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ラインハルト様と僕は、朝早くに登校して生徒会の仕事をすることが多い。
魔法学校などの上級学校は、主に十八歳から二十歳までの三年間の教育課程になっている。上級学校とされるものには、主に貴族が通うシュテルン王立学院と、主に平民が通うシュテルン国民学校がある。義務教育は六歳から十五歳になるまでの九年間となり、初級学校に通うか、家庭教師からの教育を受けるかを選択できる。その後、三年間中級学校に通うか働くかは家庭の状況によって変わる。
僕たち高位貴族のほとんどは、義務教育と中級学校の課程については家庭教師からの教育を受けている。そして、上級学校での一般教養については学校に入学するまでに学習を終えている。その場合、国家資格を持った家庭教師から教育を受け、単位を取得した証明を出すことで、授業を免除される。もちろん、単位を取っていても試験は受けねばならず、一定水準に達していなければ追試があるのだけれど。他の生徒会メンバーも全員一般教養の単位取得をしているので、必要に応じてその授業の時間に生徒会の業務を行っている。
しかし、ラインハルト様と僕は、王族としての執務や王子の伴侶としての教育を受ける時間も必要なため、早朝の時間を生徒会の業務にあてている。
「ラインハルト殿下、おはようございます。ご機嫌麗しゅう」
「ラファエル、おはよう。今日も美しいね」
ラインハルト様はそんな言葉を口にされて、僕を抱き寄せて額にキスをしてくださる。ラインハルト様はお優しい。
それなのに、一年後には婚約破棄を言い渡される可能性があるのだ。
僕が何もしなければ、物語の通りに物事は進んで、僕は断罪されるのだろうと思う。
でも、それがラインハルト様のご希望であれば、それを叶えなければならない。よし、頑張ろう。
僕はそう決意をしながら、ラインハルト様の頬にキスを返した。
「何か考えなければならないことでもあるのかい?」
「いえ、そのような……」
「ふふ、ラファエルは、わたしに愛されることだけを考えていれば良いのだよ」
そうおっしゃったラインハルト様は、僕の頬にキスをしてくださった。
無表情に徹しているはずなのであるけれど、ラインハルト殿下には感情を読まれてしまうことが多い。気を付けなければならない。
生徒会室に行くと、アルブレヒト様が鍵を開けようとしていらっしゃるところだった。
「おはよう、アルブレヒト」
「おはようございます。ラインハルト殿下、ラファエル様」
「おはようございます。アルブレヒト様」
僕の記憶では、物語の神子はラインハルト様の側近とも親密になる。ラインハルト様の側近は三人いらっしゃる。
クロゲライテ公爵令息アルブレヒト・フォン・ダールベルグ様も、そのうちのお一人だ。外務大臣クロゲライテ公爵のご嫡男で、黒髪で琥珀色の瞳の端正な容貌の方だ。
生徒会副会長をなさっておられるが、御父上との関係で外務のお仕事にも携わっておられるため、僕たちと同様、早朝に生徒会の業務をされることが多い。
「新入生歓迎会のプログラムをまとめてしまおうと思いまして」
アルブレヒト様はそう言うと、書類を机に広げて仕事に取り組みだした。
ラインハルト様と僕も、書類の処理を始める。僕には生徒会長補佐という役目が与えられているが、これは多忙な王族が生徒会長であったときにのみ、設置される立場となる。
「おはようございます。遅れて申し訳ありません」
大きな声であいさつをしながら、一足遅れて到着されたのは、騎士団長フェストン伯爵のご三男マルティン・フォン・アイヒベルガー様だ。彼も、側近の一人に数えられる。
マルティン様は、ラインハルト様の護衛が主な役割だ。もちろん、ラインハルト様は、王宮からの護衛も複数名伴っていらっしゃるが、学校にいる間はすぐそばで護衛されているのがマルティン様だ。薄茶色の髪に灰青色の瞳で精悍な顔立ちをしたマルティン様は、背が高く、筋肉もしっかりとついた体つきで、いかにも武芸に長けた様子の人物である。
「マルティン、遅いということはない。朝の鍛錬があったのに、早くに来てくれたのだからね」
「いえ、ラインハルト殿下を御守りするのが俺の勤めですから」
そう言ってにこりと笑うマルティン様は、とても可愛らしい。どちらかといえば、アルブレヒト様や僕は無表情だといわれるが、マルティン様はその逆で、貴族にしては感情がお顔に出るタイプだ。
ラインハルト様に関しては、すべての感情を抑えながら、場にふさわしい表情をおつくりになる。そこは、さすが王族というところだろう。
僕もそれがうまくできれば、氷の貴公子などと言われずにすむのだけれど、王妃様からは感情を完全になくした表情を求められているのだから仕方ない。
側近といえばもう一人いらっしゃる。サウベラ伯爵令息ディートフリート・フォン・ファーレンハイト様。魔術師団長サウベラ伯爵のご次男で、白い髪に赤い瞳の神秘的な方だ。生徒会では会計をしてくださっている。今日は、生徒会室には来ていらっしゃらない。
アルブレヒト様とマルティン様、ディートフリート様のお三人がラインハルト様の側近になる。いずれの方も物語では、神子となったシモンと親密な関係を築いていたはずだ。どの程度の仲になるかまでは思い出せないが、どうなるのであろうか。
そんなことを考えながらも、僕は手を動かして、書類を裁いていった。
「そろそろ、教室へ行く時刻でございます」
仕事に夢中になっていると、マルティン様が声をかけてくださる。僕たちは机の上を片付けて、生徒会室の外に出た。
「あのっ! 昨日はぶつかってしまって、すみませんでした!」
僕たちが生徒会室から出た途端、叫ぶような甲高い声が聞こえた。
どうやら待ち伏せをしていたらしい、レヒナー男爵令息がピンクブロンドの髪をふわふわと揺らしながら、更に、エメラルドのような瞳をきらきらさせながら、こちらに向かってくる。昨日同様、誰かに激突するのではないかと思わせる勢いだ。
そしてやはり、主人公は可愛い。
「ああ、昨日の新入生か」
「はいっ!」
マルティン様が、レヒナー男爵令息……シモンの方を見て声をかけた。本来であれば、男爵家のシモンから伯爵家のマルティン様に声をかけることは無礼であるが、平等を謳う校内では許されている。
ただし、ラインハルト様に関しては暗黙の了解のもと、自分から声をかける者はいない。
「ラファエル、先に教室に向かおうか」
「はい、ラインハルト殿下」
マルティン様がシモンの相手をしている間に、ラインハルト様は僕の手を引いてその場から離れるべく歩き始め、その後ろにアルブレヒト様も続いた。シモンの目線が僕たちを追っているが、ここは悪役令息として無視を決めなければならない。
「今も、廊下を走っているように見えた。気を付けるようにな。では」
「はっはいっ! 気を付けます! ありがとうございます!」
マルティン様は、シモンにやさしく声をかけて僕たちの後に続いた。
「ラインハルトが僕に一目ぼれして声をかけるはずなのに……どうして……」
シモンが何かをつぶやいているようだったが、内容までは僕たちには聞こえなかった。
魔法学校などの上級学校は、主に十八歳から二十歳までの三年間の教育課程になっている。上級学校とされるものには、主に貴族が通うシュテルン王立学院と、主に平民が通うシュテルン国民学校がある。義務教育は六歳から十五歳になるまでの九年間となり、初級学校に通うか、家庭教師からの教育を受けるかを選択できる。その後、三年間中級学校に通うか働くかは家庭の状況によって変わる。
僕たち高位貴族のほとんどは、義務教育と中級学校の課程については家庭教師からの教育を受けている。そして、上級学校での一般教養については学校に入学するまでに学習を終えている。その場合、国家資格を持った家庭教師から教育を受け、単位を取得した証明を出すことで、授業を免除される。もちろん、単位を取っていても試験は受けねばならず、一定水準に達していなければ追試があるのだけれど。他の生徒会メンバーも全員一般教養の単位取得をしているので、必要に応じてその授業の時間に生徒会の業務を行っている。
しかし、ラインハルト様と僕は、王族としての執務や王子の伴侶としての教育を受ける時間も必要なため、早朝の時間を生徒会の業務にあてている。
「ラインハルト殿下、おはようございます。ご機嫌麗しゅう」
「ラファエル、おはよう。今日も美しいね」
ラインハルト様はそんな言葉を口にされて、僕を抱き寄せて額にキスをしてくださる。ラインハルト様はお優しい。
それなのに、一年後には婚約破棄を言い渡される可能性があるのだ。
僕が何もしなければ、物語の通りに物事は進んで、僕は断罪されるのだろうと思う。
でも、それがラインハルト様のご希望であれば、それを叶えなければならない。よし、頑張ろう。
僕はそう決意をしながら、ラインハルト様の頬にキスを返した。
「何か考えなければならないことでもあるのかい?」
「いえ、そのような……」
「ふふ、ラファエルは、わたしに愛されることだけを考えていれば良いのだよ」
そうおっしゃったラインハルト様は、僕の頬にキスをしてくださった。
無表情に徹しているはずなのであるけれど、ラインハルト殿下には感情を読まれてしまうことが多い。気を付けなければならない。
生徒会室に行くと、アルブレヒト様が鍵を開けようとしていらっしゃるところだった。
「おはよう、アルブレヒト」
「おはようございます。ラインハルト殿下、ラファエル様」
「おはようございます。アルブレヒト様」
僕の記憶では、物語の神子はラインハルト様の側近とも親密になる。ラインハルト様の側近は三人いらっしゃる。
クロゲライテ公爵令息アルブレヒト・フォン・ダールベルグ様も、そのうちのお一人だ。外務大臣クロゲライテ公爵のご嫡男で、黒髪で琥珀色の瞳の端正な容貌の方だ。
生徒会副会長をなさっておられるが、御父上との関係で外務のお仕事にも携わっておられるため、僕たちと同様、早朝に生徒会の業務をされることが多い。
「新入生歓迎会のプログラムをまとめてしまおうと思いまして」
アルブレヒト様はそう言うと、書類を机に広げて仕事に取り組みだした。
ラインハルト様と僕も、書類の処理を始める。僕には生徒会長補佐という役目が与えられているが、これは多忙な王族が生徒会長であったときにのみ、設置される立場となる。
「おはようございます。遅れて申し訳ありません」
大きな声であいさつをしながら、一足遅れて到着されたのは、騎士団長フェストン伯爵のご三男マルティン・フォン・アイヒベルガー様だ。彼も、側近の一人に数えられる。
マルティン様は、ラインハルト様の護衛が主な役割だ。もちろん、ラインハルト様は、王宮からの護衛も複数名伴っていらっしゃるが、学校にいる間はすぐそばで護衛されているのがマルティン様だ。薄茶色の髪に灰青色の瞳で精悍な顔立ちをしたマルティン様は、背が高く、筋肉もしっかりとついた体つきで、いかにも武芸に長けた様子の人物である。
「マルティン、遅いということはない。朝の鍛錬があったのに、早くに来てくれたのだからね」
「いえ、ラインハルト殿下を御守りするのが俺の勤めですから」
そう言ってにこりと笑うマルティン様は、とても可愛らしい。どちらかといえば、アルブレヒト様や僕は無表情だといわれるが、マルティン様はその逆で、貴族にしては感情がお顔に出るタイプだ。
ラインハルト様に関しては、すべての感情を抑えながら、場にふさわしい表情をおつくりになる。そこは、さすが王族というところだろう。
僕もそれがうまくできれば、氷の貴公子などと言われずにすむのだけれど、王妃様からは感情を完全になくした表情を求められているのだから仕方ない。
側近といえばもう一人いらっしゃる。サウベラ伯爵令息ディートフリート・フォン・ファーレンハイト様。魔術師団長サウベラ伯爵のご次男で、白い髪に赤い瞳の神秘的な方だ。生徒会では会計をしてくださっている。今日は、生徒会室には来ていらっしゃらない。
アルブレヒト様とマルティン様、ディートフリート様のお三人がラインハルト様の側近になる。いずれの方も物語では、神子となったシモンと親密な関係を築いていたはずだ。どの程度の仲になるかまでは思い出せないが、どうなるのであろうか。
そんなことを考えながらも、僕は手を動かして、書類を裁いていった。
「そろそろ、教室へ行く時刻でございます」
仕事に夢中になっていると、マルティン様が声をかけてくださる。僕たちは机の上を片付けて、生徒会室の外に出た。
「あのっ! 昨日はぶつかってしまって、すみませんでした!」
僕たちが生徒会室から出た途端、叫ぶような甲高い声が聞こえた。
どうやら待ち伏せをしていたらしい、レヒナー男爵令息がピンクブロンドの髪をふわふわと揺らしながら、更に、エメラルドのような瞳をきらきらさせながら、こちらに向かってくる。昨日同様、誰かに激突するのではないかと思わせる勢いだ。
そしてやはり、主人公は可愛い。
「ああ、昨日の新入生か」
「はいっ!」
マルティン様が、レヒナー男爵令息……シモンの方を見て声をかけた。本来であれば、男爵家のシモンから伯爵家のマルティン様に声をかけることは無礼であるが、平等を謳う校内では許されている。
ただし、ラインハルト様に関しては暗黙の了解のもと、自分から声をかける者はいない。
「ラファエル、先に教室に向かおうか」
「はい、ラインハルト殿下」
マルティン様がシモンの相手をしている間に、ラインハルト様は僕の手を引いてその場から離れるべく歩き始め、その後ろにアルブレヒト様も続いた。シモンの目線が僕たちを追っているが、ここは悪役令息として無視を決めなければならない。
「今も、廊下を走っているように見えた。気を付けるようにな。では」
「はっはいっ! 気を付けます! ありがとうございます!」
マルティン様は、シモンにやさしく声をかけて僕たちの後に続いた。
「ラインハルトが僕に一目ぼれして声をかけるはずなのに……どうして……」
シモンが何かをつぶやいているようだったが、内容までは僕たちには聞こえなかった。
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