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第7部 才能と現実の壁

3-5自分は冒険しても親友には安定した人生を送って欲しい

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 午後三時を、少し回ったころ。私は、大型のエア・ドルフィンに乗り〈西地区〉の上空を飛んでいた。つい先ほど、観光案内を、終えたばかりだった。ただ、今からだと、中途半端な時間なので、お客様を見つけるのは、まず無理だ。

 それでも、余った時間は、ずっと町の上空を飛び回っている。なぜなら、目的地を探していたり、迷子になっていたり、助けを必要としている人も、たまにいるからだ。ようするに、ボランティア活動みたいな感じかな。

 相変わらず、予約は少ないし。飛び込み営業も、成功率はかなり低い。なので、最近は『人助けに専念しよう』と、割り切っていた。昔のシルフィードは、人助けが仕事だった訳だし。これも、接客の練習になるからね。

 私は、ゆっくり飛びながら、地上の状況を、くまなく観察していった。〈ウインド・ストリート〉は、今日も、観光客や地元の若者で、物凄く賑わっていた。みんな、とても楽しそうで、見ていて嬉しくなる。

「うーん、今日も変わらず、とっても平和。何もないのが、一番だよねぇ。ん……あれって、もしかして?」

 視線を動かしていると、あるお店のテラス席で、ふと目がとまった。見知った人物がいたからだ。

 私は、ゆっくり高度を落とすと、お店の前に、静かに着陸する。エア・ドルフィンを降りて、近付いて行くと、そっと声を掛けた。

「こんにちは、ユメちゃん。学校の帰り?」
「って、風ちゃん?! 何で、こんな所に?」

 本を読んでいたユメちゃんは、こちらを見て、物凄く驚いた表情を浮かべる。

「ごめんね、驚かせちゃった? 上空を飛んでたら、たまたま、姿が見えたから」
「あんな高いところから、見分けがつくの?」

「それが、私の仕事だからね。ユメちゃんのことは、一発で分かったよ」
「へぇぇーー。やっぱり、シルフィードって、凄いんだねぇ」
「これでも、一応、エア・マスターだし。視力は、元々いいから」
 
 単純に外見だけではなく、その人の仕草でも、ある程度の判断がつく。ちなみに、ベテランになると、雰囲気だけで、人の区別がつくようになるらしい。なんでも、魔力の違いを、読み取ってるそうだ。私には、サッパリ分からないけど――。

 私は、ユメちゃんの前の席に座ると、店員さんを呼んで、ユメちゃんと同じ、ケーキセットを注文する。ここのオススメは、レアチーズ・ケーキだ。以前、雑誌のスイーツ特集で、見たことがあった。

 片っ端から、情報をチェックしているので、この通りの全てのお店の、オススメ商品を知っている。これも、毎日、コツコツやっている、勉強の賜物だよね。

「なんか、こういうのって、初めてだね」
「えっ? 風ちゃんとは、いつも、お茶してるじゃない?」

 ユメちゃんは、定期的に、予約を入れてくれていた。なので、お茶したり、食事したりは、何度もやっている。

「普段は、そうだけど。制服のユメちゃんを見るのは、初めてだから」
「あぁー、そういえば、そうかも」
「私服姿しか見たことないから、何か凄く新鮮だね」

 ユメちゃんは、大富豪の家のお嬢様だけど、割とラフな格好が多い。自室にいる時は、短パンにTシャツ。時には、パジャマのままとか。あと、ベッドで、ゴロゴロしていることが多いので、緩いイメージしかない。

 だから、こうして、フォーマルな格好をしているのは、初めて見る。まるで、全く別人のようだ。

「その制服いいね。とても、ビシッとした感じで」
「んー、ちょっと地味じゃないかな? あんまり、可愛くないし」

 黒のブレザーに、紺色のチェック柄のネクタイ。スカートも黒で、丈は少し長め。飾っ気が全くなく、物凄くシンプルだ。でも、黒で統一されているから、物凄く、引き締まって見える。

 彼女が通っている〈ナターシャ叡智学館〉は、この町で『最も学力レベルが高い学校』と言われていた。『叡智の魔女』の名を冠しているだけあり、伝統的に、学問に非常に力を入れている。そのため、秀才たちが、多く集まっていた。

 入学試験も、滅茶苦茶、難関であることで有名だった。でも、そこの試験に、あっさり、受かってしまうのだから。やっぱり、ユメちゃんの頭のよさは、本物だ。

「でも、とても、知的に見えるよ。カッコイイし」
「えぇー。私は、可愛いほうがいいよー」

「例えば〈聖アルティナ学園〉の制服みたいな?」
「そう、それ! あの白いブレザー、超可愛いよねぇ」

 何度か見かけたことがあるけど、確かに、清楚で物凄くカワイイ。ナギサちゃんが通ってた〈南地区〉の学校だよね。

「なら、そっちに行けば、よかったんじゃないの? あそこは、お嬢様学校だし。むしろ、あっちのほうが、ユメちゃんには、向いていると思うけど」

〈聖アルティナ学園〉は『シルフィード校一のお嬢様学校』と言われており、お金持ちのご令嬢が多いらしい。まさに、ユメちゃんには、ピッタリだよね。

「一応、考えはしたんだけどね。親にも勧められたし。でも、叡智学館には、超巨大な図書館があるんだもん。蔵書数もピカイチだし、新書もどんどん入って来るし。制服がダサくても、本の誘惑には、勝てないよぉ……」 

「あははっ、ユメちゃんらしいねぇ」

 ユメちゃんの本好きは、相変わらずだ。学校には、ちゃんと通っているけど。暇さえあれば、本を読んでいる生活は、以前と全く変わらない。

「学校はどう? 楽しい?」
「うん。それなりに、楽しいよ。勉強は、好きだから」

「でも、叡智学館って、とんでもなく、レベル高いんでしょ? ちゃんと、ついて行けてる?」

 以前〈ナターシャ叡智学館〉について調べてみたら、この町どころか、大陸を含めても、五本の指に入るぐらいの、超名門校だった。こちらの世界に、偏差値はないけど、向こうの世界基準だと『偏差値78』ぐらいらしい。

 常に、偏差値50前後を、ウロウロしていた私には、完全に異次元すぎる。なので、どれぐらい凄いのか、さっぱり想像がつかない――。

「うーん、そんなに難しくはないよ。こないだの試験、学年で一位だったし」
「えぇーー?! 一位なのっ?!」

「一応、高校三年までの勉強は、個人的に終えてるし」
「あははっ……。全く問題なさそうだね」

 心配する必要なんて、何もなかった。そういえば、昇級試験の時、私のほうが教わってたもんね。悲しいけど、私とでは、頭のレベルが違いすぎる――。

「でも、勉強だけ出来ても、しょうがないよね。その他は、サッパリだから」 
「そうなの?」

「体育の授業は、準備運動するだけで、息切れするし。家庭科の授業では、クッキーを炭にしたし。歩いてると、よく躓いて転ぶし。もう、学校では、すっかり、ドジっ子認定されちゃったよ」

「へ、へぇぇ……」

 二年も、引きこもっていたのも有るけど。そもそも、箱入り娘の、生粋のお嬢様だもんね。大豪邸に住んでいて、沢山の使用人がいて、何でもやってもらえるし。何不自由なく、生きて来たのだろう。

 前々から感じてはいたけど、ユメちゃんって、物凄くアンバランスなんだよね。滅茶苦茶、頭はいいのに、結構、不器用だし。生活能力も、極端に低いし。

「でも、いいんじゃない? ユメちゃんの場合、家には、やってくれる人がいるから。それだけ頭が良ければ、将来の選択肢も広いし。大学まで行って、政治家や行政府の高官なんかになる道も、選べるよね」

 この世界の大学進学率は、20%ぐらいと、非常に低い。『十代で就職するのが当り前』という常識に加え、大学が、とんでもなく、ハイレベルだからだ。どの大学も、向こうの世界の『東大』と、同じぐらいのレベルなんだって。

 学力レベルの高さに加え、学費も物凄く高い。なので、大学に進学するのは、一握りの秀才かつ、経済的に余裕のある人だけだ。その代わり、大学卒業後は、確実に、エリート街道が約束されていた。

「だーかーらー、私は、シルフィードになりたいのっ!」
 ユメちゃんは、ブーッと、むくれた表情で答える。

「どうしても、シルフィードになりたいの?」
「もちろんだよ。だから、シルフィード校に、行ったんじゃない」

 それもそうだ。でも、私は、少し不安だった。ユメちゃんは、単なる憧れだけで、シルフィードを目指しているように、見えるからだ。仕事自体に憧れるなら、まだしも。私なんかに憧れている、という理由だけで。

 シルフィードの世界は、物凄く不安定だ。成功するのは、ほんの一握りだけで、途中で辞めていく人が、非常に多い。芸能界などに、近いと思う。

 私の場合は、自分の意思で選んだし、他に選べるような仕事もなかった。でも、ユメちゃんなら、頭がいいから、選択肢が物凄く広い。それに、家がお金持ちだから、親の会社を継いだり、実業家になる道だってある。

 とても恵まれた環境にあって、沢山の可能性があるのに、道を一本に絞ってしまって、本当にいいのだろうか? しかも、とんでもなく厳しい、いばらの道に――。

「風ちゃんは、私がシルフィードになるの、反対なの?」
「そんなことないよ。ただ、とても厳しい業界だからね。親友の立場としては、あまり、オススメできないかな。もっと平和で、安定した道もあるんだから」

 安定した将来を送りたいなら、けっして、オススメできない職業だ。

「それぐらい、分かってるもん。ちゃんと、覚悟はできてるから」
「私と同じこと、ユメちゃんも出来る?」
「……できるよ。私、風ちゃんみたいになりたくて、頑張ってるんだから」

 ユメちゃんは、真剣な表情で答える。

「じゃあ、家を出て、一人暮らしをして。何の援助も受けずに、パンと水だけで、生きて行ける? 本もお菓子も、自由には買えないよ」
「えぇっ――?!」

「同じことが、できるんでしょ?」
「……」

 ユメちゃんは、何かを言いかけたが、俯いて黙り込んでしまった。しばしの沈黙が訪れ、重い空気が流れる。

「ゴメンね。別に、意地悪をしてる訳じゃないんだ。ただ、私は、本気でユメちゃんを心配してるだけ。一般的なイメージと違って、とても厳しい世界だから。親友だからこそ、本当のことを知ってほしくて」

「うん。親切で言ってくれてるのは、分かってる。それに、世間知らずだし、一人じゃ何もできないし。風ちゃんみたいに、しっかりしてないし――」

「いやいや、私も、そうとうな世間知らずだったよ。向こうにいた時は、家事一つ、やったこと無かったから」

 思い返せば、こちらの世界に来たばかりのころは、何も知らなかったし、何もできなかった。世間知らずで、常識知らず。今のユメちゃんよりも、もっとひどい状態だった。

「最初はね、何も知らなくても、何もできなくてもいい。でも、問題は、それを埋めるために、必死に頑張れるかどうか。あと、どんなに辛くても、耐えられるかだね。あまり、精神論は言いたくないけど。結局は、覚悟の問題だと思うよ」

 スタートの時の差なんて、一、二年頑張れば、埋まってしまう。覚悟のある人間なら、どんな酷い状況からだって、はい上がる。でも、逆に、どんなに恵まれた環境にいても、本気で頑張れない人は、どんどん、置いて行かれてしまうと思う。

 毎年、たくさんの新人が入ってきて、中には、抜きん出て優秀な子もいる。ちょっとでも、気を抜いたら、一瞬で、抜き去られてしまうのだ。

「ゴメンね。私、説明とか下手で。分かり辛かったかな?」
「ううん。風ちゃんの言いたいことは、分かるよ。今まで、ずっと風ちゃんの、努力や覚悟を、見て来たもん」

 ユメちゃんは、ジッと私の目を見つめると、真剣な表情で尋ねてきた。

「ねぇ、風ちゃん。お世辞とか抜きで、正直に言って。今の私は、甘いかな? このままじゃ、シルフィードには、なれないのかな?」
「えっ……?」
 
 私は、一瞬、答えに詰まった。どう答えるのが、正解だろうか? 自信を付けてもらうために、優しく、大丈夫と言うべきだろうか? それとも、厳しく、真実を伝えるべきだろうか? 

 今でこそ、普通に外に出られるようになり、学校にも通っている。でも、かなり長いこと、心を病んでいた。大変な事故に遭って、人生が狂ってしまい、普通の子とは、歩んできた道が、全く違う。

 特殊な状況だったので、周囲の人たちも、物凄く気遣って接していた。だから、誰も厳しい言葉は、言わなかったし、現実には、あえて触れなかったと思う。

 私だって、親友に、厳しいことは言いたくない。しかも、彼女はまだ、病み上がりだ。でも、彼女の目はとても切実で、本当の言葉を、求めているように感じた。

 私は、息を大きく吸い込むと、静かに話し始める。

「――正直に言うと、今のままじゃ、たぶんダメかな。例え、どこかの会社に入れたとしても、見習い期間で、挫折してしまうかも。覚悟もそうだけど、色々足りない部分が多いから」

「うっ……。薄々分かってはいたけど、やっぱりショック……」
 ユメちゃんは、両手で顔を覆った。

「あぁ、でも『今のままでは』だからね。まだ、時間もたっぷりあるし。学校を卒業するまでに、改善すればいいだけだから」
「例えば――?」 

 ユメちゃんは手をどけて、そっと上目遣いで、私を見つめてくる。

「丸一日、動き回っても、平気な体力とか。家事や身の回りのことを、自分で全てできるようになるとか。あと、誰とでも、気兼ねなく、話せるようになることかな」
「えぇーー?! それって、全部、私が苦手なことじゃん。ハードル高っ!!」

「じゃあ、シルフィードを、あきらめる?」
「嫌っ! それだけは絶対にダメ。私、何があっても、必ず克服するから!」
「うん、いい覚悟だね。応援するから、頑張って」

 ユメちゃんは、頭は抜群によくて、天才と言ってもいいレベルだ。ただ、それ以外は何もできない、極端な頭でっかちだ。体力だけが取り柄だった、かつての私とは、正反対だよね。

 でも、おそらく、大丈夫だと思う。一見、ひ弱そうなお嬢様だけど。彼女は、滅茶苦茶、頑固で芯の強い性格だ。タイプは違うけど、私と同じで、物凄く負けず嫌いなんだよね。

「よし、じゃあ、早朝にでも、一緒にランニングする? 毎日、十キロぐらい走れば、体力つくよ」
「むーりー!! 百メートルでも、死にそうになるのに。絶対に、むりーー!!」

「って、あきらめるの早っ!」
「そうじゃなくって、いきなり、ハードルが高すぎるんだよー」

「あははっ、そっかー。私って、最初から飛ばすタイプだから」
「飛ばすにも、限度があるでしょっ!」

 その後も、ユメちゃん強化計画の話で、盛り上がった。やっぱ、何をするにしても、まずは、体力からだ。引きこもっていた時は、病人扱いだったけど。今は、健全な若者なんだから、人並みには、鍛えて行かないとね。
 
 先は長そうだけど、本気を出せば、人は思った以上に、早いスピードで成長していく。私が、そうだったように。

 前に進む気持ちがある限り、きっとユメちゃんも、見違えるように、成長して行くと思う……。


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次回――
『元々人見知りなので距離感が上手くつかめない……』

 人見知りの人間にとって心の垣根は大切な城壁だ
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