12 / 41
第3章 賽を思い切り投げられる?
第11話 私は挑戦を始めます
しおりを挟む
朝。
いや厳密には朝かどうかはわからない。
今の私は世間とは違う時間を生きている。
時計を見て確認。
午前10時ちょいすぎ。
これなら一応朝の部類だ。
なら早速朝の義務、食事から。
手を伸ばして固形バランス栄養食の箱、アイソトニック飲料のペットボトルを取る。
寝たまま朝食開始ですぐ終了だ。
何か今日はするべき事があったような気がした。
何だろう。
少し考えて思い出す。
そうだ、移住場所の予約をするか否かだった。
しかしすぐ予約してはいけない。
今までしっかり読んでいなかった注意事項その他をよく読んでおかなくてはなるまい。
早く予約しないとと焦る気持ちを抑える為、昨日寝る前に飲んだのと同じ即効性の頓服1錠を嚥下。
約款だの注意事項だのを読む作業を開始だ
結果、今まで見落としていた幾つかの事項が明らかになった。
まず一番重要なのはこれ。
『移住後は基本的に地球に戻る事は出来ません。また連絡を取る事も出来ません』
異世界と日本を行ったり来たりという事は出来ないようだ。
考えてみれば当然。
往復して貿易なんてやられた日には世界が思い切り変化してしまうだろうから。
ただこの規定には例外事項が1つある。
『移住後14日以内に限り、惑星オースでの生活があわないと判断した場合は、移住を取り消し元の生活へ戻る事が出来ます。
ただしその場合は今後、本移住計画に参加する事は出来ません』
クーリングオフに似た事が出来るという事のようだ。
でも100万円キャンペーンで買ったものはどうなるのだろう。
そう思ったらしっかり規定がある。
『移住に際しキャンペーン等で購入した物品については、次のどちらかの措置を選ぶ事になります。
1 購入合計金額の全額及び移送費用(最大30万円)を支払い、自らが使用権限を持つ場所へと物品を送付する。
2 購入合計金額の5割を支払い、所有権その他一切を放棄する。
なおこれらの金額を元移住希望者が支払えない場合、移住取り消しを行う事は出来ません』
まあ当然だよなと思う。
ご利用は計画的にという奴だ。
逆に言えばキャンペーンで100万円をフルに使っても、50万円を支払えば14日以内なら元の生活に戻れるという事になる。
でもこの場合、例えばヒラリア共和国の移住に関する規定とかはどうなるのだろう。
読むとちゃんと書いてあった。
『移住を取り消した場合、惑星オース側との移住取り消し手続きは本事務局の方で行います。この件について、移住取り消し手続き者は手数料以上の不利益を受けません。なお手数料は現日本国居住者については最大3万円とします』
つまり最大でも3万円払えばあとは問題ないと。
更に読むと日本側で勤務先を辞める手続きについて等についても書いてあった。
このクーリングオフもどきを使用する可能性がある場合、退職手続きをせず休暇扱いにしておいた方がいいとか。
結果的に移住を最終決定した場合、退職手続きは事務局でやって貰えるとか。
移住を最終決定した場合、退職手続き代行の手数料は住民票抹消や住宅の賃貸契約解除等と同じく一切かからないとか。
移住を決意したが途中で断念、惑星オースへ行く前に諦めた場合はどうなるか。
この場合も先程のクーリングオフもどきと似た措置になるようだ。
つまりキャンペーンで購入した分はある程度支払えと。
ただしこの場合、使用していないので購入物品をキャンセルする金額は3割でよいとの事。
二度と移住が出来なくなるなんて事もない。
さて、頓服のおかげもあり、読むべきものは何とか全部読んだ。
時計を見ると午後3時。
昼食の義務を忘れていたので、例によってバランス栄養食を機械的に頬張り、アイソトニック飲料で流し込む。
自分の中で結論が出た。
勿論続行だ。
予約をしてしまおう。
今の私なら途中でキャンセル出来る程度の財力はある。
それにキャンペーンでの物の購入を決定しないで途中でやめる分には費用負担もゼロだ。
そもそも向こうに私という人間を特定する情報をまだ与えていない。
だからどう考えても問題はない筈だ。
よし、なら善は急げ。
まだあの場所は予約していないよな。
あ、でも予約取り消しというのは出来るのだろうか。
もっといい場所が見つかったという理由で。
疑問は調べておくに限る。
幸いこの件はすぐに解決した。
移住前の予約取り消しは全く問題ないそうだ。
いい場所が見つかったという事で予約変更も大丈夫。
手数料が余分にとられるという事もない。
よし、押さえるぞ!
タブレットでページを開く。
まだあの場所は予約されていない。
予約決定ボタンをぽちっとなと押す。
実際は液晶画面だからぽちっとなんて感触はないけれど。
『予約されました。認証番号30-64479。この番号を控えておいてください。なお移住事務局の方にもこの番号は同時に通知されます』
理想の場所確保、いや予約完了だ。
さて予約の有効期間は3ヶ月。
しかし私の休職期間は残り2ヶ月。
その気になれば最大6ヶ月、つまり残り5ヶ月まで延長する事は可能。
でも出来ればその辺やりたくない。
もうあの職場に顔を出したくないから。
それなら残りの休職期間でクーリングオフ期間までカバー出来た方がいい。
あと多少の日数の余裕も欲しい。
となると、今日から移住開始まで1ヶ月ちょいというスケジュールがベストだ。
この間に言語学習や魔法訓練を移住可能なレベルまでやっておく必要がある。
確か最短1ヶ月でマスター可能と書いてあったはずだ。
そして今の私は24時間使う事が出来る。
よし、1ヶ月ちょい後、惑星オースの海岸を踏めるかどうか。
今日、今現在から挑戦を開始しよう。
いや厳密には朝かどうかはわからない。
今の私は世間とは違う時間を生きている。
時計を見て確認。
午前10時ちょいすぎ。
これなら一応朝の部類だ。
なら早速朝の義務、食事から。
手を伸ばして固形バランス栄養食の箱、アイソトニック飲料のペットボトルを取る。
寝たまま朝食開始ですぐ終了だ。
何か今日はするべき事があったような気がした。
何だろう。
少し考えて思い出す。
そうだ、移住場所の予約をするか否かだった。
しかしすぐ予約してはいけない。
今までしっかり読んでいなかった注意事項その他をよく読んでおかなくてはなるまい。
早く予約しないとと焦る気持ちを抑える為、昨日寝る前に飲んだのと同じ即効性の頓服1錠を嚥下。
約款だの注意事項だのを読む作業を開始だ
結果、今まで見落としていた幾つかの事項が明らかになった。
まず一番重要なのはこれ。
『移住後は基本的に地球に戻る事は出来ません。また連絡を取る事も出来ません』
異世界と日本を行ったり来たりという事は出来ないようだ。
考えてみれば当然。
往復して貿易なんてやられた日には世界が思い切り変化してしまうだろうから。
ただこの規定には例外事項が1つある。
『移住後14日以内に限り、惑星オースでの生活があわないと判断した場合は、移住を取り消し元の生活へ戻る事が出来ます。
ただしその場合は今後、本移住計画に参加する事は出来ません』
クーリングオフに似た事が出来るという事のようだ。
でも100万円キャンペーンで買ったものはどうなるのだろう。
そう思ったらしっかり規定がある。
『移住に際しキャンペーン等で購入した物品については、次のどちらかの措置を選ぶ事になります。
1 購入合計金額の全額及び移送費用(最大30万円)を支払い、自らが使用権限を持つ場所へと物品を送付する。
2 購入合計金額の5割を支払い、所有権その他一切を放棄する。
なおこれらの金額を元移住希望者が支払えない場合、移住取り消しを行う事は出来ません』
まあ当然だよなと思う。
ご利用は計画的にという奴だ。
逆に言えばキャンペーンで100万円をフルに使っても、50万円を支払えば14日以内なら元の生活に戻れるという事になる。
でもこの場合、例えばヒラリア共和国の移住に関する規定とかはどうなるのだろう。
読むとちゃんと書いてあった。
『移住を取り消した場合、惑星オース側との移住取り消し手続きは本事務局の方で行います。この件について、移住取り消し手続き者は手数料以上の不利益を受けません。なお手数料は現日本国居住者については最大3万円とします』
つまり最大でも3万円払えばあとは問題ないと。
更に読むと日本側で勤務先を辞める手続きについて等についても書いてあった。
このクーリングオフもどきを使用する可能性がある場合、退職手続きをせず休暇扱いにしておいた方がいいとか。
結果的に移住を最終決定した場合、退職手続きは事務局でやって貰えるとか。
移住を最終決定した場合、退職手続き代行の手数料は住民票抹消や住宅の賃貸契約解除等と同じく一切かからないとか。
移住を決意したが途中で断念、惑星オースへ行く前に諦めた場合はどうなるか。
この場合も先程のクーリングオフもどきと似た措置になるようだ。
つまりキャンペーンで購入した分はある程度支払えと。
ただしこの場合、使用していないので購入物品をキャンセルする金額は3割でよいとの事。
二度と移住が出来なくなるなんて事もない。
さて、頓服のおかげもあり、読むべきものは何とか全部読んだ。
時計を見ると午後3時。
昼食の義務を忘れていたので、例によってバランス栄養食を機械的に頬張り、アイソトニック飲料で流し込む。
自分の中で結論が出た。
勿論続行だ。
予約をしてしまおう。
今の私なら途中でキャンセル出来る程度の財力はある。
それにキャンペーンでの物の購入を決定しないで途中でやめる分には費用負担もゼロだ。
そもそも向こうに私という人間を特定する情報をまだ与えていない。
だからどう考えても問題はない筈だ。
よし、なら善は急げ。
まだあの場所は予約していないよな。
あ、でも予約取り消しというのは出来るのだろうか。
もっといい場所が見つかったという理由で。
疑問は調べておくに限る。
幸いこの件はすぐに解決した。
移住前の予約取り消しは全く問題ないそうだ。
いい場所が見つかったという事で予約変更も大丈夫。
手数料が余分にとられるという事もない。
よし、押さえるぞ!
タブレットでページを開く。
まだあの場所は予約されていない。
予約決定ボタンをぽちっとなと押す。
実際は液晶画面だからぽちっとなんて感触はないけれど。
『予約されました。認証番号30-64479。この番号を控えておいてください。なお移住事務局の方にもこの番号は同時に通知されます』
理想の場所確保、いや予約完了だ。
さて予約の有効期間は3ヶ月。
しかし私の休職期間は残り2ヶ月。
その気になれば最大6ヶ月、つまり残り5ヶ月まで延長する事は可能。
でも出来ればその辺やりたくない。
もうあの職場に顔を出したくないから。
それなら残りの休職期間でクーリングオフ期間までカバー出来た方がいい。
あと多少の日数の余裕も欲しい。
となると、今日から移住開始まで1ヶ月ちょいというスケジュールがベストだ。
この間に言語学習や魔法訓練を移住可能なレベルまでやっておく必要がある。
確か最短1ヶ月でマスター可能と書いてあったはずだ。
そして今の私は24時間使う事が出来る。
よし、1ヶ月ちょい後、惑星オースの海岸を踏めるかどうか。
今日、今現在から挑戦を開始しよう。
15
お気に入りに追加
58
あなたにおすすめの小説
愛されなかった公爵令嬢のやり直し
ましゅぺちーの
恋愛
オルレリアン王国の公爵令嬢セシリアは、誰からも愛されていなかった。
母は幼い頃に亡くなり、父である公爵には無視され、王宮の使用人達には憐れみの眼差しを向けられる。
婚約者であった王太子と結婚するが夫となった王太子には冷遇されていた。
そんなある日、セシリアは王太子が寵愛する愛妾を害したと疑われてしまう。
どうせ処刑されるならと、セシリアは王宮のバルコニーから身を投げる。
死ぬ寸前のセシリアは思う。
「一度でいいから誰かに愛されたかった。」と。
目が覚めた時、セシリアは12歳の頃に時間が巻き戻っていた。
セシリアは決意する。
「自分の幸せは自分でつかみ取る!」
幸せになるために奔走するセシリア。
だがそれと同時に父である公爵の、婚約者である王太子の、王太子の愛妾であった男爵令嬢の、驚くべき真実が次々と明らかになっていく。
小説家になろう様にも投稿しています。
タイトル変更しました!大幅改稿のため、一部非公開にしております。
下剋上を始めます。これは私の復讐のお話
ハルイロ
恋愛
「ごめんね。きみとこのままではいられない。」そう言われて私は大好きな婚約者に捨てられた。
アルト子爵家の一人娘のリルメリアはその天才的な魔法の才能で幼少期から魔道具の開発に携わってきた。
彼女は優しい両親の下、様々な出会いを経て幸せな学生時代を過ごす。
しかし、行方不明だった元王女の子が見つかり、今までの生活は一変。
愛する婚約者は彼女から離れ、お姫様を選んだ。
「それなら私も貴方はいらない。」
リルメリアは圧倒的な才能と財力を駆使してこの世界の頂点「聖女」になることを決意する。
「待っていなさい。私が復讐を完遂するその日まで。」
頑張り屋の天才少女が濃いキャラ達に囲まれながら、ただひたすら上を目指すお話。
*他視点あり
二部構成です。
一部は幼少期編でほのぼのと進みます
二部は復讐編、本編です。
悪役令嬢は、初恋の人が忘れられなかったのです。
imu
恋愛
「レイラ・アマドール。君との婚約を破棄する!」
その日、16歳になったばかりの私と、この国の第一王子であるカルロ様との婚約発表のパーティーの場で、私は彼に婚約破棄を言い渡された。
この世界は、私が前世でプレイしていた乙女ゲームの世界だ。
私は、その乙女ゲームの悪役令嬢に転生してしまった。
もちろん、今の彼の隣にはヒロインの子がいる。
それに、婚約を破棄されたのには、私がこの世界の初恋の人を忘れられなかったのもある。
10年以上も前に、迷子になった私を助けてくれた男の子。
多分、カルロ様はそれに気付いていた。
仕方がないと思った。
でも、だからって、家まで追い出される必要はないと思うの!
_____________
※
第一王子とヒロインは全く出て来ません。
婚約破棄されてから2年後の物語です。
悪役令嬢感は全くありません。
転生感も全くない気がします…。
短いお話です。もう一度言います。短いお話です。
そして、サッと読めるはず!
なので、読んでいただけると嬉しいです!
1人の視点が終わったら、別視点からまた始まる予定です!
グラティールの公爵令嬢
てるゆーぬ(旧名:てるゆ)
ファンタジー
ファンタジーランキング1位を達成しました!女主人公のゲーム異世界転生(主人公は恋愛しません)
ゲーム知識でレアアイテムをゲットしてチート無双、ざまぁ要素、島でスローライフなど、やりたい放題の異世界ライフを楽しむ。
苦戦展開ナシ。ほのぼのストーリーでストレスフリー。
錬金術要素アリ。クラフトチートで、ものづくりを楽しみます。
グルメ要素アリ。お酒、魔物肉、サバイバル飯など充実。
上述の通り、主人公は恋愛しません。途中、婚約されるシーンがありますが婚約破棄に持ち込みます。主人公のルチルは生涯にわたって独身を貫くストーリーです。
広大な異世界ワールドを旅する物語です。冒険にも出ますし、海を渡ったりもします。
【完結】お飾り契約でしたが、契約更新には至らないようです
BBやっこ
恋愛
「分かれてくれ!」土下座せんばかりの勢いの旦那様。
その横には、メイドとして支えていた女性がいいます。お手をつけたという事ですか。
残念ながら、契約違反ですね。所定の手続きにより金銭の要求。
あ、早急に引っ越しますので。あとはご依頼主様からお聞きください。
復讐の黒き花嫁 〜最愛の人の命を奪った憎き男に、死ぬよりもつらい罰という名のブーケを差し上げましょう〜
ゆうき@初書籍化作品発売中
恋愛
「リーフ、突然の事で驚くだろうが……僕は君との婚約を破棄する事にした」
私の最愛の男性——クリス・メレディス様との結婚を間近に控えていた私——リーフ・プルームは突然婚約破棄を告げられた。クリス様に理由をいくら問い詰めても、頑なに答えず、私の事を冷たく突き放した。
そして、それがクリス様との最後の会話となってしまった。何故なら……クリス様は翌日の朝、自室で変わり果てた姿で発見された。どうやら自ら首を切って自害したそうだ。
現実を受け入れられない私の事などお構いなしに、クリス様の葬儀が行われた。私もそれに参加したのだけど……葬儀の途中に最愛の人との永遠の別れに耐えきれなくなり、泣き崩れてしまう。
クリス様の亡骸から離れられない私は、使用人に連れられて控室で休んでいると、クリス様の弟——リチャード・メレディス様が慰めに来てくれた。
リチャード様は、愛する人に良く似ていて、とても優しくて礼儀正しい青年だった。私の事や家の事を心配して、よかったら兄の代わりに自分と婚約をしてくれないかと申し出てきた。
驚きつつも、すぐに答えは出せないと答えると、彼は快く私の言葉を受け入れて、ゆっくり考えてくれと言い残して私の前を去っていった。
とても気づかいのできる彼に、いつまでには答えを返すと言い忘れていた私は、急いで追いかけると、とんでもない事を聞いてしまう。なんと、リチャード様は兄のクリス様を脅し、婚約破棄をさせたそうだ。しかも、脅しの文句として、私の命を引き合いに出したそうだ。
リチャード様のせいで、私達の幸せと、愛する人の未来が壊された……その事実を知った私の胸の中に、復讐の炎が宿った。必ず復讐をする……そのために、クリス様を脅したという証拠と、復讐をするための手札を手に入れる。そして、最高の復讐の方法を考えなければ。
この物語は、愛する人を奪われた私が、世界一憎い男に死ぬよりもつらい罰を与えるために奮闘する物語――
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる