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第3章 賽を思い切り投げられる?
第10話 それでも賽はまだ投げない
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今度の場所は先程より区画1つ1つが明らかに狭い。
そのせいか予約が入っている場所は1箇所もない。
何故狭いのだろう。
説明を探しす。
なるほど。
どうやら狭いのは位置する場所によるものだ。
ヒラリア共和国は
〇 リアベルガ島と呼ばれるかなり大きな島
〇 その西隣にあるシルベルザ島と呼ばれるリアベルガ島の3割程度の大きさの島
〇 その2つに比べ遥かに小さい島々
から成り立っている。
首都のヘイムートがあり栄えているのはリアベルガ島だ。
当然、栄えていない方に移住してくれた方が国は嬉しい。
だからシルベルザ島の移住区域はリアベルガ島の移住区域の2倍程度の広さとなっている。
しかし狭い方でも最低で1km四方はある。
私から見れば充分に広い。
ただ狭い区画が多いと同じ面積でも区画が多くなる。
見るのに時間と手間がかかるよな。
そう思いつつ、どうせ時間潰しだといかにも特徴的な凹凸がある場所を開いてみる。
おっと、これは!
予想外にいきなり良さそうな場所だ。
内海にあるそこそこ大きい湾に面した小さな湾状の区画。
その小さな湾は実際は更に小さな湾2つがくっついたもので、それぞれの湾に川が注いでいる。
片方の川はそれなりの長さがあり比較的ゆるやか。
結果として河口部に小規模な干潟が出来ている。
もう片方は割と短めで急な川。
こちらの河口の先はすぐ深くなっている。
そして岩場も砂浜も干潟もある。
全体として起伏が大きめで平坦な場所は半分以下。
牧場や大規模農業をするには向かないだろう。
しかし私のような1人漁業をするには悪くない環境だ。
悪くないどころか最高だ。
大規模農業をするには向かないと言っても広さ1キロ四方はある区画。
自給自足的な畑作用地なら全く問題なくとれる。
これはキープしてしまうべきだろうか。
いや待て、より詳細な環境を確認してからだ。
そう思うのだが眠くなってきた。
薬が効いてきたようだ。
でもここは気を確かにしてしっかり調べてしまおう。
気候は、潮位は、植生は、生息する生物は。
気候は最初に調べたこの国の開発推進地域全体のものとほぼ同じ。
強いて言えば西側の外海リアアレ海が近いので若干降水量が多めかな程度。
多いと行っても年間1800ミリ程度だから問題ない。
気温的にはむしろ日本より住みやすいし。
潮位は内海で湾の内側という事もあり変化大きめ。
1日の変動が平均で3m近い。
そこそこの広さの干潟があるからすだて漁も出来るな。
網かそれに代わる物が用意できればだけれども。
生物はどうだ。
動物はやはり爬虫類が中心。
前に書いてあった記載と同様、最大がアルパクスまで。
アルパクスは単独で狩りをする肉食爬虫類だ。
大型犬くらいの大きさで気温20度以上ならそこそこ敏捷に動ける模様。
結構危険かな、これは。
ただ獲物にするのは通常は小型爬虫類くらいまで。
人間が襲われる事は滅多にないらしい。
そして他にはそれほど怖そうな動物はいない。
毒蛇なんてのもいないようだし。
虫とかもいるが海岸沿いではあまり気にしなくてもいいようだ。
なら注意していればとりあえずは大丈夫か。
魚は期待通り種類豊富なようだ。
淡水魚も海水魚も、汽水域もあっていい感じ。
期待通り1人漁業が捗りそうだ。
地球と少し違うのは軟骨魚類がサメやエイ以外にも豊富な事。
イワシサイズまでいる。
貝もカニ類も期待通り。
植物は低地のもの、塩害に強いものが中心。
草は結構食用になる物が多いようだ。
温暖な事から1年中生えているようだし。
少し山側へ入ればハンスさんのところで出ていた蔓芋や木豆もある模様。
うん、生存環境は悪くない。というか最高だ。強いて言えば四季の変化があまりないのが残念かな。冬でも割と温暖だから。
あとは風土病みたいなのは無いよな。
日本住血吸虫症なんてWikipediaで読むとガクブルものだから。
なんて思ったらちゃんと書いてあった。
『現在当該地域では危険な風土病は確認されておりません。惑星開発の時点でその点は十分に注意しており、また惑星オースそのものには人類はもともと存在していなかった事もあって、人間に寄生するタイプの生物は現在存在していないと思われます。
また万が一そういった生物が発生した場合でも、魔法にて排除が可能となっております』
……なかなか怖い事が書いてある。
惑星開発なんて単語も出てくるし、魔法で排除も可能なのか。
でもこれなら安心ではある。
そこで暮らす分には。
あとは災害関係、地震雷火事親父。
親父はともかく地震と、あと火山の噴火とかあると怖い。
地震で津波が来たらと思うと最悪だ。
『惑星オースは地球と比べると若い星で一部では火山活動が活発な地域も存在します。ですがリアベルガ島とシルベルザ島、および周囲1,000km以内には現時点で活動及び活動の可能性が認められる火山はありません。
ただし地震は時々発生します。多くは震度1程度までですが、数百年に一度の割合でマグニチュード6相当の地震が来る可能性が指摘されています。住居とする場所は十分に注意するべきでしょう』
うーむ、気にはなる。
しかし冷静に考えると危険度は日本とそう変わらない。
いや、それ以下かな。
そうとらえる事にする。
『なおヒラリア共和国において山火事は滅多に発生しません。発生する火災は多くは人間の失火によるものです……』
火事の心配もしなくていい模様。
あ、そうだ。
自然環境以外についても見ておかなくてはならに事がある。
最寄りの集落までの距離とか、購入可能なものとかを調べないと。
最寄りの街はヘラス。
直線距離で90km弱、案外近い。
しかも開発の為に作られた道路が途中60km地点まで伸びている。
ヘラスそのものはあまり大きな街ではない。
人口はおおよそ5千人程度。
しかし開発の為の拠点都市でもある。
東のナルアファ海側から山脈越えの交通路も通っている。
国の役所の支所もあるし、ここで困ることはほとんどなさそうだ。
さて、この場所についてもう一度確認しておこう。
食物は自然の恵みだけでもなんとかなりそうだ。
海は希望通り干潟、岩場、砂浜と揃っている。
川も豊かな川ときれいな川両方ある。
畑になる平地面積は他と比べれば少ないが私1人なら十分以上。
気候は良好で災害の心配もほとんど考えなくていい。
一通りそろった街が程よく近い。
うん、これはいい。
私の希望ぴったりだ。
なら予約してしまおうか。
しかし予約したら3ヶ月の間に移住する必要がある。
職場どころか日本を、地球を去って異世界へ。
うん、せめて一晩は考えた方がいいだろう。
幸い今は薬が効いている。
強迫神経症的に気になるなんてことはない。
どうせ海岸部の、それも狭い場所だから人気はない。
他の人が予約する可能性はかなり低いだろう。
だから今日はここで寝る。
布団をかぶっておやすみなさい。
薬のおかげで割とあっけなく意識は途切れた。
そのせいか予約が入っている場所は1箇所もない。
何故狭いのだろう。
説明を探しす。
なるほど。
どうやら狭いのは位置する場所によるものだ。
ヒラリア共和国は
〇 リアベルガ島と呼ばれるかなり大きな島
〇 その西隣にあるシルベルザ島と呼ばれるリアベルガ島の3割程度の大きさの島
〇 その2つに比べ遥かに小さい島々
から成り立っている。
首都のヘイムートがあり栄えているのはリアベルガ島だ。
当然、栄えていない方に移住してくれた方が国は嬉しい。
だからシルベルザ島の移住区域はリアベルガ島の移住区域の2倍程度の広さとなっている。
しかし狭い方でも最低で1km四方はある。
私から見れば充分に広い。
ただ狭い区画が多いと同じ面積でも区画が多くなる。
見るのに時間と手間がかかるよな。
そう思いつつ、どうせ時間潰しだといかにも特徴的な凹凸がある場所を開いてみる。
おっと、これは!
予想外にいきなり良さそうな場所だ。
内海にあるそこそこ大きい湾に面した小さな湾状の区画。
その小さな湾は実際は更に小さな湾2つがくっついたもので、それぞれの湾に川が注いでいる。
片方の川はそれなりの長さがあり比較的ゆるやか。
結果として河口部に小規模な干潟が出来ている。
もう片方は割と短めで急な川。
こちらの河口の先はすぐ深くなっている。
そして岩場も砂浜も干潟もある。
全体として起伏が大きめで平坦な場所は半分以下。
牧場や大規模農業をするには向かないだろう。
しかし私のような1人漁業をするには悪くない環境だ。
悪くないどころか最高だ。
大規模農業をするには向かないと言っても広さ1キロ四方はある区画。
自給自足的な畑作用地なら全く問題なくとれる。
これはキープしてしまうべきだろうか。
いや待て、より詳細な環境を確認してからだ。
そう思うのだが眠くなってきた。
薬が効いてきたようだ。
でもここは気を確かにしてしっかり調べてしまおう。
気候は、潮位は、植生は、生息する生物は。
気候は最初に調べたこの国の開発推進地域全体のものとほぼ同じ。
強いて言えば西側の外海リアアレ海が近いので若干降水量が多めかな程度。
多いと行っても年間1800ミリ程度だから問題ない。
気温的にはむしろ日本より住みやすいし。
潮位は内海で湾の内側という事もあり変化大きめ。
1日の変動が平均で3m近い。
そこそこの広さの干潟があるからすだて漁も出来るな。
網かそれに代わる物が用意できればだけれども。
生物はどうだ。
動物はやはり爬虫類が中心。
前に書いてあった記載と同様、最大がアルパクスまで。
アルパクスは単独で狩りをする肉食爬虫類だ。
大型犬くらいの大きさで気温20度以上ならそこそこ敏捷に動ける模様。
結構危険かな、これは。
ただ獲物にするのは通常は小型爬虫類くらいまで。
人間が襲われる事は滅多にないらしい。
そして他にはそれほど怖そうな動物はいない。
毒蛇なんてのもいないようだし。
虫とかもいるが海岸沿いではあまり気にしなくてもいいようだ。
なら注意していればとりあえずは大丈夫か。
魚は期待通り種類豊富なようだ。
淡水魚も海水魚も、汽水域もあっていい感じ。
期待通り1人漁業が捗りそうだ。
地球と少し違うのは軟骨魚類がサメやエイ以外にも豊富な事。
イワシサイズまでいる。
貝もカニ類も期待通り。
植物は低地のもの、塩害に強いものが中心。
草は結構食用になる物が多いようだ。
温暖な事から1年中生えているようだし。
少し山側へ入ればハンスさんのところで出ていた蔓芋や木豆もある模様。
うん、生存環境は悪くない。というか最高だ。強いて言えば四季の変化があまりないのが残念かな。冬でも割と温暖だから。
あとは風土病みたいなのは無いよな。
日本住血吸虫症なんてWikipediaで読むとガクブルものだから。
なんて思ったらちゃんと書いてあった。
『現在当該地域では危険な風土病は確認されておりません。惑星開発の時点でその点は十分に注意しており、また惑星オースそのものには人類はもともと存在していなかった事もあって、人間に寄生するタイプの生物は現在存在していないと思われます。
また万が一そういった生物が発生した場合でも、魔法にて排除が可能となっております』
……なかなか怖い事が書いてある。
惑星開発なんて単語も出てくるし、魔法で排除も可能なのか。
でもこれなら安心ではある。
そこで暮らす分には。
あとは災害関係、地震雷火事親父。
親父はともかく地震と、あと火山の噴火とかあると怖い。
地震で津波が来たらと思うと最悪だ。
『惑星オースは地球と比べると若い星で一部では火山活動が活発な地域も存在します。ですがリアベルガ島とシルベルザ島、および周囲1,000km以内には現時点で活動及び活動の可能性が認められる火山はありません。
ただし地震は時々発生します。多くは震度1程度までですが、数百年に一度の割合でマグニチュード6相当の地震が来る可能性が指摘されています。住居とする場所は十分に注意するべきでしょう』
うーむ、気にはなる。
しかし冷静に考えると危険度は日本とそう変わらない。
いや、それ以下かな。
そうとらえる事にする。
『なおヒラリア共和国において山火事は滅多に発生しません。発生する火災は多くは人間の失火によるものです……』
火事の心配もしなくていい模様。
あ、そうだ。
自然環境以外についても見ておかなくてはならに事がある。
最寄りの集落までの距離とか、購入可能なものとかを調べないと。
最寄りの街はヘラス。
直線距離で90km弱、案外近い。
しかも開発の為に作られた道路が途中60km地点まで伸びている。
ヘラスそのものはあまり大きな街ではない。
人口はおおよそ5千人程度。
しかし開発の為の拠点都市でもある。
東のナルアファ海側から山脈越えの交通路も通っている。
国の役所の支所もあるし、ここで困ることはほとんどなさそうだ。
さて、この場所についてもう一度確認しておこう。
食物は自然の恵みだけでもなんとかなりそうだ。
海は希望通り干潟、岩場、砂浜と揃っている。
川も豊かな川ときれいな川両方ある。
畑になる平地面積は他と比べれば少ないが私1人なら十分以上。
気候は良好で災害の心配もほとんど考えなくていい。
一通りそろった街が程よく近い。
うん、これはいい。
私の希望ぴったりだ。
なら予約してしまおうか。
しかし予約したら3ヶ月の間に移住する必要がある。
職場どころか日本を、地球を去って異世界へ。
うん、せめて一晩は考えた方がいいだろう。
幸い今は薬が効いている。
強迫神経症的に気になるなんてことはない。
どうせ海岸部の、それも狭い場所だから人気はない。
他の人が予約する可能性はかなり低いだろう。
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