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???視点

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???視点

ある日いつものように少し寝ていた俺は、急に湧き上がるように感じた懐かしの気配に飛び起きた。

その気配は古き友で、もう千年以上前に出会いそれから500年前くらいまでちょくちょく会っていた1番の友、もう親友と言っても過言ではない程の付き合いのものだ。

しかし、約500年前に少し意見のすれ違いで喧嘩をしてしまい、お互いまぁまぁ離れた地に別れて200年ほど経った頃、俺はあそこまで怒ったりこんなふうに遠く離れなくても良かったのではと少し反省し、何かいいものを持って仲直りをしに行った方がいいかと考えつつ、しかし自分から行くのも何か小っ恥ずかしい。それに、向こうも悪いのに俺が謝らないといけないのもなんだかなぁと、グダグダ悩んでいた。

俺はあの時、自分の小さなプライドなどで素直にならずすぐに会いに行かなかった自分に、その後とてつもなく後悔した。

俺がグダグダ悩んでいる途中であいつの遠いながらも感じていた気配が急に弱くなると翌日には気配が消えてしまった・・・・・・・のだ。

俺らのような人間に神獣や聖獣と呼ばれる存在は、自分と同じ存在の気配をなんとなく感じることが出来る。

特に会ったことがあったり、仲が良いとそれはより強く感じる。

もし、会ったこともない名も知らない神獣などであれば、俺は、ん?誰か今消えたか?気のせいか?としかならなかっただろう。

しかし、あいつの気配は強く感じれるため気配が弱くなった。つまり、怪我などを負い身体的に弱ってしまったまたは、自分の意思で気配を弱くした・・・・ということまで感じることが出来た。

弱くなったとこまでなら、神獣はそうそう重傷を負うことはないためわざと気配を弱くしたのだと考えていた。

しかし、翌日気配が完全に消えてしまったことで俺は自分の考え違いを悟った。

あいつは昨日、身体的に重傷を負い弱ってしまったのだ。

まさか、まさかそんなわけが無いとあいつがそうそうやられるわけが無い。俺と仲直りもしてないのにそんなことはありえない。と思いつつも俺は最悪の想像を拭うことができなかった。

友で神獣である俺が完全に気配を感じれない。あいつの気配が消えた。それは普通は死を意味する・・・・・・

しかし、俺たち神獣は普通死なない。
それこそ同等の存在であるものくらいしか殺せない。

さすがに油断してしまえば格下相手でも重傷を負うことはある。
しかし、基本概念が他の生き物とは違うため殺すことは絶対にできないのだ・・・・・・・・・・・・・・

そんなあいつの気配が消えた。
つまり、考えられるのは同等の存在から殺された。
まぁ、これをするものはほとんどいないが可能性がない訳では無い。
もう一つは限りなく普通なら難しいが、心優しく騙されやすそうなあいつだからこそありえそうなのは、人間に傷つけられ封印されているということだ。

厄介なことに人間というものはとても愚かで欲深い生き物だ。
いい奴もいるが、圧倒的に欲深く悪い奴が多い。

その中でも外道なのは、同じ人間を生贄にする禁忌と呼ばれる魔法や呪いを作り上げたことだ。

しかも生贄になるのは大抵関係ない罪もない者や、弱いものである。

あいつはその禁忌の魔法で無理矢理封印されている可能性がある。

なぜ俺がこんなことを知っているかと言うと、その禁忌の魔法で封印をされそうになった神獣がいて、そいつから話を聞いたことがあるからだ。

ただ、その時はまだその禁忌の魔法が不完全だったか、威力が弱かったのか、またまた神獣が弱っていなかったからか分からないが、恐らくそれらの理由で封印は成功しなかった。

そいつはキレて、暴れたらしいがもしかしたら関係者を数名逃がしてしまったのかもしれない。

これらから、そのクズどもはきっと生贄を増やすか、術式を変えるかして禁忌の魔法を強化し、神獣にに傷を負わせ弱らせることで封印を成功させることができるなどと、いらぬ知識を後世に残したのだろう。

俺は慌てて今ならまだ間に合うかもしれないと、そいつがいた方向へ向かった。

しかし、気配では場所までは特定することは不可能なため、俺は何年もあいつがいた方向を探し回ったが、気配が消えたため見つけ出すことはできなかった。

一応様々な神獣にあいつのことを聞いて周り、あいつが神獣に殺された可能性を探ったが、それはなさそうだった。



それから俺は今日までの300年ほど、なぜあの時あんなくだらない事で喧嘩したのか。
それにすぐ仲直りをせず別れてしまったのか。
あいつの気配が弱まった時点でなぜ探しに行かなかったのか。

どうして少し謝るくらいのことをグダグダと悩んでさっさと行かなかったのか。
もし行っていればあいつは重傷をおう事も、封印されることもなかったのに。

禁忌の魔法だったら、俺たち神獣をもしかしたら封印したまま弱体化させ、殺すこともできるのだろうか?いやいやまさか、そこまでは出来ないだろう。
いや、しかし絶対にとは言いきれない。
もしかしたらあいつはもうすでに死んで・・・?

そんな訳があるもんか。あいつならきっと大丈夫だ。封印が弱まり、あいつの気配が少しでもしたらすぐに飛んでいって助けよう。

などと、自分を責め、またまだ生きているという希望、いや願望にすがりついて後悔し続けながら生き続けた。

しかしあいつの気配が消えて200年くらいを超えた頃から、俺はあいつが無事だと信じていた気持ちが弱くなり、不安になってきた。

いくら禁忌の魔法とはいえ、神獣を200年も封印し続けられるのか?
人間の力でそこまでできるわけが無い。
まさか、本当にあいつは死んでしまったのか?

そんな不安に苛まれ、希望と絶望という相反する気持ちを抱きながら俺は時を過ごした。
俺たちにとってはそこまで長い時間ではない100年があんなに長く苦痛に感じたのはこの300年ほどが初めてである。

しかし、今日までの約300年俺はあいつのような神獣が出ないようにあちこちの神獣に会いに行きあいつのことを伝え、人間との関わりを減らすようにと動いてきた。

禁忌の魔法のことや、気配が全くしないこと、恐らく人間にそれも多少は信じていた人間に油断し、騙されて重傷を負わされてしまったのだろうということも細かく話した。

すると、これは大変なことと皆思ってくれたらしく、話し合った結果、人間に近づかず信用しないと言うことになった。

しかし、人間の情報も必要なので、人間と接触する時は人間の姿をとり、気配をとても弱くして神獣とバレないようにするということも今では暗黙のルールとなった。

その生きていることを願っていたが、心の片隅で死んでしまったのかと不安になっていたあいつの気配が急に感じれるようになった。

つまり、あいつは死んでおらず封印されていて、それが解けたのだ。

俺は、少し呆然としてしまったがあいつの気配を感じ続けているとじわじわとあいつの無事を実感でき、涙が溢れてきた。

「よかった、無事だったのか・・・。やっと、やっと・・・っうおおおおおおおおおおおおおおっっ!!!」

この涙が止まったらすぐにあいつの所へ行かなければ!
やっとあいつに会える。
もう、プライドなんてどうでもいい!あいつに謝って仲直りをしなければ!!

夜が明け、日がもうすぐ真上に来る頃に俺はあいつの気配のする方へ飛び立ったのだった。
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