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きぐるみ幼女編

12話 1年前・ラッキースケベ

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鉄雄に襲いかかる、隼人
彼の連続攻撃は速く、手の出せない鉄雄を押している様に見えたが
実際は、両手をポケットに入れた鉄雄は
その全ての攻撃を読み切り、隼人の攻撃は全て空を切る事となる

そう、鉄雄の後ろで守られた、男共は
鉄雄が押されていると思い込み、鉄雄が負けたら
又、再び、自分たちが殴られると恐怖した
そして、一人の男子が、持っていたナイフを、隼人に投げつけたのだ

牽制か加勢か、鉄雄の背後から、飛び出したナイフは
隼人に向かって、飛んでいったが、隼人はそれを物ともせず軽く弾く
ちらりと、ナイフの出処を確認する鉄雄は
戦闘の邪魔をされ、腹を立て、一瞬バックステップをすると
その人間を蹴り、トドメをさした、その威力は2年生のイジメの比ではない
1撃にして、そのクラスメイトは、何が起こったか分からないまま
床に崩れ落ち、身体を痙攣させだした

そして、近くにいた、燃えるように赤い姿の女性は
にっこりと、微笑みながら

「まぁ、死んではないでしょ
 あれの邪魔をするなら、今すぐ、そいつと同じ目にあわせるからね」


そして、彼等は段々と理解していく、2-Jも怖いが
クラスメイトは輪を掛けて恐ろしいと


鼓道場で、多くの有段者、大人に混じり鍛えてきた隼人
鼓道場では、実践形式の戦いでも、負けないように日々修練している
戦いの途中、何処からか撃たれたライフルの弾に当たって負けても
横槍がはいったとか、死角からの狙撃は反則だと言う言い訳は
鼓道場では、許されないのだ、それに対処できなかった自分が悪い
又は、その予測、予知、できない自身が悪いのだと、教えられてきた
だから、投げられたナイフに対しても
難なく対処するし、それを怒ることはない

隼人は、鉄雄に対し怒り攻撃しているが
頭の中は常に回転しており、その判断力は冷静であった
だからこそ、隼人は、その小柄な体ながら、学年上位の力を有していた
だが、所詮それは、道場や、学園のシュミレーション戦闘
又は、学内での喧嘩や、決闘 (デュエル)までの話である

生死を分けた、戦いなど、した事は無い
いや、この科学魔法時代、中等部や高等部、成人にすらなっていない人間が
生死を分けた戦いなどを、すること自体ありえないのだ

だが、居る所には、居る物である
小学5年にして、紫音と共に、死線をくぐり抜けてきた鉄雄
それは、数千、数万を越える、試合や訓練では越えられないであろう経験値なのだ
そう、彼、鉄雄の実力は、隼人を超えていた

そして、そんな時の為の
廊下に居た2ーJの中距離戦闘を得意とするメンツ
もしも、1-J、クラス全員が反抗し集団戦になれば
その位置からの、戦闘支援や、中距離攻撃、魔法攻撃の役割を担うはずだったが
すでに、そこにいた、2ーJの女子3人は、戦闘不能状態に追いやられていた




隼人が鉄雄に襲いかかると同時に
教室の前から、陽気なステップで、廊下に飛び出していった男の子に動けなくされていた

彼の後ろに付いて教室から出てきた男ども
彼等は、加勢に来たわけでない
これから起こるであろう出来事をその目に焼き付けるために彼を追ってきたのだ

制服を、オシャレ着の様に着こなす彼は
廊下に出ると右手を向き、教室の後ろドアの近くにいる
2-Jの女子に声を掛けた

「1年ぶりです、ボクの可愛い先輩方」

それに振り返った2年生達、そして、1人の女子から震える声が漏れた

「エロ斗・・・・なんで、お前が、Jに・・・・」

「先輩つれないなぁ、ボクの名前は、遊久路栄斗 (ゆくりえいと)ですよ
 エ・イ・ト、と呼んでください、可愛ららしい先輩達に
 そう呼ばれたいんです、心からそう思っているんです
 そして、先輩方が、中等部に行かれてから
 会えなくなること1年、ボクは、とても寂しみました
 そして、今日再び巡り逢えた事の喜びは
 まるで、織姫に出逢えた彦星の喜びに勝ります
 あぁ、どうか、その白く美しい手を、我が手に・・」

まるで、舞台でお芝居を演じているかのように
身体全体を使い、見るものを圧倒していく

そして、一歩踏み出す栄斗、同じく一歩下がる2年女子達

遊久路栄斗、資産家の親を持つ彼は、頭脳明晰で容姿端麗
マセた子供ならではの、可愛らしさを武器に、年上に人気があり
幼き頃から、芸能人として活躍する彼
すでに、仕事とし、モデルや、ドラマ、舞台をこなしていた

ただ、そこにいて、立っているだけなら、絵になるであろう人物
柊朱莉、四条優美と、並んでも遜色ない人間
芸能人としての彼を、好きな人間もおおいいであろう

だからこそ、2年の女子達は、彼がJに居る事など思いもしなかった

たがしかし人間、どこかしら欠点の1つか、2つは有ると言う物
そして、栄斗は、人格的欠点と共に、凶悪な個人スキルを要していた
本来の使い方は、まったくもって別物であるのだが

彼の極悪非道のスキル
彼が、そのスキルに付けた名前は
全世界の男が憧れる、スキルであり
そして、全世界の女子が、白い目で見、迫害するであろうスキル


そのスキルの名前は

「ラッキースケベ」

芸能人としての彼と
その、スキルの名と共に
彼の名は、学園で知らない人間が居ない程知れ渡っていた
そして、いつしか【エロ斗】と呼ばれ
その行動から、この、クズクラスへとなったのだ
それでも、学園に、彼のファンクラブもあり
彼のスキルの犠牲、それどころか

「もう、いっその事、私が彼を抱いて、めちゃくちゃにしたい」

と言う高等部の女性も多く居るのだから
世の中、おかしな事ばかりである

一歩、又、一歩と進む栄斗
そんな中、教室内では、隼人と鉄雄の戦闘が始まっていた
いきなり、教室から飛んできた、一本のナイフ
それは、開けたままの窓を通り抜け、廊下にいた女性に向かって行ったのだ

「あぶない!」

その声と共に、ダッシュする栄斗

栄斗の、目的は、戦っている鉄雄の援護と言う口実である
そうと言っても、戦闘能力皆無に等しい栄斗
出来る事といっても、廊下で待機する2年生の後方支援を妨害するくらいである
そう、廊下を確認したとき、見知った2年生の女子を見つけて
心弾ませて、出てきたのだ
そして、2年の女子と顔を合わせると
栄斗の目に、光る物が映し出された

それは、ナイフであり
それは、どう見ても目の前の女の子に当たるだろう事は栄斗にも理解できた
そうなれば、援護とか、妨害とかいう話ではない
女生徒に怪我等、さしてはならないと
栄斗は、大きく叫びながら
全身の力を振り絞り、ダッシュするのだった

そして、女生徒をナイフから守る為に、一番確実な方法
それは、女生徒を突き飛ばせば、ナイフは、当たらないだろうが
紳士である、栄斗には、女性を突き飛ばすなど出来るはずも無いのだ

そして、仮に突き飛ばせたとしても
勢いの良い、ナイフが、廊下の壁に当たって、跳ね返り
他の女生徒に当たる可能性を考えると
栄斗の選択肢は、限界までダッシュし
ナイフを止める事だけとなったのだ

そう、栄斗は、廊下を蹴り上げ、その全身のバネをつかいダッシュした

栄斗の声に、自分に向かってくる、ナイフ気がつき
驚いて身体を硬直させる、女生徒と
その隣にいて、同じく驚いて動けなくなる女生徒

そんな2人を守るため栄斗は、ギリギリまで身体を伸ばし右手を前にだし
その右手でナイフを叩き落としたのだ
叩き落とした時、右手の甲にナイフの刃が当たり、軽く血が飛び散ったが
栄斗は、その血すらも、女性に掛からないように配慮していた

それこそ間一髪、ギリギリであった、間に合わなければ
ナイフは、確実に女生徒の胸へと、突き刺ささり、おおきな事件へとなっていただろう
誰しもが、そう確信した時
倒れそうになってまでも、限界まで腕を伸ばし、女生徒を救った栄斗は
そのまま、両腕を伸ばし、廊下に倒れた
受身すらする、余裕のなかった栄斗は、その衝撃を全身で受けるのだった
だが、それでよかった、自分が痛い目を被 (こうむ)っても
可愛い先輩が、怪我一つないのなら、それだけで、栄斗の心は満たされた

栄斗は床に手を付き、可愛い先輩の姿を確認しようと
上半身を起こし、顔をあげる

そこには、薄い青色の、逆二等辺三角形のレースの布が存在した


栄斗が倒れこむ時
大きく前に出された両手
その指先に何かが引っかかっっていた事に、やっと気が付くのだ

そう、それは先輩女子達の、スカート
そう、栄斗は倒れると同時に2人のスカートとズリ下ろした

そして、栄斗の視線の先には、スカートを脱がされ
下着を顕にした、2人の女生徒の、可愛いパンティーが存在した

「レースのフリフリですか、やっぱり先輩は可愛いですね」

「エロ斗、みるなバカ!」

唯一無事であった、2年の女子
その右手で、栄斗の顔を殴ろうとするも
それを止めようと、栄斗は、自分を守るため
殴ろうとする彼女に向かって両手を突き出した
スカートを、ずらされた先輩は、顔を赤らめ、一気にスカートを持ち上げるのだった
その力の篭った肘が、栄斗を殴ろうとする女性の体に当たったのだ

いきなりの事に、彼女は、バランスを崩し、体が前に倒れそうになるのだったが
その体は、斜めになった所で、停止した
そう、倒れそうになった彼女を、支えたのは栄斗である
叩かれるのが、嫌で伸ばした、その両手は、彼女の胸をワシ掴みしていたのだ
彼女は栄斗の両手を振り払い、自分の胸を両手で覆い隠し、その場にへたり込む

「もうやだぁ、何度目よう、コイツに関わると、ろくなことない」

「先輩、見た目より、けっこう大きいですね
 1年で成長しました?去年、揉んだ時より1サイズ大きくなったでしょ?
 あ、いや、これは不可抗力ですからね、倒れた時、スカートに指がかかったのも
 それに、今のは、手を伸ばしたら、おっぱいが降ってきたんですから
 ボクはわるくないですよ」

悪気もなく、言い訳をする栄斗
だが、誰しもがわかっていた、ワザとであるだろうと
スキルを使っただろうと!
だが、それを証明するものは、何一つ無いのだ
傍から見れば、すべて偶然である

そう事の発端は、先輩を助けようと行動を起こした栄斗
そこから、ドミノ倒しの様に、エロイ展開にすすんでいった
栄斗は何一つ悪いわけではない、本当なら
美男子に助けられた、女性は
「助けてくれて、ありがとう」と感謝し
ラブコメモードになりそうな展開なのだが
そんな事は有り会えない
すでに、ナイフの事なぞ、誰も覚えてはいないだろう

だからこそ、そんな、エロイ展開に成る事を期待して
栄斗の後ろに、男子達がついてきたのだ
そして、2人の女生徒は、たくさんの男子生徒の前で
パンティーを披露することとなったのだ
栄斗、それは女生徒から嫌われ【エロ斗】と呼ばれるが
ある男子生徒の間では【栄雄 (えいゆう)】とも呼ばれていた


スカート下ろされた2人
その反動で、ホックが壊れ、手を離すと、スカートがズレるのだ
そんな状態では、隼人の加勢もできず
胸を揉まれた女性も、それどころではない
彼女らは、少しでも速く、エロ斗の前から逃げだしたかったのだ

そう、これこそ、栄斗が銘打った、極悪非道スキル

「ラッキースケベ」

なのである


 
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