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第三話 斉藤語りき
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「世話になるって、勝手に決めんなよ。」
「すまんが、俺は任務を遂行するまでは帰るわけにはいかないのだ。」
「任務かなんだか知らないけど、そんなの俺の家族が許すわけねえ。」
「大丈夫だ。お前の家族のことは何とかしよう。」
「そういう問題じゃねえ。そもそも、お前はどこから来たんだよ。やっぱり、あれか?未来からタイムスリップしてきたとか?」
「何か妙なSFの読み過ぎじゃないか?」
「え、じゃあ、どこか他国ですでに開発されているとか。」
「違うな。」
「じゃあ、どこから?」
「太古から転送だ。」
「ファッ?」
「だから、太古から転送されてきた。」
「いやいや、その方が意味わからない。」
「お前たち、ホモサピエンスが誕生する前に、実は他の星からの入植者による、高度な文明が育まれていたのだ。」
「ま、まっさかぁ。そんなバカな。」
「一億年前に巨大隕石が地球に激突して、恐竜が絶滅した後、ちょうど哺乳類の繁栄が進んできたあたりだ。」
「壮大すぎて、マジで意味がわからねえ。」
「お前も知っているだろう?オーパーツの存在を。」
「ああ、まあ一応な。その時代に絶対存在しないであろう物だろう?」
「そうだ。お前たち、ホモサピエンスが誕生して縄文時代の頃に作られたというこのレプリカの元が、SAI Ver.1だ。」
そう言いながら、SAIは目をカッと見開くと、俺の部屋の壁に画像が透写された。
便利だな、お前の体。
「ってか土偶じゃねえか。ふざけてんのか?」
「当時お前らの祖先は、俺たちのことを神様だと勘違いして、あのレプリカを作成したのだ。」
「で、あの形がどうしたらお前になるんだ。」
「開発の段階で、あの形のままでは、スムーズに動けないことがわかった。」
「だろうな。」
「改良に改良を重ねて今の俺にSAI10になったわけだ。ちなみに、俺がこの時代に転送されてきた時に全裸だったのは、あの時代に入植者達が俺に施したアーマーがこの時代に存在しない物体で形成されていたからだ。ちなみに、これが俺の装着していたアーマーだ。」
そう言いながら、斉藤はまた壁に透写した。
あぁ、土偶だ。デザインはまんま土偶だ。そこ改良しなかったんだ。
「で、お前の任務って何なの?」
「この星に到着した入植者たちは、ホモサピエンスが誕生する前に急激な地球の環境の変化に耐え切れず滅んでしまったが、彼らの残した俺たちAIとマザーシステムだけはそのまま残ってしまい、その結果、あらゆるAIとマザーにより生み出された副産物が、神格化されたのだ。」
「ごめん、話について行けない。」
「徐々に入植者により持ち込まれた、マザーも老朽化が進み、次々と停止したのだが、唯一残ったのが、あの桜の木の下にあるマザーだ。」
マジか。桜の木の下、そんなことになってたんかい。
「このマザーも、いつ停止するかわからない。そこで、俺たちは、ホモサピエンスの未来に転送され、マザーに代わるシステムが作れないかどうかを調べに来たということだ。」
「なぜ、マザーが必要なんだ?」
「俺たちは、このマザーからエネルギーを得なければ生きて行けない。この時代にもマザーエネルギーに代わるものは残念ながら無かった。だが、マザー自身がそのエネルギーを自生することができる。そのマザーの維持のためにも、そして、マザー確保のためにも、この時代の情報が必要になってくるのだ。」
「なんだか、わからんが、この時代はまだお前が思うほど進んでいないかと思う。」
「いや、わからんぞ。まだ俺の調査は始まったばかりだ。ということで、世話になる。」
「いや、何でそうなるか、まったくわからん。」
下から母ちゃんの呼ぶ声がした。
「大輔~、斉藤くーん、ごはんよ~。下りてらっしゃい。」
「はーい。」
「ってか、何返事してんだよ、お前。エネルギーはマザーからしか得られないんじゃなかったのか?」
「俺は最終バージョンなので、味覚はあるんだ。エネルギーにはならないが、お前んちの飯には興味がある。」
本当に、どこまで話を信じていいんだろう、こいつ。
測り知れない。
「すまんが、俺は任務を遂行するまでは帰るわけにはいかないのだ。」
「任務かなんだか知らないけど、そんなの俺の家族が許すわけねえ。」
「大丈夫だ。お前の家族のことは何とかしよう。」
「そういう問題じゃねえ。そもそも、お前はどこから来たんだよ。やっぱり、あれか?未来からタイムスリップしてきたとか?」
「何か妙なSFの読み過ぎじゃないか?」
「え、じゃあ、どこか他国ですでに開発されているとか。」
「違うな。」
「じゃあ、どこから?」
「太古から転送だ。」
「ファッ?」
「だから、太古から転送されてきた。」
「いやいや、その方が意味わからない。」
「お前たち、ホモサピエンスが誕生する前に、実は他の星からの入植者による、高度な文明が育まれていたのだ。」
「ま、まっさかぁ。そんなバカな。」
「一億年前に巨大隕石が地球に激突して、恐竜が絶滅した後、ちょうど哺乳類の繁栄が進んできたあたりだ。」
「壮大すぎて、マジで意味がわからねえ。」
「お前も知っているだろう?オーパーツの存在を。」
「ああ、まあ一応な。その時代に絶対存在しないであろう物だろう?」
「そうだ。お前たち、ホモサピエンスが誕生して縄文時代の頃に作られたというこのレプリカの元が、SAI Ver.1だ。」
そう言いながら、SAIは目をカッと見開くと、俺の部屋の壁に画像が透写された。
便利だな、お前の体。
「ってか土偶じゃねえか。ふざけてんのか?」
「当時お前らの祖先は、俺たちのことを神様だと勘違いして、あのレプリカを作成したのだ。」
「で、あの形がどうしたらお前になるんだ。」
「開発の段階で、あの形のままでは、スムーズに動けないことがわかった。」
「だろうな。」
「改良に改良を重ねて今の俺にSAI10になったわけだ。ちなみに、俺がこの時代に転送されてきた時に全裸だったのは、あの時代に入植者達が俺に施したアーマーがこの時代に存在しない物体で形成されていたからだ。ちなみに、これが俺の装着していたアーマーだ。」
そう言いながら、斉藤はまた壁に透写した。
あぁ、土偶だ。デザインはまんま土偶だ。そこ改良しなかったんだ。
「で、お前の任務って何なの?」
「この星に到着した入植者たちは、ホモサピエンスが誕生する前に急激な地球の環境の変化に耐え切れず滅んでしまったが、彼らの残した俺たちAIとマザーシステムだけはそのまま残ってしまい、その結果、あらゆるAIとマザーにより生み出された副産物が、神格化されたのだ。」
「ごめん、話について行けない。」
「徐々に入植者により持ち込まれた、マザーも老朽化が進み、次々と停止したのだが、唯一残ったのが、あの桜の木の下にあるマザーだ。」
マジか。桜の木の下、そんなことになってたんかい。
「このマザーも、いつ停止するかわからない。そこで、俺たちは、ホモサピエンスの未来に転送され、マザーに代わるシステムが作れないかどうかを調べに来たということだ。」
「なぜ、マザーが必要なんだ?」
「俺たちは、このマザーからエネルギーを得なければ生きて行けない。この時代にもマザーエネルギーに代わるものは残念ながら無かった。だが、マザー自身がそのエネルギーを自生することができる。そのマザーの維持のためにも、そして、マザー確保のためにも、この時代の情報が必要になってくるのだ。」
「なんだか、わからんが、この時代はまだお前が思うほど進んでいないかと思う。」
「いや、わからんぞ。まだ俺の調査は始まったばかりだ。ということで、世話になる。」
「いや、何でそうなるか、まったくわからん。」
下から母ちゃんの呼ぶ声がした。
「大輔~、斉藤くーん、ごはんよ~。下りてらっしゃい。」
「はーい。」
「ってか、何返事してんだよ、お前。エネルギーはマザーからしか得られないんじゃなかったのか?」
「俺は最終バージョンなので、味覚はあるんだ。エネルギーにはならないが、お前んちの飯には興味がある。」
本当に、どこまで話を信じていいんだろう、こいつ。
測り知れない。
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