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異世界で新たな一歩目を!
第二十六話 『違和感を感じる』
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確率どうなってんだよ。
それに、相手が佐々木原とか物凄くアンラッキーだ。
まあ、頭の中で文句を垂れているだけで体はペテラウスさんのところに向かっているんだけども。
「いいかい、ルールは簡単。相手を場外に出せば勝ち、降参を宣言させても勝ち、戦闘不能にしても勝ちだ。ただし、相手に致命傷を与える程の攻撃はNGだよ。」
俺たちは、半径十メートル程の円形の石畳の中央で向かい合っている。
佐々木原は戦う気満々の様子で、今にもこちらに走って来そうだ。
(いやいや、みんな状況を飲み込むの早くない!?佐々木原も、人生で初の対人戦だろうに堂々とし過ぎじゃないのか。)
『観念するのさ。ちなみに、オイラもこの試合は観客に回るのさ。』
そう言って、クルトは葉山の方に跳んで行った。
あのぬいぐるみくらいの体の何処からあんな脚力が出ているのだろうか。
(やるしかないか)
そう思い、俺は佐々木原と真正面から向き合う。
若干佐々木原の雰囲気がいつもと違う気がする。
何となく、目に活力が無い様な。
今にもこっちに走って来そうな強い戦意は感じるんだけども。
まあ、そこまで交流がある訳では無いし、無視しても問題ない違和感だろう。
「では、試合開始!」
ペテラウスさんのその声を合図に、俺たちは同時に走り出した。
.......................................................
..............................
..............
『全く、キヨハラ様はもう少し積極性が必要なのさ。ハヤマ様もそう思いますかなのさ?』
クルトは今、清原の肩から葉山の肩の上に跳び移っていた。
『ハヤマ様?』
返事が無いので、クルトはもう一度葉山に話しかける。
「っと、な、何かなクルト君?」
焦った様に葉山は返事を返すが、クルトは不信感を拭い切れない。
(クルト君って呼び方のイントネーションが今までと違うのさ。)
さっきまでは、葉山は地球から連れてこられたせいか、この世界と発音の仕方が誤差程度だけれど少しあった。
普通なら気付かないくらいの違和感だけれど、クルトは普段からミリエルに下界の偵察等の任務を任されているため、どうにもそういう点に敏感だ。
クルトはどうしても不審に思い、葉山の思考を読んだ。
「..........」
『ほへ?』
思考を読もうとして、返答が来なかったことなど今まで一度としてない。
人間ならば、たとえ無意識の内だったとしても何かしら考えているものだ。
可能性としてあり得るのは、何者かによって葉山が思考出来なくされている可能性。
もう一つは、クルトの思考を読む能力を妨害できるスキル等を持っている可能性。
「どうしたの、クルト君?」
葉山の声は耳に入ってこない。
葉山とは対照的に、クルトは思考の渦に飲み込まれていた。
(そして、ハヤマ様から思考を読むことを妨害された感触は無かったのさ。つまり、)
『は、ハヤマ様が、誰かから密かに攻撃を受けているのさ!?』
葉山が何者かから攻撃を受けているという確信を胸に、クルトは急いで清原の元へ跳んで行った。
それに、相手が佐々木原とか物凄くアンラッキーだ。
まあ、頭の中で文句を垂れているだけで体はペテラウスさんのところに向かっているんだけども。
「いいかい、ルールは簡単。相手を場外に出せば勝ち、降参を宣言させても勝ち、戦闘不能にしても勝ちだ。ただし、相手に致命傷を与える程の攻撃はNGだよ。」
俺たちは、半径十メートル程の円形の石畳の中央で向かい合っている。
佐々木原は戦う気満々の様子で、今にもこちらに走って来そうだ。
(いやいや、みんな状況を飲み込むの早くない!?佐々木原も、人生で初の対人戦だろうに堂々とし過ぎじゃないのか。)
『観念するのさ。ちなみに、オイラもこの試合は観客に回るのさ。』
そう言って、クルトは葉山の方に跳んで行った。
あのぬいぐるみくらいの体の何処からあんな脚力が出ているのだろうか。
(やるしかないか)
そう思い、俺は佐々木原と真正面から向き合う。
若干佐々木原の雰囲気がいつもと違う気がする。
何となく、目に活力が無い様な。
今にもこっちに走って来そうな強い戦意は感じるんだけども。
まあ、そこまで交流がある訳では無いし、無視しても問題ない違和感だろう。
「では、試合開始!」
ペテラウスさんのその声を合図に、俺たちは同時に走り出した。
.......................................................
..............................
..............
『全く、キヨハラ様はもう少し積極性が必要なのさ。ハヤマ様もそう思いますかなのさ?』
クルトは今、清原の肩から葉山の肩の上に跳び移っていた。
『ハヤマ様?』
返事が無いので、クルトはもう一度葉山に話しかける。
「っと、な、何かなクルト君?」
焦った様に葉山は返事を返すが、クルトは不信感を拭い切れない。
(クルト君って呼び方のイントネーションが今までと違うのさ。)
さっきまでは、葉山は地球から連れてこられたせいか、この世界と発音の仕方が誤差程度だけれど少しあった。
普通なら気付かないくらいの違和感だけれど、クルトは普段からミリエルに下界の偵察等の任務を任されているため、どうにもそういう点に敏感だ。
クルトはどうしても不審に思い、葉山の思考を読んだ。
「..........」
『ほへ?』
思考を読もうとして、返答が来なかったことなど今まで一度としてない。
人間ならば、たとえ無意識の内だったとしても何かしら考えているものだ。
可能性としてあり得るのは、何者かによって葉山が思考出来なくされている可能性。
もう一つは、クルトの思考を読む能力を妨害できるスキル等を持っている可能性。
「どうしたの、クルト君?」
葉山の声は耳に入ってこない。
葉山とは対照的に、クルトは思考の渦に飲み込まれていた。
(そして、ハヤマ様から思考を読むことを妨害された感触は無かったのさ。つまり、)
『は、ハヤマ様が、誰かから密かに攻撃を受けているのさ!?』
葉山が何者かから攻撃を受けているという確信を胸に、クルトは急いで清原の元へ跳んで行った。
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