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第二章 いにしえの巫女
第二章 第四話
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その後、グリフは日が暮れる頃まで精霊を感じられるよう精神を研ぎ澄ましていたが、水の声を聞いたと思えたのは、あの一度きりだった。
頃合いと見た彼はカーシルにそれぞれの鍛錬の終了を宣言すると、予定通りに交代で盥の水を使って身体を拭き清める。そして新しい衣服に着替えた彼らは、気分を新たにして宿の一階へと降りた。仲間のタリエラを出迎えるためである。
タリエラはローアンの街で成功したガルドの養女なので〝飛竜の涙亭〟に部屋を借りる必要はなく自宅から通って来る。冒険者となった彼女だが、依頼で街を出る時以外は実家の稼業に携わっており、グリフ達と合流するのは時間の余裕が出来る夕暮れ以降になった。今夜は夕食を摂りながら次に受ける依頼について話し合うつもりだ。
グリフはいつもの窓際のテーブルを確保すると、とりあえず麦酒を二人分注文する。それをゆっくり飲みながら、タリエラが現れるのを待つつもりである。
「いつも仲が良いことで!・・・まあ、こんな可愛い娘を一人にさせておけないか!」
麦酒を運んで来たナスラが、冷やかすようにグリフ達に声を掛ける。彼女はこの〝飛竜の涙亭〟の跡取り娘で、酒場と食堂を兼ねた一階を取り仕切っている。大体は厨房の奥にいるようだが、人手が足りない時はフロアで給仕の手伝いをしていた。
彼女は一時期、カーシルを見麗しい美少年と勘違いして気を寄せていたのだが、そのカーシルが女性と判明してからは、グリフに対して気を持つような態度を示していた。
もっとも、カーシルとの仲がこれで冷めたというわけでなく、グリフはナスラがカーシルの世話を焼いてくれているのを知っていた。宿屋の一人娘であるナスラにとっては、カーシルは姉の気分を味わえる相手なのかもしれない。
「食事は仲間が揃ってから改めて頼む」
グリフはナスラを追っ払うようにそれだけを伝える。ナスラを嫌っているわけではないが、彼女がいるとどうしても、カーシルを女性と意識させられてしまう。彼女は女と呼ぶにはまだ数年は早い。それまではグリフもカーシルを女としてではなく仲間であり、剣術の弟子として扱おうと心に決めていた。
「あらら、邪険にされちゃった。じゃ、カーシルちゃんまたね!」
「うん、また!」
ナスラはカーシルの返事に手を振って応えると厨房へと戻っていった。その様子を眺めながらグリフは気分を変えるため運ばれたばかりの麦酒に手を伸ばした。
「なるほど。そのナイム村というは、以前のレーブ村を更に奥地に進んだ位置にある村なのか・・」
タリエラと合流したグリフは、彼女が持って来た依頼を確認するように問いかけた。レーブ村とはグリフ達がタリエラと知り合うきっかけとなった、荷馬車の護衛で訪れた村の名前である。タリエラの今回の依頼とは、そのレーブ村の更に先にあるナイム村への訪問、正確には調査と偵察だった
「そうです。予定通りならば、うちの者達が三日前にはその村から戻って来ているはずなのですが、まだなんの連絡もないのです。それで父が情報を集めたのですが、ナイム村から二日ほどの距離にあるカルコムとも連絡が取れなくなっているそうなのです。そちらについては既にローアン軍が依頼者となって冒険者に調査が依頼されていると聞いています」
「・・・カルコムというと、コルシャス山脈地帯か」
タリエラの補足説明を受けてグリフは頭の中に地図を思い浮かべる。カルコムとはコルシャス山脈の麓にある鉱山街のことで、歴史的にはローアンからの開拓者が原住民のドワーフ族と共同で作り上げた街だ。
人間とドワーフ族は異種族同士ではあるが、神代の戦いではともに光の神側に立って戦ったとされ、鉱物の発掘と冶金技術を得意するドワーフ族と、商業や農耕を得意とする人間とは比較的に相性が良く、カルコムの街は大きな問題もなく発展した街となっていた。
そのカルコムから二日の距離ということはナイム村もコルシャス山脈地帯にあるか、かなり近接した場所にあるということだろう。
「ええ、その通りです。どうやら、以前ディエッタさんが指摘したことが現実になったのかもしれません。こちらは未確認ですが、コルシャス山脈地帯にある他の村の幾つかも音信不通になっているそうです。父は早くこの事件についての情報を掴むと同時に、うちの者の安否を知りたいと思っています。それで信頼できる冒険者としてグリフに頼んだというわけです!」
「そういうことか。・・・早速だが、報酬はいくらなんだ?」
グリフは納得して頷いた。裏切ったセレメ達を除くと、ガルドとグリフは唯一生き残ったかつての仲間同士である。グリフも同じようにガルドを信頼しており、胸の内は依頼を請けるつもりで固まっていたが、冒険者として報酬の話を聞く前に承諾することは出来なかった。
「この事件のなんらかの手掛かりを見つけることが出来たら、それぞれ金貨二枚と銀貨十枚、根本的解決を達成したのなら金貨十枚、それとは別にうちの者四人を無事に連れて戻ることが出来たら、一人につき金貨五枚を追加でお支払します。また、道中の費用は全てこちら持ちです」
「それは太っ腹だな!いや、ガルドはこの依頼をそれほど重く見ているということか・・・」
報酬額を聞いたグリフは最初、喜色を示すがコルシャス山脈地帯のような広い範囲で連絡のつかない事態が起こっていることを考慮すると、妥当な額と考えを改めた。この依頼では、脅威となる敵、もしくは現象の正体がまったくの不明なのだ。
「ええ、ですからグリフには、事件の解決よりも手掛かりと、うちの者の救助を主軸に動いて欲しいそうです」
「なるほど。というわけで、カーシルはどう思う?今回の依頼はこれまでとは違い、かなり厄介そうだぞ?」
「もちろん、僕は構わないよ。ガルドさんの頼みだしね!」
念のためカーシルに確認をするが彼女は迷わず答える。ガルドからの依頼ということもあり、彼女もいつもに増してやる気のようだ。
「よし、依頼を請けよう!」
「ありがとうございます。もちろん私も参加しますが、いつものように扱ってください」
グリフの決断にタリエラは微笑みながらそう告げる。依頼者の身内でもあるが仲間として接して欲しいとのことだろう。
「ああ、それで出発だが、出来るだけ早い方が良いのだろう?」
「ええ、明日の朝一番に出発しましょう。それと、今回は馬をこちらで用意しますので、夜明け頃にうちの屋敷に来て下さい。それまでに準備をしておきますので」
「わかった。なら今夜はこれで解散しよう。俺達は寝る前に、他の冒険者にこの事件について聞き込みをしてみる」
「ええ、お願いします!」
それでグリフ達は打ち合わせを切り上げると、それぞれの役目を果たすために解散とした。幾つかの冒険者グループと接触したグリフ達だが、残念ながら芳しい情報は得られなかった。
ただ、カルコムの調査を依頼されたパーティーは、あのディエッタが所属する冒険者グループであることが判明する。彼女達は今日の朝にはカルコムに旅立っていた。
頃合いと見た彼はカーシルにそれぞれの鍛錬の終了を宣言すると、予定通りに交代で盥の水を使って身体を拭き清める。そして新しい衣服に着替えた彼らは、気分を新たにして宿の一階へと降りた。仲間のタリエラを出迎えるためである。
タリエラはローアンの街で成功したガルドの養女なので〝飛竜の涙亭〟に部屋を借りる必要はなく自宅から通って来る。冒険者となった彼女だが、依頼で街を出る時以外は実家の稼業に携わっており、グリフ達と合流するのは時間の余裕が出来る夕暮れ以降になった。今夜は夕食を摂りながら次に受ける依頼について話し合うつもりだ。
グリフはいつもの窓際のテーブルを確保すると、とりあえず麦酒を二人分注文する。それをゆっくり飲みながら、タリエラが現れるのを待つつもりである。
「いつも仲が良いことで!・・・まあ、こんな可愛い娘を一人にさせておけないか!」
麦酒を運んで来たナスラが、冷やかすようにグリフ達に声を掛ける。彼女はこの〝飛竜の涙亭〟の跡取り娘で、酒場と食堂を兼ねた一階を取り仕切っている。大体は厨房の奥にいるようだが、人手が足りない時はフロアで給仕の手伝いをしていた。
彼女は一時期、カーシルを見麗しい美少年と勘違いして気を寄せていたのだが、そのカーシルが女性と判明してからは、グリフに対して気を持つような態度を示していた。
もっとも、カーシルとの仲がこれで冷めたというわけでなく、グリフはナスラがカーシルの世話を焼いてくれているのを知っていた。宿屋の一人娘であるナスラにとっては、カーシルは姉の気分を味わえる相手なのかもしれない。
「食事は仲間が揃ってから改めて頼む」
グリフはナスラを追っ払うようにそれだけを伝える。ナスラを嫌っているわけではないが、彼女がいるとどうしても、カーシルを女性と意識させられてしまう。彼女は女と呼ぶにはまだ数年は早い。それまではグリフもカーシルを女としてではなく仲間であり、剣術の弟子として扱おうと心に決めていた。
「あらら、邪険にされちゃった。じゃ、カーシルちゃんまたね!」
「うん、また!」
ナスラはカーシルの返事に手を振って応えると厨房へと戻っていった。その様子を眺めながらグリフは気分を変えるため運ばれたばかりの麦酒に手を伸ばした。
「なるほど。そのナイム村というは、以前のレーブ村を更に奥地に進んだ位置にある村なのか・・」
タリエラと合流したグリフは、彼女が持って来た依頼を確認するように問いかけた。レーブ村とはグリフ達がタリエラと知り合うきっかけとなった、荷馬車の護衛で訪れた村の名前である。タリエラの今回の依頼とは、そのレーブ村の更に先にあるナイム村への訪問、正確には調査と偵察だった
「そうです。予定通りならば、うちの者達が三日前にはその村から戻って来ているはずなのですが、まだなんの連絡もないのです。それで父が情報を集めたのですが、ナイム村から二日ほどの距離にあるカルコムとも連絡が取れなくなっているそうなのです。そちらについては既にローアン軍が依頼者となって冒険者に調査が依頼されていると聞いています」
「・・・カルコムというと、コルシャス山脈地帯か」
タリエラの補足説明を受けてグリフは頭の中に地図を思い浮かべる。カルコムとはコルシャス山脈の麓にある鉱山街のことで、歴史的にはローアンからの開拓者が原住民のドワーフ族と共同で作り上げた街だ。
人間とドワーフ族は異種族同士ではあるが、神代の戦いではともに光の神側に立って戦ったとされ、鉱物の発掘と冶金技術を得意するドワーフ族と、商業や農耕を得意とする人間とは比較的に相性が良く、カルコムの街は大きな問題もなく発展した街となっていた。
そのカルコムから二日の距離ということはナイム村もコルシャス山脈地帯にあるか、かなり近接した場所にあるということだろう。
「ええ、その通りです。どうやら、以前ディエッタさんが指摘したことが現実になったのかもしれません。こちらは未確認ですが、コルシャス山脈地帯にある他の村の幾つかも音信不通になっているそうです。父は早くこの事件についての情報を掴むと同時に、うちの者の安否を知りたいと思っています。それで信頼できる冒険者としてグリフに頼んだというわけです!」
「そういうことか。・・・早速だが、報酬はいくらなんだ?」
グリフは納得して頷いた。裏切ったセレメ達を除くと、ガルドとグリフは唯一生き残ったかつての仲間同士である。グリフも同じようにガルドを信頼しており、胸の内は依頼を請けるつもりで固まっていたが、冒険者として報酬の話を聞く前に承諾することは出来なかった。
「この事件のなんらかの手掛かりを見つけることが出来たら、それぞれ金貨二枚と銀貨十枚、根本的解決を達成したのなら金貨十枚、それとは別にうちの者四人を無事に連れて戻ることが出来たら、一人につき金貨五枚を追加でお支払します。また、道中の費用は全てこちら持ちです」
「それは太っ腹だな!いや、ガルドはこの依頼をそれほど重く見ているということか・・・」
報酬額を聞いたグリフは最初、喜色を示すがコルシャス山脈地帯のような広い範囲で連絡のつかない事態が起こっていることを考慮すると、妥当な額と考えを改めた。この依頼では、脅威となる敵、もしくは現象の正体がまったくの不明なのだ。
「ええ、ですからグリフには、事件の解決よりも手掛かりと、うちの者の救助を主軸に動いて欲しいそうです」
「なるほど。というわけで、カーシルはどう思う?今回の依頼はこれまでとは違い、かなり厄介そうだぞ?」
「もちろん、僕は構わないよ。ガルドさんの頼みだしね!」
念のためカーシルに確認をするが彼女は迷わず答える。ガルドからの依頼ということもあり、彼女もいつもに増してやる気のようだ。
「よし、依頼を請けよう!」
「ありがとうございます。もちろん私も参加しますが、いつものように扱ってください」
グリフの決断にタリエラは微笑みながらそう告げる。依頼者の身内でもあるが仲間として接して欲しいとのことだろう。
「ああ、それで出発だが、出来るだけ早い方が良いのだろう?」
「ええ、明日の朝一番に出発しましょう。それと、今回は馬をこちらで用意しますので、夜明け頃にうちの屋敷に来て下さい。それまでに準備をしておきますので」
「わかった。なら今夜はこれで解散しよう。俺達は寝る前に、他の冒険者にこの事件について聞き込みをしてみる」
「ええ、お願いします!」
それでグリフ達は打ち合わせを切り上げると、それぞれの役目を果たすために解散とした。幾つかの冒険者グループと接触したグリフ達だが、残念ながら芳しい情報は得られなかった。
ただ、カルコムの調査を依頼されたパーティーは、あのディエッタが所属する冒険者グループであることが判明する。彼女達は今日の朝にはカルコムに旅立っていた。
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