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20 八部衆の実力
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天文二十二年(1553年)十月
観音寺城の麓に、平時において暮らす為の館がある。
去年の一月、南近江の支配者、室町幕府の管領代、六角定頼が亡くなって、六角家十五代当主となった六角義賢は、伊勢の北畠氏に対して、非常に神経質になっていた。
北畠家当主の具教の正室は義賢の妹で、具教とは義理の兄弟でもあるのだが、ここ十年ほど、驚くほど北畠家の情報が入ってこない。
妹付きの侍女などは、ある意味六角家の間者と言っても過言ではないのだが、その侍女から入ってくる情報は、具教の弟で四男が優秀だと言う程度、それ以外、具体的な情報はなかった。
北畠家が、南北朝時代からの仇敵である長野家を破り、中伊勢から南は北畠家の勢力となった。
危機感を感じた義賢を始めとする六角家重臣は北畠家へ間者を増員し、北畠家を探ろうと躍起になっていた。
しかし一向に情報は入って来なかった。
腕利きの間者が喪われるばかり、甲賀の素破が何人死のうと義賢には痛くも痒くもないが、六角家の重臣でもあり甲賀の三雲家から、このままでは各地での諜報活動に支障をきたすと、伊勢へは国境の警戒にとどめるという消極的な警戒しか出来なくなっていた。
伊賀の素破を使う意見もあったが、何度か試してみたが、碌な情報が入って来なかった。
そのくせ長野家との戦さで、北畠には鬼の軍団が存在するなどと、荒唐無稽な噂が広まっている。
畿内では、細川晴元と三好長慶が争い、再び立った将軍義藤(後の義輝)が負けて近江の朽木へと逃げている。
大き過ぎた父定頼亡き後、平井や後藤、進藤や蒲生などの重臣達のお陰で、大きな波風なくやってこれた。その事は義賢が一番良く分かっていた。
甲賀三雲城
このところ、三雲定持の眉間に刻まれた皺が浅くなる事はない。
「父上、やはり他家が北畠家に臣従しているのでは? もしそうなら糾弾すべきです!」
そう言ったのは嫡男の三雲成持だ。
今年数え十四歳になる成持は、甲賀の一部の家が、北畠家に臣従しているのではと思っていた。
だが定持は首を横に振る。
「勘違いするな新左衛門尉。我が家や山中家は別にして、甲賀全てが六角家の家臣ではない。他家がどうしようと、所領さえ維持しているのであれば、我等やお館様からは何も言う事はない」
「ですが父上!」
「それくらいにしておけ。三雲家が甲賀の棟梁という訳ではないのだぞ」
「…………」
「新左衛門尉、この数年で我が配下の素破がどれほど姿を消したか知っているか」
「……いえ」
「我が三雲家は比較的裕福だから忘れそうになるのも仕方ないが、甲賀は貧しいのだ。子を売らねばならぬ程にな」
その甲賀の他家が、ここ数年様子がおかしい。
使い捨ての出稼ぎをしないと生きていけなかった筈の甲賀の土豪やその郎等が、飢えないどころか、老人から幼子に到るまで痩せ細る事なく健康に暮らしている。
実際、多くの甲賀者が喰えずに伊勢へと流れているのは定持だけでなく、六角左京太夫義賢も知っている。
使い捨ての素破が伊勢へと流れても、義賢は何も思わないだろう。だが同じ甲賀の定持は少し違う。甲賀でも五十三家筆頭の望月家や多羅尾家、伴家の様子が掴めなくなっていた。そこに不安を感じるも、甲賀の各家は上下関係ではなく惣(そう)による合議制で運営されている。立場の大小はあれど、他家へ命令する事は出来ない。
それに甲賀どころか、北畠家の領内では伊賀者も多数見られる事は掴んでいる。
そして北畠領内に何箇所も、間者を寄せ付けない場所があるのも掴んでいるが、更なる調査は現状無理だった。
三雲家の派遣した間者も戻って来なかった者が何人も居る。その中の一部は、北畠家の忍び集団八部衆によって排除されているのだが、中には北畠家に鞍替えした者も少なくない。それが分かっていながら、定持は有効な手を打てない。
しかし定持は知らない。
まだ甲賀や伊賀の間者への対応は、まだましだという事を知らない。北畠家の重要地に近付いた他国の間者は、誰も戻る事が出来ない事を知らない。
近年、伊勢の北畠家の急速な発展に、疑問を持つのは、六角家や織田家だけではない。
越後の長尾家の軒猿や関東から北条家に仕える風魔衆、武田家から三ツ者が、北畠家の秘密を探る為に伊勢へと潜入しようと試みていた。
この日も、伊賀や甲賀の忍びが結界を張る場所へと近付こうとした三人の間者が、碌な情報も得られず逃走していた。
間者は甲斐国武田家の三ツ者と呼ばれる者達。
確かに碌な情報は得られなかったが、それでも重要地域が特定できただけでも良しとするべきだと、欲張らずに逃げに徹したのは、腕利きの忍びなのだろう。
ただ、相手が悪かった。
三人の間者は少しでも逃走の確率を上げる為、バラバラの方向へと逃走する。
樹々の間を縫って駆ける間者目掛け死角から襲い来る短剣状の鏢(ひょう)。
「うっ! 何処から……」
異常な破壊力をみせる鏢により胸を貫かれ息絶える。
間者の胸を貫いた短剣状の鏢には、刃の反対側に紐が続いていた。それが引かれて鏢が回収される。
そして小柄な少年が姿を現わす。
「俺達の結界を抜けれると思うなんて、武田も甘いな」
この錘の代わりに短剣状の鏢(ひょう)が付いた縄鏢(じょうひょう)を自在に操るのは、上月佐助だった。
「まぁ、そう言うな。佐助や小南の歳でその腕前の方がおかしいと思うぞ」
そこにゆらりと現れたのは熟達の忍び。
その名を加藤段蔵。鳶加藤と呼ばれる伝説の忍びだった。
段蔵は、長野業正に越後の長尾家に推挙されたが、その余りの腕前に長尾景虎(上杉謙信)に危険視され、段蔵は甲斐の武田へと向かおうと考え下調べしていた時、信濃望月家の縁者から、伊勢の北畠家に多くの素破が仕えていると聴き、面白そうだと己の目と耳で確かめようとした。
それが北畠八部衆と源四郎との出会いであり、不遇で人間扱いされてこなかった素破の希望の主だった。
それに伊賀崎道順、上月佐助、神戸小南などの若い忍びの戦闘力に段蔵は驚いた。
忍びの技なら負けぬ自信はあるが、こと戦闘となった場合、逃げる事も出来ぬと感じたほどだ。
それともう一つ段蔵が驚いたのは、他家の素破など、どちらかと言うと盗賊や野盗と変わらぬ者が多い。実際、敵国で無軌道に火付けや破壊工作をする者は少なくない。だいたい素破に忠誠心などない。
それが北畠八部衆の末端に至るまで、規律が統一され、モラルが高く一つの意志のもと組織として働いていた。
何より北畠家、いや、源四郎に対して絶対の忠誠心を持っていた。当初戸惑った段蔵も今なら理解できる。何故なら己がそうなのだから。
何もかも違う。越後の龍や甲斐の虎など、我が主源四郎の足元にも及ばぬと段蔵は思っている。
「段蔵殿も終わったようですな」
「ふむ、これで掃除できたかの」
そこに精悍な顔をした少年が現れた。源四郎作の二本の小太刀を腰に落とし込んだ神戸小南だ。
「此奴はやっぱり三ツ者か?」
「うむ、間違いない。儂が知っている顔も混じっておった」
「段蔵殿が憶えている顔なれば、それなりの腕利きですね」
「そうじゃな。しかし八部衆と比べると、ちとな。まぁ、殿を暗殺する気はなさそうじゃがな」
「源四郎兄を暗殺なんて、無理無駄無謀だな」
「こら佐助、殿の呼び方をそろそろ改めろ」
「源四郎兄が良いって言ってるんだから大丈夫なんだよ。小南は真面目だな」
少年二人が誇らしげに源四郎の事を話しているのを聞き、釣られて笑みを浮かべる。
段蔵は北畠家の忍び集団、八部衆の戦闘力だけが優れているのではないのを知っている。
源四郎の方針で、忍びの仕事は情報収集が大事だとされている。だから失敗しても罪にも問わないし、罰もない。生きて帰り、失敗したなりの情報を届ける事を重視している。
それ故に、北畠八部衆の源四郎に向ける忠誠心は異常とも言える。
源四郎は、時には失敗から学ぶ事の方が多い事もあると言って、配下の忍びに生きて帰るのを第一にするよう常々指導していた。
「しかし、国境を接していない甲斐の武田が、神経質な事ですね」
「いや、小南よ。甲斐の虎も伊勢の発展の理由が分からず怖いのよ」
「へっ、虎って名前負けじゃねぇのか?」
段蔵は苦笑いする。この若い少年達にかかれば、三ツ者の中でも腕利き達が赤子の手を捻るように葬られた。
これから伊勢へと派遣される他国の素破が憐れに感じる程だ。
段蔵は己が目で、源四郎を見定めて良かったと心底思う。
もし、武田の素破として伊勢に来たなら、己の命はなかったと確信していた。
それもそうだろう。八部衆の中でも佐助や小南は、忍びの技以外に一騎当千の武力を併せ持つのだから。
観音寺城の麓に、平時において暮らす為の館がある。
去年の一月、南近江の支配者、室町幕府の管領代、六角定頼が亡くなって、六角家十五代当主となった六角義賢は、伊勢の北畠氏に対して、非常に神経質になっていた。
北畠家当主の具教の正室は義賢の妹で、具教とは義理の兄弟でもあるのだが、ここ十年ほど、驚くほど北畠家の情報が入ってこない。
妹付きの侍女などは、ある意味六角家の間者と言っても過言ではないのだが、その侍女から入ってくる情報は、具教の弟で四男が優秀だと言う程度、それ以外、具体的な情報はなかった。
北畠家が、南北朝時代からの仇敵である長野家を破り、中伊勢から南は北畠家の勢力となった。
危機感を感じた義賢を始めとする六角家重臣は北畠家へ間者を増員し、北畠家を探ろうと躍起になっていた。
しかし一向に情報は入って来なかった。
腕利きの間者が喪われるばかり、甲賀の素破が何人死のうと義賢には痛くも痒くもないが、六角家の重臣でもあり甲賀の三雲家から、このままでは各地での諜報活動に支障をきたすと、伊勢へは国境の警戒にとどめるという消極的な警戒しか出来なくなっていた。
伊賀の素破を使う意見もあったが、何度か試してみたが、碌な情報が入って来なかった。
そのくせ長野家との戦さで、北畠には鬼の軍団が存在するなどと、荒唐無稽な噂が広まっている。
畿内では、細川晴元と三好長慶が争い、再び立った将軍義藤(後の義輝)が負けて近江の朽木へと逃げている。
大き過ぎた父定頼亡き後、平井や後藤、進藤や蒲生などの重臣達のお陰で、大きな波風なくやってこれた。その事は義賢が一番良く分かっていた。
甲賀三雲城
このところ、三雲定持の眉間に刻まれた皺が浅くなる事はない。
「父上、やはり他家が北畠家に臣従しているのでは? もしそうなら糾弾すべきです!」
そう言ったのは嫡男の三雲成持だ。
今年数え十四歳になる成持は、甲賀の一部の家が、北畠家に臣従しているのではと思っていた。
だが定持は首を横に振る。
「勘違いするな新左衛門尉。我が家や山中家は別にして、甲賀全てが六角家の家臣ではない。他家がどうしようと、所領さえ維持しているのであれば、我等やお館様からは何も言う事はない」
「ですが父上!」
「それくらいにしておけ。三雲家が甲賀の棟梁という訳ではないのだぞ」
「…………」
「新左衛門尉、この数年で我が配下の素破がどれほど姿を消したか知っているか」
「……いえ」
「我が三雲家は比較的裕福だから忘れそうになるのも仕方ないが、甲賀は貧しいのだ。子を売らねばならぬ程にな」
その甲賀の他家が、ここ数年様子がおかしい。
使い捨ての出稼ぎをしないと生きていけなかった筈の甲賀の土豪やその郎等が、飢えないどころか、老人から幼子に到るまで痩せ細る事なく健康に暮らしている。
実際、多くの甲賀者が喰えずに伊勢へと流れているのは定持だけでなく、六角左京太夫義賢も知っている。
使い捨ての素破が伊勢へと流れても、義賢は何も思わないだろう。だが同じ甲賀の定持は少し違う。甲賀でも五十三家筆頭の望月家や多羅尾家、伴家の様子が掴めなくなっていた。そこに不安を感じるも、甲賀の各家は上下関係ではなく惣(そう)による合議制で運営されている。立場の大小はあれど、他家へ命令する事は出来ない。
それに甲賀どころか、北畠家の領内では伊賀者も多数見られる事は掴んでいる。
そして北畠領内に何箇所も、間者を寄せ付けない場所があるのも掴んでいるが、更なる調査は現状無理だった。
三雲家の派遣した間者も戻って来なかった者が何人も居る。その中の一部は、北畠家の忍び集団八部衆によって排除されているのだが、中には北畠家に鞍替えした者も少なくない。それが分かっていながら、定持は有効な手を打てない。
しかし定持は知らない。
まだ甲賀や伊賀の間者への対応は、まだましだという事を知らない。北畠家の重要地に近付いた他国の間者は、誰も戻る事が出来ない事を知らない。
近年、伊勢の北畠家の急速な発展に、疑問を持つのは、六角家や織田家だけではない。
越後の長尾家の軒猿や関東から北条家に仕える風魔衆、武田家から三ツ者が、北畠家の秘密を探る為に伊勢へと潜入しようと試みていた。
この日も、伊賀や甲賀の忍びが結界を張る場所へと近付こうとした三人の間者が、碌な情報も得られず逃走していた。
間者は甲斐国武田家の三ツ者と呼ばれる者達。
確かに碌な情報は得られなかったが、それでも重要地域が特定できただけでも良しとするべきだと、欲張らずに逃げに徹したのは、腕利きの忍びなのだろう。
ただ、相手が悪かった。
三人の間者は少しでも逃走の確率を上げる為、バラバラの方向へと逃走する。
樹々の間を縫って駆ける間者目掛け死角から襲い来る短剣状の鏢(ひょう)。
「うっ! 何処から……」
異常な破壊力をみせる鏢により胸を貫かれ息絶える。
間者の胸を貫いた短剣状の鏢には、刃の反対側に紐が続いていた。それが引かれて鏢が回収される。
そして小柄な少年が姿を現わす。
「俺達の結界を抜けれると思うなんて、武田も甘いな」
この錘の代わりに短剣状の鏢(ひょう)が付いた縄鏢(じょうひょう)を自在に操るのは、上月佐助だった。
「まぁ、そう言うな。佐助や小南の歳でその腕前の方がおかしいと思うぞ」
そこにゆらりと現れたのは熟達の忍び。
その名を加藤段蔵。鳶加藤と呼ばれる伝説の忍びだった。
段蔵は、長野業正に越後の長尾家に推挙されたが、その余りの腕前に長尾景虎(上杉謙信)に危険視され、段蔵は甲斐の武田へと向かおうと考え下調べしていた時、信濃望月家の縁者から、伊勢の北畠家に多くの素破が仕えていると聴き、面白そうだと己の目と耳で確かめようとした。
それが北畠八部衆と源四郎との出会いであり、不遇で人間扱いされてこなかった素破の希望の主だった。
それに伊賀崎道順、上月佐助、神戸小南などの若い忍びの戦闘力に段蔵は驚いた。
忍びの技なら負けぬ自信はあるが、こと戦闘となった場合、逃げる事も出来ぬと感じたほどだ。
それともう一つ段蔵が驚いたのは、他家の素破など、どちらかと言うと盗賊や野盗と変わらぬ者が多い。実際、敵国で無軌道に火付けや破壊工作をする者は少なくない。だいたい素破に忠誠心などない。
それが北畠八部衆の末端に至るまで、規律が統一され、モラルが高く一つの意志のもと組織として働いていた。
何より北畠家、いや、源四郎に対して絶対の忠誠心を持っていた。当初戸惑った段蔵も今なら理解できる。何故なら己がそうなのだから。
何もかも違う。越後の龍や甲斐の虎など、我が主源四郎の足元にも及ばぬと段蔵は思っている。
「段蔵殿も終わったようですな」
「ふむ、これで掃除できたかの」
そこに精悍な顔をした少年が現れた。源四郎作の二本の小太刀を腰に落とし込んだ神戸小南だ。
「此奴はやっぱり三ツ者か?」
「うむ、間違いない。儂が知っている顔も混じっておった」
「段蔵殿が憶えている顔なれば、それなりの腕利きですね」
「そうじゃな。しかし八部衆と比べると、ちとな。まぁ、殿を暗殺する気はなさそうじゃがな」
「源四郎兄を暗殺なんて、無理無駄無謀だな」
「こら佐助、殿の呼び方をそろそろ改めろ」
「源四郎兄が良いって言ってるんだから大丈夫なんだよ。小南は真面目だな」
少年二人が誇らしげに源四郎の事を話しているのを聞き、釣られて笑みを浮かべる。
段蔵は北畠家の忍び集団、八部衆の戦闘力だけが優れているのではないのを知っている。
源四郎の方針で、忍びの仕事は情報収集が大事だとされている。だから失敗しても罪にも問わないし、罰もない。生きて帰り、失敗したなりの情報を届ける事を重視している。
それ故に、北畠八部衆の源四郎に向ける忠誠心は異常とも言える。
源四郎は、時には失敗から学ぶ事の方が多い事もあると言って、配下の忍びに生きて帰るのを第一にするよう常々指導していた。
「しかし、国境を接していない甲斐の武田が、神経質な事ですね」
「いや、小南よ。甲斐の虎も伊勢の発展の理由が分からず怖いのよ」
「へっ、虎って名前負けじゃねぇのか?」
段蔵は苦笑いする。この若い少年達にかかれば、三ツ者の中でも腕利き達が赤子の手を捻るように葬られた。
これから伊勢へと派遣される他国の素破が憐れに感じる程だ。
段蔵は己が目で、源四郎を見定めて良かったと心底思う。
もし、武田の素破として伊勢に来たなら、己の命はなかったと確信していた。
それもそうだろう。八部衆の中でも佐助や小南は、忍びの技以外に一騎当千の武力を併せ持つのだから。
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