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第二十四話
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「・・・それに私がエリザとイサリア、二人の共通の友人となって彼女達の喧嘩をどれだけ煽っていたと思っているの?私はね最初イサリアと仲良くなってから、その後にエリザの取り巻きになったのよ。元々エリザとは同期だから、何も不自然なことではないしね。心配だったのは、その後イサリアが心を閉ざしたように親しい友達を作らなくなったことだけど、あなたと昇格試験を受けてくれたからほっとしているわ。何しろこの二人を同時に罠に嵌める機会はこの試験中にしかないからね。・・・あなたもイサリアの性格は知っているでしょう。この子は魔術士としては優秀だけど、常識に外れたところがある。禁じられた魔法を独学で覚えたりするほどね。そんなイサリアが、ライバルの家柄で個人的にも恨みを持っているエリザを生贄に魔法儀式を行う。ありえそうじゃない?何しろ昇格試験は稀とは言え、死者が出ることもある。絶好の機会よね!そしてこれが、事実として発覚すればリゼート家とバルゲン家の対立はこれまでの比ではなくなるでしょうね!」
「・・・イサリアとエリザはああ見えて、お互いを認め合っていた。それにイサリアは少し・・・いやかなり傲慢なところはあるが、頭がおかしいわけじゃない。少し無理があるんじゃないか?」
「それを知っているのは・・・当の本人達を除くと私とあなたくらいでしょうね。周りから見たらいつも喧嘩ばかりしている犬猿の二人だわ。そして、イサリアは高度な魔法儀式の失敗で命を落とし・・・遺体で発見される。二人の友人だった私の証言だけでも充分だけど、証言者が増えればより信憑性が増すでしょう・・・ここで人生を終えるのも、未来の皇族の覚えを良くして栄達を選ぶのもあなたの自由よ。さあ、選んで頂戴!」
「・・・まじかよ・・・」
反論を試みたヒロキではあったが、最後に活き活きと選択を突きつけるクロリスの言葉に彼は吐き気を感じていた。これほどまで用意周到で卑劣な思惑が潜んでいると思わなかったからだ。
それと同時に、なぜイサリアが頑なにミゴール昇格試験を自分の力のみで突破しようとし、異なる世界から協力者を呼び出そうとした根本的な原因を理解した。
おそらくは彼女は閉ざされた社会である学院の外に新たな出会いを求めたのだろう。凡人ならば他の手を考えるのだろうが、イサリアは魔術士として己の才能に賭けた。そしてヒロキは奇妙な運命に導かれて彼女の下に召喚されたのだ。
万能にも思えるイサリアにもそのような切ない過去があったことを知ったヒロキは、クロリスの足元に倒れる彼女に視線を送る。もちろん返事は既に決まっている。これまで認めないようにしていたが、彼は女性としてイサリアが好きだった。
これは美人に憧れる一時の迷いである可能性はあったが、彼女を犠牲にして生き延びたとしても一生悔やみ続けることになるだろう。最後に彼女の顔を目に焼き付けようとヒロキは床に視線を落とした。
「・・・!」
寸前のところでヒロキは上げそうになった声を飲み込む。気絶していると思われたイサリアが目を見開いてこちらを凝視していたからだ。クロリス側からは死角になっており、この事実に気付いているのは彼だけだ。いつから意識を取り戻していたのかは不明だが、括目させた赤い瞳が『やっと気付いたか!』と語っているように見えた。
「・・・わかった。クロリス、君に協力する。勝ち馬に乗れる機会を逃すのは愚かだしな」
一瞬前までどこにもなかった考えだが、ヒロキはイサリアの意図を見抜くとその言葉を口にする。彼女はクロリスの隙を突いて反撃の機会を狙っているのだ。
視線を下に集中しないように細心の注意を持ってイサリアに目を向けると『それで良い!』とばかりに軽い笑みを浮かべていた。裏切ったフリをして時間稼ぎを続けるのは正解のようだ。
「あら・・・意外ね。ダメ元で誘って見たのだけど、ヒロキ君も見た目どおりの性格じゃなかったってところかしら?」
「・・・誰でもある程度は猫を被っているものだろう。正直、イサリアにはずっと振り回されていたんだ。美人で家のこともあって我慢をしていたが、いつかそのツケを返してもらおうと思っていた。まさかこんなに早くやってくるとは思わなかったけどな」
クロリスの問いヒロキは目いっぱい嫌な奴をイメージして調子を合わせる。ある程度の本音を含ませることで棒読みになるのを防いだ。イサリアは相変わらず含みのある視線をヒロキに送っているが、今回は読み取れなかった。
「なんなら、ここで返してもらったらどう?・・・そうよ!ヒロキ君、この場でイサリアを好きしていわよ!そうしたら、仲間として認めてあげるわ。イサリアも死ぬ前に思い出が出来て良いのではないかしら!ふふふ」
「・・・そ、そうだな。でも寝ているんじゃつまらないな。どうせなら、イサリアが泣いて抵抗するところが見たかったな!」
「残念だけど〝眠り〟を使ったから数時間は起きないわ。しかし・・・どう反応するか見極めるためのはったりだったのだけど・・・ヒロキ・・・・あんた、本性はクズなのね。・・・まあ、いいけどさ・・・」
「・・・男なんてこんなもんさ!」
敵のクロリスに呆れられながらもヒロキはイサリアに近づく。敵にクズ呼ばわりされて泣きたい気分ではあったが、イサリアに違和感なく近づくにはこの手しかないと自分に言い聞かせてクズ男を演じ切った。
そして無抵抗のイサリアを見下ろすように立つと背負い袋を肩から降ろす。これから〝それ〟をやろうとするのであれば邪魔になる。極めて自然な動きだった。
「今だ!ヒロキ!」
イサリアの合図にヒロキは背負い袋を前面に押しやってクロリスに飛び掛かる。言葉を交わした段取りではなかったが、彼はこれこそがイサリアが求める行動だと確信する。
クロリスが何かしらの魔法を使うとしても、まずは襲い掛かるヒロキに対処しなくてはならない。最初の攻撃を自分が受けさえすれば、イサリアがなんとかしてくれる。ヒロキはそう信じるままに身体を動かした。
「おのれ!メ・・・ケレ・・・」
怒りの声を上げながらも間髪を入れずにクロリスは呪文の詠唱を開始する。彼女も完全にヒロキを信用していたわけではないのだろう。その動きは洗練され迷いがなかった。たちまち、ヒロキとクロリスの間に光の矢が出現する。
「・・・リセ!」
クロリスの命令とともに光の矢、魔法によって作られた〝魔弾〟がヒロキに襲い掛かる。だが、彼は臆することなく〝魔弾〟を無視して突っ込む。それは客観的に見ても有効な戦術と言えた。〝魔弾〟に物理的な回避行動は無意味だからだ。もっとも、ヒロキの頭にあるのは自らがイサリアの盾になることと、クロリスに一矢報いたいという二つの欲求だけだった。
「うおぉぉ!!」
気付かずに吠えていた自分の雄叫びに驚くと同時に、ヒロキは胸にこみ上げる強烈な熱さに悲鳴を上げた。そして、背負い袋を突き通して身体に突き刺さっている光の矢〝魔弾〟に気付くと、全身の力が抜けるのを感じる。
熱さだと思っていた感覚が鋭い激痛であると知ったからだ。身体がクロリスに向かって抱き付くように倒れる寸前に右手から何かが落ちた。それは杖状になった蛇のブロンズ像だ。どうやら自分は無意識のうちに背負い袋からそれを抜いてクロリスを殴っていたようだった。
薄れゆく意識の中でヒロキは自分が一矢報いたことを知ると満足して目を閉じる。イサリアの声が遠くから聞こえたような気がしたが、それに答えることはもう出来なかった
「・・・イサリアとエリザはああ見えて、お互いを認め合っていた。それにイサリアは少し・・・いやかなり傲慢なところはあるが、頭がおかしいわけじゃない。少し無理があるんじゃないか?」
「それを知っているのは・・・当の本人達を除くと私とあなたくらいでしょうね。周りから見たらいつも喧嘩ばかりしている犬猿の二人だわ。そして、イサリアは高度な魔法儀式の失敗で命を落とし・・・遺体で発見される。二人の友人だった私の証言だけでも充分だけど、証言者が増えればより信憑性が増すでしょう・・・ここで人生を終えるのも、未来の皇族の覚えを良くして栄達を選ぶのもあなたの自由よ。さあ、選んで頂戴!」
「・・・まじかよ・・・」
反論を試みたヒロキではあったが、最後に活き活きと選択を突きつけるクロリスの言葉に彼は吐き気を感じていた。これほどまで用意周到で卑劣な思惑が潜んでいると思わなかったからだ。
それと同時に、なぜイサリアが頑なにミゴール昇格試験を自分の力のみで突破しようとし、異なる世界から協力者を呼び出そうとした根本的な原因を理解した。
おそらくは彼女は閉ざされた社会である学院の外に新たな出会いを求めたのだろう。凡人ならば他の手を考えるのだろうが、イサリアは魔術士として己の才能に賭けた。そしてヒロキは奇妙な運命に導かれて彼女の下に召喚されたのだ。
万能にも思えるイサリアにもそのような切ない過去があったことを知ったヒロキは、クロリスの足元に倒れる彼女に視線を送る。もちろん返事は既に決まっている。これまで認めないようにしていたが、彼は女性としてイサリアが好きだった。
これは美人に憧れる一時の迷いである可能性はあったが、彼女を犠牲にして生き延びたとしても一生悔やみ続けることになるだろう。最後に彼女の顔を目に焼き付けようとヒロキは床に視線を落とした。
「・・・!」
寸前のところでヒロキは上げそうになった声を飲み込む。気絶していると思われたイサリアが目を見開いてこちらを凝視していたからだ。クロリス側からは死角になっており、この事実に気付いているのは彼だけだ。いつから意識を取り戻していたのかは不明だが、括目させた赤い瞳が『やっと気付いたか!』と語っているように見えた。
「・・・わかった。クロリス、君に協力する。勝ち馬に乗れる機会を逃すのは愚かだしな」
一瞬前までどこにもなかった考えだが、ヒロキはイサリアの意図を見抜くとその言葉を口にする。彼女はクロリスの隙を突いて反撃の機会を狙っているのだ。
視線を下に集中しないように細心の注意を持ってイサリアに目を向けると『それで良い!』とばかりに軽い笑みを浮かべていた。裏切ったフリをして時間稼ぎを続けるのは正解のようだ。
「あら・・・意外ね。ダメ元で誘って見たのだけど、ヒロキ君も見た目どおりの性格じゃなかったってところかしら?」
「・・・誰でもある程度は猫を被っているものだろう。正直、イサリアにはずっと振り回されていたんだ。美人で家のこともあって我慢をしていたが、いつかそのツケを返してもらおうと思っていた。まさかこんなに早くやってくるとは思わなかったけどな」
クロリスの問いヒロキは目いっぱい嫌な奴をイメージして調子を合わせる。ある程度の本音を含ませることで棒読みになるのを防いだ。イサリアは相変わらず含みのある視線をヒロキに送っているが、今回は読み取れなかった。
「なんなら、ここで返してもらったらどう?・・・そうよ!ヒロキ君、この場でイサリアを好きしていわよ!そうしたら、仲間として認めてあげるわ。イサリアも死ぬ前に思い出が出来て良いのではないかしら!ふふふ」
「・・・そ、そうだな。でも寝ているんじゃつまらないな。どうせなら、イサリアが泣いて抵抗するところが見たかったな!」
「残念だけど〝眠り〟を使ったから数時間は起きないわ。しかし・・・どう反応するか見極めるためのはったりだったのだけど・・・ヒロキ・・・・あんた、本性はクズなのね。・・・まあ、いいけどさ・・・」
「・・・男なんてこんなもんさ!」
敵のクロリスに呆れられながらもヒロキはイサリアに近づく。敵にクズ呼ばわりされて泣きたい気分ではあったが、イサリアに違和感なく近づくにはこの手しかないと自分に言い聞かせてクズ男を演じ切った。
そして無抵抗のイサリアを見下ろすように立つと背負い袋を肩から降ろす。これから〝それ〟をやろうとするのであれば邪魔になる。極めて自然な動きだった。
「今だ!ヒロキ!」
イサリアの合図にヒロキは背負い袋を前面に押しやってクロリスに飛び掛かる。言葉を交わした段取りではなかったが、彼はこれこそがイサリアが求める行動だと確信する。
クロリスが何かしらの魔法を使うとしても、まずは襲い掛かるヒロキに対処しなくてはならない。最初の攻撃を自分が受けさえすれば、イサリアがなんとかしてくれる。ヒロキはそう信じるままに身体を動かした。
「おのれ!メ・・・ケレ・・・」
怒りの声を上げながらも間髪を入れずにクロリスは呪文の詠唱を開始する。彼女も完全にヒロキを信用していたわけではないのだろう。その動きは洗練され迷いがなかった。たちまち、ヒロキとクロリスの間に光の矢が出現する。
「・・・リセ!」
クロリスの命令とともに光の矢、魔法によって作られた〝魔弾〟がヒロキに襲い掛かる。だが、彼は臆することなく〝魔弾〟を無視して突っ込む。それは客観的に見ても有効な戦術と言えた。〝魔弾〟に物理的な回避行動は無意味だからだ。もっとも、ヒロキの頭にあるのは自らがイサリアの盾になることと、クロリスに一矢報いたいという二つの欲求だけだった。
「うおぉぉ!!」
気付かずに吠えていた自分の雄叫びに驚くと同時に、ヒロキは胸にこみ上げる強烈な熱さに悲鳴を上げた。そして、背負い袋を突き通して身体に突き刺さっている光の矢〝魔弾〟に気付くと、全身の力が抜けるのを感じる。
熱さだと思っていた感覚が鋭い激痛であると知ったからだ。身体がクロリスに向かって抱き付くように倒れる寸前に右手から何かが落ちた。それは杖状になった蛇のブロンズ像だ。どうやら自分は無意識のうちに背負い袋からそれを抜いてクロリスを殴っていたようだった。
薄れゆく意識の中でヒロキは自分が一矢報いたことを知ると満足して目を閉じる。イサリアの声が遠くから聞こえたような気がしたが、それに答えることはもう出来なかった
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