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第六十六話 召喚術の授業
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ホクトとサクヤが学園に登校すると、シェスター教授から呼び出された。
シェスター教授は、ソファーにホクトとサクヤに座る様に促す。
「もう少し待って下さいね。説明は一度で済ましてしまいたいので」
そこにノックの音が響く。
「どうぞ、お入り下さい」
ドアを開けて現れたのは、同じAクラスの第四王女フランソワだった。ホクトとサクヤは、簡単にフランソワへ会釈すると、シェスター教授に改めてソファーへ座る様に促される。
まだ全員が揃っていない様で、その後暫く待っていると、ノックの後一人の顔色に悪い三十代くらいの男が部屋に入って来た。
「あゝお待ちしていましたよ。
ホクト君、サクヤさん、こちらはメフィス教授です」
「やあ、君達がホクト君サクヤさんフランソワ様ですね。私はメフィス・フェレス、バンパイア族で召喚術を教えています。こう見えてもシェスター教授と余り変わらない年齢だから、知識は豊富だから君達の助けになると思うよ」
顔色の青さがその種族を聞いて納得する。しかしバンパイアは、ロマリア王国以外では魔物として討伐対象にしている国もある。それはロマリア王国の南東に位置するシドニア神皇国。多神教が多いこの大陸で、唯一の一神教の国だ。
ホクトは改めてこの国の寛容さを感じていた。
「それで今日君達に来てもらったのは、免除教科が多い君達に、二学年から受講出来る召喚術科と錬金術科の受講が出来るように学園長から許可を得ました」
「本当ですか?」
受講出来る授業が少なく、自習する時間が多くなっているホクトとしては願ってもない事だった。
特に錬金術は、魔導具製作にも密接に関係してくる技術だ。現在受講している魔法文字科と魔導具科と合わせれば、出来る事の幅が広がるだろうと喜んだ。
「そこで僕の受けもつ錬金術科とメフィス教授の召喚術科を受講したらどうかと思ってね」
ホクトはサクヤとフランソワの顔を見ると、二人とも頷く。
「「「よろしくお願いします」」」
三人に依存はなかった。
特に召喚術は、特殊な魔法に分類される。
本来なら二学年からでないと受講出来ない。それをメフィス教授に教えて貰えるのなら迷う事はなかった。
「今から二学年の授業に混ざるのは、半年分の遅れが出るから、私の空いている時間に三人へ個人的に授業をしよう」
「宜しいのですか?」
ホクト達三人を個別に対応してくれるのは嬉しいが、王族として贔屓しているのでわとフランソワが心配する。
「問題ありませんよ。召喚術は色々と種類があるのですが、早く始めた方が良い理由がありますから」
その後、授業のスケジュールを組み、三人一緒に召喚術の授業をメフィス教授から、錬金術の授業をシェスター教授から個別に受ける事になった。
召喚術の最初の授業、メフィス教授の研究室でホクト達三人が集められて行われた。
「今日から座学で二学年に追いつく事を目標に講義していきましょう」
早速メフィス教授の授業が始まる。
「ご存知の通り、召喚術には色々な種類があります」
召喚術は、自身の魔力を糧に魔物などを召喚して使役する術である。
同じ魔物を使役する術でテイムがあるが、召喚術とは決定的に異なるのは、召喚術では自身の魔力を使い呼び出す必要がある。
「どの召喚術も共通しているのは、召喚対象とハッキリとした契約が結ばれる事です。魔物使いのテイムでは強力な契約は存在しませんから。
それと、召喚術で使役した魔物側にもメリットがあります」
「魔物にメリットですか?」
フランソワが不思議そうに首をかしげる。
「はい、召喚術では、召喚対象と術師の相性や力量で使役出来るか決まりますが、実は召喚術で使役されると存在進化しやすいというメリットがあるのです。これはアストラル界に身を置く存在にも当てはまるので、実力と相性が合えば比較的失敗しない魔法だと言えます。
次に召喚術の種類について説明しましょう」
召喚術には色々な種類がある。
メフィス教授が使う死霊術もその内の一つだ。他には、ゴーレムも特殊な召喚術に分類される。
召喚術を大きく分けると、魔物を屈服させて術により契約で縛る詠唱魔法を使う方法と、魔法陣を用意してそこに術師の魔力を流し込み、アストラル界より現実世界に顕現させる方法がある。
どちらの場合も術師が召喚術で使役する対象よりも力量が上回る必要があり、実力のない術師がいきなり強力な魔物などと契約する事は出来ない。
魔法陣を使う召喚術は様々な方法が存在し、触媒に魔物素材や術師の血を使用したり、魔石を触媒にする場合もあると言う。
ホクトとサクヤはこの召喚術に似たモノを知っていた。ホクトが酒呑童子だった頃に敵対していた陰陽師 安倍晴明が使う式神だ。安倍晴明は強力な式神(十二天将)を使役していた。
ホクトにしても二度目以降の転生時には、式神を使役して鬼と戦う事もあった。
そんなホクトとサクヤにとって、召喚術を理解するのは他の者に比べ早かった。
「魔法陣で召喚する場合、術師の特性によってアストラル界が変わります。例えば私なら魔界からの召喚ですね。逆立ちしても私は天界からの召喚は出来ません。
聞いたところによると、ホクト君とサクヤさんは、聖属性と闇属性両方の適性があるそうですから、魔界・天界両方からの召喚が可能ですね。
それに加えて、あなた達はエルフですから、精霊契約も出来ますからね。この精霊契約も特殊な召喚術と言う研究者が居ます。
ここで特殊な召喚術と言えるゴーレムについても話して置きましょう。
ゴーレム自体は土魔法の適性も必要になります。それに加え、コアとなるモノが必要です。一般的には魔石を使用しますが、魔晶石を使う事もあります」
「メフィス教授、ゴーレムはそのコアに行動の術式を刻むんじゃなかったですか?」
疑問に思ったホクトが質問する。
「ホクト君は良く勉強していますね。その通りですが、それでは単純作業を繰り返すだけの人形が出来上がるだけです。複雑な行動を術式として刻むことも可能ですが、非常に難易度が高いですね。召喚術でのゴーレムは、コアをアストラル体の憑依媒体にするのです。これによりゴーレム自身に知性を与えることが出来るのです。まぁ、かなり進化させないと賢くはないですけどね。
さて、今後の予定ですが、あなた達には魔法陣を使った召喚術に挑戦してもらいます。
魔法陣に、呼び出すアストラル界の種類、契約条件を描き込み、ランダムで現れた対象と契約するか決めるまでを目標とします」
その他にも、魔物を屈服させて契約する召喚術もしてもらうとメフィス教授が言った。
契約が成功すると、アストラル体の契約対象には実体が与えられる。
「召喚契約した魔物は、私の様な闇属性の魔法が使えれば、こうして影に潜ませる事も出来ます」
メフィスがそう言うと、メフィスの影から黒い狼が現れ、再び沈んで行った。
「闇属性の無い場合は、召喚魔法をその都度使用して呼び出す必要がありますね。
おっと、時間ですね。では今日はこの辺でお終いにしましょう」
丁度、終業の鐘がなりメフィス教授が授業の終わりを告げる。
こうしてホクト達は、詠唱魔法と魔法陣を学んでいく事になる。
シェスター教授は、ソファーにホクトとサクヤに座る様に促す。
「もう少し待って下さいね。説明は一度で済ましてしまいたいので」
そこにノックの音が響く。
「どうぞ、お入り下さい」
ドアを開けて現れたのは、同じAクラスの第四王女フランソワだった。ホクトとサクヤは、簡単にフランソワへ会釈すると、シェスター教授に改めてソファーへ座る様に促される。
まだ全員が揃っていない様で、その後暫く待っていると、ノックの後一人の顔色に悪い三十代くらいの男が部屋に入って来た。
「あゝお待ちしていましたよ。
ホクト君、サクヤさん、こちらはメフィス教授です」
「やあ、君達がホクト君サクヤさんフランソワ様ですね。私はメフィス・フェレス、バンパイア族で召喚術を教えています。こう見えてもシェスター教授と余り変わらない年齢だから、知識は豊富だから君達の助けになると思うよ」
顔色の青さがその種族を聞いて納得する。しかしバンパイアは、ロマリア王国以外では魔物として討伐対象にしている国もある。それはロマリア王国の南東に位置するシドニア神皇国。多神教が多いこの大陸で、唯一の一神教の国だ。
ホクトは改めてこの国の寛容さを感じていた。
「それで今日君達に来てもらったのは、免除教科が多い君達に、二学年から受講出来る召喚術科と錬金術科の受講が出来るように学園長から許可を得ました」
「本当ですか?」
受講出来る授業が少なく、自習する時間が多くなっているホクトとしては願ってもない事だった。
特に錬金術は、魔導具製作にも密接に関係してくる技術だ。現在受講している魔法文字科と魔導具科と合わせれば、出来る事の幅が広がるだろうと喜んだ。
「そこで僕の受けもつ錬金術科とメフィス教授の召喚術科を受講したらどうかと思ってね」
ホクトはサクヤとフランソワの顔を見ると、二人とも頷く。
「「「よろしくお願いします」」」
三人に依存はなかった。
特に召喚術は、特殊な魔法に分類される。
本来なら二学年からでないと受講出来ない。それをメフィス教授に教えて貰えるのなら迷う事はなかった。
「今から二学年の授業に混ざるのは、半年分の遅れが出るから、私の空いている時間に三人へ個人的に授業をしよう」
「宜しいのですか?」
ホクト達三人を個別に対応してくれるのは嬉しいが、王族として贔屓しているのでわとフランソワが心配する。
「問題ありませんよ。召喚術は色々と種類があるのですが、早く始めた方が良い理由がありますから」
その後、授業のスケジュールを組み、三人一緒に召喚術の授業をメフィス教授から、錬金術の授業をシェスター教授から個別に受ける事になった。
召喚術の最初の授業、メフィス教授の研究室でホクト達三人が集められて行われた。
「今日から座学で二学年に追いつく事を目標に講義していきましょう」
早速メフィス教授の授業が始まる。
「ご存知の通り、召喚術には色々な種類があります」
召喚術は、自身の魔力を糧に魔物などを召喚して使役する術である。
同じ魔物を使役する術でテイムがあるが、召喚術とは決定的に異なるのは、召喚術では自身の魔力を使い呼び出す必要がある。
「どの召喚術も共通しているのは、召喚対象とハッキリとした契約が結ばれる事です。魔物使いのテイムでは強力な契約は存在しませんから。
それと、召喚術で使役した魔物側にもメリットがあります」
「魔物にメリットですか?」
フランソワが不思議そうに首をかしげる。
「はい、召喚術では、召喚対象と術師の相性や力量で使役出来るか決まりますが、実は召喚術で使役されると存在進化しやすいというメリットがあるのです。これはアストラル界に身を置く存在にも当てはまるので、実力と相性が合えば比較的失敗しない魔法だと言えます。
次に召喚術の種類について説明しましょう」
召喚術には色々な種類がある。
メフィス教授が使う死霊術もその内の一つだ。他には、ゴーレムも特殊な召喚術に分類される。
召喚術を大きく分けると、魔物を屈服させて術により契約で縛る詠唱魔法を使う方法と、魔法陣を用意してそこに術師の魔力を流し込み、アストラル界より現実世界に顕現させる方法がある。
どちらの場合も術師が召喚術で使役する対象よりも力量が上回る必要があり、実力のない術師がいきなり強力な魔物などと契約する事は出来ない。
魔法陣を使う召喚術は様々な方法が存在し、触媒に魔物素材や術師の血を使用したり、魔石を触媒にする場合もあると言う。
ホクトとサクヤはこの召喚術に似たモノを知っていた。ホクトが酒呑童子だった頃に敵対していた陰陽師 安倍晴明が使う式神だ。安倍晴明は強力な式神(十二天将)を使役していた。
ホクトにしても二度目以降の転生時には、式神を使役して鬼と戦う事もあった。
そんなホクトとサクヤにとって、召喚術を理解するのは他の者に比べ早かった。
「魔法陣で召喚する場合、術師の特性によってアストラル界が変わります。例えば私なら魔界からの召喚ですね。逆立ちしても私は天界からの召喚は出来ません。
聞いたところによると、ホクト君とサクヤさんは、聖属性と闇属性両方の適性があるそうですから、魔界・天界両方からの召喚が可能ですね。
それに加えて、あなた達はエルフですから、精霊契約も出来ますからね。この精霊契約も特殊な召喚術と言う研究者が居ます。
ここで特殊な召喚術と言えるゴーレムについても話して置きましょう。
ゴーレム自体は土魔法の適性も必要になります。それに加え、コアとなるモノが必要です。一般的には魔石を使用しますが、魔晶石を使う事もあります」
「メフィス教授、ゴーレムはそのコアに行動の術式を刻むんじゃなかったですか?」
疑問に思ったホクトが質問する。
「ホクト君は良く勉強していますね。その通りですが、それでは単純作業を繰り返すだけの人形が出来上がるだけです。複雑な行動を術式として刻むことも可能ですが、非常に難易度が高いですね。召喚術でのゴーレムは、コアをアストラル体の憑依媒体にするのです。これによりゴーレム自身に知性を与えることが出来るのです。まぁ、かなり進化させないと賢くはないですけどね。
さて、今後の予定ですが、あなた達には魔法陣を使った召喚術に挑戦してもらいます。
魔法陣に、呼び出すアストラル界の種類、契約条件を描き込み、ランダムで現れた対象と契約するか決めるまでを目標とします」
その他にも、魔物を屈服させて契約する召喚術もしてもらうとメフィス教授が言った。
契約が成功すると、アストラル体の契約対象には実体が与えられる。
「召喚契約した魔物は、私の様な闇属性の魔法が使えれば、こうして影に潜ませる事も出来ます」
メフィスがそう言うと、メフィスの影から黒い狼が現れ、再び沈んで行った。
「闇属性の無い場合は、召喚魔法をその都度使用して呼び出す必要がありますね。
おっと、時間ですね。では今日はこの辺でお終いにしましょう」
丁度、終業の鐘がなりメフィス教授が授業の終わりを告げる。
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