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四章
離れました⑦
しおりを挟む「なあ、帰りたいか?過去の俺に逢いたいか?」
「帰りたいです…でも、シリウスさんは私を捜してないと思います。だって、彼の本当の婚約者はリリアスさんだから…」
「あー…本当に、昔っから変わらないな」
敢えてアスカの口から言わせたい。シリウスは問い掛けると、アスカは素直に想いを言葉にした。しかし、予想を斜めに行く言葉を口にした瞬間、シリウスは呆れてしまう。自分の斜め上を行く誤解や勘違い。変わらない事に安心すると共に、心配にもなってくる。
(今後、起こる出来事を教える事は容易い。それで、アスカの不安を消すことも出来るだろう。だが、この世界は飛鳥が自力で導き行動を起こしたからこそ成された未来・・だから俺は、お前の進むべき道に導く事しかするつもりはない)
顎を掴まれたまま自分を見つめ続ける大人シリウスの視線から逃れたくても金縛りにあったように固まり動けない。彼が何を考えているか飛鳥には予想も出来ず、静寂だけが続いていた。
シリウスは彼女の視線に気付く。不安そうな視線の奥には自分に見惚れて熱を帯びていた。獣欲が疼き、獣の血が騒ぐ。逃げることもしない獲物を狙うように顎を掴んだままアスカと視線を絡めながら顔を近付けた。
「……ちょ、まっ……っん…っ」
「次元転送は、魔力をかなり使うからお前から少しは貰わないとな…」
シリウスは啄むようなキスを繰り返しながら、最もらしい言葉を並べてアスカが拒否出来ない状況に追い込んでいく。リリアスに罪悪感を感じながらも、彼に触れられた身体は熱を帯び無意識にシリウスを求めてしまっていた。この行為は仕方ないのだと、飛鳥は必死に心の中で言い訳をしながらキスを受け入れる。シリウスの挿し入れてきた舌に自分から吸い付き、彼の首に腕を回した。舌から感じる刺激に頬が上気し、双眸が潤み始める。王様となったシリウスの熱い双眸の眼差しに見つめられながら、飛鳥はいつの間にか膝の上に座らされていた。野外なのだと気付いたけれど、熱くなった身体はシリウスを求めていて、今さら止める事等互いに出来ない状況。両頬に触れるシリウスの手も熱さを帯びていて、自分を求め興奮している。飛鳥は自分から舌を絡めてシリウスを求めたのだった。
「………綺麗だ」
「シリウス…さん…っ」
ドレスは全て剥ぎ取られて、アスカは素肌をシリウスに晒していた。野外で森林、冷たい風が吹き抜けていたけれど、今のアスカの身体は熱くなってるせいで風自体が心地良い。月明かりに照らされた彼女の艶のある裸体。つい先程、最愛の妻を抱いてきたばかりなのに自分が欲情出来る事を知ってしまう。自分がどれ程、彼女に惚れ込んでいたのか痛い程気付いてしまった。過去のアスカだと判っていても、昂った欲情を今更抑える事など出来る筈もない。行為を止めるつもりは無かった。
(貴女の代わりにでも良いから愛されたい…ごめんなさい、リリアスさん)
飛鳥もリリアスに罪悪感を感じながらも、火照った身体を大人シリウス以外に静めて貰う事など出来ない。自分の身体が熱く反応するのはシリウス以外いないのだから。彼の大きな掌が飛鳥の豊満な胸に触れる。両手でゆっくりと揉みながら彼女の首筋に舌を這わせた。
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