48 / 137
随筆十二:人は何の為に生きてるの?
しおりを挟む七夏「えっと・・・」
心桜「ん? どしたの? つっちゃー?」
笹夜「七夏ちゃん、悩み事かしら?」
七夏「その・・・これなのですけど」
心桜「あ! お手紙!?」
笹夜「なんて書いてあったのかしら?」
心桜「ちょっと、見せて!」
七夏「はい」
心桜「えー、なになに・・・『ペンネーム、リンスーハットさん』 つっちゃーもしかしてリンスーハットが分からないとか?」
七夏「え!? それは、お名前ですよね」
心桜「そうだけど、ここが引っかかってるわけでは無いって事か」
笹夜「シャンプーハットならありますよね?」
心桜「あー、居るねーそういう人が!」
笹夜「人!?」
心桜「え!?」
笹夜「お家にもあったような・・・まだあるかしら?」
心桜「お家!?」
七夏「ここちゃー、頭を洗う時の・・・」
心桜「! あーそっちかー! んで、リンスーハットは、シャンプーに非対応だから、頭を洗う時は、シャンプーハットからリンスーハットに被り直さないと! 面倒だね!」
笹夜「そうかしら?」
心桜「流石、髪のお手入れを面倒がらない! 笹夜先輩!」
笹夜「そうではなくて、私はシャンプーハットを使う必要はありませんでしたので」
心桜「え!? んじゃ、なんでお家にあるんですか?」
笹夜「どおしてかしら?」
心桜「相変わらず、謎が多いねー。でも、あたしも何でこれがあるんだろ? って思う時あるからね。その時はいいなって思って買ったんだろうけどね」
七夏「ここちゃー、買う前によく考えないと」
心桜「あはは! そだね! で、ちょっと脱線したけど、お手紙の続き、読むね!『こんにちは! 人って何の為に生きていると思いますか?』・・・え!? これだけ?」
七夏「人は何の為に生きているのか・・・難しいです」
心桜「え!? 別に難しくないよ?」
笹夜「まあ! 心桜さん! 頼もしいです♪」
心桜「難しく考えるから、難しくなってくるんだよ」
笹夜「では、人は何の為に生きてるのかしら?」
心桜「死ぬのが怖いから!」
七夏&笹夜「・・・・・」
心桜「ん? 何? この間!?」
七夏「た、確かにそうかも知れません」
笹夜「こ、心桜さんらしいですけど」
心桜「違ってる?」
七夏「いえ、そんな事は・・・」
笹夜「でも、人は何の為に生きているのか・・・こんな事を考えれるのは、高度な考え方だと思います」
心桜「え? 高度な考え方?」
笹夜「ええ。他の生き物は、何の為に生きているのかなんて、考えていない可能性の方が高いです。ですので深い心を持った人間らしい考え方です」
七夏「なるほど」
笹夜「何の為に生きているのかを考えるときは、心が傷ついていたり、生きる価値を見出せない時が多いようですね」
心桜「だったら、何の為に生きるのか、その答えを見つける為に行き続けなくちゃね!」
笹夜「まあ!」
七夏「ここちゃー! 凄いです☆」
笹夜「そうですね♪ 素敵な考え方です!」
心桜「いやいや、だから、そんなに難しく考える必要ないんだってば!!」
七夏「くすっ☆」
笹夜「人は未来の事を考えられますから」
心桜「未来ですか?」
笹夜「はい。他の生き物と違うところです♪」
心桜「どういう事ですか?」
笹夜「例えば、動物の作る道具。この道具は、目的を果たすと、殆ど再利用はされません。でも、人は先の事を考えて、作った道具を手元に残します」
心桜「なるほど・・・後先の事を考えて・・・ん? じゃあ、蟻もそうならない?」
笹夜「え?」
心桜「だってさ、後の事を考えて、食料蓄えてるよね! 割とキリギリスでもそういうお話なかった?」
七夏「ここちゃー『蟻さん』」
心桜「マークの・・・じゃなくて『アリトキリギリス』」
笹夜「それは、後先の事を考えているのではなく、本能らしいです」
心桜「え? 本能!?」
笹夜「教わらなくても、生まれつき持っている性質の事かしら?」
心桜「それは分かるんですけど・・・あれ、本能なんですか?」
笹夜「蟻の行動を見て、人が後先の事を考えていると勝手に解釈しているだけです」
心桜「思い込みってやつですか?」
笹夜「はい。そうなりますね」
心桜「なんで先の事を考えないんだろうね?」
笹夜「なんでって言われても・・・でも、それがバランスを保っていると言えます」
心桜「バランス?」
笹夜「ええ。例えば、肉食動物のライオンは、おなかがいっぱいの時は獲物を襲いません。もし、ライオンが未来の事を考えれたとすると・・・」
心桜「乱獲になる」
笹夜「はい。未来を考えるという事は、欲張りになるとも言えます。他にも、リスが木の実を地面に埋めたりするのも本能的な行動かしら?」
心桜「なるほどねー」
笹夜「本能ではなく、先の事を考えて自分の身を守る事は、人の心の特徴なのです」
七夏「自分の身・・・ですか?」
笹夜「先の事を考えて色々と心配をする事・・・心配性がその代表かしら?」
心桜「ああー・・・」
七夏「どしたの? ここちゃー」
心桜「あたし、苦手だ。心配性過ぎるヤツ!」
笹夜「どおしてかしら?」
心桜「だってさ、あれって周りに多大なストレスを与えてるよね」
笹夜「確かに、その傾向はあるかも知れません」
心桜「そんなに心配なら、全部自分でなんとかしろ!」
笹夜「心配事の内容によりますけど」
心桜「例えばさ、出掛けた後に『鍵かけたっけ?』って思った事ない?」
七夏「あります」
心桜「そんな時、あたしは心配するくらいなら、戻ってもう一度確認する!」
七夏「戻っている時間が無い時は?」
心桜「その時は、鍵と予定との優先度を考えて、どっちにするか決める! 鍵が開いてたとしても、よほどの事が無い限りなんともないよ」
七夏「・・・だといいのですけど」
心桜「ま、なんかあった時は自己責任だけど」
笹夜「まあ、そうならないように、出掛ける前にしっかりと確認したいですね♪」
心桜「だねっ! んで、確認する為に家に戻ると、大抵鍵閉まってるんだよね!」
七夏「鍵を閉めた後に、指差し確認するといいかもです☆」
心桜「指差し確認!?」
七夏「はい☆ お父さん、よく指差し確認してます☆」
心桜「なるほど! 流石車掌さん!『鍵よーし!』今度からやってみよっと!」
七夏「くすっ☆」
心桜「んで、『人は何の為に生きているか?』なんですけど」
笹夜「既に結論は出ています♪」
七夏「え!?」
笹夜「自分の未来の為です♪ 心桜さんも、そう話されてます♪」
心桜「あたしは『死ぬのが怖いから!』って言っただけだよ!」
笹夜「同じ事です♪」
心桜「言い方ってヤツか・・・」
七夏「くすっ☆」
笹夜「大きな失敗をしてしまったりした時に『何の為に生きているの?』と、考えてしまう事もありますね」
心桜「ま、失敗の無い人生こそ失敗だと思うから、あんまり気にしない方がいいよ」
七夏「はい☆」
心桜「でもさ、今回のお手紙、一言だけさらっと書いてくる。そんなドライな所、妙に好感が持てるよ!」
笹夜「心桜さんは、とてもさっぱりとお考えですね♪」
心桜「今を楽しく生きる事! それでいいよねっ!」
七夏「えっと、リンスーハットさん☆ ここちゃーみたいに楽しくなる事を、沢山考えてみてくださいね☆ お便り、ありがとうございました☆」
心桜「つっちゃー、急にたたみかけたねー」
七夏「そうかな?」
笹夜「七夏ちゃんも、しっかりしている所がありますから♪」
心桜「確かに、今回だらだらと話してるだけって、随筆だから別にいいって事だよね!?」
七夏「くすっ☆」
随筆十二 完
------------
随筆十二をお読みくださり、ありがとうございました!
本編の方も、どうぞよろしくお願い申しあげます!
0
お気に入りに追加
2
あなたにおすすめの小説
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
チェイス★ザ★フェイス!
松穂
ライト文芸
他人の顔を瞬間的に記憶できる能力を持つ陽乃子。ある日、彼女が偶然ぶつかったのは派手な夜のお仕事系男女。そのまま記憶の奥にしまわれるはずだった思いがけないこの出会いは、陽乃子の人生を大きく軌道転換させることとなり――……騒がしくて自由奔放、風変わりで自分勝手な仲間たちが営む探偵事務所で、陽乃子が得るものは何か。陽乃子が捜し求める “顔” は、どこにあるのか。
※この作品は完全なフィクションです。
※他サイトにも掲載しております。
※第1部、完結いたしました。
イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?
すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。
「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」
家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。
「私は母親じゃない・・・!」
そう言って家を飛び出した。
夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。
「何があった?送ってく。」
それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。
「俺と・・・結婚してほしい。」
「!?」
突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。
かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。
そんな彼に、私は想いを返したい。
「俺に・・・全てを見せて。」
苦手意識の強かった『営み』。
彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。
「いあぁぁぁっ・・!!」
「感じやすいんだな・・・。」
※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。
※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。
※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。
※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。
それではお楽しみください。すずなり。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
希望が丘駅前商店街~黒猫のスキャット~
白い黒猫
ライト文芸
ここは東京郊外松平市にある希望が丘駅前商店街、通称【ゆうYOU ミラーじゅ希望ヶ丘】。
国会議員の重光幸太郎先生の膝元であるこの土地にある商店街はパワフルで個性的な人が多く明るく元気な街。
その商店街にあるJazzBar『黒猫』にバイトすることになった小野大輔。優しいマスターとママ、シッカリしたマネージャーのいる職場は楽しく快適。しかし……何か色々不思議な場所だった。~透明人間の憂鬱~と同じ店が舞台のお話です。
※ 鏡野ゆうさんの『政治家の嫁は秘書様』に出てくる商店街が物語を飛び出し、仲良し作家さんの活動スポットとなってしまいました。その為に商店街には他の作家さんが書かれたキャラクターが生活しており、この物語においても様々な形で登場しています。鏡野ゆうさん及び、登場する作家さんの許可を得て創作させて頂いております。
コラボ作品はコチラとなっております。
【政治家の嫁は秘書様】
https://www.alphapolis.co.jp/novel/210140744/354151981
【希望が丘駅前商店街 in 『居酒屋とうてつ』とその周辺の人々 】
https://www.alphapolis.co.jp/novel/274274583/188152339
【日々是好日、希望が丘駅前商店街-神神飯店エソ、オソオセヨ(にいらっしゃいませ)】
https://www.alphapolis.co.jp/novel/177101198/505152232
【希望が丘駅前商店街~看板娘は招き猫?喫茶トムトム元気に開店中~】
https://ncode.syosetu.com/n7423cb/
【希望が丘駅前商店街 ―姉さん。篠宮酒店は、今日も平常運転です。―】
https://www.alphapolis.co.jp/novel/172101828/491152376
【Blue Mallowへようこそ~希望が丘駅前商店街】
https://www.alphapolis.co.jp/novel/265100205/427152271
【希望が丘駅前商店街~透明人間の憂鬱~】
https://www.alphapolis.co.jp/novel/265100205/427152271
【希望が丘駅前商店街~黒猫のスキャット~】
https://www.alphapolis.co.jp/novel/265100205/813152283
ヤクザに医官はおりません
ユーリ(佐伯瑠璃)
ライト文芸
彼は私の知らない組織の人間でした
会社の飲み会の隣の席のグループが怪しい。
シャバだの、残弾なしだの、会話が物騒すぎる。刈り上げ、角刈り、丸刈り、眉毛シャキーン。
無駄にムキムキした体に、堅い言葉遣い。
反社会組織の集まりか!
ヤ◯ザに見初められたら逃げられない?
勘違いから始まる異文化交流のお話です。
※もちろんフィクションです。
小説家になろう、カクヨムに投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる