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異世界で新たな一歩目を!
第十三話 『やり過ぎだって、シャーロッタさん!』
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『そこの角を右に曲がると、ハイオークの出現範囲になっているのさ。』
言われた方向を見ると、その瞬間に魔物がダンジョンの壁から生まれてくるところだった。
《次元転移を発動します。》
俺は、「次元転移」を使ってハイオークの後ろに回り込み、首筋を俺の長剣で切り裂く。
返り血を少し浴びながらも、俺は葉山のところへ戻っていく。
「大丈夫?」
「まあ、うまい具合に奇襲をかけれたから、怪我は無いかな。」
「そう。」
『じゃあ、次の階層に進むのさ。』
そう軽く言ってのけるクルトに、俺は一つため息をついてから言ってやる。
「このダンジョンってこんなんだったっけ?」
『ミリエル様は、「ちょっと難易度を上げとこうかな」みたいなことを言っていたのさ。」
「おいおいおいおい、」
俺は周りの状態や、ここまでの道のりを改めて思い返してから叫ぶ。
「この難易度の上がり方は、ちょっとなんてもんじゃないだろ。見ろよあのハイオークを。」
俺は、体の半分が塵となって消えているハイオークを指差して言う。
現実で見るとめっちゃCGみたいだな、と思いつつも、今更当たり前のようにモンスターが塵になって消えていることには触れない。
それよりも、今はこのダンジョンについてだ。
昨日までは、肉がほとんど付いていないようなゴブリンが相手だったのに対して、今や全身を相撲取りのように筋肉で覆い、身長が大体二メートル強ほどはあるハイオークが普通に出現しているのだ。
難易度の上がり方がおかしい。
『キヨハラ様のレベリングのため、ミリエル様が親切心で用意してくれたのさ。』
いや、確かにちょうどいい相手ではあるし、レベルも今や14まで上がっている。
だが、それと難易度が釣り合っていない。
今は一階層までしか来てないし、昨日だって一階層しかなかった。
だが、確かに昨日ミリエルさんはダンジョンを五十階層まで広げると言ったのだ。
地球の知識では、ダンジョンとは下に行けば行くほど難易度が上がるのはお約束だし、クルトもさっきそう言っていた。
「私にはこのダンジョン厳しいかも。」
そう言ってはいるものの、何気に葉山は誇張抜きで圧倒的に強かった。
一回俺が二体のハイオークの連携により、背後を取れず苦戦していたところ、葉山がパンチ一発でそのハイオークの一体を吹き飛ばしたのだ。
あの時、俺は一瞬何が起きたのか理解できずにフリーズしてしまった。
あの細い腕のどこからそんなパワーが来ているのか不思議でならない。
やはり、魔法はどこまで行っても理解できない。
『では、このダンジョンの案内を再開するのさ。』
そう言ったクルトへ、俺と葉山は言う。
「おいクルト、俺たちは今から用事があるから、ダンジョンの案内は午後まで待ってくれないか?」
「それに、私たち少し疲れてきたの。」
まあ、「次元転移」で過去に戻ろうと思えば戻れるのだが、これから騎士団長との面会が控えている身としては、体力をここで消耗するのは避けたい。
まあ、半分は建前だけど。
『わ、分かったのさ。』
もうちょった案内をしたそうだったが、クルトは渋々ながらに俺の提案を飲んでくれた。
幸せを掴むためにはある程度の力は必要になるとはいえ、死にかけてまで強くなりたいわけではないのだ。
俺は葉山の手を握ると、このダンジョンの入り口に転移を発動させた。
言われた方向を見ると、その瞬間に魔物がダンジョンの壁から生まれてくるところだった。
《次元転移を発動します。》
俺は、「次元転移」を使ってハイオークの後ろに回り込み、首筋を俺の長剣で切り裂く。
返り血を少し浴びながらも、俺は葉山のところへ戻っていく。
「大丈夫?」
「まあ、うまい具合に奇襲をかけれたから、怪我は無いかな。」
「そう。」
『じゃあ、次の階層に進むのさ。』
そう軽く言ってのけるクルトに、俺は一つため息をついてから言ってやる。
「このダンジョンってこんなんだったっけ?」
『ミリエル様は、「ちょっと難易度を上げとこうかな」みたいなことを言っていたのさ。」
「おいおいおいおい、」
俺は周りの状態や、ここまでの道のりを改めて思い返してから叫ぶ。
「この難易度の上がり方は、ちょっとなんてもんじゃないだろ。見ろよあのハイオークを。」
俺は、体の半分が塵となって消えているハイオークを指差して言う。
現実で見るとめっちゃCGみたいだな、と思いつつも、今更当たり前のようにモンスターが塵になって消えていることには触れない。
それよりも、今はこのダンジョンについてだ。
昨日までは、肉がほとんど付いていないようなゴブリンが相手だったのに対して、今や全身を相撲取りのように筋肉で覆い、身長が大体二メートル強ほどはあるハイオークが普通に出現しているのだ。
難易度の上がり方がおかしい。
『キヨハラ様のレベリングのため、ミリエル様が親切心で用意してくれたのさ。』
いや、確かにちょうどいい相手ではあるし、レベルも今や14まで上がっている。
だが、それと難易度が釣り合っていない。
今は一階層までしか来てないし、昨日だって一階層しかなかった。
だが、確かに昨日ミリエルさんはダンジョンを五十階層まで広げると言ったのだ。
地球の知識では、ダンジョンとは下に行けば行くほど難易度が上がるのはお約束だし、クルトもさっきそう言っていた。
「私にはこのダンジョン厳しいかも。」
そう言ってはいるものの、何気に葉山は誇張抜きで圧倒的に強かった。
一回俺が二体のハイオークの連携により、背後を取れず苦戦していたところ、葉山がパンチ一発でそのハイオークの一体を吹き飛ばしたのだ。
あの時、俺は一瞬何が起きたのか理解できずにフリーズしてしまった。
あの細い腕のどこからそんなパワーが来ているのか不思議でならない。
やはり、魔法はどこまで行っても理解できない。
『では、このダンジョンの案内を再開するのさ。』
そう言ったクルトへ、俺と葉山は言う。
「おいクルト、俺たちは今から用事があるから、ダンジョンの案内は午後まで待ってくれないか?」
「それに、私たち少し疲れてきたの。」
まあ、「次元転移」で過去に戻ろうと思えば戻れるのだが、これから騎士団長との面会が控えている身としては、体力をここで消耗するのは避けたい。
まあ、半分は建前だけど。
『わ、分かったのさ。』
もうちょった案内をしたそうだったが、クルトは渋々ながらに俺の提案を飲んでくれた。
幸せを掴むためにはある程度の力は必要になるとはいえ、死にかけてまで強くなりたいわけではないのだ。
俺は葉山の手を握ると、このダンジョンの入り口に転移を発動させた。
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