると一斉に僕に視線が集まる。
いつもの事だが、なんでここの人たちは、僕が入ってくると一斉にこちらを見るんだろう。
視線を無視して買い取りカウンターに向かう。
買い取りカウンターにはいつもの受付嬢さん、ラムさんが僕を迎えてくれた。
「よう、久しぶり。今日もいつもの素材の売却か?」
「はい、これです。査定お願いします」
今日は、いつものゴブリンの魔石に加え、グレーウルフの毛皮と魔石、オークの肉と魔石、フォレストリザードの皮や爪などの素材一式といった大量の素材を持ち込んだ。
数は多いがすべてレベル30以下の魔物で、普通のハンターなら一人で充分倒せる魔物だ。
ちなみに、レベル50以上の魔物も多く持っているけど、今のところ出さないようにしている。出すとラムさんがビックリしちゃうしね。
「おっ! 今回は大漁だね。少しは実力が付いてきたみたいだな。だけどまだまだ弱っちいから、無理はするんじゃねぇぞ」
ラムさん、相変わらず口は悪いけど、やっぱり優しいな。
「はい、これからも頑張ります。後1つ、報告というか、実はこの街を離れようかと考えています。お世話になっていたラムさんには、お知らせしておこうと思いまして」
ラムさんから素材の売却代を貰いながら話す。ちなみに今回の収入は金貨1枚と銀貨6枚だった。
ラムさんは僕の言葉にかなり驚いた様子で固まっている。
「あのラムさん?」
「あ、あ、ああ、すまん。ちょっと驚いてな」
とても、ちょっとどころじゃなかった気がするけど。
「それでいつ出ていくんだ?」
「えっと、明日には出発するつもりです」
「そ、そんなに早く……」
どうかしたのかな?
「わ、分かった。無理しないで、元気でやれよ。またいつでもノーステールに寄ってくれ」
「ありがとうございます。しばらく会う事はないと思いますが、ラムさんもお元気で」
寂しそうにしているラムさんに最後の別れを告げて僕はギルドを後にした。
と言いつつ、この後すぐにラムさんと再会する事になるのだが。
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