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50 桶狭間の戦い 1
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永禄三年(1560年)五月
尾張 清洲城
清洲城では信長以下重臣達が集結し、重苦しい空気が部屋を支配していた。
そこに物見の兵が駆け込んで来る。
「今川義元の軍、総勢二万五千あまり、一路尾張を目指し侵攻しています」
「……で、あるか」
目を閉じたまま、言葉少なく頷く信長。
「殿、此処は籠城するしかござらん」
「いや! 野戦に討って出るべきじゃ!」
「何を言う! 数が違い過ぎるわ!」
「臆したかお主!」
「儂を侮辱するか!」
「静まれ!」
あまりの大軍に、籠城をするか野戦に討って出るか言い争う家臣を信長が一喝する。
「兵達に十分飯と休養を与え待機しておれ」
「丸根砦の佐久間殿と鷲津砦の織田玄蕃允殿と飯尾殿に直ぐに援軍を送るべきでは?」
「要らん。必要ない」
「なっ!? 玄蕃允殿は殿の大叔父ですぞ!」
「誰も見捨てるなどとは言うておらぬ。丸根砦と鷲津砦は考えずとも大丈夫だ。明朝丹下砦に入り、善照寺砦から中島砦へ入る。その準備を怠るな」
「それでは今川方の先鋒部隊と本隊の挟み撃ちに遭うのでは?」
「先鋒の事は考えずともよい。評定はこれまでじゃ」
そう言うと信長はさっさと評定の間を出て行ってしまった。
不安と焦燥に騒つく中に太い声が響く。
「落ち着かれよ各々方!」
森可成の落ち着いた声に、評定の間がしんと静まり返る。
「殿のお考えは某にも分かりもうさん。しかし殿が今川方の先鋒を考えずともよいと仰るのなら、我等はそれに疑いを持たず、あとは今川義元の首をとるのみ」
「三左衛門殿の言う通り、我等は槍にて難局を切り開くのみに御座る!」
「権六殿……」
森可成が信長の指示に従えばよいと言い、それに柴田勝家が賛同した事で、その場の雰囲気がガラリと変わる。
そして各々が出陣の準備をする為に部屋を出て行った。
史実では、散々苦労した信長の尾張統一だが、守護の斯波義統が健在で、しかも信長の庇護の下御輿としての役割を果たしている。
そのお陰もあって、尾張は然程混乱する事なく治める事が出来ていた。
勿論、その影に源四郎達や八部衆の働きがあったのは言うまでもない。
永禄三年五月十九日未明、今川方の松平元康が大高城より千の兵を率いて、佐久間大学が守る丸根砦へと出陣した。
同時刻、今川方の朝比奈泰朝、井伊直盛が率いる軍勢二千の兵が、織田玄蕃允・飯尾定宗父子ら五百の兵が籠る織田方の鷲津砦へと攻めかかる。
僅かな守備兵が籠る二つの砦は、援軍なきまま簡単に落とされると思われた。
それは今川方の松平元康や朝比奈泰朝・井伊直盛、織田信秀に重用されながら信秀の死後、今川方に寝返り、今川方の岡部元信などの駿河勢を引き入れたばかりか、大高城や沓掛城を調略により奪取していた山口教継も同様だった。
ただ、それは割菱紋と笹竜胆に、仁・義・礼・智・信の五常の旗が翻り、赤備えの百鬼夜行が出現した瞬間、戦場は地獄の獄卒による狩場と化す。
同日未明、清洲城で出陣の太鼓が打ち鳴らされる。
戦装束に身を包んだ信長が号令をかける。
「我等は、丹下砦に入る。出陣じゃあぁ!!」
「「「「オオォォォォーー!!」」」」
信長はそう言うと、僅かな供回りを連れ馬で駆け出す。
織田家の武将と兵がそれを追いかける。
◇
丸根砦
大高城から出陣した、松平元康率いる兵千は、全てが三河者で構成されていた。
今回の尾張侵攻では、三河の松平家や遠江の井伊家など、三河者や遠江の人間が先鋒を命じられている。
「掛かれぇーー!!」
松平元康の号令で、千の三河兵が丸根砦へと攻めかかる。
三河兵の士気は高い。
この戦さで活躍し、松平宗家の当主元康を盛り立てて、三河の地を取り戻す悲願があるのだ。
だが、その勢いは突如出現した赤備えの軍勢に砕かれる。
「と、殿ぉ! 笹竜胆と割菱紋、五常の旗印は、北畠左近衛少将義具の軍勢です!」
「なに! 慌てるな! 敵は寡兵である。迎え撃ち速やかに殲滅するぞ!」
「「おう!」」
その元康の落ち着いた判断は、流石次代の東海一の弓取りだった。相手が尋常ならざる鬼の軍勢でなければ……
丸根砦を攻める松平元康率いる千の兵に襲いかかったのは、大之丞率いる二百の赤備えの精鋭兵。
五倍の兵を相手に臆する者など居ない。
「喰らい尽くせぇ!」
「「「「オオォォォォーー!!」」」」
未だ明けやらぬ未明の空に鬼達の咆哮が響く。
赤備えから赤い闘気(プラーナ)が湯気のように立ち昇り、巨大な鬼を幻視させる。
戦さ馬鹿の三河兵は精強で知られている。見たことも無い赤備えの鎧兜に身を包んだ北畠兵を見ても臆する事はなかった。
所詮は寡兵、押し包めば終わると誰もが考えていた。
そこに魂を震わせる咆哮を聴き、人間として根源的な恐怖に見舞われる。
松平元康は、目の前の光景が信じられず、戦場にある事も忘れ呆然と立ち尽くしていた。
百足の前立ての兜を被った大之丞が氣で強化された大身槍を横薙ぎに一振りすると、貧しい暮らしの中自分について来てくれた三河兵が纏めて葬られる。
その近くでは、蜻蛉の前立ての兜を被る小次郎が、精強な筈の三河兵をボロ切れのように蹴散らしていた。
「と、殿! 此処は撤退を!」
「……はっ、そ、そうだな」
最初の一当てで自軍の三割以上が斃された。そして今、僅かな時間で千は居た筈の三河兵が全滅しかけていた。
本来、戦さで大敗とはいえ全滅など有り得ない。
しかし今回は、撤退を判断した時には既に兵の半数以上を失っていた。
三河兵が元康を旗印に、三河統一を夢見ていた事も逃げる判断を遅らせた。
「我等も出るぞぉ!」
丸根砦を守る佐久間大学が砦から討って出ると、開戦から半刻も経たず松平元康率いる今川勢は全滅する。
その後、佐久間大学は僅かな兵を丸根砦に残し、大之丞達と大高城へと向かう。
大高城に残る鵜殿長照を攻め、後顧の憂いを断つ事を源四郎から命じられていた。
鵜殿長照は大高城で籠城するも、昼を待たず大高城は落とされる事になる。
◇
鷲津砦
鷲津砦を攻めるのは、遠江の井伊直盛と今川家重臣朝比奈泰朝率いる二千の兵。
五百程度の城兵が守る砦など一蹴出来ると今川方の誰もが思っていた。
「さて、此処をさっさと蹴散らして、今川方の前衛を潰しに行くか」
「殿、先駆けはお任せを」
「でしゃばるな慶次郎。先駆けは俺だ!」
「虎慶の足じゃ俺について来れないぜ」
俺がそろそろ仕掛けると言うと、慶次郎と虎慶が先駆けを自分がと争い始める。
「どうせ短期決戦で蹴散らすんだ。全軍で突撃するぞ」
「では、慶次郎、虎慶、お先だ!」
そう言って俺と六郎が駆け出すと、赤備えに身を包んだ北畠の精鋭が続く。
この鷲津砦や丸根砦から桶狭間山近辺は、平地が少なく、この後山越えで今川軍に横槍を入れる予定なので、馬は持ってきていない。
黒影とその子供たちならけもの道でも平気なのだが、俺たちと精鋭兵なら移動も神速だ。
「あっ! ずるい!」
「ま、待って下さい殿ぉ!」
慶次郎と虎慶が三日月斧槍と金砕棒を手に駆け出した。
東側から攻めたてる今川勢を俺達は、北側の前ノ輪村方面から、地獄の獄卒が襲いかかった。
俺自ら打ったパルチザン(雷破)を振り回すと、ダンプカーに轢かれたかのように今川方の兵が飛び散る。
飛び散る兵は、ある者は上半身と下半身が分断され、ある者は頸を飛ばされ、またある者は四肢を失っている。
慶次郎の三日月斧槍の餌食になった兵と、虎慶の金砕棒の餌食となった兵も、悲惨な末路を辿っていた。
分厚いクレセントアックスの刃にかかり、鎧ごと断ち切られ、文字通り金砕棒に叩き潰される。
その様を見て、士気を保つ今川兵は皆無だった。
最初に井伊直盛と遠江勢が逃げだすと、戦況は一気に終結へと向かう。
尾張 清洲城
清洲城では信長以下重臣達が集結し、重苦しい空気が部屋を支配していた。
そこに物見の兵が駆け込んで来る。
「今川義元の軍、総勢二万五千あまり、一路尾張を目指し侵攻しています」
「……で、あるか」
目を閉じたまま、言葉少なく頷く信長。
「殿、此処は籠城するしかござらん」
「いや! 野戦に討って出るべきじゃ!」
「何を言う! 数が違い過ぎるわ!」
「臆したかお主!」
「儂を侮辱するか!」
「静まれ!」
あまりの大軍に、籠城をするか野戦に討って出るか言い争う家臣を信長が一喝する。
「兵達に十分飯と休養を与え待機しておれ」
「丸根砦の佐久間殿と鷲津砦の織田玄蕃允殿と飯尾殿に直ぐに援軍を送るべきでは?」
「要らん。必要ない」
「なっ!? 玄蕃允殿は殿の大叔父ですぞ!」
「誰も見捨てるなどとは言うておらぬ。丸根砦と鷲津砦は考えずとも大丈夫だ。明朝丹下砦に入り、善照寺砦から中島砦へ入る。その準備を怠るな」
「それでは今川方の先鋒部隊と本隊の挟み撃ちに遭うのでは?」
「先鋒の事は考えずともよい。評定はこれまでじゃ」
そう言うと信長はさっさと評定の間を出て行ってしまった。
不安と焦燥に騒つく中に太い声が響く。
「落ち着かれよ各々方!」
森可成の落ち着いた声に、評定の間がしんと静まり返る。
「殿のお考えは某にも分かりもうさん。しかし殿が今川方の先鋒を考えずともよいと仰るのなら、我等はそれに疑いを持たず、あとは今川義元の首をとるのみ」
「三左衛門殿の言う通り、我等は槍にて難局を切り開くのみに御座る!」
「権六殿……」
森可成が信長の指示に従えばよいと言い、それに柴田勝家が賛同した事で、その場の雰囲気がガラリと変わる。
そして各々が出陣の準備をする為に部屋を出て行った。
史実では、散々苦労した信長の尾張統一だが、守護の斯波義統が健在で、しかも信長の庇護の下御輿としての役割を果たしている。
そのお陰もあって、尾張は然程混乱する事なく治める事が出来ていた。
勿論、その影に源四郎達や八部衆の働きがあったのは言うまでもない。
永禄三年五月十九日未明、今川方の松平元康が大高城より千の兵を率いて、佐久間大学が守る丸根砦へと出陣した。
同時刻、今川方の朝比奈泰朝、井伊直盛が率いる軍勢二千の兵が、織田玄蕃允・飯尾定宗父子ら五百の兵が籠る織田方の鷲津砦へと攻めかかる。
僅かな守備兵が籠る二つの砦は、援軍なきまま簡単に落とされると思われた。
それは今川方の松平元康や朝比奈泰朝・井伊直盛、織田信秀に重用されながら信秀の死後、今川方に寝返り、今川方の岡部元信などの駿河勢を引き入れたばかりか、大高城や沓掛城を調略により奪取していた山口教継も同様だった。
ただ、それは割菱紋と笹竜胆に、仁・義・礼・智・信の五常の旗が翻り、赤備えの百鬼夜行が出現した瞬間、戦場は地獄の獄卒による狩場と化す。
同日未明、清洲城で出陣の太鼓が打ち鳴らされる。
戦装束に身を包んだ信長が号令をかける。
「我等は、丹下砦に入る。出陣じゃあぁ!!」
「「「「オオォォォォーー!!」」」」
信長はそう言うと、僅かな供回りを連れ馬で駆け出す。
織田家の武将と兵がそれを追いかける。
◇
丸根砦
大高城から出陣した、松平元康率いる兵千は、全てが三河者で構成されていた。
今回の尾張侵攻では、三河の松平家や遠江の井伊家など、三河者や遠江の人間が先鋒を命じられている。
「掛かれぇーー!!」
松平元康の号令で、千の三河兵が丸根砦へと攻めかかる。
三河兵の士気は高い。
この戦さで活躍し、松平宗家の当主元康を盛り立てて、三河の地を取り戻す悲願があるのだ。
だが、その勢いは突如出現した赤備えの軍勢に砕かれる。
「と、殿ぉ! 笹竜胆と割菱紋、五常の旗印は、北畠左近衛少将義具の軍勢です!」
「なに! 慌てるな! 敵は寡兵である。迎え撃ち速やかに殲滅するぞ!」
「「おう!」」
その元康の落ち着いた判断は、流石次代の東海一の弓取りだった。相手が尋常ならざる鬼の軍勢でなければ……
丸根砦を攻める松平元康率いる千の兵に襲いかかったのは、大之丞率いる二百の赤備えの精鋭兵。
五倍の兵を相手に臆する者など居ない。
「喰らい尽くせぇ!」
「「「「オオォォォォーー!!」」」」
未だ明けやらぬ未明の空に鬼達の咆哮が響く。
赤備えから赤い闘気(プラーナ)が湯気のように立ち昇り、巨大な鬼を幻視させる。
戦さ馬鹿の三河兵は精強で知られている。見たことも無い赤備えの鎧兜に身を包んだ北畠兵を見ても臆する事はなかった。
所詮は寡兵、押し包めば終わると誰もが考えていた。
そこに魂を震わせる咆哮を聴き、人間として根源的な恐怖に見舞われる。
松平元康は、目の前の光景が信じられず、戦場にある事も忘れ呆然と立ち尽くしていた。
百足の前立ての兜を被った大之丞が氣で強化された大身槍を横薙ぎに一振りすると、貧しい暮らしの中自分について来てくれた三河兵が纏めて葬られる。
その近くでは、蜻蛉の前立ての兜を被る小次郎が、精強な筈の三河兵をボロ切れのように蹴散らしていた。
「と、殿! 此処は撤退を!」
「……はっ、そ、そうだな」
最初の一当てで自軍の三割以上が斃された。そして今、僅かな時間で千は居た筈の三河兵が全滅しかけていた。
本来、戦さで大敗とはいえ全滅など有り得ない。
しかし今回は、撤退を判断した時には既に兵の半数以上を失っていた。
三河兵が元康を旗印に、三河統一を夢見ていた事も逃げる判断を遅らせた。
「我等も出るぞぉ!」
丸根砦を守る佐久間大学が砦から討って出ると、開戦から半刻も経たず松平元康率いる今川勢は全滅する。
その後、佐久間大学は僅かな兵を丸根砦に残し、大之丞達と大高城へと向かう。
大高城に残る鵜殿長照を攻め、後顧の憂いを断つ事を源四郎から命じられていた。
鵜殿長照は大高城で籠城するも、昼を待たず大高城は落とされる事になる。
◇
鷲津砦
鷲津砦を攻めるのは、遠江の井伊直盛と今川家重臣朝比奈泰朝率いる二千の兵。
五百程度の城兵が守る砦など一蹴出来ると今川方の誰もが思っていた。
「さて、此処をさっさと蹴散らして、今川方の前衛を潰しに行くか」
「殿、先駆けはお任せを」
「でしゃばるな慶次郎。先駆けは俺だ!」
「虎慶の足じゃ俺について来れないぜ」
俺がそろそろ仕掛けると言うと、慶次郎と虎慶が先駆けを自分がと争い始める。
「どうせ短期決戦で蹴散らすんだ。全軍で突撃するぞ」
「では、慶次郎、虎慶、お先だ!」
そう言って俺と六郎が駆け出すと、赤備えに身を包んだ北畠の精鋭が続く。
この鷲津砦や丸根砦から桶狭間山近辺は、平地が少なく、この後山越えで今川軍に横槍を入れる予定なので、馬は持ってきていない。
黒影とその子供たちならけもの道でも平気なのだが、俺たちと精鋭兵なら移動も神速だ。
「あっ! ずるい!」
「ま、待って下さい殿ぉ!」
慶次郎と虎慶が三日月斧槍と金砕棒を手に駆け出した。
東側から攻めたてる今川勢を俺達は、北側の前ノ輪村方面から、地獄の獄卒が襲いかかった。
俺自ら打ったパルチザン(雷破)を振り回すと、ダンプカーに轢かれたかのように今川方の兵が飛び散る。
飛び散る兵は、ある者は上半身と下半身が分断され、ある者は頸を飛ばされ、またある者は四肢を失っている。
慶次郎の三日月斧槍の餌食になった兵と、虎慶の金砕棒の餌食となった兵も、悲惨な末路を辿っていた。
分厚いクレセントアックスの刃にかかり、鎧ごと断ち切られ、文字通り金砕棒に叩き潰される。
その様を見て、士気を保つ今川兵は皆無だった。
最初に井伊直盛と遠江勢が逃げだすと、戦況は一気に終結へと向かう。
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