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中等部・合宿編
30話 倉庫格闘戦 開戦
しおりを挟むとある港の倉庫街
その先の防波堤に小さな灯台があり
狭い港を照らし出していた。
その灯火が届かない天空には、幾万の星が輝く
その光の一つが防波堤に落ちてきて
光は小さくなり4人の姿があらわれる
1人は、残りの3人に1回手を振り姿を消し
小さな光は、ふわふわと何処かに飛んでいった。
180cm程の、ブカブカのズボン、スカジャン姿の男は
右手で木刀を肩に担ぎ
左手で黒い仮面を装着し具合を確かめながら
「さて行くか、何がでるかな?」
ニヤリと笑いながら、ある倉庫に向けて歩き出す。
その横で歩くは、隣の男よりすこし背の低い
ジーパンにロングコートの男
シルエットだけなら、線の細いいい男風だが
顔には姿格好とは似合わない、ひょっとこの仮面をつけていた。
「何があるんだ?知ってんだろ?教えろよ」
「まだ、憶測の域でないからな、予想通りなら、その内わかるさ」
「そうか、まぁそれも楽しみでいいか!」
そんな2人の後を付いていく1人の女性の姿がある
170cm程の黒尽くめ姿であるが
シルエットを見ただけで、美人だと分かるだろう。
3人は倉庫まで続く
300メートル程続く真っ直ぐな道路を歩き出した。
数歩後ろを女性は、前を歩く2人を、不思議そうに観察していた。
前を歩く2人の男性は
帰ったら何を食べたいとか
休みの間に何処に遊びに行くとか・・・
まるで、部屋で寛ぎ
たわいも無い話をしているかのように言葉を交わす。
時折二人は
暇つぶしか、手持ち無沙汰か
持っていた木刀を振り回している
まるで飛んでいる虫を追い払うかのように・・・。
フォーは、これから自分を召喚した奴らを襲撃すると聞いていた
これは、レンと言う男の妹を襲った連中でもある
この連中は、沢山の魔法使いがいて、武装した人間もたくさんいた・・
そんな連中に遊び半分の様なこの2人が勝てるのだろうかと
レンは、巨大な魔素量があるが
我が主シオンは・・・・・・・・
森での戦闘では、あの護衛の人間に手を抜けれた上で
勝ちを譲って貰ったように見えた
シオンは、自分が弱いと言っていたが、この余裕は・・・
そんな思い募らせながら
右手で先程から、降りかかる小さな粉を払いのける
それにしても、二人が木刀を振るう度に小さな破裂音と粉がが舞い散っていた。
*******
「ふぁぁぁ~~~~~~」
男は倉庫の屋根の上で,あくびをすると、隣の男に、肩をつつかれ
「寝るなよ」と起こされる
すでに時計は午前2時を越えていた。
2時間以上前に
今回の作戦総司令である、高津から
最大警戒で周囲の監視命令で
屋根に待機、監視しているのだが、人っ子1人現れないのだ
退屈で睡魔が襲うというものだ
もう1人の男と、小声で
「本当に来るのか?こっちには数十人いるんだぞ?」とか
「来るのって4,5人らしいぞ」とか、
「すでに何人か逃げたらしいぞ?どうする?」とか・・・・
周りを監視しながら、眠気覚ましに会話を続けていると
それは、灯台の方向に不思議な動きをする、光をみつける
寝ぼけていた男は夢でも見てるのかと
デジタル双眼鏡を覗き込みもう1人の男に指示を出す
その男は、ライフルのスコープを覗き込み絶句する。
その光は数百メートル先の防波堤の近くに降り立ち
小さな光になり、ふわふわと飛んでいった
驚愕したのは、そこに居るはずもない4人の姿が現れた、いや3人である
どうやって、そこに現れたかわ分からないが
その一人は報告にあった男の姿と一致する、
ロングコートに仮面そして武器だと思われる木刀、ただ服は着ていたけれど
寝ぼけてた男は、頭を左右に振り脳味噌を叩き起し
耳に付けている無線機で高津に報告をいれる
もう一人の男は、身体を低くし、ライフルを構え射撃体勢を取る。
倉庫は、1階は大きく数ブロックに区切られていて
それを見渡せるように2階に休憩室に使われていただろう部屋が数部屋ある
その一室で、高津は、苛立っていた、撤退準備を進めてはいたが
速見から、この場所が襲撃受けると連絡があって
最大警戒で、数時間待っていたのだ。
高津は作戦総司令といっても
反十士族グループ
血で染まる赤き意思【レッドストーン】の幹部であったが
上からの命令で、詳しい詳細無しで作戦を決行している
そして上層部からは、四条優美誘拐が失敗に終わり
御叱りを受けていたのだった。
そんな高津に
3人の正体不明の人物
その1人は、速見の報告のあった人物の可能性ありと報告がはいる。
「3人だと、なめてるのか!」
そして、部下達も、ざわつく
「さわぐな、全員に通達、敵は3人
出来るなら捕まえろ、生きて喋れれば
手足の2・3本なくても構わん、無理なら殺せ」
「俺の所まで殺すなよ!俺が3人とも潰す!
そして、その死体を速見に見せつけてやる」
と、まず怒りを表したのは鷲尾である
そして高津は命令をくだす
その言葉に反論するかのように鷲尾は追加命令を下したのだ
そして数人は無線にて全員に通達する、そんな中
「速見ヤられたんだって?
ワシにも1人位相手させろ」
腰深く椅子に腰掛けプロレスラー並の体格の50代の男が口を挟む
九重拉致部隊隊長の、小宮である。
そんな攻撃的な人間の中
175cm程のスラリとした体型
背広を来たオールバックのメガネの男【島崎】は冷静に戦況を確認しているが
目線の先には客人と呼ばれた男を監視警戒していた。
殺せの言葉に
微かに反応した客人と呼ばれた1人の男
その風貌は変わっていた
腰から下は足元が隠れる程の黒い袴に
腰には、太刀、脇差と日本刀が2本
腰から上が、赤いTシャツに丈短めのGジャン、大きめのテンガロハット・・と。
部屋の片隅で壁にもたれ
深々と被ったテンガロハットを右手で抑えながら
1階を眺め見ていた、その男の口元が微かに緩む。
そして誰も居ないはずの空間が微かに歪み
そして気配が無くなる
それに気づくのは客人と呼ばれた男だけであった。
そして、高津・島崎
そして数名の部下を残して
各自所定の位置に着くため移動をかいしする。
そして、海に面した灯台に続く道路では、すでに戦闘が開始されていた。
倉庫前の、建物や、車の影に隠れた数名が
近寄る人影に向けてライフルで狙撃していた
魔法処理で発砲音は撃った本人さえ気づく程度の大きさである。
狙撃手達は冷や汗をたらしていた
それは何発撃とうが目標に当たった形跡がないのである
初めの数発は通常のライフル弾を使用してはいたが
当たった形跡が無いことから
物理系魔法障壁があるのかと
実弾から、魔法弾に変更をする
制度は多少落ちるが、距離は200メートルも無く
そんなもの誤差であったが当たった形跡がない
スコープから見える姿は変わることなく、こちらに向けて歩いてくる
信じられない光景に、狙撃手達に、動揺がうまれた・・・そして・・・・
ライフルを持つ手が、解らない恐怖で震えだし、背骨に寒気が走り
立っていた者は膝から崩れ落ち、膝を着いていたものは、前のめりに倒れこみ
狙撃手の数名は意識を途絶えていった・・・。
紫音と、蓮は、言い争っていた
「今ので34」
「は?関係無いのまで、潰してるがな!それは数えるなよ!26」
「俺の後ろにフォーいるから、そっちも入れてだ 36」
「おいおい、シオン卑怯じゃないか?28」
「まだ、距離あるな・・着くまでずっとこれか?38」
「面倒ではあるな。飽きたし、シオンの勝ちでいいか、おいミカ」
『ほほ~~い』と、ミカが念話で答える
『ライフルうざい!潰せ』
『殺しても?』
『・・・・とりあえず、殺さない方向でだな』
『ッチ・・へ~ぃ』
軽く舌打ちをして、テンション下がり気味でこたえるミカ
姿を消して、上空で待機していたミカは、そのまま倉庫前まで行き
蓮を、ライフルで狙撃していた数名の精神をロックすると
すこし上昇し、両手を前に伸ばし両手を開き人差し指と親指で三角形を作る
そして、小声で唱える
「Spirit Of Broken 悪魔覇気」
これは、魔法詠唱ではない
レンの、部下である、ミカと、ミーティアの本来の姿は
高密度精神体・簡単に言うと悪魔である
こちらの世界では、仮初の肉体で存在を維持しているため
本来の力は完全には発揮できないのではあるが。
これは、悪魔なら、誰でも使えるだろう能力である
自身の悪魔の覇気を飛ばし
恐怖で相手の精神を破壊するという、スキルである
能力の為、詠唱の必要などないが、それは気分の問題だけであろう。
本来の1割の力しか出ていない、覇気である
強い精神力があるなら、レジストも出来るであろうが
普通の戦闘員、それも後方に隠れている様な狙撃手では、まずレジストは無理であろう
すでに、弾が当たらない事により
動揺が生まれており、精神に付け込む隙はできていた
これにより、狙撃手達は恐怖に負け、崩れるように意識をうしなったのだった。
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