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第9部 夢の先にあるもの
1-1頭では分かっていても現実が受け止められない……
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一日の仕事が終わったあと。私は自宅に着くと、二階に直行し、寝室に向かった。制服を脱ぎ捨て、床に放り投げると、下着姿のまま、大きなベッドに倒れ込んだ。うつぶせのまま、枕に顔をうずめると、完全に脱力した。
いつもならば、のんびり買い物をしてから、帰って来る。仕事終わりの夕飯の買い出しも、毎日の楽しみの一つだからだ。でも、今日はそのまま家に直行し、どう帰って来たかも、よく覚えていない。
また、帰ってきたら、すぐに制服をハンガーにかけて、綺麗にしわを伸ばし、ブラッシングして、ほこりなどを綺麗に落とす。上位階級として、身だしなみは、物凄く重要だからだ。
それに、ここ最近は、立場に見合った人間になるため、帰宅後も、規則正しい行動をするよう、常に心掛けていた。でも、今日は、全くそんなことをする気が起きない。まるで、体から、魂が抜けてしまったような感覚だ。
そもそも、何かをしようという気力が、全く湧いてこなかった。常に、ウロチョロ動いていないとダメな性格なので、こんなことは珍しい。
でも、会社での出来事を思い出すと、辛く悲しい気持ちが沸き上がり、胸がギュッと締め付けられる。何かを考えようとしても、負の感情しか湧いてこない。たくさんあった、未来の明るい夢や希望が、全て見えなくなってしまったのだ。
ちなみに、今朝は、物凄くワクワクしながら、いつも以上に元気に出社した。なぜなら、リリーシャさんのエンプレス昇進が、決まる日だったからだ。
面接が終わるまでは、結果がどうなるか分からない。でも、リリーシャさんは、あらゆる部分で完璧なので『万が一にも落ちることはない』と、信じていた。もう、決まったも同然だと、私は、確信していたのだ。
しかし、リリーシャさんが帰ってきてから、面接の結果を聴いて、私は愕然とした。よりによって、自分から断るだなんて、完全に予想外だった。
理事たちからは、考え直すように、長時間、説得されたみたいだ。それだけ、理事たちからも、リリーシャさんへの期待が、大きかったのだと思う。それでも、彼女は、昇進を、完全にお断りしてしまった。
通常なら、絶対にあり得ない行為だ。『グランド・エンプレス』は、なりたくてなれるような、軽い立場ではない。シルフィードなら誰もが憧れる、たった一席しかない、最高の地位なのだから。
また、この世界での、エンプレスの社会的な立場は、極めて高い。国家元首ですら、敬意を払うほどの、神聖不可侵の特別な存在だ。世界中の誰からも敬意を払われ、その発言力や影響力は、絶大だった。
加えて『ライセンス料』や、シルフィード協会からの『上位階級手当』も、他の上位階級とは、比較にならないぐらい高い。各種イベントや、メディアへの出演依頼も、引く手あまただ。莫大な収入を得るため、一生、生活に困ることはない。
最高の地位と名誉に、巨万の富。エンプレスへの就任は、自分の人生の成功が、確約されているのと同じことだ。こんな、最高の条件なうえに、一生に一度きりのチャンスを断るなんて、普通はあり得ない。
だが、リリーシャさんは、あっさり辞退してしまったのだ。しかも、断ったことで、むしろ、ホッとしている様子だった。
『グランド・エンプレス』の立場というよりも、シルフィードをやっていること自体が、重荷だったのだろうか……?
あんなに、毎日、楽しそうにやっていたのに。単に、私が、気付けなかっただけなんだろうか――?
元々リリーシャさんは、自分の感情を、表情には出さない人だ。いつだって、優しく柔らかな笑顔をしている。ただ、その代わり『辛いことや嫌なことは、自分一人で全て抱え込んでしまう』と、以前、ツバサさんが言っていた。
アリーシャさんの話を聴いた時、私は『全力でリリーシャさんの力になる』と、心に誓った。散々手助けしてもらい、手塩にかけて、ここまで育ててもらったのだから。今度は、私が彼女を支える番だと、思ったからだ。
でも、そんな細かい理屈は、どうでもいい。単に、私がリリーシャさんのことを、心から大好きだから。好きな人を、全力で支えるのは、当然だ。
でも、本当に、支えになっていたどうかは、正直、よく分からない。リリーシャさんは『風歌ちゃんが一人前になるまでは、見守っていようと思った』と、話していた。これでは、支えるどころか、逆に、私が負担を掛けていただけに過ぎない。
それに『自分の意思でやっているのでも、好きでやっているのでもない』とも、言っていた。この言葉は、私の心に深く突き刺さり、想像を絶するほどの、精神的なダメージを受けたのだった。
私が『リリーシャさんこそが、最高のシルフィード』と思っていた一番の理由は、物凄く楽しそうだったからだ。いつも笑顔で、仕事も完璧で、あれほど楽しそうに仕事をやっている人を、他に見たことがない。まさに、天職に見えたのだ。
普通は、仕事って、お金をもらうために、嫌々やっている人が、多いと思っていた。なのに、あんなに忙しいのに、毎日、とても楽しそうで、滅茶苦茶、輝いていて。彼女の仕事のしかたを見ていて、物凄く刺激を受けた。
『私も、あんなふうに、楽しく仕事がしたい』『彼女のように、最高のシルフィードになりたい』と、心の底から思った。だからこそ、リリーシャさんに強く憧れ、ずっと、その背中を追い続けてきた。
でも、当の本人は、全然、それとは、真逆の考えを持っていたのだ。『いつまで続けるか、分からない』と、ハッキリ言っていたし。
私は、これから先も、ずっと一緒に、楽しく仕事ができるものだと、思っていた。これからも、二人で〈ホワイト・ウイング〉を、盛り立てていくものだと、信じて疑わなかった。私の将来設計は、常に、リリーシャさんと一緒だったのだ。
だからこそ、彼女の口から次々と出て来た、否定的な言葉は、鋭い刃のように、私の心を、深く切り裂いた。あまりにも衝撃的で、悪夢でも見ているような気分だ。
でも、これは、紛れもない事実だった。彼女の目を見て、それが本気の言葉だと、すぐに理解した。そもそも、リリーシャさんは、冗談なんて言う人じゃない。
今まで、毎日が明るく楽しくて、人生はバラ色だった。色々な苦労があったけど、無事に昇進して、仕事が順調に進んでいるから、幸せなんだと思ってた。でも、それは、全くの勘違いだった。
私は、リリーシャさんと一緒に仕事をするのが、楽しかったから。私は、リリーシャさんと一緒にいられれば、それだけで、幸せだったのだ。
もし、上位階級に、なれなかったとしても。彼女と一緒なら、それだけで、満足していたに違いない。それほどまでに、リリーシャさんの存在が、大きかったのだ。
それだけに、彼女のアリーシャさんに対する想いが、痛いほど分かる。何でも、真似したい気持ちは、凄く分かるし。失った時のショックの大きさは、計り知れないものだっただろう。
私は、ずっと、自分の意思で、シルフィードをやっていると思っていた。でも、本当に、そうだろうか……? 単に、リリーシャさんがいたから、続けていただけじゃないだろうか――?
もし、私が、別の会社に入っていたら。もし、リリーシャさんと、出会わなかったら。果たして、辛い見習い時代を、乗り越えられただろうか……? 自分の明確な目標を、持つことができただろうか――?
上位階級のシルフィードは、皆凄い人ばかりだ。でも、私は、リリーシャさん以外に、目標と思える人がいない。何人かに『アリーシャさんに似ている』と、言われたけど。いまだに、目標は、リリーシャさんだけだ。
きっと、彼女と出会わなければ、特に目標もなく、何となく、日々の仕事を続けていたと思う。おそらく、ここまで必死に頑張ることもなく、上位階級にも、なれなかったかもしれない。
そう考えると、今の私があるのは、全てリリーシャさんのお蔭だ。私の世界の中心は、いつだって、リリーシャさんだった。
私にとって彼女は、太陽のような存在だ。毎日、朝になれば、登って来るのが当たり前。これから先も、一生それが続くのが当たり前。ずっと、そう考えていた。
でも、それが、単に私の理想であり、思い込みであることを、初めて知った。その途端に、私の進むべき道が閉ざされてしまい、明るく見えていた世界が、急に灰色になってしまったのだ。
あらゆる、夢や希望が、消えてしまった。もう二度と、この世界に、明るい光が灯らない気がする。今までは、いくら失敗しても、再起していたけど。今回ばかりは、立ち直れる気がしない……。
「これから、私は、どうすればいいの――? 私一人じゃ、楽しくなんて、やって行けないよ……」
いつの間にか、目からは熱いものが、あふれ出していた。
この気持ちは、甘えや、依存なのかもしれない。私が、子供過ぎるのが、いけないんだと思う。
誰にだって、自分に合った、生きる道がある。皆、それぞれに、違う方向に進んでいる。だから、いつか必ず、分かれ道が訪れるのだ。
理屈では、分かっている。でも、例え、そうだとしても、私は――。
「これからも、ずっと一緒にいたい……。毎日、あの優しい笑顔を、見ていたいよ。これって、私のワガママなの――?」
きっとこれは、悪い夢なんだ。目が覚めたら、いつも通りの、明るい世界に戻っているはず。
私は、そう自分に言い聞かせながら、目を閉じる。だが、あふれる涙は止まらず、ますます、辛く悲しくなってきた。
現実は、変わらない。現実からは、逃げられない。変わってしまった世界は、戻には戻らない。流石に、それが分からないほど、子供ではなかった。でも、頭では分かっても、素直に受け入れられるほど、大人でもない。
私は、ベッドに倒れ込んだまま、ただ静かに、泣き続けるのだった……。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
次回――
『エンプレスの存在意義とは何なのだろうか?』
個人は全体のために、全体は個人のために存在する
いつもならば、のんびり買い物をしてから、帰って来る。仕事終わりの夕飯の買い出しも、毎日の楽しみの一つだからだ。でも、今日はそのまま家に直行し、どう帰って来たかも、よく覚えていない。
また、帰ってきたら、すぐに制服をハンガーにかけて、綺麗にしわを伸ばし、ブラッシングして、ほこりなどを綺麗に落とす。上位階級として、身だしなみは、物凄く重要だからだ。
それに、ここ最近は、立場に見合った人間になるため、帰宅後も、規則正しい行動をするよう、常に心掛けていた。でも、今日は、全くそんなことをする気が起きない。まるで、体から、魂が抜けてしまったような感覚だ。
そもそも、何かをしようという気力が、全く湧いてこなかった。常に、ウロチョロ動いていないとダメな性格なので、こんなことは珍しい。
でも、会社での出来事を思い出すと、辛く悲しい気持ちが沸き上がり、胸がギュッと締め付けられる。何かを考えようとしても、負の感情しか湧いてこない。たくさんあった、未来の明るい夢や希望が、全て見えなくなってしまったのだ。
ちなみに、今朝は、物凄くワクワクしながら、いつも以上に元気に出社した。なぜなら、リリーシャさんのエンプレス昇進が、決まる日だったからだ。
面接が終わるまでは、結果がどうなるか分からない。でも、リリーシャさんは、あらゆる部分で完璧なので『万が一にも落ちることはない』と、信じていた。もう、決まったも同然だと、私は、確信していたのだ。
しかし、リリーシャさんが帰ってきてから、面接の結果を聴いて、私は愕然とした。よりによって、自分から断るだなんて、完全に予想外だった。
理事たちからは、考え直すように、長時間、説得されたみたいだ。それだけ、理事たちからも、リリーシャさんへの期待が、大きかったのだと思う。それでも、彼女は、昇進を、完全にお断りしてしまった。
通常なら、絶対にあり得ない行為だ。『グランド・エンプレス』は、なりたくてなれるような、軽い立場ではない。シルフィードなら誰もが憧れる、たった一席しかない、最高の地位なのだから。
また、この世界での、エンプレスの社会的な立場は、極めて高い。国家元首ですら、敬意を払うほどの、神聖不可侵の特別な存在だ。世界中の誰からも敬意を払われ、その発言力や影響力は、絶大だった。
加えて『ライセンス料』や、シルフィード協会からの『上位階級手当』も、他の上位階級とは、比較にならないぐらい高い。各種イベントや、メディアへの出演依頼も、引く手あまただ。莫大な収入を得るため、一生、生活に困ることはない。
最高の地位と名誉に、巨万の富。エンプレスへの就任は、自分の人生の成功が、確約されているのと同じことだ。こんな、最高の条件なうえに、一生に一度きりのチャンスを断るなんて、普通はあり得ない。
だが、リリーシャさんは、あっさり辞退してしまったのだ。しかも、断ったことで、むしろ、ホッとしている様子だった。
『グランド・エンプレス』の立場というよりも、シルフィードをやっていること自体が、重荷だったのだろうか……?
あんなに、毎日、楽しそうにやっていたのに。単に、私が、気付けなかっただけなんだろうか――?
元々リリーシャさんは、自分の感情を、表情には出さない人だ。いつだって、優しく柔らかな笑顔をしている。ただ、その代わり『辛いことや嫌なことは、自分一人で全て抱え込んでしまう』と、以前、ツバサさんが言っていた。
アリーシャさんの話を聴いた時、私は『全力でリリーシャさんの力になる』と、心に誓った。散々手助けしてもらい、手塩にかけて、ここまで育ててもらったのだから。今度は、私が彼女を支える番だと、思ったからだ。
でも、そんな細かい理屈は、どうでもいい。単に、私がリリーシャさんのことを、心から大好きだから。好きな人を、全力で支えるのは、当然だ。
でも、本当に、支えになっていたどうかは、正直、よく分からない。リリーシャさんは『風歌ちゃんが一人前になるまでは、見守っていようと思った』と、話していた。これでは、支えるどころか、逆に、私が負担を掛けていただけに過ぎない。
それに『自分の意思でやっているのでも、好きでやっているのでもない』とも、言っていた。この言葉は、私の心に深く突き刺さり、想像を絶するほどの、精神的なダメージを受けたのだった。
私が『リリーシャさんこそが、最高のシルフィード』と思っていた一番の理由は、物凄く楽しそうだったからだ。いつも笑顔で、仕事も完璧で、あれほど楽しそうに仕事をやっている人を、他に見たことがない。まさに、天職に見えたのだ。
普通は、仕事って、お金をもらうために、嫌々やっている人が、多いと思っていた。なのに、あんなに忙しいのに、毎日、とても楽しそうで、滅茶苦茶、輝いていて。彼女の仕事のしかたを見ていて、物凄く刺激を受けた。
『私も、あんなふうに、楽しく仕事がしたい』『彼女のように、最高のシルフィードになりたい』と、心の底から思った。だからこそ、リリーシャさんに強く憧れ、ずっと、その背中を追い続けてきた。
でも、当の本人は、全然、それとは、真逆の考えを持っていたのだ。『いつまで続けるか、分からない』と、ハッキリ言っていたし。
私は、これから先も、ずっと一緒に、楽しく仕事ができるものだと、思っていた。これからも、二人で〈ホワイト・ウイング〉を、盛り立てていくものだと、信じて疑わなかった。私の将来設計は、常に、リリーシャさんと一緒だったのだ。
だからこそ、彼女の口から次々と出て来た、否定的な言葉は、鋭い刃のように、私の心を、深く切り裂いた。あまりにも衝撃的で、悪夢でも見ているような気分だ。
でも、これは、紛れもない事実だった。彼女の目を見て、それが本気の言葉だと、すぐに理解した。そもそも、リリーシャさんは、冗談なんて言う人じゃない。
今まで、毎日が明るく楽しくて、人生はバラ色だった。色々な苦労があったけど、無事に昇進して、仕事が順調に進んでいるから、幸せなんだと思ってた。でも、それは、全くの勘違いだった。
私は、リリーシャさんと一緒に仕事をするのが、楽しかったから。私は、リリーシャさんと一緒にいられれば、それだけで、幸せだったのだ。
もし、上位階級に、なれなかったとしても。彼女と一緒なら、それだけで、満足していたに違いない。それほどまでに、リリーシャさんの存在が、大きかったのだ。
それだけに、彼女のアリーシャさんに対する想いが、痛いほど分かる。何でも、真似したい気持ちは、凄く分かるし。失った時のショックの大きさは、計り知れないものだっただろう。
私は、ずっと、自分の意思で、シルフィードをやっていると思っていた。でも、本当に、そうだろうか……? 単に、リリーシャさんがいたから、続けていただけじゃないだろうか――?
もし、私が、別の会社に入っていたら。もし、リリーシャさんと、出会わなかったら。果たして、辛い見習い時代を、乗り越えられただろうか……? 自分の明確な目標を、持つことができただろうか――?
上位階級のシルフィードは、皆凄い人ばかりだ。でも、私は、リリーシャさん以外に、目標と思える人がいない。何人かに『アリーシャさんに似ている』と、言われたけど。いまだに、目標は、リリーシャさんだけだ。
きっと、彼女と出会わなければ、特に目標もなく、何となく、日々の仕事を続けていたと思う。おそらく、ここまで必死に頑張ることもなく、上位階級にも、なれなかったかもしれない。
そう考えると、今の私があるのは、全てリリーシャさんのお蔭だ。私の世界の中心は、いつだって、リリーシャさんだった。
私にとって彼女は、太陽のような存在だ。毎日、朝になれば、登って来るのが当たり前。これから先も、一生それが続くのが当たり前。ずっと、そう考えていた。
でも、それが、単に私の理想であり、思い込みであることを、初めて知った。その途端に、私の進むべき道が閉ざされてしまい、明るく見えていた世界が、急に灰色になってしまったのだ。
あらゆる、夢や希望が、消えてしまった。もう二度と、この世界に、明るい光が灯らない気がする。今までは、いくら失敗しても、再起していたけど。今回ばかりは、立ち直れる気がしない……。
「これから、私は、どうすればいいの――? 私一人じゃ、楽しくなんて、やって行けないよ……」
いつの間にか、目からは熱いものが、あふれ出していた。
この気持ちは、甘えや、依存なのかもしれない。私が、子供過ぎるのが、いけないんだと思う。
誰にだって、自分に合った、生きる道がある。皆、それぞれに、違う方向に進んでいる。だから、いつか必ず、分かれ道が訪れるのだ。
理屈では、分かっている。でも、例え、そうだとしても、私は――。
「これからも、ずっと一緒にいたい……。毎日、あの優しい笑顔を、見ていたいよ。これって、私のワガママなの――?」
きっとこれは、悪い夢なんだ。目が覚めたら、いつも通りの、明るい世界に戻っているはず。
私は、そう自分に言い聞かせながら、目を閉じる。だが、あふれる涙は止まらず、ますます、辛く悲しくなってきた。
現実は、変わらない。現実からは、逃げられない。変わってしまった世界は、戻には戻らない。流石に、それが分からないほど、子供ではなかった。でも、頭では分かっても、素直に受け入れられるほど、大人でもない。
私は、ベッドに倒れ込んだまま、ただ静かに、泣き続けるのだった……。
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次回――
『エンプレスの存在意義とは何なのだろうか?』
個人は全体のために、全体は個人のために存在する
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