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きぐるみ幼女編
33話 ナックル
しおりを挟む柱の陰で一歩・・・も踏み出せない彼女の行動より先に
児玉は動き出したのだった
「ぬぉおぉおおおおぉぉぉぉぉーーーーー」
児玉は、桜の準備が終わったと確認するや
いきなり声を上げ、最上段に木刀を構え襲い掛かる
だが、桜はその木刀を軽く弾くのだった
何時もなら、軽く躱す桜だが
ナックルをつけた今、躱すと言う行動は桜の頭には無くなっていた
児玉の手に伝わる衝撃
何か、とてつもない硬い物を打ち付けた感覚
(ありえない・・・・・)
だが、児玉の攻撃は止まらない
何度も何度も、木刀で桜を叩きつけるが
それは全て、桜のナックルによって防がれていく
「なぜだぁーーーーーーーー
そんな、ちっぽけなナックルが、なぜ砕けん!
硬化魔法を掛けた、この木刀はモース硬度で12以上
ヌープ硬度で2000は超えるんだぞ
厚さ10cmの鋼鉄の板でさえ、ヘシ曲げる事ができるんだぞ!!」
叫びながら、力任せに打ち付ける児玉とは対照的に
ナックルを徐々に手に馴染ませながら、全ての攻撃を弾き返す桜
桜にとって、児玉の攻撃を凌ぐ事は、造作も無いのだ
普段の稽古相手の蓮と比べるも無く
桜にとって、児玉の動きは遅すぎた
そして、流石に児玉の言っていた通り
木刀とは思えない程の硬さの武器の衝撃は
衝撃吸収を付けてると言っても、多少の衝撃と、痛みは伝わる
桜には説明してはいないが、紫音がワザと残している
やりすぎない為の、ある種のセーフティーである
そんな事お構いなしの桜は
弾き返すナックルに徐々に力を込め、反撃を開始する
力を20%・・・・・・
25%・・・・・・・
30%・・・・・・・
そして35%に差し掛かろうと言う時
児玉の木刀は、粉砕された
防戦いっぽうだった桜が、児玉の木刀を粉砕したのだ
野次馬からは、歓喜の声があがり
朱莉親衛隊からは、悲痛な叫びが上がった
児玉は、一旦距離を取り、仲間の元へと戻り
仲間の1人が、持っていた西洋の片手剣・ブロードソードを奪うのだった
そして、それに硬化魔法を使う
「フフフ・・・これは鉄の剣だ、その元なる属性は土だ
そう、硬化魔法との相性は、木刀より剣の方がいいってことを知っているか?
そうだ、今まさに、この剣は、ダイヤモンドの硬さに届くほどだ
モース硬度14以上、ヌープ硬度5000に達する
先ほどの木刀の比ではないわぁぁぁぁっぁぁ」
叫びながら、桜に突っ込んでくる
身体強化、速度強化、そしてダイヤに匹敵する硬さの剣が桜を襲うのだが
桜は、その攻撃を避けるわけでもなく、受け流すわけでもなく
正面からナックルで打ち返す
鈴以外は、流石に、あの桜の可愛らしい小さな手に装備された、ナックルでは
児玉がダイヤの硬さと言い放った剣は、相手が悪いと、2つの金属が衝突する瞬間
目を背けたり、手で顔を覆い目を塞いだりと、苦い顔をするのだった
かんなと夏目は、けしかけたのは自分達だと言わんばかりに
歯を食いしばり、じっと見つめる
だが、大きく弾かれたのは、児玉の剣であった
躊躇無く、右拳を突き上げ、振り抜く桜
ダイヤであろうと、なんだろうと関係ない
兄である、蓮がコレは硬いと、壊れないと、太鼓判を押したのだ
なら、壊れる訳が無い、そこに一切の揺ぎはない
そして鈴も
今までの攻防から、ある程度予測はついていた
桜が、リルから貰ったって言ったには
あれは、紫音が作った武器であり、前の奴が、この間壊された事から
あの新しいのは、紫音の性格からして絶対壊れない使用なのだろうと
たぶん相手が本物のダイヤモンドであっても
物理的な攻撃で、あれが壊れる事はないんだろうけど
たぶんアレ、オリハルコンか、アダマンタイン、クラスの金属・・・・
あっちの世界の金属か・・・・
こっちの世界の金属では、傷1つ付けれないだろうな
そう、鈴の考えは当たりである、この桜のナックル、オリハルコン製であり
それも、ただのオリハルコンではない
あちらの世界で、シオンが集め回った
レア、レジェンド、ゴットと呼ばれる武器防具
そのレジェンドと呼ばれる伝説級の武器と、レアと呼ばれる武器、2つを使い
その核となる金属を、リルの天力によって抽出する
それは、純度100%のオリハルコンであり
それを、リルの魔力によって成形していく
最後は、紫音の手によって、改良を加えられ
新しく生み出された唯一無二の武器である
そして、元々、2つのレアクラス以上の武器であった、このナックルは
その2つの武器が所有していた、その特性とスキルを受け継いでいたが
その事は、生み出した紫音さえ知らない
だが、まだ武器として熟成されていない、生まれたてのナックルは
その本来の力を全て解放するのは、少し先の事なのだが
今まさに、その片鱗を覗かせていた
紫音が、そのプライドを掛けて作り上げたナックル
レア級どころではない、伝説級の武器となっていた
それも、これも、その作り出した工程の90%以上を
紫音から【存在自体がチートだろ?】と言われる
リルが作ったからに他ならなかった
上段から繰り出された児玉の剣を、右拳を突き上げるように弾いた桜は
大きく左拳を後ろに引き、力を貯めた拳は児玉を襲う
児玉も、その攻撃を普通に受けるほど馬鹿ではない
手に持つ剣の背を斜めにし、攻撃を受け流しながら
児玉自身も、大きく後ろに飛んだ
衝撃を最小限にまで、とどめた児玉だが、そこまでしても
手に持つ、ダイヤモンドの硬さまで届こうかという
片手剣の刀身は、見るからに曲がっていた
大きく距離を取った児玉
素手での接近戦がメインである桜にとって
相手との距離が空くのは不利であり、嫌いでもあったが
唯一、その距離で攻撃出来る技があった
兄である、蓮が居ないからこそ使える技
使ったことがバレると、後でお仕置きを受けるだろう
封印された、桜の大好きな大技
桜は体を軽く右に捻り
「どっかぁぁーーーーーーーーーーーん」
大声と共に、右拳を前に突き出し、児玉に向けて飛んでいく
それは誰の目から見ても、ただの力任せの特攻であった
だが、その瞬間、2人の戦いを遮るかのように
二人の間に現れた人影があった・・・・・
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