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第一章
入学式の席探し
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体育館に入ってまず目についたのは並べられたパイプ椅子の数々。舞台とパイプ椅子の間にプラカードが立てられていて、それぞれ赤色と青色で四角が描かれている。
既にパイプ椅子の半分ほどが新入生で埋まっているが、B組の俺と田中は別れて座らなくてもいいようで安心した。
「誰かいないかな」
佐藤だけはA組なので、その中に友達の顔を探している。
「どこに座る?」
「座るなら知っている奴の傍がいいな」
俺がそう言うと田中は肩を竦める。コイツは姉の貴子姉ちゃんの隣以外はどうでもいいらしい。
俺と田中もB組の中に知っている顔を探した。
「・・・(いっくん)!」
小中と無視されていたが、あの後ろ姿はいっくんだ。
「いたか?」
「いっくんがいた」
田中は眉を寄せる。
「いっくん? 深見か?」
「・・・」
俺は嬉しくて言葉にならない。ただ頷く。
小学校からの友達である田中には、幼稚園時代に親友だったいっくんに執着する俺がわからないらしい。
俺だってわからない。
その理由を知りたいとも思うし、田中に相談してその意見を聞いてみたい気もする。
が。
そうなるとアイツと俺のことも話さなければならなくなる。
田中はどう思うだろう?
俺のことを馬鹿だと思うだろうか?
可哀想な奴だと思ってくれるだろうか?
それとも憤るだろうか?
既にパイプ椅子の半分ほどが新入生で埋まっているが、B組の俺と田中は別れて座らなくてもいいようで安心した。
「誰かいないかな」
佐藤だけはA組なので、その中に友達の顔を探している。
「どこに座る?」
「座るなら知っている奴の傍がいいな」
俺がそう言うと田中は肩を竦める。コイツは姉の貴子姉ちゃんの隣以外はどうでもいいらしい。
俺と田中もB組の中に知っている顔を探した。
「・・・(いっくん)!」
小中と無視されていたが、あの後ろ姿はいっくんだ。
「いたか?」
「いっくんがいた」
田中は眉を寄せる。
「いっくん? 深見か?」
「・・・」
俺は嬉しくて言葉にならない。ただ頷く。
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