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 セシルが正式に私に対して自分の立場を明かし、前よりいっそう距離が近くなってからしばらくが経った。ルドルフとアンジェリーナも笑顔があふれるようになり、私が様子を見る頻度も減り。王宮内は先の事情から侍女と侍従が一部解雇となり新たな人員を配置した。

「アイリーン様、お加減はいかがでしょうか?」

「大丈夫よ、ありがとう」

無事にレイラも戻ってきて、いつもの日常が戻ってきた。どうもやりづらい相手だったレイラの代わりに来ていた侍女もいなくなったので本当にストレスが減った。

「何かありましたら、お呼びください」

「ええ」

ストレスフリーとなり、食事もきちんと取れるようになって、さらに王宮内の派閥関係もセシルのおかげで楽に把握ができた。セシルはその手の情報には詳しかったから、私がこうだろうという予想を伝えると、教えてくれる。

『セシル』

『おひいさん、まぁたアンタは夜更かしか?』

『そんなことないわ。ああ、そうだ。これをあとで読んでおいてくれるかしら』

『わかった』

執務机に向かい、椅子に座っている状態で身を閉じた時だった。私がセシルを読んで何かの書類を渡している光景を視た。その書類が何かはわからなかったけれど、なんとなく知っているような景色のように思えた。

「……あれは、一体……?」

そう疑問に思っている間にもう一つ、光景を視た。それはセシルが私の調査した内容を証拠づける内容を私に報告しているところだ。やけにリアリティにあふれたその光景に、違和感を感じる。まさか、これは未来視……だとでもいうのか。

いや、自分が見せた、ただの希望だと思い信じない。そのほうがいい、変にこれは未来視だと思っても、そうじゃなかったときのがっかり感は大きい。きっと疲れて変なものを見たんだと思わない限りは信用ができない。もっと、状況を見て証拠を確実に集めなければ。




 そうして未来視のことを信じずに、さっさと眠って次の日になり。想像通りというべきか、翌日にはきちんと調査報告書を読み込んだうえでの報告がセシルから上がった。完璧な裏付けが整った調査報告書が出来上がってしまい、一つ公務が終わった。

セシルにはまだ未来視のようなものがあるということは言っていない。もちろん父にも何も報告はしていない。だけど、セシルは気づいているだろうし、父にも話くらいは伝わっているかもしれないとは思う。

「おひいさん?」

「なんでもないわ」

彼との距離も今まで以上に近くなり、未来視に関することを誤魔化すことで精いっぱいだ。正直、そろそろ自分には未来視があるのかもしれないとは思い始めている。だけど、魔法の適性なんてこれっぽちもなくて、そよ風しか起こせない魔力に魔法コントロール。もしや未来視が関係しているか?と考えたこともあったけど、未来視自体が現実的ではない異能だ。

「信じる信じないの前に、もっと客観的に見なきゃ……」

客観的にみていいのかはわからない。でも自分の主観でばかり物事を見てはいつか仕損じるかもしれない。だから今は信じるわけにはいかなかった。


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