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11 生徒たちと策謀と 6

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 この国の政治形態は解らないが、あの王の一声でなんの手順も踏まずに俺たちを牢屋に入れられてそれが負かり通ってしまう辺り、あの王が為政者で中世のヨーロッパの王権制度のような国なんだろう。



 だとすれば、俺たちが連れてこられた今日は、今後の方針や処遇を王のもとで話し合われる可能性はかなり高いと見ていいだろう。



 俺たちには何よりこの世界の情報が圧倒的に足りない。



 それに無理矢理連れてこられて牢屋に閉じ込めるような奴等から一方的に情報を教えられても全く信憑性が足りない。





 『チョリス、ステータスって言ってみろ。』





 『うわっ!なんか目の前に出てきたっす。』







⚫チョリス


⚫Lv13

⚫種族 ナイトメアキャット

⚫HP 200/200

⚫MP 150/150

⚫物理攻撃力 100

⚫物理防御力 70

⚫魔法攻撃力 60

⚫魔法防御力 50

⚫敏捷 200

⚫固有スキル

 闇魔法 Lv2 (影渡り、影分身)
 サーチ Lv3



⚫一般スキル
 猫パンチ Lv3
 猫キック Lv3
 気配察知 Lv2

⚫状態

 アンデット
 憑依





 うむ、胴やらこの世界の生き物全てにステータスとレベルやスキルが備わってるみたいだ。見るという考えに及ぶかどうかは別にして。

 っていうか結構強いなこの猫......ステータスは名付けで強化されてるとしても、スキルはまるで忍者だな。もともと番犬的な者として飼われてたのか、普通に考えてこんな物騒なスキルを持った野生の猫が城の中をうろつくわけないか。



 『チョリス、サーチを使ってくれ。それで王や大臣たちがいる場所はわかるか?』

 『わからないっす!』 

 『ちょっとは考えるそぶりを見せてくれてもいいんだぞ。じゃあ前回の偵察で俺の同郷達がいた場所は何処かわかるか?』

 『多分この白丸がウジャウジャ集まってる所っす。』



 スキルでうつしだされた4階建てのヨーロッパの大きいお城のような建物の3D映像が映し出される。スゲー猫チョリス超有能だな。

そこの2階の広い部屋に30個程度の白丸が点在しているのが、恐らくこれが生徒達だろう。どういう状態にあるのか気にはなるが、取り敢えず当初の目的を達成してから寄ってみることにしよう。

 生徒たちとは別に、もう一つ最上階の4階に10人程度集まる集団をとらえた。



 『よし、4階のここに向かってくれ。』

 『え~4階っすか、マジだり~。』

 『南無阿弥陀仏南無阿弥陀仏南無阿弥陀仏~』

 『あぁ~それいいっす、そこっす、おにぃさん上手いっす。あぁ~~』

 『変な声を出すな!気持ち悪い!ほら、続きをして欲しかったら俺の言うことをちゃんと聞け。』



 なんでこんなヤリチンネズミとお経プレイせにゃならんのだ。

 渋るチョリスのお尻を叩いて人目を避けながら何とか4階の10名ほどの反応が有った所の天井裏までたどり着いた。

 そこは教室ほどの大きさの部屋で大きな長方形の机を囲んで、王や宰相、俺の意識を刈り取ったケツのアゴを持つ男、後はイケメン王子にデカパイ王女二人もいる。どうやら作戦室みたいな場所らしい。

 では早速憑依中も俺のスキルが使えるか検証だ。



メアリー第一王女
B93 w60 h88


ライラ第ニ王女
B88 w58 h85



 よし、演算先生は使えるな。




 「召喚勇者たちのは総数32名でそのうちS級ジョブが5名、A級が5名、B級10名、C級又は未確認のジョブが12名となっています。」

 「前回よりかなり成績が悪いな。」

 「今回使用された魔石は魔王石と言えど半分の魔王石のさらに半分、つまり1/4が使用されています。なので80年前に王国が400年貯めた特級魔石100個使用して召喚されたと記されております。それに比べるとどうしても見劣りしてしまうのは致し方ないかと。

 しかも、今回の召喚者たちの国は長らく争いが起きてないらしく、故に前回はほぼ全員軍人でしたが、今回は全員民間人で戦闘能力及び闘争心の低い人間が数多く召喚されてしまいました。」

 「折角貴重な魔王石を使用したのじゃ、奈落のダンジョンに眠るもう半分の魔王石を回収してもらわんと困る。それか最低でも連合国を攻める要となってもらわんと割に合わんぞ。ケッツァーゴ将軍どうじゃ育てれそうか?」

 「はい、S級の5名が将官クラス、A級とB級で尉官辺りまでには成長する見込みがありそうです。ですが如何せん平和ボケした連中ばかりなので何処までやる気にさせられるかにかかってくると思います。多少手荒な方法をお許しいただけるのであれば如何様にも遣りようがあるかと、只その際は何人かは壊れる恐れもあるとご理解下さい。」

 「うむ、まだそこまで追い込まなくてもよいだろう。強くなる前に使い物にならなくなってもらってはこまる。最重要目標として勇者である西條 誠也の将官クラスまでレベルアップ、次いで残りのS級の召喚者の育成、その他はS級の召喚者たちに悪影響を及ぼすなら処分しても構わん。そのつもりで召喚者の育成計画を進めよ。」

 「現在、騎士食堂にて召喚者同士で話し合ってるようです。これからの計画として戦闘訓練の班分けと称してS級、A級ジョブたち10名をAクラス、B級10名をBクラス、その他をCクラスとして班分けし、各々に対して順位を振っていきます。

その順位に応じてクラス、待遇に差を付けて互いを競わせ、まとまるのを防ぎ、此方に敵対心を向けさせないと同時に戦闘意欲が養われると期待できます。」

 「うむ、大綱はその方向で細部はサザン宰相とケッツァーゴ将軍とでまとめてよ。」

 「「はっ!」」




 うん、想像以上にヤバい奴等だった。

 天井裏から覗くチョリスとそれに憑依した俺、現在ガクブル中である。

 何なんだアイツ等は、俺たちをなんだと思ってんだ。それに色々気になる事も言っていたな。80年前の召喚とか言ってたな、前回は500年前じゃなかったのか?

 それに魔王石って単語は何度か出てきたが肝心の魔王の名前が1度も出てこないぞ、マジでいないんじゃないのか?

 後、処分って言ってたな。くそっ命が軽いなこの世界。



 『はぁ~何だか物騒な話になってきたっすね~。』

 『他人事みたいに言うなよ。たぶん牢屋にいる俺達はCクラスだろうし、その中でも俺なんかは生徒達の保護者的な立場だから、アイツ等からしたら真っ先に処分したい対象になりそうなんだぞ。

 俺が死んだら恐らくお前も天国行きだぞ。』

 『ふーんそんなもんすかね。短期間で2回も天国に行ってるせいか、あまり俺っちは人間ほど生に執着ないっすけどね~。天国も綺麗なおねぇさん天使が沢山いて結構楽しかったっすよ。

 それに所詮俺っちは獣、パコるか殺られるか、それだけっす。』

 『そのセリフ全然カッコ良くないからな!!なんかカッコ付けて言ってるけど。けどまぁある意味シンプルで羨ましいよ。』




 その時、天井裏の隅に気配察知で何者かの気配を感じた。



 『おっあのケツ、あの時のネズミっす!!相変わらずいいケツっす!!たまらんっす~やらせろ~パコらせろ~舐めさせろ~!!ニャーー!!』



 いや、お前ついさっき殺られたばかりだろ!!

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