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消えた靴と学園の謎
その29
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夜の帳が降りる頃に学園に戻った二人は再び正門の検査所で、立てた棺のような音波検査機の中に入り、禁止物を持ち込もうとしていないかチェックを受ける。認可されていない電子機器はもちろんだが、生き物もその対象である。杜ノ宮学園はペット不可なのだ。
「はい、協力ありがとう。どうぞ。おかえりなさい!」
「ありがとうございました!」
異常なしを宣告されたレイはあざとい笑顔を浮かべながら警備員に告げる。既に先程のやり取りで目的は達していたが、急に素に戻ってはそれこそ警備員達の注意を引くことになるだろう。彼女はやるからには一切の手抜きをしない信条なのだ。
「お疲れ様。とりあえず、今日の捜査はここまでとして夕飯にしようか?」
「うむ。事件の裏は取れたし、最重要容疑者を12人まで絞ったが、これ以上は明日に回すか・・・。あまり一気にやると、犯人にこちらの動きを悟られて反撃を食らう可能性もあるし、学園側を刺激するだろう。まあ、それはそれで利用出来るのだが・・・。明日からはもっと慎重にやろう!」
正門を抜けて学園内に戻ったユウジの提案にレイは頷きながらも警告を告げる。確実に犯人へと迫りつつある二人だったが、それは危険に近づくのと同義でもある。
「ああ、その通りだね」
「・・・抜けるなら、ここが最終ラインだが?」
一歩先を進んでいたレイは足を止めるとユウジに向き直って問い掛ける。外灯の僅かな明かりでは、その表情を完全に捉えることは出来なかったが、昼休みの時のような冗談ではないことをユウジは一瞬で悟った。
「ここまで来て抜けろ! なんて、本当にレイは意地悪だな。俺はとことん付き合うよ!」
「ふふふ・・・そうこなくてはな!」
ユウジの決意を聞いたレイは彼の胸に右手の拳を軽くぶつけると、再び向きを変えて寮のある居住区に向って歩き出した。
「ユウジ! 君のところにも来たかい?」
「ああ、来た! 俺達二人に揃って呼び出しってことは・・・そういうことなんだろうな!」
翌日の木曜日、放課後となって再び捜査を開始しようと人気のない廊下でレイと合流したユウジは、開口一番に生徒手帳に届いた学園側からのメッセージについて言及する。ほんの数分前、彼ら二人の元に生活指導部からの呼び出しが掛かったのである。
「うむ。昨日は中等部を含む全てのクラスを対象に聞き込みを行ったし、学園外にも出掛けたからな・・・さすがに、私たちが感づいていることに感づいたのかもしれない」
「・・・どうする?」
学園側の動きに対してユウジはレイに対応を乞う。靴の盗難事件を通じて学園に起ったデータ漏えい事件を嗅ぎつけたユウジ達は学園の上位層にとっては厄介な存在となるはずだ。おそらくは、二人がどこまで知っているのか確認をし、捜査の停止と箝口令を要求してくると思われた。
「まあ、立場的に行くしかないよ。釘を刺されるのは間違いないが、答え合わせも出来るし、直接交渉して情報を引き出せるかもしれない!」
ユウジの問いにレイはむしろ望むところ! とばかりに告げる。確かに見方を変えれば、生徒の立場からは知ることの出来ない情報を引き出すチャンスでもあった。
「・・・おお!」
「では、生活指導室に乗り込むとするか!」
胆の据わったレイの返答にユウジは感嘆の声を上げ、彼女も頷くのだった。
「はい、協力ありがとう。どうぞ。おかえりなさい!」
「ありがとうございました!」
異常なしを宣告されたレイはあざとい笑顔を浮かべながら警備員に告げる。既に先程のやり取りで目的は達していたが、急に素に戻ってはそれこそ警備員達の注意を引くことになるだろう。彼女はやるからには一切の手抜きをしない信条なのだ。
「お疲れ様。とりあえず、今日の捜査はここまでとして夕飯にしようか?」
「うむ。事件の裏は取れたし、最重要容疑者を12人まで絞ったが、これ以上は明日に回すか・・・。あまり一気にやると、犯人にこちらの動きを悟られて反撃を食らう可能性もあるし、学園側を刺激するだろう。まあ、それはそれで利用出来るのだが・・・。明日からはもっと慎重にやろう!」
正門を抜けて学園内に戻ったユウジの提案にレイは頷きながらも警告を告げる。確実に犯人へと迫りつつある二人だったが、それは危険に近づくのと同義でもある。
「ああ、その通りだね」
「・・・抜けるなら、ここが最終ラインだが?」
一歩先を進んでいたレイは足を止めるとユウジに向き直って問い掛ける。外灯の僅かな明かりでは、その表情を完全に捉えることは出来なかったが、昼休みの時のような冗談ではないことをユウジは一瞬で悟った。
「ここまで来て抜けろ! なんて、本当にレイは意地悪だな。俺はとことん付き合うよ!」
「ふふふ・・・そうこなくてはな!」
ユウジの決意を聞いたレイは彼の胸に右手の拳を軽くぶつけると、再び向きを変えて寮のある居住区に向って歩き出した。
「ユウジ! 君のところにも来たかい?」
「ああ、来た! 俺達二人に揃って呼び出しってことは・・・そういうことなんだろうな!」
翌日の木曜日、放課後となって再び捜査を開始しようと人気のない廊下でレイと合流したユウジは、開口一番に生徒手帳に届いた学園側からのメッセージについて言及する。ほんの数分前、彼ら二人の元に生活指導部からの呼び出しが掛かったのである。
「うむ。昨日は中等部を含む全てのクラスを対象に聞き込みを行ったし、学園外にも出掛けたからな・・・さすがに、私たちが感づいていることに感づいたのかもしれない」
「・・・どうする?」
学園側の動きに対してユウジはレイに対応を乞う。靴の盗難事件を通じて学園に起ったデータ漏えい事件を嗅ぎつけたユウジ達は学園の上位層にとっては厄介な存在となるはずだ。おそらくは、二人がどこまで知っているのか確認をし、捜査の停止と箝口令を要求してくると思われた。
「まあ、立場的に行くしかないよ。釘を刺されるのは間違いないが、答え合わせも出来るし、直接交渉して情報を引き出せるかもしれない!」
ユウジの問いにレイはむしろ望むところ! とばかりに告げる。確かに見方を変えれば、生徒の立場からは知ることの出来ない情報を引き出すチャンスでもあった。
「・・・おお!」
「では、生活指導室に乗り込むとするか!」
胆の据わったレイの返答にユウジは感嘆の声を上げ、彼女も頷くのだった。
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