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しおりを挟むそれだけ、人と違う力を持つということはリスクがある。場合によっては価値がないと判断されるかもしれないけれど、大半の事例で価値があるとして利用されていることが多い。そして異能という魔法とは違う力は、迫害の対象にもなりうる。
今は違うけれど、昔は迫害もあったらしい。そんな記録があるなかで、私の存在を国民は受け入れるのか、諸外国はどう扱うのか、それが怖い。国民に受け入れられないのが一番辛い。諸外国が私の存在を敵だと決めつけたら、戦争に発展するかもしれない、そんないろいろな状況が考えられる。
そんな中で、私へ意見を聞いた父に、最終的に公表するほうが良いのでは、という意見を私は出した。もちろん、何度も意思を聞かれたし、本当に公表していいか、ということも聞かれた。
「おひいさんが、どこへ行っても、俺は必ず探し出すからな。それに、おひいさんが危険な目に遭うってわかったら、すぐにでも俺が逃がすし、一緒に逃げる。俺にとって、それだけおひいさんは大きな存在だってことを、忘れるなよ」
セシルは、私が本調子ではないことを知っているからか、そっと私の頭を撫でて出ていった。その感覚が、ずっと離れない。大きな手で頭を撫でられるということは前世以来だ。
「でもね、セシル……。私を連れて逃げるって言うなら……、お願い、私を眠り姫から逃がして……」
逃げきれない、もう一つの恐怖。未来視が行われれば、行われるほど、魔力を勝手に消費して最終的に命を削る、恐ろしい病。未来視特有の病だと、あの古書には書いてあった。
「こわい、よ……。何もかも……」
すでに未来視を持っていると公表されてから、他国からは今までなかったような遠方から婚約申し込みが相次いでいる。現在では国民たちも受け入れてはくれているようで、何かが起こったなんていうことはない。
隣国アルマリー帝国に関しては、私が視た未来が近い将来に起こったかもしれないということを確認してから、アイゼリア王国ひいては私に全面的な協力と支援を惜しまないと通達が来ている。
それを知っているからなのか、他国からの婚約申し込みが多いのだ。自国内ではすでに婚約者が決まっている貴族が多いので、現時点で私の婚約者候補になっているのはアレックスとギルベルトだけだ。
しかしながら、父にだけ内密に眠り姫に罹患していることを伝えると、父は国内外すべての婚約者候補及び、婚約申し込みを破棄すると言ってくれた。それは、私が最期の瞬間になったときに穏やかでいられるようにとの、配慮だった。
『アイリーン、私はお前に父親らしい姿は何一つ見せてやれなかった。だが、私はお前を実の娘として愛している』
『お父さま、お気持ちは十分に伝わっております。むしろ私は、お父さまの足を引っ張っていないでしょうか? お父さまの、恥になってはいないでしょうか?』
『お前の頑張りは日々、私に届いている。そんな、この国のために頑張ってきたお前に、これを言うのも酷だが……。お前の名声を、利用させてほしい』
『わたくしは、このアイゼリア王国の第一王女です。この国のために身を粉にして働くつもりでした。お父さまが、そうおっしゃるのであれば、わたくしは、私は何の異論もございません』
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