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きぐるみ幼女編

32話 妄想は、ネガティブに!

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桜と児玉が、相対そうとしているとき

ここに鈴達4人以外にも、もう一人悩む人物がいた



柱の陰で優美達を見つめ

鈴を襲撃するべく待ち構えていた舞姫と呼ばれる少女

いや、すでにその柱を追い越し

柱の方向を振り向いている鈴達の視界には

柱の角に両手の指を引っ掛け

無理な角度で首だけを此方に向け、柱にへばりついている

制服の上から赤いストール羽織り幾つもの貴金属を身につけた

オリエンタル系の雰囲気を可持ち出す

舞姫の後ろ姿がはっきりと見て取れていたが



今、彼女は自信の姿を気にしている状況ではなかった

彼女は三千風鈴の襲撃を、朱莉親衛隊に、先を越されたのだ



そして、繰り広げられる脳内イメージ・・・・



 「朱莉様、我等朱莉様親衛隊ガ、ニックキ三千風鈴ヲ、ボコボコニシ

  朱莉様ニ対シ、土下座ヲサセ、謝ル姿ヲ、ココニ録画シ

  持ッテマイリマシタ」



 「オオ、流石ハ、私ノ愛スベキ親衛隊

  良クヤッテクレマシタ

  児玉及ビ、親衛隊ノ皆様ニハ

  何カゴ褒美ヲアゲナケレバナリマセンネ」



 「我等親衛隊ハ、朱莉様ノオ側ニ居ラレル事ガ幸セデアリ、誇リデゴザイマス

  ソシテ、コノ映像ハ、朱莉様ノオ許シ有レバ

  校内ネットデ今スグ流ス準備ガ出来テオリマス」



 「ソウデスカ、スグニデモ校内ネットデ流ス事ヲ許シマショウ

  ソレニ引キ換エ、舞ハ何ヲ、シテイタンデショウ」



 「ソノ事デスガ、我等親衛隊ガ、現場ニ到着シタ時ニハ

  スデニ【月陰舞 (つきかげまい)】ノ姿ハアリマシタガ

  終始陰ニ隠レ、出テクル事ハゴザイマセンデシタ」



 「イッタイ舞ハ、何ヲ考エテイルノデショウカ

  モウ友人トシテノ縁ヲ、切ッテシマイマショウ

  アンナ友人イリマセン

  私ニハ、親衛隊ノ 皆様ガ居レバ、他ハ何モイリマセン」



 「ソウデス、我等親衛隊ガ居レバ、アンナ女イリマセン」



 「ソウ舞ナンテ、イリマセンワ、フフフフフフッフフフ・・・・・・」



 「ソウデストモ、アンナ女イリマセンヨ ワッハッハッハッハッハ・・・・・・」



 「フフフフフフ」



 「ハッハッハッハッハ」



親友の朱莉から見捨てられる事を、脳内でイメージし

柱に張り付いたまま、その瞳に涙を貯める舞

そう、このまま、手柄を児玉に取られると、自分が捨てられると

ならば、児玉君の邪魔をしてやる

私と朱莉ちゃんの仲を裂く悪者を!

あいつを!

児玉君を!

私が倒してやる!



思考が混乱する舞は、まったく違う方向に

その次なる決意を固めるのだった

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