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連載
二百二十三話 手作業?を眺めるのも楽しい
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合同買取所の建設現場では、さっそく基礎工事が始まっていた。
地下を土魔法で掘り、床や壁を強化して階段を作る。
魔法のお陰で重機要らずだけど、俺のように一度の魔法でいっきに建物を作るのは普通じゃなかったらしい。
「旦那様のように自在に魔法を行使できる魔法使いは居ないでしょうからな」
「ご主人様は、魔力量も気にする必要もありませんから」
ここも、岩山の城もあっという間と言えば、あっという間に作ったからな。セブールとリーファがそう言うのも仕方ない。
今日は、久しぶりにセブールとリーファを連れて、城塞都市へと来ていた。当然、一緒に来たミルとララはポーラちゃん達と遊ぶ為に孤児院に直行している。
工事現場を見学する俺の目の前では、職人が煉瓦を積む作業をしている。そして少し離れた場所では、土魔法で黙々と煉瓦や石材を作り出す職人達が居る。この辺が、ファンタジーな世界だなぁと見ていて飽きない。
因みに、俺は煉瓦と言っているけど、正確にはあの赤い煉瓦とは少し違う。どっちかと言うと石材に近い。強度も煉瓦よりも高く熱にも強い。魔法バンザイだな。
木材の加工なんかは、この世界でも手作業が多い。俺みたいに木材の加工まで魔法を使う奴は居ないみたいだな。しかもうちには眷属のウッドゴーレム達がいるから、木材加工なんてお手のものだ。
「そう言えば竜人族の長老が、草原地帯の入り口付近に集落を築く許可を得る為に、こちらへ向かっているようです」
「へぇ、さすが竜人族だな。オオ爺サマの迷惑になるのを避けたかったのかな」
「おそらく」
「草原地帯の入り口付近に集落を造るのは、俺も考えていたから賛成だな。オオ爺サマも大勢の竜人族に街中で跪かれて拝まれるのは御免だろう」
「はい。それで長老達は、此処に近い場所に拠点となる集落を造り、そこにお社を建てるつもりのようですな」
「なら反対する理由はないな」
俺も竜人族の拠点は考えていた。取り敢えず合同買取所にも極少人数を配置し、此処から近い場所に竜人族の集落を築いて、魔王国、集落、城塞都市を行き来すればいいんじゃないかと思ってたんだ。
竜人族達のオオ爺サマに迷惑を掛けたくないっていう気持ちも好感もてるしな。ギータ達への竜人族の若い衆がアタックするのも、それなら大騒ぎにはならないかもだしな。
そこでリーファが面白い提案をしてきた。
「ご主人様、竜人族も古竜様方が関わらなければ、性質の良い者がほとんどです。此処の治安の維持にも貢献してくれるかもしれません」
「う~ん。ミルとララはともかく、ポーラちゃん達孤児院の子達の方が強そうだけどな」
「旦那様、見た目の威圧感は大事です。リーファの案はなかなか良いかもしれません」
「それもそうか。確かに見た目は大事だな」
リーファが言うように、見た目は大事だ。街中を兵士に巡回させるだけで馬鹿な事を考える奴は減るだろう。それが見た目もイカつい竜人族なら尚更だ。
ミルとララやポーラちゃん達孤児院の子供達が、いくら俺達のパワーレベリングにより並みの冒険者を遥かに超える実力者だったとして、それが分からなければ抑止になり得ない。
「それと孤児院の子供達の中で、もう直ぐ退所の年齢に差し掛かる子が何人か居ます。西方諸国や魔王国に行くのも自由ですが、どうやら全員が此処で暮らしたいと希望しているようです」
「へぇ、ロダンさんから?」
「はい。アーシアさんやメルティーさんも心配していまして……」
セブールとリーファから孤児院を年齢的に卒業する子供達の進路を言われ、今までその事を考えてなかったと少々落ち込む。
たまたま孤児院にも入れないストリートチルドレンを見た事がきっかけに、草原地帯に城塞都市を造り、教会と孤児院を建設した。気まぐれと言われても仕方ない。その後の事を全然考えていなかった。
「ちょっと反省しないとダメだな。中途半端な事をするなとポーラちゃん達に叱られそうだ」
「フフッ、そうですね」
「子供達の希望に添えるよう考えてみましょう」
「ああ、そうだな」
少し反省だな。街と孤児院を作ってお終いじゃ無責任だな。
先ず、孤児院の子供達は、此処から外へとは出て行く事はないだろう。あの子達にとって、此処が故郷だからな。
合同買取所が出来ると、冒険者ギルドの職員も常駐するだろうから、将来的にこの城塞都市を拠点に冒険者として活動する事も可能だろう。孤児院の子供達は、パワーレベリングしているから下手な冒険者よりも強いからな。
あと城塞都市の治安を守る兵士をってのもありだ。その場合、俺が雇用する形になるだろう。
城塞都市内には、よろず屋みたいな何でも扱うお店があるが、これからは宿屋や色々な商店も出来るので、そこで働くっていう選択肢もある。
「孤児院もあの子達なら何人か欲しがりそうだな」
「そうですな。子供達の世話だけじゃなく、新しく入る子の護衛も出来ますからな」
ロダンさんは主に教会を担当しているから、孤児院はアーシアさんとメルティーさんが責任者だ。新しく神官やシスターも増やしているみたいだけど、孤児院は人手不足気味だからな。
大陸全土の教会から、此処へ人を派遣したいと要望があるらしいが、ロダンさんもダーヴィッド君も、俺たちへの手前、その辺の人選はもの凄く気を遣っている。
教会や孤児院への寄付や神官、シスターを含め孤児院の子供達へのパワーレベリングなど、俺たちが関わる事が多い。俺やセブール、リーファなら関係ないが、危ない奴にパワーレベリングなんて事になると大変だからな。
飽きる事なく工事を見つめていると声を掛けられた。
「おお! これはこれはシグムンド様じゃないですか! セブール殿やリーファ嬢もご一緒とは珍しい! おやおや、工事の見学ですか? 人間の棲家って面白いですよね。僕も、もう洞窟なんかを巣穴になんて考えられませんもん。ところで、この建設中の建物は何の建物ですか? 新しくお店でも出来るんでしょうか? だとしたら楽しみですね!」
「「「…………」」」
間に返事を挟む間を与えず一方的に話し続けるのは、オオ爺サマが生み出した眷属の中で、二番目に生まれた風属性の竜人ゲイルだ。
ギータやグラース、メールとかの他の眷属が真面目で落ち着いた竜人なのに、ゲイルだけは何時もこの調子だ。まぁ、賑やかでいいんだけど、オオ爺サマはよく頭を抱えているよ。
ドラゴンオーブから生み出された瞬間からマシンガンの如く喋りだしたのはゲイルくらいだからな。
ゲイルは、そのまま立ち去らず話し掛けてきた。
「それでお揃いでどうされたのですか?」
「あ、ああ、合同買取所の建物を作ってるところを見学さ」
「面白いですよね! 人力で石を積むなんて、凄く楽しそうじゃないですか! 魔法で、パッパッと造るのもいいですけど、職人が自らの手足を使って物を作る。趣があっていいですよねぇ!」
何をしているのか聞かれたので、そのまま正直に合同買取所の建設作業を見学していると言うと、ゲイルも興奮した様子で喋り出す。
「煉瓦や石材は土魔法ながら、そのサイズや強度はさすが専門家と言えるでしょう。建物自体のデザインは、合同買取所という用途故にシンプルですが、その中にも周辺の建物と違和感のないよう考えられています。木材も加工も丁寧ですし、これで外観の壁面に彫刻でもすれば、より素晴らしい建物となる事間違いなしです!」
「あ、ああ、うん。そうだね」
ほんと、この男は口から生まれたんじゃないかと思うくらいマシンガントークだな。放っておくとずっと喋り続けそうだ。
「あっ、そうそうシグムンド様。そう言えば、孤児院のおチビちゃん達を嫌ぁな目で見てた奴らが居たんだよ。まあ、僕がポイッて捨てておいたけどね。ばっちい格好だったからまともな奴じゃないと思うけど、勝手に始末しちゃって大丈夫だった?」
「ああ、ちゃんと把握している。ゲイルが処理した奴らは間違いなく碌でもない奴らだから大丈夫だよ。そんな実力はないけど、子供達に万が一があれば困るしな」
「ゲイルが珍しく役に立ってますね」
「酷いよリーファ嬢! 僕が意味もなくフラフラしているみたいじゃん!」
「だいたいはそうでしょう」
どうやらゲイルも此処の役には立っているらしい。どうしたって馬鹿な事を考える奴が、城塞都市に紛れ込むのをゼロには出来ない。その為に警備用のゴーレムの配置に加え、孤児院の子供達はシスターや神官を含めてパワーレベリングしているんだ。
ただ、それでも万全じゃないのは仕方ない。ゲイルは、子供達を攫って売ろうとする輩を掃除してくれているようだ。
「でも僕って偉いでしょう?」
ゴンッ!
「!? 痛っ!!」
その時、ふふんっと自慢気に胸を張る頭に拳骨が落ち、ゲイルがその場に崩れ落ちる。
俺やセブール、リーファは、近付いて来た気配は分かっていたが、ゲイルは喋るのに夢中で気が付いていなかった。
「シグムンド様、愚かな同胞が申し訳ありません」
「このフラフラと遊び歩く馬鹿は私達が引き取ります」
「無理だと思いますが、もう一度厳しく躾けますので」
ゲイルの頭に拳骨を落としたのは、火属性の竜人ギータだった。氷属性の竜人グラースと水属性の竜人メールが、俺達に謝罪しながらゲイルの片足ずつを持ち引き摺って行った。
「……ギータ達も大変そうだな」
「ええ、ですがゲイル殿も役には立っていますから」
ギータやグラース、メールは、少し真面目過ぎるくらいなんだが、その分ゲイルが軽くてお喋りだからバランスは取れてるのか? まあ、オオ爺サマ達古竜は気にもしていないので、良いのか?
「石積み、手伝おうかな?」
「では、私はミルとララを見て来ますね」
「私は、ダーヴィッド殿下と打ち合わせをして参ります」
ズルズルと地面を引き摺られるゲイルの事は置いておいて、俺は石積みを手伝おう。楽しそうだし。リーファは、孤児院にミルとララの様子を見に行く。セブールはダーヴィッド君と打ち合わせ。
さて、話は竜人族の長老が来てからだな。
地下を土魔法で掘り、床や壁を強化して階段を作る。
魔法のお陰で重機要らずだけど、俺のように一度の魔法でいっきに建物を作るのは普通じゃなかったらしい。
「旦那様のように自在に魔法を行使できる魔法使いは居ないでしょうからな」
「ご主人様は、魔力量も気にする必要もありませんから」
ここも、岩山の城もあっという間と言えば、あっという間に作ったからな。セブールとリーファがそう言うのも仕方ない。
今日は、久しぶりにセブールとリーファを連れて、城塞都市へと来ていた。当然、一緒に来たミルとララはポーラちゃん達と遊ぶ為に孤児院に直行している。
工事現場を見学する俺の目の前では、職人が煉瓦を積む作業をしている。そして少し離れた場所では、土魔法で黙々と煉瓦や石材を作り出す職人達が居る。この辺が、ファンタジーな世界だなぁと見ていて飽きない。
因みに、俺は煉瓦と言っているけど、正確にはあの赤い煉瓦とは少し違う。どっちかと言うと石材に近い。強度も煉瓦よりも高く熱にも強い。魔法バンザイだな。
木材の加工なんかは、この世界でも手作業が多い。俺みたいに木材の加工まで魔法を使う奴は居ないみたいだな。しかもうちには眷属のウッドゴーレム達がいるから、木材加工なんてお手のものだ。
「そう言えば竜人族の長老が、草原地帯の入り口付近に集落を築く許可を得る為に、こちらへ向かっているようです」
「へぇ、さすが竜人族だな。オオ爺サマの迷惑になるのを避けたかったのかな」
「おそらく」
「草原地帯の入り口付近に集落を造るのは、俺も考えていたから賛成だな。オオ爺サマも大勢の竜人族に街中で跪かれて拝まれるのは御免だろう」
「はい。それで長老達は、此処に近い場所に拠点となる集落を造り、そこにお社を建てるつもりのようですな」
「なら反対する理由はないな」
俺も竜人族の拠点は考えていた。取り敢えず合同買取所にも極少人数を配置し、此処から近い場所に竜人族の集落を築いて、魔王国、集落、城塞都市を行き来すればいいんじゃないかと思ってたんだ。
竜人族達のオオ爺サマに迷惑を掛けたくないっていう気持ちも好感もてるしな。ギータ達への竜人族の若い衆がアタックするのも、それなら大騒ぎにはならないかもだしな。
そこでリーファが面白い提案をしてきた。
「ご主人様、竜人族も古竜様方が関わらなければ、性質の良い者がほとんどです。此処の治安の維持にも貢献してくれるかもしれません」
「う~ん。ミルとララはともかく、ポーラちゃん達孤児院の子達の方が強そうだけどな」
「旦那様、見た目の威圧感は大事です。リーファの案はなかなか良いかもしれません」
「それもそうか。確かに見た目は大事だな」
リーファが言うように、見た目は大事だ。街中を兵士に巡回させるだけで馬鹿な事を考える奴は減るだろう。それが見た目もイカつい竜人族なら尚更だ。
ミルとララやポーラちゃん達孤児院の子供達が、いくら俺達のパワーレベリングにより並みの冒険者を遥かに超える実力者だったとして、それが分からなければ抑止になり得ない。
「それと孤児院の子供達の中で、もう直ぐ退所の年齢に差し掛かる子が何人か居ます。西方諸国や魔王国に行くのも自由ですが、どうやら全員が此処で暮らしたいと希望しているようです」
「へぇ、ロダンさんから?」
「はい。アーシアさんやメルティーさんも心配していまして……」
セブールとリーファから孤児院を年齢的に卒業する子供達の進路を言われ、今までその事を考えてなかったと少々落ち込む。
たまたま孤児院にも入れないストリートチルドレンを見た事がきっかけに、草原地帯に城塞都市を造り、教会と孤児院を建設した。気まぐれと言われても仕方ない。その後の事を全然考えていなかった。
「ちょっと反省しないとダメだな。中途半端な事をするなとポーラちゃん達に叱られそうだ」
「フフッ、そうですね」
「子供達の希望に添えるよう考えてみましょう」
「ああ、そうだな」
少し反省だな。街と孤児院を作ってお終いじゃ無責任だな。
先ず、孤児院の子供達は、此処から外へとは出て行く事はないだろう。あの子達にとって、此処が故郷だからな。
合同買取所が出来ると、冒険者ギルドの職員も常駐するだろうから、将来的にこの城塞都市を拠点に冒険者として活動する事も可能だろう。孤児院の子供達は、パワーレベリングしているから下手な冒険者よりも強いからな。
あと城塞都市の治安を守る兵士をってのもありだ。その場合、俺が雇用する形になるだろう。
城塞都市内には、よろず屋みたいな何でも扱うお店があるが、これからは宿屋や色々な商店も出来るので、そこで働くっていう選択肢もある。
「孤児院もあの子達なら何人か欲しがりそうだな」
「そうですな。子供達の世話だけじゃなく、新しく入る子の護衛も出来ますからな」
ロダンさんは主に教会を担当しているから、孤児院はアーシアさんとメルティーさんが責任者だ。新しく神官やシスターも増やしているみたいだけど、孤児院は人手不足気味だからな。
大陸全土の教会から、此処へ人を派遣したいと要望があるらしいが、ロダンさんもダーヴィッド君も、俺たちへの手前、その辺の人選はもの凄く気を遣っている。
教会や孤児院への寄付や神官、シスターを含め孤児院の子供達へのパワーレベリングなど、俺たちが関わる事が多い。俺やセブール、リーファなら関係ないが、危ない奴にパワーレベリングなんて事になると大変だからな。
飽きる事なく工事を見つめていると声を掛けられた。
「おお! これはこれはシグムンド様じゃないですか! セブール殿やリーファ嬢もご一緒とは珍しい! おやおや、工事の見学ですか? 人間の棲家って面白いですよね。僕も、もう洞窟なんかを巣穴になんて考えられませんもん。ところで、この建設中の建物は何の建物ですか? 新しくお店でも出来るんでしょうか? だとしたら楽しみですね!」
「「「…………」」」
間に返事を挟む間を与えず一方的に話し続けるのは、オオ爺サマが生み出した眷属の中で、二番目に生まれた風属性の竜人ゲイルだ。
ギータやグラース、メールとかの他の眷属が真面目で落ち着いた竜人なのに、ゲイルだけは何時もこの調子だ。まぁ、賑やかでいいんだけど、オオ爺サマはよく頭を抱えているよ。
ドラゴンオーブから生み出された瞬間からマシンガンの如く喋りだしたのはゲイルくらいだからな。
ゲイルは、そのまま立ち去らず話し掛けてきた。
「それでお揃いでどうされたのですか?」
「あ、ああ、合同買取所の建物を作ってるところを見学さ」
「面白いですよね! 人力で石を積むなんて、凄く楽しそうじゃないですか! 魔法で、パッパッと造るのもいいですけど、職人が自らの手足を使って物を作る。趣があっていいですよねぇ!」
何をしているのか聞かれたので、そのまま正直に合同買取所の建設作業を見学していると言うと、ゲイルも興奮した様子で喋り出す。
「煉瓦や石材は土魔法ながら、そのサイズや強度はさすが専門家と言えるでしょう。建物自体のデザインは、合同買取所という用途故にシンプルですが、その中にも周辺の建物と違和感のないよう考えられています。木材も加工も丁寧ですし、これで外観の壁面に彫刻でもすれば、より素晴らしい建物となる事間違いなしです!」
「あ、ああ、うん。そうだね」
ほんと、この男は口から生まれたんじゃないかと思うくらいマシンガントークだな。放っておくとずっと喋り続けそうだ。
「あっ、そうそうシグムンド様。そう言えば、孤児院のおチビちゃん達を嫌ぁな目で見てた奴らが居たんだよ。まあ、僕がポイッて捨てておいたけどね。ばっちい格好だったからまともな奴じゃないと思うけど、勝手に始末しちゃって大丈夫だった?」
「ああ、ちゃんと把握している。ゲイルが処理した奴らは間違いなく碌でもない奴らだから大丈夫だよ。そんな実力はないけど、子供達に万が一があれば困るしな」
「ゲイルが珍しく役に立ってますね」
「酷いよリーファ嬢! 僕が意味もなくフラフラしているみたいじゃん!」
「だいたいはそうでしょう」
どうやらゲイルも此処の役には立っているらしい。どうしたって馬鹿な事を考える奴が、城塞都市に紛れ込むのをゼロには出来ない。その為に警備用のゴーレムの配置に加え、孤児院の子供達はシスターや神官を含めてパワーレベリングしているんだ。
ただ、それでも万全じゃないのは仕方ない。ゲイルは、子供達を攫って売ろうとする輩を掃除してくれているようだ。
「でも僕って偉いでしょう?」
ゴンッ!
「!? 痛っ!!」
その時、ふふんっと自慢気に胸を張る頭に拳骨が落ち、ゲイルがその場に崩れ落ちる。
俺やセブール、リーファは、近付いて来た気配は分かっていたが、ゲイルは喋るのに夢中で気が付いていなかった。
「シグムンド様、愚かな同胞が申し訳ありません」
「このフラフラと遊び歩く馬鹿は私達が引き取ります」
「無理だと思いますが、もう一度厳しく躾けますので」
ゲイルの頭に拳骨を落としたのは、火属性の竜人ギータだった。氷属性の竜人グラースと水属性の竜人メールが、俺達に謝罪しながらゲイルの片足ずつを持ち引き摺って行った。
「……ギータ達も大変そうだな」
「ええ、ですがゲイル殿も役には立っていますから」
ギータやグラース、メールは、少し真面目過ぎるくらいなんだが、その分ゲイルが軽くてお喋りだからバランスは取れてるのか? まあ、オオ爺サマ達古竜は気にもしていないので、良いのか?
「石積み、手伝おうかな?」
「では、私はミルとララを見て来ますね」
「私は、ダーヴィッド殿下と打ち合わせをして参ります」
ズルズルと地面を引き摺られるゲイルの事は置いておいて、俺は石積みを手伝おう。楽しそうだし。リーファは、孤児院にミルとララの様子を見に行く。セブールはダーヴィッド君と打ち合わせ。
さて、話は竜人族の長老が来てからだな。
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