幻獣使いの英雄譚

小狐丸

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その後の世界

集落を纏めてみる

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 ルドラの背により飛び始めて暫く進むと、ユキトの感知に複数の反応があった。

「あっ!ユキトお兄ちゃん!何か居るよ!」

 アメリアも見つけたようだ。

 ルドラはユキトの指示に従い高度を下げて行く。

 ユキトが見つけたのは、三家族程の獣人族の集まりだった。
 ルドラを怖がり、身を寄せ合ってすくみあがっている。

 ルドラは降り立ち、その背からアメリアが跳び降りる。
 小さな子供が、巨大な魔物の背から現れた事で、獣人達は困惑する。
 その後ユキトが降り立ち、ミルモを抱いて降ろしす。

 ユキトは彼等の状況を判断する。
 家を持たず、その日暮らしで移動しながらの生活なのだろう。
 彼等の顔には一様に疲れが見えた。

「なっ、なんだ、お前達は!」


 一人の男が震えながら牙を剥く。
 犬の獣人だろうか、一家族は犬獣人の家族。残りの二家族は、猫獣人と牛獣人の家族だった。

「あなた達はここで住んでいるのですか?」

 ユキトに話し掛けられても、皆ビクビクして近寄って来ない。

 そこでユキトは、魔導コンロを取り出すと、ストックしてある魔物肉を焼いて行く。

 アメリアとミルモは嬉しそうに肉が焼けるのを待っている。

「「おいし~い!」」

 アメリアとミルモが、ユキトから皿に乗せられた肉を受け取ると、夢中になって食べ始める。
 それを獣人の家族な遠巻きに見ている。
 ユキトは獣人の家族達に肉を勧める。

「沢山ありますから、どうぞ食べてください」

 我慢出来なくなった子供が、ユキトから皿を受け取ると肉に噛り付き、黙々と食べ続ける。
 久しぶりの食事なのか、涙を流しながら食べている。大人達もおずおずと近寄って来て、ユキトが差し出す皿を受け取ると食べ始めた。

 大人達も肉を食べながら涙を流している。





 満足行くまで食べた獣人族達は、揃ってユキトに感謝を伝えてくる。ユキトは彼等に、周辺に集落や村が無いか聞いてみる。

「歩いて一日圏内に、幾つかのグループが居るはずです。大勢を食べさせる事が出来ないので、泣く泣く別れたグループもあるのです」

 このグループの代表者らしき年配の獣人が教えてくれた。

「それでこの場所に集落を作る積もりですか?」

 一応周りを見渡して見て、川が流れているし、あまり大きくないが森もある。
 ユキトがその気になれば、短時間で集落は形になるだろう。

 魔物や野生動物除けの防壁を造り、井戸を掘れば集落はやっていけるだろう。
 ただ、ここもやはり外との交流が無ければ、先細って行くだけだ。

 ユキトが集落を造るなら助力を申し出る。

「……お願い出来ますか」

 半信半疑で、ユキトにすがる事に決めた様だ。




 ユキトは、アメリアにミルモと一緒に、ルドラと周辺に集落や獣人族のグループが居ないか、探索をお願いする。

「わかったの!アメリアに任せてなの!」

「ミルモもがんばるね!」

 二人はご機嫌でルドラに乗ると、周辺の探索に飛び立った。



 ユキトは先ず、少々人が増えても大丈夫な様に、開発の糊代を残して防壁で囲っていく。

 この程度の防壁なら、あっという間に造り上げたユキトは、続いて井戸を数ヶ所に掘って、アイテムボックスから井戸用のポンプを取り出し設置する。

 さらに家族で住める、大きめの住居を10戸建てて行く。

 何もない場所に、瞬く間に出来上がる防壁や住居が出来上がる様を、唖然として見ている獣人達。

 ユキトは苗や種が有れば直ぐに植えれる様に、畑を開墾して行く。
 雑草が生え放題だった場所の、硬い地面がフカフカの黒い土の農地が出来上がる。

「こんな感じかな。
 ちょっと良いですか?」

「…………は、はい」

「森で落ち葉を集めて腐葉土を造ります。手伝って貰えますか?
 農地に肥料を混ぜ込んだら、野菜の種や麦の籾を渡しますから、後で植え付けて下さい」

「わ、分かりました」

 ユキトは、ジーブルとヴァイスを召喚して、周辺の警戒と狩を任せると、獣人族の人達を連れて、森で腐葉土集めを始める。

 集められた落ち葉や腐葉土を、ユキトが魔法で醗酵させる。
 アイテムボックスに入れて農地に運び土に混ぜ込む。

「よし、じゃあ種蒔きはお願いします」

 ユキトは種蒔きを獣人達に任せると、川から用水路を引く。

「あっ!トイレを忘れてたな」

 ユキトは住居の近くに幾つものトイレを造っていく。浄化の魔導具を組み込んだものだ。

 ユキトが思い立って、大きめのサイロを造っている時に、アメリアとミルモが戻って来た。

「「ユキトお兄ちゃ~ん!」」

「どうだった?」

 ルドラから飛び降りた二人がユキトに飛びついて来る。

「えっとね~、あっちとあっちに人がいたよ」

 北と東に見つけた様だ。

 ジーブルとヴァイスが狩って来た獲物を渡して、今日はここまでと獣人族の人達に伝え、明日また来る事を約束すると、ユキトはルドラにアメリアとミルモを乗せ、帰りは別ルートで探索しながら戻った。

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