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きぐるみ幼女編
17話 1年前・2人の友達
しおりを挟む隼人がキレて、魔法を発動させた頃、廊下では
「あ・・・キレた」
「あぁ、あれは、炎系の何かか?」
「あぁ、蓮の言う通りだ、隼人の隠し玉、ファイアボムだろうな
さっきの授業中、炎系統の範囲魔法、聞かれたから
隼人でも制御出来そうな、ファイアボム教えといたからな
暇な時間を使って、デバイスに組みこんだんだろうな」
「そうか、範囲系か、、、、ん?」
「どうかしたか?」
「どう見ても、隼人の奴、制御できてないだろう?
何処まで、魔力注入するきだ?ファイアボムって、炸裂だろ?
ヤバくないか?」
「・・・・・・・・・・・あ・・・・・・」
そして、廊下に居る、クラスメイト達に声を上げる
「おい、お前ら、隼人の範囲魔法来るぞ、防御に専念しろ」
そして、遊久路栄斗と対峙していた、2年生達と
遊久路栄斗達、1年達は、教室の状況に気がつき
各自、防御魔法を使うもの
また、防御魔法が苦手な生徒は、友達の防御魔法に庇ってもらったり
または、その場から離れだしていた
すでに、止めに入ろうにも、発動してしまったそれは
本人の制御でしか、その発動を止められない
そして、その魔法を発動した隼人は、キレていた
そして、ファイアボムは、まだ隼人には制御しきれない魔法であった
だからこそ、魔法は暴走し、より魔力を蓄える
現状で、この魔法を止められる人間は数人、その中に蓮はいたが
騒ぎ出す、クラスメイト達の手前
なんだ、かんだで、蓮は出て行くタイミングを逃す
その心境は
(まぁ、面白そうだし、あまりにも被害が出るようなら、その時止めればいいだろう)
ぐらいである
蓮、その魂は、違う世界で魔王までなった人物である
その気になれば、この世界の魔法など、どうとでもなるのだ
だからこそだろう、この後どうなるだろうかと、面白がり見守るのだった
そして、1-Jの教室内でも、隼人の魔法から逃れるため
教室の前に固まり、防御魔法を展開させる生徒達がいたのだが
そんな中、我関せずの精神を貫く生徒達もいた
数名の生徒は、そんなこと時間の無駄とばかり
自身の机で、自身のやるべき事、又は、自身の趣味を貫いていた
そして、ここにも、そんな我関せずの2人と、魔法に怯える1人の生徒がいた
それは、髪にウエーブが掛かった、先程までは、可愛らしい女の子だった
叶芽希唯 (かなめきい)である
今はと言うと、顔を青くさせ、アタフタと動揺していた
「大丈夫?あの魔法、ヤバイみたいよ
みんな、騒いでいるし、避難してるし、2人とも逃げないと
ニニスちゃん、速く、立って、そんな紙のオモチャで遊んでいる暇ないよ」
学園では、小等部5年から、攻撃系魔法を勉強していくが
それは、簡単な初心者用魔法ばかりだ
そして、希唯は、中等部になったばかりの1年生である
隼人が使っている、範囲系魔法は中級魔法
周りが騒ぎ警戒する様子をみると
その魔法を知らない、希唯でも、自分が置かれている状況が分かると言うものだ
そして、それが、目の前で発動しているのだ、怯えないワケがないのだ
一方、片手に1羽、両手で2羽の折り鶴を持って嬉しそうにしている小さな少女は
手に持つ、芸術品に近い伝統工芸を、オモチャ呼ばわりされた事に
より腹を立て、より彼女に嫌悪感を膨らます
そして、楽しい時間を邪魔する叶芽希唯に強く言葉を返す
「うるさいなのよ
あそこに居るのは、エルノなの、だから大丈夫なのよ
それに、ここに居れば、しお君のついでに、守ってあげるなのよ」
「そんな事いったって・・・・・・
紫音くん、貴方も、、、、、なんで、そんなに冷静なのよ」
半分泣きそうな顔で、3羽目の折り鶴を折る、紫音を見つめる叶芽希唯
「ん?いあぁ、ニニスが守ってくれるって言ったからな
俺に出来る事は、折り紙を折るくらいしかないだろ?」
「なんで、今日逢ったばかりでしょ
それに、こんな小さなニニスちゃんが、何ができるって言うの」
隼人の魔法に込める魔力がどんどん溜まっていき
誰しもが、その魔法の威力なら、この教室を半壊できるだろう事を理解する
それは希唯も例外ではなく、それを防ぐほどの防御魔法を使えない希唯は
すでに、混乱し恐怖していた
紫音は、そんな彼女を、ほっといてもいいのだが
横で騒ぎ立てられうるさく、ニニスはそんな彼女に苛立っている
先程もだが、この2人は、きっと反りが合わないのだろうと
めんどくさいが、希唯に声をかける
「希唯さん、落ち着きな、小さいとは言うが
ニニスは同級生だ、そこに、身長も年齢も関係ないだろ
それに俺は、ニニスとも希唯さんとも友達に成りたいとも思ってる
なら、俺は、どんな事があってもニニスの言葉を信じるよ
希唯さんも、ニニスと友達になりたいなら、信じてあげな
まぁ、俺は人様に好かれるほど、まともな人間じゃない
どちらかといえば、忌み嫌われる部類の人間だろうから
友達とか思われるのが迷惑なら、今の内に言ってくれ」
まぁ、対人会話スキルは、1000年近く生きている俺にとって
慣れたものである
おびえる女の子を宥めるのは得意分野だ!
俺のスキルにかかれば、どんなに怯えていても抱ける自信がある!
・・・何に抱くのか?
それは、お前に怯えてるだけだろ! と・・・
それに、対話が得意とか思ってるのは紫音、本人だけである
そして、幾分オヤジくさい
1000年近く生きてきた、紫音の年齢も
あの事件から成長を止めた、双子の妹、鈴の身長も
同級生と言う枠組みの中では、関係ない
それは、紫音自身向けた言葉でもある
そして紫音にとって、乱入者の放つ魔法など、些細な火遊び程度の事
それに、姿は見えないが、紫音のそばには、リルがいるのだ
そう紫音の側にさえ居れば、ここに戦闘機がミサイルを打ち込み銃撃しようとも
紫音、ニニス、希唯は、かすり傷1つ負うことはないのだから
そう、紫音は、ニニスの事を信じてる訳ではない
今後、中等部3年間たぶんJクラスに通うだろう紫音
そして、ニニス、そして希唯も一緒だろうと思うと
今のうちに、仲良くさせとかないと
このままでは、とばっちりを受けるのは自分だろうと理解し
2人の仲を取り持つ為、紫音は希唯を宥めていくのだった
だが、その希唯に向けた言葉は、紫音の思惑を超え
ニニスに響くのだ
ニニスも、幼くして自身の国から、この学園に来て、唯一の知り合いは
エルノと呼ぶ燃えるような魔導帽とマントを着る女性だけである
心の何処かで、寂しかったのかもしれない
弁当がキッカケだった
昼休みに、エルノが手招きで呼んでいるので
近寄ってみたら、おおきな弁当箱が並べられ
進められるままに、誰のか知らぬまま食べると、とても美味しかった
聞いてみると、この弁当の主は、自分の弁当にも関わらず
いっさい手をつけず、食べるクラスメイト達を笑いながら眺めているだけだった
頭がおかしいのかと、これが、ジャパニーズ・イジメかと、あまり興味は無かったが
弁当を食べた返しにと、ニニスは自分の弁当である、リンゴを渡すのだが
「ありがとう」と適当に受け取った男は、リンゴを拭きもせず
受け取ったその手で、リンゴを口に運び、かぶりつき
小さな声で「ん、うまい」と、つぶやいた言葉をニニスは聞き逃さなかった
そして、彼の手から生み出される
芸術とも言える紙で織られた鶴は、ニニスの心を奪う
そんな目の前の男
無愛想で、大雑把で、何を考えているのか分からない、変わった男
見た目的には、セットされていない髪はボサボサ
猫背で姿勢はわるく、やる気が全く見られない
そんな、お世辞でも、普通の人間とは言えないだろう彼は
知り合ってまだ、30分も立っていない自分を
友達になりたいと、そして無条件にニニスの言った言葉を信じてくれた
それは、ニニスの身長・年齢、その服装すら受け入れてくれた事に他ならない
そして、彼は言った、彼自身は忌み嫌われる部類の人間だと
そうなんだろう、見た目も、雰囲気も、ニニスが今まで出逢ってきた人間には無い
どちらかと言うと、紫音の言った通り、関わりになりたくない人間であり
ニニスも、自身から紫音に声を掛けることも、話すこともなかっただろう
きっと、中等部での3年間、紫音と関わりを持つことは皆無だったに違いなかった
だが、出逢ってしまった、知り合ってしまった
ニニスの見る限り、その行動と言動には、偽りはない
ニニスの周りにいる大人は、全くその逆の人間ばかりだった
身なりを整え、自身の権威を飾るかの様に、宝石で自身を飾る
見た目は、煌びやかだが
その、行動、言動は、常に裏を探り、人の揚げ足をとり
常に誰かを蹴落とし、強いものには胡麻をすり取り入ろうとする
そんな事しか考えていない、人間ばかりであった
そんな中、紫音の自身を隠さない偽りの無い言葉は
ニニスの心を打つものだったのだ
そして、ニニス照れくさそうに
「ふん、そんなに言うのなのなら
友達にしてあげるなの、シオは、感謝するなのよ」
耳を真っ赤に染め上げて、紫音から視線を外すニニス
そんな姿を見て、さすがに紫音もクスリと笑い
とうとう、シオになったかと・・・
「ありがとう、ニニス、よろしくな」
そして、隼人の魔法に、恐怖し大粒の涙を流す希唯は
両腕を身体の前で組み合わせ、身体を震わせ、涙声で、2人に話しかける
「あの・・えっと、あの、わ、私も友達いいかな・・」
「ふんなの、キイも、ついでに友達にしてあげるなのよ」
「希唯さんも、よろしく」
「でも、な、なんで、この状態で・・・・なんで冷静なの・・・」
「大丈夫だから、きにすんな」
「そうなのよ」
そして、1年・2年の生徒の注目の中
隼人の魔法【ファイアボム】が放たれたのだった
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