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覚醒編
54話 とある場所に・・・。
しおりを挟む数日後、紫音の元に、書面にて、とある情報が届く
紫音は、すぐさま動く事はない
紫音の下 (もと)には、極秘で動ける最適な人物が居るのだ
井門から届いた情報を元に、その人物は、誰も認識できない次元の狭間から調査を行う
そう、その力を使って、どこにでも入り込む事が出来る
そして、その力を使って、汚職が噂される大物政治家から
表に出せない、お金を盗んだのだ、その気になれば
日本最大手の銀行の貸金庫の中身だけ盗む事も可能なのだ
そこまで、すごい人物なのだが、ある欠点もある
ただ、紫音の言うことを聞かない
紫音の傍を長時間離れる事を、嫌うのだ
調査に出しても、半日もせずに、戻ってくる
誰かを監視、尾行させても、「飽きました」と言って戻ってくる始末なのだ
基本、身内以外の人間は、害虫程度にしか見ていない為だろう
誰しも、どうでもいい害虫を数日、尾行、監視しろと言われても無理だろう
そのへんは、紫音もすでに諦めてはいた
そして、紫音の意図する事を全て理解できない、理解しようともしないのだ
そこまで、紫音も真意を説明する気もないのだから、仕方ないだろう
もし、紫音の思い通りにこの人物が動き、紫音の意図を全て理解できたなら
紫音の知りたい情報は、全てその手の内に集まっただろう
そして、井門の情報と、リルの情報を元に
紫音は行動を起こす事となる
**********************
5月に入り、連休を静岡のマンションで過す、紫音と鈴達
鈴は、連休を利用して、とある定食屋の手伝いをすることになっていた
そして数日すぎ、5月5日の夜8時少し前
紫音は部屋着から、外行きの服に着替えながら
「さて、今日の留守番はどっちにするかな」
その言葉を聞き、紫音の足元にいた、2匹の動物は紫音に訴えかけた
「にゃぁ!」「コン」
「ほうほう」
「にゃにゃにゃにゃぁぁぁにゃ」
「コンココンコンココンコン」
「そうかそうか」
「コン!」
「へーー」
「んにゃぁっぁ~~~~~」
「マジか!」
「紫音様?前々から気になっていたんですが」
「ん?何?」
「コハクと、ギンの言葉がわかるのですか?」
「今更何をいってんだ、この2人は俺の使い魔だぞ
こいつらの言葉なんぞ・・・・
ハハハ、まったくわからん!わかるわけがない
日本語しゃべれってんだ」
笑いながら答える紫音に、呆れ顔のリル
「やっぱり、わかってなかったんですね・・・」
「ニャァーーーー」
「コーーーーーーーン」
そして、コハクとギンは、大きな声を上げて抗議する
その声に引かれたのか
風呂上りの鈴が、髪の水気をタオルで抜きながら
近寄ってきて、声をかける
「あれ?紫音どっかいくの?」
「あぁ、ちょっと遊びに行ってくる」
「ふぅ~ん、きよつけてね~、あ、リル」
「はい、なんでしょう?」
紫音の頭位の高さで、ふわふわと飛んでいた
15cm程の少女が返事をした
「明日朝5時半に、お願いできる?」
「はい、わかりました、それまでには帰ってきます」
そんな、何時もの会話をして、紫音はギンを連れ、リルと共に転移していく
ギンを選んだのは、ただ単に、前回ギンが留守番だった為である
**********************
同日、午後6時
フルスモークの高級外車が、とある建物の入口の門の前に止まる
入口の警備員が、出てきて車の人物を確認すると
焦ったように、入口のゲートを開いた
そして、その車は建物の奥に消えていく
そこは茨城県、加波山、そのふもとにある研究施設
連休と言う事もあり、研究所に居る人間は、何時もの5割程の人数だろうか?
その為もあろうか、研究所は静まり返っていた
そして、今しがた研究所に付いた人物は
研究所・所長室、その部屋を訪問する
「お久しぶりです、四条さん」
「やぁ、山之辺所長、休みの所すまんな、今日しか時間が空かなくてな」
研究所、所長室の主
東南アジア系の血が混じっている人物
日本生まれ、日本育ちの
少しアクの強い顔立ちの中年太りの男性
ライカイロ・山之辺 (やまのべ)
そして、スーツをビシっと着こなす訪問者は
十士族の1つ四の字を司る一族
現当主の息子の1人である
次男の、四条慎二 (しじょう・しんじ)である
兄と共に、若くしてその才能を発揮し、四条財閥を盛り上げていた
そして、テーブルをはさみ
座り心地の良さそうな、大きなソファーに向かい合うように座る
そして、会話は続いていく
「それで、所長、次の案は浮かんだか?」
「それが、まだ、あの三千風先生いれば、筑波の奴らを出し抜けたんですが
あれ以上とは、言いませんが、それに匹敵する、妙案は今のところ・・」
「あぁ分かっている、親父 (オヤジ)からも、聞いている
士族からの通達で、あの先生が今後、拉致されれば
十士族の戦闘部隊が動くことになるらしい」
「それでは・・・」
「あぁ、今後、あの先生には手が出せなくなった
先生を、狙っていたは組織が有りすぎて
前回の事は、上にバレていないから、良かったもんだが
もしバレてたら、私は、この名を【四条】の名を無くす所だった」
少しの沈黙の後、2人は今後の方針に付いて言葉を交わしていき
時計の針が8時を超えた頃、研究の成果を見るため
2人は部屋を後にし、実験場に足を向け歩き出す
そして、元々は、何かの工場だった、この研究所
実験場は、その名残だろうか、かなり広い
だが、白を基本とした室内は綺麗にされており、清潔であった
その真ん中の通路のを研究を確認しながら歩く
通路の両脇には、大きなガラスの筒状の物があり
その中には、裸の男性の姿があった
それは、作られた肉体、ある男性のクローン体である
その1つが1つが、大きな装置であり
高精度な最先端コンピュータで制御された物である
そんな大きな装置が、約200機
人間だと確認される、クローン体が精製されていたのは、50機ほどであろうか
事実、研究の為、作っては廃棄、作っては廃棄なのだから
意志を持たない、動かないクローンなど、現在、研究以外に使いようがないのだ
もしあったとしても、新しいクローンで代役できるというものだ
そして、通路一番奥に、一際大きな装置が幾つも並んでいた
そこにいる、白髪の男性に声をかける
「博士、調子はどうですか?」
「ん?四条か、あぁ、調子もどうも、ほとんど (研究は)すすんでない」
「やはりですか・・・」
「スキャンする限り、大脳は正常に動いている
そう、ボディーはパーフェクトなんだ
何が足りないのかか解らない
誰か教えてくれ!!」
白髪頭を掻きむしり、激情する博士と呼ばれた老人
彼も、有名な学者である、クローン技術に惹かれ10数年は昔から
この地にて研究に没頭していた
そして、博士と呼ばれた老人は
2人の来客に、色々説明していいく
その人体科学、脳科学に関する説明は、2人には理解不能
近くにいた博士の助手である人間も高度すぎる博士の理論には付いて行けないでいた
毎度の用に、一度話し出したら長い愚痴に近い、そんな話を
永遠に聞かされる事を覚悟した、回りの人間達を救ったのは
研究所内に鳴り響いた、緊急警報のブザー
そして、所内放送で研究所に伝えられた言葉は
「所長、侵入者です」
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