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第5部 厳しさにこめられた優しい想い

4-4たまには童心に戻って子供たちと遊ぶのも悪くないかもな

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 私は〈南地区〉の海岸沿いにある、ランニングコースを走っていた。歩行用の道のすぐ隣に、ランニング専用の、コースが用意してある。ゴムチップで舗装されており、足への衝撃が少なく、滑らないので走りやすい。

 普段は、そんなに長距離は走らない。基本は、朝のロードワークだけで、あとはひたすら、ジムでトレーニングを行う。だが、ここのところ、ずっと走ってばかりだった。

 なぜなら、ミラ先輩に『徹底的に走り込んで、スタミナをつけろ』と、指示されたからだ。もう直ぐ『MMAジュニアリーグ』の、決勝トーナメントが始まるため、その対策だった。

 ちなみに『ジュニアリーグ』は、十八歳未満の選手が参加する。ミラ先輩も、昔は出ていたが、今は十八歳以上の『オープンリーグ』のほうで、大活躍していた。 

 MMAでは、一月から十月まで『リーグ戦』が行われる。同じリーグ内の、同じスタイルの選手同士で、次々と戦っていく。私が参加しているのは、ジュニアリーグの『オフェンシブ・スタイル』だ。 

 試合の結果、ポイントが少しずつ加算されていく。最終的に、上位『三十二名』が、十一月から始まる『決勝トーナメント』に、参加することができる。私も、今年は上位に入り、決勝に参加することが決まっていた。

 六連覇のチャンピオンの、弟子なんだから。まぁ、当然と言えば、当然だ。ただ、初参加なので、結果がどうなるかは、全く分からない。

 もちろん、自信はある。でも、MMAの『決勝トーナメント』は、完全に実力主義だ。『シード枠』がないので、優勝候補が『ファーストマッチ』から、いきなり出て来る。つまり、初戦から、チャンピオンと当たることも、あり得るのだ。

 普通の相手ならまだしも、流石に、現チャンピオンには、勝てる気がしない。もちろん、ミラ先輩ほど、強くはないだろうけど。相当な実力者なのは、間違いない。
 
 ただ、いくら決勝トーナメントの対策とはいえ、正直、走るのは、あまり好きじゃない。でも、初戦で強敵に当たる可能性もあるので、言われた通り、素直に走り込んでいた。

 元々体力があるほうじゃないし。そもそも、腕力だって、大したことがない。だから、長期戦を考えて、スタミナだけは、付けておく必要がある。

 でも、地味な努力って、私の性に、合わないんだよなぁー……。もっとこう、バシッとインパクトがあって、カッコイイ必殺技の特訓とか、やりたいんだけどさ。

 基礎トレが大事なのは、分かるけど。ここんところ、ランニング・筋トレ・基本の型の、反復ばっかで、あまり、試合の実戦対策やってないし。もっと、スカッとする、刺激的なトレーニングがしたいよなぁ――。

 色々と不満を考えながらも、地道にランニングを続けていく。すると、左手に見える公園で、子供たちがワーワーと遊んでいるのが、見えてきた。

 子供は、気楽でいいよなぁー、何も悩みなさそうだし。たまには、私も思いっ切り遊びたいよ……。

 なんて考えながら、通り過ぎようとしたが、私はふと立ち止まった。集団の中に、一人だけ、大きな子供がいたからだ。しかも、何か見覚えがある。

「何やってんだ、あいつ? まだ、仕事中だろ?」
 白い制服を着たシルフィードが、子供たちと一緒に、ボールで遊んでいた。

 ちなみに、自分も仕事中だけど、試合直前なので、勤務時間中のトレーニングが許可されていた。〈アクアリゾート〉も〈ATFジム〉も、同じ系列だ。なので、強化選手の場合、試合前は『トレーニング有給休暇』が、認められている。

 会社に申請を出せば、ジムのほうに行って、試合のためのトレーニングが可能だ。ただ、見習いの場合、朝の仕事が終わると、あとは自由練習だから。普段と、あまり、変わりがないんだけど。

 私は、道路を渡ると、公園の中に入って行った。どうやら、みんなで、ドッジボールをやっているようだ。

「おーい、風歌! こんな所で、なにやってんだー?」
 とりあえず、声をかけてみる。

「あ、キラリンちゃん! みんなで、ドッジボールやってるんだー」
「そりゃ、見れば分かるって。それより、仕事中じゃないのか? あと、キ・ラ・
リ・スな!」

 私も、たまに公園や広場で、休憩はするけど。流石に真昼間から、正々堂々と、遊んだりはしないぞ。トレーニングも練習も、やることは、しっかりやってるからな。

「木にボールが引っ掛かってたの、取ってあげてね。それで、ちょっとだけ、一緒にやることになって」
 
 なるほど、そういうことか。にしても、制服のままでドッジボールとか、何考えてるんだ? しかも、子供たちと、同じレベルではしゃぐとか。まったく、風歌は子供だな。

「キラリンちゃんは、何で制服じゃないの? 自主練で、ランニングもするの?」
「試合が、近いからな。今日は、ジムのほうに行ってるんだよ」

 ジムに直行直帰でも、大丈夫だけど。一応、朝は〈アクア・リゾート〉に、顔を出している。サボってると思われるのも、嫌なんで。
 
「試合……? あぁ、何か格闘技やってるんだっけ?」
「MMAな。もうすぐ、決勝トーナメントなんだよ」

「へぇー、そうなんだ。キラリンちゃんも、一緒にドッジボール、やってかない?」 
「って、何でそんな話になるんだよ? トレーニング中だぞ」

 相変わらず、こいつは、何も考えてないな。いつも、ヘラヘラしているし。

「気分転換にもなるし、弾を避けるの、練習になるんじゃない? まぁ、球技が苦手なら、無理にとは、言わないけど」

「クフフフッ。この我を、誰だと思っている? かつては『暗黒魔球のキラリス』と言われ、恐れられていたのだぞ。ドッジボールごとき、造作もないわ」
 
 私は、しっかりポーズをとりながら、自信一杯に答える。

 あっ、しまった――。条件反射でつい。しかし、一格闘家として、挑まれた勝負から、逃げるわけにはいかないからな。

「ねぇ、風歌お姉ちゃん。あの人誰?」 
「私のお友達だよ。一緒にやってもいい?」
「えー、でも、何か弱そうじゃん」

 風歌は、子供たちと、楽しそうに話している。

「って、誰が弱そうだ! このクソガキどもが。どうやら、我を本気にさせてしまったようだな」

 私は、颯爽とコートに入って行くのだった……。


 ******


 私は、子供たちに交じってコートに入り、ドッジボールに参加していた。別に、やりたかった訳じゃないし、のせられた訳でもない。ただ、ガキどもに、正しいドッジボールのやり方を、指導する必要があると、感じただけだ。
 
 まぁ、走るのにも、いい加減あきて来てたし。たまには、気分転換もいいだろう。相手の攻撃を、避ける練習にも、なるかもしれないし。

 結局、私と風歌がリーダーになり、チーム分けをした。風歌のやつは、割と運動が得意らしいが、実際はどうなんだろうか? 見た感じ、へらへらしてるし、体も細くて、得に強そうには見えない。

 だが、敵の頭から潰すのが、常とう手段だ。それに、的がデカいから、まずは風歌から、片付けたほうがよさそうだな。

 私は、相手コートから飛んできたボールを、軽々受け止めると、風歌の真正面に立った。

「覚悟はいいか、風歌? 一騎打ちで、勝負だ!」
「でも、ドッジボールって、そういう競技じゃないよ?」

「いいんだよ。ボスの直接対決のほうが、盛り上がるだろ?」
「えー、みんなで、楽しくやろうよー」

 何か今一つ、闘志がないな、こいつは。ノア・マラソン前の、砂浜ダッシュの時は、割といい気合いを、出していたのに。あれ以降、腑抜けてしまったのだろうか?

「ええいっ、問答無用! 超暗黒烈風弾!!」

 私は、風歌に向かって、思いっきり振りかぶって投げつけた。だが、しっかりと、キャッチされてしまった。
 
 ちっ、真正面すぎたか――。

 風歌は、ボールを抱えたまま、前進して、こちらにボールを振りかぶる。私は、咄嗟に身構えた。だが、向かってくるはずのボールが、飛んでこなかった。ボールは山なりに飛んで、外野にパスが飛んでいく。

「って、こら。ちゃんと、勝負しろよ!」
「えぇー、だって、そういうルールじゃないもん」

 外野が投げたボールは、味方の子供の足にヒットした。一人抜けて、外野に向かう。私は、転がってきたボールを拾うと、再び風歌に、ターゲットを合わせる。

「ちっ、今度こそ、当てるぞ。いくぞっ、真暗黒呪殺弾!!」
 今度は、思いっ切り踏み込んで、さっきよりも、威力のある投球をする。

 だが、あっさりと躱された。というか、すでに、そこに風歌の姿はなかった。他の子たちと一緒に、コートの端まで退避していた。味方の外野からの攻撃も、みんなでキャーキャー言いながら、難なくかわしている。

「って、こら、真面目にやらんか! 逃げてるだけじゃ、勝負がつかないだろ?」
「でも、ドッジボールって、かわす競技でしょ?」

「だが、当たらないと、面白くないだろ?」
「えー、当たるの痛いから、やだよー」

 周りの子供たちも『当たるのヤダ―』などと、言い始める。

 ぐぬぬっ、こいつらー……。絶対に、当てる!!

 ひたすら攻撃するが、なかなか当たらない。しかも、相手チームの攻撃で、味方の子が、少しずつ減って行った。
 
 馬鹿な――。あんなに、逃げ回ってるだけなのに、何でだ……? くそっ、作戦を変えるか。

 私は、風歌を諦め、次々と子供たちを狙っていく。狙い通り、子供たちなら、普通に当たる。私は、作戦通り、順調に敵の数を減らして行った。

 だが、
「おい、キラリン。子供ばかり狙うなよ、ずりーぞ!」
 子供たちから、ブーイングが発生する。

「うっさい、そんなルールないだろ? 風歌だって、狙ってるじゃんか? てか、キ・ラ・リ・スだっ!」 
「私は狙ってないよ。ずっと、パス出してるだけだもん」 

 そういや、そうだった。こいつ、さっきから、自分で取っても、子供たちにパスを回して、全然、攻撃してこない。何なんだ、このやる気のなさは?

 そんなこんなで、ボールが飛び交っている内に、残りは二人だけになった。結局、最後は、私と風歌だけが、コート上に残る。

 まぁ、だいたい予想は、ついてたけど。やっぱり、あいつが残ったか。にしても、想像以上にやるな。強くは感じないけど、とんでもなく、すばしっこい。しかも、体が柔らかくて、当たったかと思ったら、紙一重でかわしてるし。

「い、いい加減、勝負をつけろよ風歌!」
「えー、かわすのが、楽しいのにー」

 私は、だんだん疲れて来た。体力はあるけど、あまりにも攻撃が当たらないので、精神的に疲れて来たのだ。風歌は、ちょこまか動き回って、本当に鬱陶しい。相手のチームの子供たちは、風歌がかわすたびに、キャーキャー言って、喜んでいた。

 逃げてばかりで、ロクに攻撃をしてこない。しかも、ずっと走り回っているくせに、全く疲れた様子もなかった。それを見ていると、余計にイライラして来る。

 でも、1対1のタイマンなら、負けないぞ。こっちは、毎日ミラ先輩にしごかれて、鍛えてるんだ。素人に、負けるはずがないからな。

 風歌は、残り一人になっても、スタイルを変えず、ひたすらかわし続けている。私は、外野から飛んできたボールを受け取ると、風歌をめがけて、即行で攻撃を仕掛けた。

 これなら、どうだっ!!

 一瞬のスキを突く、鋭い投球だった。だが『ボスッ』という鈍い音を立て、風歌は、真正面から受け止めた。
 
 ちっ、真正面だったか……。でも、風歌の攻撃は、大したことないからな。

 などと思った瞬間、風歌は一瞬で、センターラインまで、詰め寄って来ていた。次の瞬間、至近距離から、風歌の攻撃が飛んでくる。

「しまった――」

 私をめがけて、鋭い球が飛んできた。私は、かわすか受け止めるか、一瞬、迷ったが、両手を出して受け取める。思った以上の威力だったが、ミラ先輩のパンチも比べたら、へでもない。

 今度は、私の反撃の番だ。私は一歩踏み出し、即行で、風歌に反撃を試みる。

 だが、
「ちょっと、待って! 脚は、まだ治ってないから、狙わないで」 
 風歌が声をかけて来る。

 よく見ると、まだ左の足首には、包帯がグルグル巻きになっていた。って、なんで、足を怪我してるのに、こんなことやってんだよ?

「ちっ……しょうがないなぁ」

 足元を狙って、確実に当てに行こうと思ったが、流石にケガをしている部分を、狙う訳にはいかない。

 私は、風歌の胴を狙って、ボールを投げつける。風歌の一言で、気勢をそがれてしまったせいか、今一つ威力が出なかった。

 風歌は、少し後ろに下がりながら、ボールをキャッチすると、再び、一気に距離を詰めて来る。そして、ニッコリ笑うと、思いっきり反撃してきた。

 私は、真正面で受け止める体勢をとるが、次の瞬間、左足に衝撃が走る。風歌の投げたボールは、私の左足のすねの部分に当たり、コートの外に飛び出して行った。

「なぁぁー?! こっちは、足避けたのに、お前は狙うのかよっ!」
「えへへっ、真剣勝負だもんね」

 こいつ! やる気無さそうに見えて、ちゃんと勝つ気だったんじゃないのかよ?   

「お前、足治ってんじゃないのか? 滅茶苦茶、走ってただろ?」 
「まだ、病院には通ってるし。もうしばらくは、様子見るようにって、言われてる」

「じゃあ、激しい運動したらダメだろ!」
「まぁ、これぐらいなら。軽い運動だから、平気だよー」

 風歌は、へらへらと笑っている。

 いや、全然、軽くないだろコレ! めっちゃ、走り回って、飛び跳ねてたし。しかも、全然、疲れた様子ないし。何者だよ、こいつ――?

 だが、ふとあることを、思い出した。

 そういやこいつ、ボロボロだったとはいえ、ノア・マラソンの五十キロを、完走したんだったよな。やっぱ、こいつの体力、普通じゃないな……。

 外野にいた子供たちが、ワーッと、コートの中に入って来た。風歌は、一斉に子供たちに囲まれ、歓声を浴びる。

「風歌ねーちゃん、スゲーな!」
「ドッジボールの、プロなの?」
「ねぇねぇ、どうすれば、そんなに強くなれるの?」

 次々と質問攻めにあっていた。まぁ、小さな子供の内は、スポーツのできるやつが、リーダーだからな。みんな本能的に、運動神経のいい人間が、強いと感じるからだ。
 
「そんなことないよ。私は、楽しんでただけ。強さなら、キラリンちゃんのほうが、上だよ」

 風歌がそう言うと、みんな一斉に、こちらに視線を向けて来る。

「えっ、キラリンが?」
「全然、強そうに見えないけど」
「風歌お姉ちゃんのほうが、絶対に強いよねー」

 みんな、言いたい放題に、適当なことを言い始めた。

「クフフフッ、貴様ら、言いたい放題に言いやがって。全員、処刑だー!!」
 私は、落ちていたボールを拾うと、投げるポーズをとった。

 すると、子供たちは、キャーキャー言いながら、蜘蛛の子を散らしたように、逃げて行く。私はボールを抱えたまま、子供たちのあとを、追いかけ続けた。いつの間にか、風歌も一緒になって、逃げ回っている。

 って、私何やってんだ? ロードワークに来て、子供と遊んでるとか。試合も近いってのに、まったく。

 でも、何だろうな? この体の内側から、ふつふつと沸き上がって来る、不思議な感情は。体も適度に温まったし、先ほどまであった、試合直前の緊張感も、すっかり消えてしまった。

 たく、しょうがないな。もうちょっとだけ、ガキどもに付き合ってやるか。これも、一応、走ってんだから、トレーニングの一部だし。

 私は時間を忘れ、頭を真っ白にしながら、子供たちと一緒に走り回るのだった……。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

次回――
『決勝前夜の張り詰めた空気の中で語る拳の会話』

 拳を交わす友好の道もある筈!!!私は闘い続ける!!!
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