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異世界

モブ子

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彼女の名前は【クァトゥオル・ペタルム・フレイア】
ダークエルフの女性である彼女の年齢は、200歳とちょっとだが
長寿である、エルフ族の彼女の見た目は、人間にして20歳ほど
豊満な胸をもつ、グラマラスな褐色の肌をもつ女性である

今は、シオンの思いつきで【フォー・フレイア】と名を変える

彼女は、魔王【雷帝・レイ】と、その側近ミィーティアとミカに対面して
その恐怖から自我を失い、泣き叫んぶ事となったが

シオンの指示で、リルの作り上げた別空間に閉じ込められた
そこは、時間の概念がない虚数空間ではなく
時間の概念がある、普通の空間そうといっても
一面真っ白で上も下も解らない、空間に投げ出された

ただ、何もない、その白い空間に、フォーは漂よい
夢か幻か、解らない空間の中で
少しずつ平常心を取り戻していき
自分自信を、見つめ直していた

突如その空間に現れる、綺麗な薄紫の長い髪をなびかせる少女
その少女の一声は

「無様ですね、モブな人、たかが魔王と対面したくらいで
 貴方のようなモブが、あのフレイア一族と言うならば
 フレイア族の格も所詮大したことが無かったということですね」

「ちんちくりん・・・・・・」

リルの言葉に、反論すらできないフォーは
悔しさで再びその瞳を涙でぬらしていく

「ついでに言うならば、つい先程シオン様は
 貴方を見限りました、理由としては
 たかが魔王相手に、萎縮し使い物にならないなら要らないとの事です」

「た・・・たかが魔王だともうしやんすが
 あの雷帝・レイ様は、機嫌をすこんし損なっただえけでも
 都市を1つ崩壊させるほどの力の持つでありやんすよ
 それに、あれほどの魂と魔力を前に我にどうしろというのかえ?」

「普段どうり、憎まれ口を叩けばよろしいかと」

「ちんちくりん、我に死ねともうすかえ?」

「ハァ・・・・・先程も言いましたが
 シオン様の意図が理解できない様子ですね・・・」

「我が主シオンの意図とな?」

「その表現は、違いますね、貴方は既に、シオン様から見捨てられております
 すでに、シオン様の頭の中からは、一部を除き
 名前すら覚える必要の無い、すでに皆の記憶から消えかけている、貴方に対し
 呼び方も【モブ】となってますから
 まぁそれは、すでに捨てられた貴方にとって、どうでもいい事ですが
 シオン様は、今後、最低でも2人の魔王
 【雷帝・レイ】【サモンマスター・ギャルコレル】と戦う事を視野にいれ
 すでに、動き出しております
 それ以外にも、他の魔王や、それに匹敵する力の持ち主との戦いすらも
 視野に入れておられる事でしょう
 そんな中、使えそうだった魔法使いが
 魔王の前に立っただけで、恐怖で泣き叫ぶとは・・・・・
 その、シオン様の落胆ぶりは・・・
 私の想像を絶する物だったでしょう
 そして、貴方の事を見限った、シオン様の【ゴミ】か【ウジムシ】を見るような
 いや、多少は興味がある【ゴミ】や【ウジムシ】ならまだ知らず
 すでに、興味がなくなり、その視界に映し出される事すら無くなった
 貴方を見る、シオン様の何とも言えない表情、あの顔を
 その表現すらできない、お顔を見せてあげたいくらいです」

リルの、嘘っぱちの話
紫音は【おっぱい】の事以外にも、フォーの事を覚えているし
紫音にモブと無理やり呼ばしたのはリルであり
できれば、元魔王の、レンや、ギャル子とも、戦いう気はない
泣き叫んだフォーに対しても、それは、レンが悪いと思っている
そして、見捨ててもいないし、リルが言ったような顔でフォーを見てもいない
実際、フォーが落ち着いたら、再度、呼び寄せるつもりでもあるだから

だが、フォーは、その言葉を信じてしまう

リルの言葉で、フォーは、自分が本当に捨てられたのだと気が付く
この、少女が、初めに言ったように
自分は魔王相手に無様な姿を晒したのだ
それは、自分が主ときめた、シオンに泥をぬる行為であったと
それに、私は、シオンのその、全てを見捨てるような
【ウジムシ】以下の存在を見るシオンの顔を知っている
あの、倉庫と言われた、場所で、興味の無くなった敵を
目の前の煙を払うように殺し尽くした
慈悲も哀れみも、一分の感情すら無かった、あの顔だ

あの顔で、自分が見られていたと思うだけで
フォーの全身に震えが走り、心が張り裂けそうなっていく
震えを止めるため、身体を小さく固め震える身体を自身で抱きしめる
たかが、出逢って数時間しか立っていない男に
そこまで、自分が心を身体を奪われていた頃に、今更ながら気づくのだ

「我は・・・我は・・どうすればいい?教えてくれぬか・・・」

「それを、私にききますか?」

フォーは涙を流しながら、リルを見つめ頭を下げる
レイに対して頭を下げた、あれは恐怖で精神が崩壊し
本能的にとった態度だったのだろうが
今のフォーは、その心に誓った信念の為に
生まれて初めて、自分の意思で、その頭を下げる

「リル、我は、お主や、魔王にどう思われようがかまわぬ
 我の心の内にある魂も心も体も信念も
 何時如何なる時でも、主シオンと共にありたいと願っておる
 その為ならば、なんでもしようぞ」

頭をあげ、リルをまっすぐ見つめる、フォー

(シオン様と共に・・・・その言葉は・・・)

「わかりました、では、一度だけチャンスをあげましょう
 ただ【雷帝・レイ】相手に単身で攻撃できる位にはなりませんと
 シオン様には、会えませんが、それでよろしければ
 まぁ、それ以前に、【モブ】ごときに、選択権はありませんが」

「のぞむ所でありやんす、ついでに、主シオンの為に
 魔王すら倒せる力を手に入れようぞ」

「では、しばしお待ちを、モブの居た世界
 その世界の並行世界へとお連れ致しましょう」

「そんなことが!」

リルは、フォーの言葉を聞く前に姿を消し
再び、何も無い白い空間に、フォーは取り残される
そして、どれだけの時間が過ぎたのだろうか
フォーは突然、ある部屋へと投げ出される事となった




彼女の目に入るのは、豪華に飾られた部屋
そこで、自分に視線を送る人物たちの姿
1人は、数時間前に出会ったばかりの、女性リル
そして、リルと同じ様な服装の、銀髪の女性

そして、その存在が現実に居たのかと目を疑う、2人の人物

その1人は、鬼族の男性、その特徴である額に生える角それは
他の角を有する獣人や亜人の一族とは別格の存在
伝説、伝承の中の一族とも言われ
隠れ里に住み、まず人前には姿を表すことはない
その本来の力は魔人クラスとも言われている

そして、もう一人
見た目は人間のそれであるが
魂を感じ取れるフレイアの瞳には
その存在が何者であるかが分かったのだ
それは、トリアード、樹の妖精、こちらも伝説級の人物
精霊であるがため、人の姿で人前に現れる事は有り得ない
そんな事は、子供に聞かす絵本や、小説だけであるのだ

そんな伝説級の人物にフォーは感激する

そしてそれ以外に、フォーの感知に引っかかったのは
魔力を宿した、子猫と、小さな狐の置物
だが、幾つもの衝撃のなか、それは些細な事でもあった


フォーは周りを確認しながら、懐かしい感覚に覆われる
それは、この世界の独自の在り方であろう
全ての物に、魔力が通じて、頬を触る空気の存在さえも魔力がみちる
そして、リルの言った通り、自分の居た世界に戻ってきた事を確信する

そして彼女が、言っていた「あちらの世界に強制送還する」その、言葉は本当であり
異世界間の移動を可能とする、リルに心底、怯えるのだ



そんな、フォーの感情など、知った事ではないリルは
勝手に話をすすめる

「このモブは、フレイア族の落ちこぼれ
 シオン様が、どこからか拾ってきた魔法使いです
 ですが、いちよ、あのフレイア族だけあって
 魔法知識だけは、多少あるらしいので
 その知識を絞れるだけ絞って、使い捨ててください
 あぁ、間違えました、屋敷の下働きとして働かしてください」

「リル、話が違う」

久々に聞く、自身の世界の言葉に、同じく同じ世界の言葉で返す

「リル?また私の事をリルと呼びましたね
 そんな事だから、見捨てられるんですよ
 以前の用に【ちんちくりん】と呼ぶ、ふてぶてさが足りませんね」

「何の話か分からんが、こいつは使えるのか?」

「どうでしょうか? 
 いちよ今の予定では、夕方の授業を、前衛・後衛に分けて
 後衛の授業の講師に、このモブを宛てがう予定です
 あと夜の日本語の授業にも出席させ、日本語の勉強もさせます
 彼女専用の言語を勉強させる為、シオン様からBDも承ってますから」

「まぁいいさ、こっちは、常に人手不足だからな
 それにしても、毎度ながら、あのアホは斜め上の事を言い出すな」

「ふふふ、シオン様っすからね」

「リル、魔法の勉強はそれでいいが、武器持ちの訓練はどうする?
 オレが訓練するにも限界があるぞ
 それに、オレも自分の訓練で余裕はなくなるぞ」

「はい、そこは、ティアにお願いして
 前衛武器持ちの、魔人クラスの悪魔を数人頼んだところです
 明日には、此方に来るはずです
 ちなみに住み込みです、これで、ティートやレベッカは
 朝から寝るまで修行ができますね」

「さすが、お嬢、話が早いっす、ティート死ぬなっすよ」

「マジか!やっぱり、どこかの魔王に降伏しねえか?」

「それは、貴方達が決める事ですが
 その前に、ティートは腰抜けと、レベッカに報告しますね」

「おいまて、なんでそこに関係ない、レベッカが出てくるんだ?」

「なんででっすかね、まぁ関係ないなら、言っても構わないっすね」

「マリアが言うと、尾ひれが付きすぎて、何言われるか」

「そうですか?いやなら死ぬ気で強くなってください」

「くそ、やるよ、やればイイんだろ
 そうやって、最後には、お前らの言いなりかよ」

言いくるめられ、ため息と共に肩をがっくりと落とすティートだが
その瞳は、これから起こるだろう事を想像してか、輝いていた

「とりあえずの話は、終わりです
 また夕飯時、皆が集まった時に話そうと思います」

「それじゃぁ、オレは、今後の軍事編成と
 琥珀と銀が抜ける周辺警備の段取りの為に街のギルドに行ってくるわ
 あと、レベッカに変な事言うんじゃねぇぞ」

リルと、マリアに忠告して、部屋を出て行った

「じゃぁ、この【モブ】は、あたいが貰うっすよ」

そういって、戸惑うフォーの腕を掴み、早足で部屋を出て行った

「リル?話が難しいくて、わからないんだけど?
 私は、何をすればいいの?」

「プランタは、今まで通り、子供達の面倒を見てくれれば
 後は私達でやりますよ
 プランタはプランタで在る事が皆の励みになるのですから
 貴方はそのままで、皆を優しく見守ってくれさえいればいいですよ」

「うん、わかった、でも、みんな仲良くですよリル」

「はい、マリアも言っていたでしょ、喧嘩しても最後は皆仲良しと」

「そうですね、みんな仲良しです」

何かを納得した、プランタは、ゆっくりと部屋を後にし
子供達の集まる、ホールへと向かっていく

「コハク、ギン」

「にゃぁ」
「コン」

呼ばれて近づいてくる子猫のコハクと、コハクの上に乗る小さなギン
近寄ってきた、2匹に、リルは膝を折りしゃがむと、小さな声で

「シオン様が、あちらの世界で
 魔王【サモンマスター・ギャルコレル】と敵対する可能性が出てきました
 その原因は、先日その魔王の2人の配下の1人
 マスタークラスの侍と戦う事になり、シオン様は負けましたが
 レン様がその配下の1人に勝ち、事なきを得ました
 それによって、シオン様の予想では、今後大きな争いに巻き込まれそうなので
 もしもの為に、コハクとギンを呼び戻せの事です
 今度は、ずっとあちらの世界に、居れれるそうですよ
 それに、こちらの街も、そろそろ、落ち着いてきただろうとの事です」

それを聞いた、コハクとギンは、嬉しそうに鳴く

「私は数日此方に居ますし
 ティートが今後の警備の事をギルドに話に行きましたから
 遅くても1週間後には、シオン様の元に行けることを約束します」

喜ぶ2匹を見て、リルは、いつもの仕事へを戻っていく


屋敷では、すでに昼食の準備が行われていた
いつもの様に手伝う、リルと、マリア
そして、子供達からは、見慣れない女性が1人
マリアの指示で、意味も分からず働かせれる彼女に
好奇心旺盛な子供たちは、まとわりつく

「ねーちゃんだれ?」
「おばさん、日焼けは肌に悪んだぞ」
「おっばさん、おっばさん」
「くろーい くろーい まっくろーーー」

「うるさい、おばさんじゃない
 私は、フォー・フレイア、フレイア様とよびなさい」

そんな会話を聞いていた、リルが

「みんな、その人は、新しいお手伝いの【モブ子】さんです
 モブ子と、呼ぶように
 そして、モブ子、もし子供達に危害を加える事があれば
 約束は無しです、そして、貴方を何処かに売り飛ばします
 ですが、それは可愛そうですね 
 でしたら、ティアの所に、雷帝・レイの城にでも行って
 一生、働けるように、お願いしてあげますよ」

「リル・・・いや、ちんちくりん、覚えておきなさい」

ふふふと、笑いながら、フォーをからかうリルに
フォーは、いつか、その立場を逆転したやると、心にきざむ
その一方で、フォーの名前は、子供達に【モブ子】と定着しつつあった

騒がしい昼食も終えて、徐々に、フォーが何もできない事が、あからさまになっていく
食事の後の洗い物は出来ない
掃除の仕方もしらない
洗濯の仕方も解らない
さすがの、プランタも驚くほどである
そして、200歳を超えて初めて、何も出来ない自分に気がつき
本気で恥ずかしく、落ち込むフォー

そして、子供達の世話をする年長組の3人の獣人の女の子にも

「なにこのダークエルフ、子供たちより、手が掛かるんじゃないの?」とか
「コノ、おばさんナニ?子供たちデモ、自分の事は自分で出来るノニ
 いまマデ、どうやって生きてきタノ?あんたいったい何様?」
「仕事が減るどころかぁぁぁ、増えるいっぽだしぃぃぃ」

とか、言われる始末である

そんな、肩身を狭くする彼女
それを見た、プランタは、微笑みながら話し出す

「みなさん、世の中には色んな人が居るのですよ
 この人は、実は森の守護者である、エルフの一族ダークエルフです
 そして、彼女はダークエルフの王女様・・・・だったのかもしれません
 ですから、何も出来ないのは、仕方のないことなのです
 と、思って接してください
 実際は、大陸北の、ダークエルフ・フレイア一族の、落ちこぼれだそうですが
 みなさん、仲良くしてあげてね」

子供たちは笑いながら返事をしたのだった
その一方で、年長組の3人は横で陰口を、ブツブツとこぼしていた


*******


そして子供達は、自由時間となり
好き勝手に遊びだす
そして、ホールの片隅に集まる子供たちに近づくフォー
そこには、見たことのない道具で遊ぶ子供たちの姿があった

「それはなに?」

「ん?モブ子は、ゲーム知らないの?」
「日本のゲームなんだって、リル姉が、くれたのー」
「あっちに、大きいのあるよ」

少年が指差す先には、大きな黒い板のような物が、数枚置かれており
今、他の少年が電源を入れる所であり
電源を入れた瞬間、黒い板に煌びやかな絵が映し出された
そして、その絵は、驚くことに動き出したのだ
驚く、フォーに、子供たちは、大笑いする

「それは、テレビっすよ、あっちの世界で、見なかったすか?
 科学文明の産物らしいっす、これで、驚いていると
 ここでは、やっていけないっすよ
 そして、モブ子には、仕事を覚えて貰わないといけないっすから
 遊んでいる時間はないっすよぉぉぉおおぉぉぉーーーーーー」

「わたしの、なまえはぁぁーーー  フォーーーーーーーーー・・・・・・・」

マリアは、フォーの腕を引っ張り、駆けていく
子供達の耳に残るのは、叫びに似た、誰かの名前だけだった


そして、夕食時に、フォーは子供達に紹介され
リルは、今後この街が戦争に巻き込まれる可能性を伝える
その事が理解できるもの、出来ないものが居る中
泣く者や、怯える者は少なかった
その反面多くの者は、街を、いや、屋敷の仲間たちを守るため決意を決める

数年前まで、シオンが恐怖と力で、支配していた街である
そして、ここにいる8割以上が、奴隷としシオンに怯え暮らしていた
その頃の苦しみを、考えれば、2度と奴隷に戻りたく無いのであろう
その為に、日々色々な、勉強や、訓練をしているのだ

そして、街の決定を待たずして
屋敷では、戦いに向けて準備を始めていく
そして、次の日には、ミーティアから指示を受けた
魔人クラスの、アロンティクと、その部下3名が、駆けつけた
そして、やる気のある物を集め、訓練が開始されていった



そして、日は代わり、再び街の代表者が集まる
今回、集まった場所は、街に在る、ギルドの2階である


今度は、ツァンガ、ティアンガ、ビストリア・ヨン、だけではない
それ以外の、街の格責任者たちも多く集まる
警備主任であったり、ギルド長や、役人達である
それ以外にも、街に滞在する、冒険者チームのリーダー達
信頼の置ける人物が数名である

屋敷からは、リル、マリア、ティートの3人
そして、ミーティアである



そして

いつ起こるか、解らない戦いに向けて
街の存亡を掛けた、会議を進めていくのだった




そして、次の日の朝
リルは、一度、ミーティアの居る、レイの城へと出向き
ミーティアと一緒に、科学魔法文明の現代へと次元転移していく


リルとミーティアは、いつも部屋へと転移してくる
そこには、PCをイジる、赤髪の男性と
TVアニメ【撲殺少女いのり】に集中している女性の姿があった

「レン様ただ今帰りました」
「ただいまです」

「おう、おかえり、ティア向こうはどうだった?」
「はい、むこうでは・・・・・・・・・・・」

レンと、ミーティアは話し込んでいく

それを他所に、リルは、その場に居ない紫音を探しに家の奥へと足を向けた




*****


この世界から、異世界へ転移し、戻ってきた2人
その間、この世界では、5分ほどしか時間が進んでいなかった

リルの使う【次元転移魔法】
それは基本、異次元の時間軸に干渉しない
転移した異世界で、どれだけ過ごそうが
元の世界に戻る時の時間のズレは5分ほどである

その為、リルは、紫音の指示の元、毎日、2つの世界を行き来し
どちらの世界でも24時間をすごし
転移できる世界の時間を、同じように勧めていた

そうなると、リルの時間だけ2倍の時間を経過する事になるのだが
リルの魔法の1つ【ウィ・ディ・ソコ・マ・ルオ (復元召喚)】
この魔法は、過去の肉体を復元し召喚するものであり
その対象は、死んでいなくてもいいのだ
そう、過去の肉体、その遡る時間の制限と、ある数個の制約は有るものの
リルは、その肉体が年をとる事を嫌い、数日に1回ほど
自分の体に対して、その魔法を使うことで、身体の成長をセーブしていた

そのため、後の結果として、リルの魂が体に馴染み
その体がリルに近づくのが約1年を要したが
ミーティアと、ミカは、半年もかからず、個人の魂と肉体は同化していった


*****



そうして、リルと紫音は、レン達が居る家を後にし
静岡の、リルが暮らすマンションへと戻っていく

そしてリルは、倉庫での戦いの前に、紫音との約束と共に
3年にも及ぶ、禁欲生活に終を迎えるのだった・・・・




そして、その生気を、全てリルに絞り取られた紫音は
身体を引こずり家に帰り、やっと休めるはずだったが
それを許さなかったのは、双子の妹、鈴である
彼女は、その屍と化した身体を、引こずり学校に向かうのであった

そして、今まで通りの
適当にダラダラとした生活
友達と共に、楽しく自由気ままに送っていた学校生活が
無くなっていく事を、イヤイヤながら感じていたが
屍と化した紫音は・・・・・

ただ・・ただ・・・学校を休んで眠たいのだった


 
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