201 / 323
第31章 魔法の勉強会
第250話 勉強会の準備
しおりを挟む
聖堂の移築は思ったよりも驚かれなかった。驚いたのは領役所支所の皆さんくらいだ。
サイナス司祭は私がラテラノでやった開拓を知っている。だから驚かないのは不思議では無い。
しかし村の皆さんもそれほど驚かなかった。これには勿論理由がある。
この世界の一般的な農村住民は魔法についてはそれほど詳しくない。だから魔法で何をどれくらい出来るのか、ほとんど知らないのだ。
魔法についてある程度知っているのなら、
○ 高さ1腕半の街壁を半離作るのは、土属性魔法が使えればそれほど難しくは無いけれど
○ 聖堂を移築するのは私のようなアイテムボックススキルが無いと不可能に近い
事はすぐにわかる。
しかし魔法について知らなければ、どちらもとんでもない事、もしくは魔法が使えれば出来る事に思えてしまうのだ。
まあその方が私達としてはありがたい。だからわざわざこれは凄いことですなんて宣伝はしない。
宣伝したのは子供対象の魔法の勉強会についてだ。
勿論私達が宣伝した訳では無い。やってくれたのはサイナス司祭をはじめとするセドナ教会開拓団の人や、領役所支所の皆さんだ。
最初の勉強会は聖堂を移築して3週間後に決定。
参加人数等についてはサイナス司祭から次のように聞いている。
『村の半分くらいの子供が参加するようです。家での作業はありますが、昼食を貰えて魔法も覚えられるならという事のようです。
ですので初回は概ね50人前後の子供が参加すると見込んでいます。
年齢は6歳から12歳までとしていますが、3歳位の子供も来ると思います。兄や姉が面倒を見ている下の子を連れてくるからです。
小さい子供については教会から面倒を見る要員を2~3名出させていただきます。それくらいのお手伝いはさせて下さい』
思ったよりも多い人数になった。でも正直これは嬉しい誤算だ。
これで私やセレス、そして多分リディナも心配している、まともに教育を受けられない子供が減るだろうから。
参加者がこれだけ多く集まった理由は、やはり昼食が出ることが大きいようだ。もちろん募集をしてくれた皆さんのおかげでもある。
最初の2回で教える内容はリディナとセレス、更にサリアちゃんとレウス君も含めた5人で話し合って決めた。
「やっぱり最初は灯火魔法だと思います。簡単で、誰でも効果がわかるからです」
サリアちゃんの意見だ。
「確かにそうですね。この勉強会に通う意味があると思って貰う為にも、最初は簡単で効果がわかりやすい魔法がいいと思います」
「そうだね。ただ灯火魔法が苦手な子もいるだろうから、その辺りはある程度属性を見ながらやろうか。水を出す魔法の方が覚えやすい子もいるだろうしね。
あと文字を読み書きする練習もある程度はしておこうよ。最初は数だけでいいから」
「なら文字練習帳、数字の分を用意しておく」
「そうですね。1桁の数字の読み書きくらいはした方がいいですよね」
「あと、どの魔法にどれだけ適性があるのか、カードがあると嬉しいです。それを読む為にも文字がわかるようになりたい、って思えます」
そんな感じで最初の2回でやることを決めて準備。
数を数えるためのおはじきや数字練習用のプリント、魔法に関するステータス一覧を書くカード。
更には昼食も余裕分を含めて準備した。
「栄養が取れて食べやすいものという事でピタパンのサンドイッチがメインだよ。もっと豪華なのも作れるけれど、食事だけ目当てで変なのが来ても困るしね。
飲み物は最近おやつの時間に飲んでいる、乳清とレモンをあわせた特製ドリンクで。 いっぱい作っておくから、子供達がおかわりしても大丈夫だよ」
このリディナの特製ドリンクは日本のスポーツ飲料みたいな味がする。疲れた時に飲むとすっと身体に染み渡って美味しい。
何ならこの飲み物、教室に来た時に出してもいいかもしれない。結構遠くから歩いてくる子もいるはずだから。
「50人超えと聞いているけれど、実際はどれくらいの子が来てくれるかな」
「ほぼ全員来るのでは無いでしょうか。子供の分の1食だけでも減らせるなら農家としては助かる筈ですから」
「私もそう思います」
セレスとサリアちゃんの意見はこんな感じ。農家をよく知っている2人が言うのだから、きっとそうなのだろう。
ただサリアちゃん、心配そうな顔でこう付け加える。
「でも……最初はリディナさん達に素直に従わない子供もいると思うんです。
『勉強なんてしたくない。ご飯だけ欲しいからさっさと出せ』
そんな子はどうするんですか?」
「まあその場合は実力を知ってもらうしかないかな。私、フミノ、セレスの誰か1人と対戦して、砂時計の砂が落ちるまでに有効な攻撃を一発でも与えられたら希望通りにしてあげてもいいよ、という感じで」
リディナは軽い調子で返答する。
「大丈夫なんですか、そんな事を言っても」
「心配ないよ。3人とも実は凄く強いからね」
実はサリアちゃんが言った様な事態、既に想定済みなのだ。先日サリアちゃん達が寝た後、3人で話し合ったから。
「既に駄目駄目になっている子もいると思います。こちらの言う事を聞かない子とか、乱暴な事をして自分の意見だけを押し通そうとする子とか。そういう場合はどうしましょうか?」
「そういう場合はかえって簡単だよ。実力差を見せてあげればいいだけだから。むしろ最初にそうやって反抗する子がいた方が楽かもね。
相手を挑発するような条件で勝負してやって、けちょんけちょんにしてやるのが一番手っ取り早いかな。
今の私達なら魔法が使えない相手の攻撃くらい、どうにでもする事が出来るでしょ」
いつものリディナからは想像出来ない過激な意見が出てきた。
なので私なりの感想を言わせて貰う。
「確かにそう思う。でも意外」
「別に暴力や魔法じゃなくてもいいんだけれどね。資金力でも人脈でも何でもいいんだけれど相手のわかる土俵で圧倒してやる。
そうしないとわからない頭の悪い人って一定数いるからね。時にはそういった事も必要になる訳。何と言うかしょうもないんだけれどね。現実として理性的でも理知的でもない人って多いから」
そんな話の後で『ならどうしようか』と話し合った結果が、『砂時計の砂が落ちるまでの間に有効な攻撃が一発でも入ったら』だったりする。
この条件なら相手が大人でも魔法を使えない限り私達に負けはない。3人とも身体強化魔法を使えるし、いざとなれば睡眠魔法なんてのも使える。
更にリディナの場合は風属性魔法で相手を動けなくするなんて事も出来る。セレスの水属性魔法で足を凍り付かせて動かなくするなんて事も可能だ。
私の場合は縮地で逃げ回るなんてのがいいかな。今は縮地や縮地+を使い慣れたから。前方向だけでなく前後左右、割とどの方向にも移動する事が出来るし、何なら相手を移動させるなんて事だって出来るから。
サイナス司祭は私がラテラノでやった開拓を知っている。だから驚かないのは不思議では無い。
しかし村の皆さんもそれほど驚かなかった。これには勿論理由がある。
この世界の一般的な農村住民は魔法についてはそれほど詳しくない。だから魔法で何をどれくらい出来るのか、ほとんど知らないのだ。
魔法についてある程度知っているのなら、
○ 高さ1腕半の街壁を半離作るのは、土属性魔法が使えればそれほど難しくは無いけれど
○ 聖堂を移築するのは私のようなアイテムボックススキルが無いと不可能に近い
事はすぐにわかる。
しかし魔法について知らなければ、どちらもとんでもない事、もしくは魔法が使えれば出来る事に思えてしまうのだ。
まあその方が私達としてはありがたい。だからわざわざこれは凄いことですなんて宣伝はしない。
宣伝したのは子供対象の魔法の勉強会についてだ。
勿論私達が宣伝した訳では無い。やってくれたのはサイナス司祭をはじめとするセドナ教会開拓団の人や、領役所支所の皆さんだ。
最初の勉強会は聖堂を移築して3週間後に決定。
参加人数等についてはサイナス司祭から次のように聞いている。
『村の半分くらいの子供が参加するようです。家での作業はありますが、昼食を貰えて魔法も覚えられるならという事のようです。
ですので初回は概ね50人前後の子供が参加すると見込んでいます。
年齢は6歳から12歳までとしていますが、3歳位の子供も来ると思います。兄や姉が面倒を見ている下の子を連れてくるからです。
小さい子供については教会から面倒を見る要員を2~3名出させていただきます。それくらいのお手伝いはさせて下さい』
思ったよりも多い人数になった。でも正直これは嬉しい誤算だ。
これで私やセレス、そして多分リディナも心配している、まともに教育を受けられない子供が減るだろうから。
参加者がこれだけ多く集まった理由は、やはり昼食が出ることが大きいようだ。もちろん募集をしてくれた皆さんのおかげでもある。
最初の2回で教える内容はリディナとセレス、更にサリアちゃんとレウス君も含めた5人で話し合って決めた。
「やっぱり最初は灯火魔法だと思います。簡単で、誰でも効果がわかるからです」
サリアちゃんの意見だ。
「確かにそうですね。この勉強会に通う意味があると思って貰う為にも、最初は簡単で効果がわかりやすい魔法がいいと思います」
「そうだね。ただ灯火魔法が苦手な子もいるだろうから、その辺りはある程度属性を見ながらやろうか。水を出す魔法の方が覚えやすい子もいるだろうしね。
あと文字を読み書きする練習もある程度はしておこうよ。最初は数だけでいいから」
「なら文字練習帳、数字の分を用意しておく」
「そうですね。1桁の数字の読み書きくらいはした方がいいですよね」
「あと、どの魔法にどれだけ適性があるのか、カードがあると嬉しいです。それを読む為にも文字がわかるようになりたい、って思えます」
そんな感じで最初の2回でやることを決めて準備。
数を数えるためのおはじきや数字練習用のプリント、魔法に関するステータス一覧を書くカード。
更には昼食も余裕分を含めて準備した。
「栄養が取れて食べやすいものという事でピタパンのサンドイッチがメインだよ。もっと豪華なのも作れるけれど、食事だけ目当てで変なのが来ても困るしね。
飲み物は最近おやつの時間に飲んでいる、乳清とレモンをあわせた特製ドリンクで。 いっぱい作っておくから、子供達がおかわりしても大丈夫だよ」
このリディナの特製ドリンクは日本のスポーツ飲料みたいな味がする。疲れた時に飲むとすっと身体に染み渡って美味しい。
何ならこの飲み物、教室に来た時に出してもいいかもしれない。結構遠くから歩いてくる子もいるはずだから。
「50人超えと聞いているけれど、実際はどれくらいの子が来てくれるかな」
「ほぼ全員来るのでは無いでしょうか。子供の分の1食だけでも減らせるなら農家としては助かる筈ですから」
「私もそう思います」
セレスとサリアちゃんの意見はこんな感じ。農家をよく知っている2人が言うのだから、きっとそうなのだろう。
ただサリアちゃん、心配そうな顔でこう付け加える。
「でも……最初はリディナさん達に素直に従わない子供もいると思うんです。
『勉強なんてしたくない。ご飯だけ欲しいからさっさと出せ』
そんな子はどうするんですか?」
「まあその場合は実力を知ってもらうしかないかな。私、フミノ、セレスの誰か1人と対戦して、砂時計の砂が落ちるまでに有効な攻撃を一発でも与えられたら希望通りにしてあげてもいいよ、という感じで」
リディナは軽い調子で返答する。
「大丈夫なんですか、そんな事を言っても」
「心配ないよ。3人とも実は凄く強いからね」
実はサリアちゃんが言った様な事態、既に想定済みなのだ。先日サリアちゃん達が寝た後、3人で話し合ったから。
「既に駄目駄目になっている子もいると思います。こちらの言う事を聞かない子とか、乱暴な事をして自分の意見だけを押し通そうとする子とか。そういう場合はどうしましょうか?」
「そういう場合はかえって簡単だよ。実力差を見せてあげればいいだけだから。むしろ最初にそうやって反抗する子がいた方が楽かもね。
相手を挑発するような条件で勝負してやって、けちょんけちょんにしてやるのが一番手っ取り早いかな。
今の私達なら魔法が使えない相手の攻撃くらい、どうにでもする事が出来るでしょ」
いつものリディナからは想像出来ない過激な意見が出てきた。
なので私なりの感想を言わせて貰う。
「確かにそう思う。でも意外」
「別に暴力や魔法じゃなくてもいいんだけれどね。資金力でも人脈でも何でもいいんだけれど相手のわかる土俵で圧倒してやる。
そうしないとわからない頭の悪い人って一定数いるからね。時にはそういった事も必要になる訳。何と言うかしょうもないんだけれどね。現実として理性的でも理知的でもない人って多いから」
そんな話の後で『ならどうしようか』と話し合った結果が、『砂時計の砂が落ちるまでの間に有効な攻撃が一発でも入ったら』だったりする。
この条件なら相手が大人でも魔法を使えない限り私達に負けはない。3人とも身体強化魔法を使えるし、いざとなれば睡眠魔法なんてのも使える。
更にリディナの場合は風属性魔法で相手を動けなくするなんて事も出来る。セレスの水属性魔法で足を凍り付かせて動かなくするなんて事も可能だ。
私の場合は縮地で逃げ回るなんてのがいいかな。今は縮地や縮地+を使い慣れたから。前方向だけでなく前後左右、割とどの方向にも移動する事が出来るし、何なら相手を移動させるなんて事だって出来るから。
275
お気に入りに追加
2,923
あなたにおすすめの小説
異世界召喚に巻き込まれたおばあちゃん
夏本ゆのす(香柚)
ファンタジー
高校生たちの異世界召喚にまきこまれましたが、関係ないので森に引きこもります。
のんびり余生をすごすつもりでしたが、何故か魔法が使えるようなので少しだけ頑張って生きてみようと思います。
3歳で捨てられた件
玲羅
恋愛
前世の記憶を持つ者が1000人に1人は居る時代。
それゆえに変わった子供扱いをされ、疎まれて捨てられた少女、キャプシーヌ。拾ったのは宰相を務めるフェルナー侯爵。
キャプシーヌの運命が再度変わったのは貴族学院入学後だった。
僕の家族は母様と母様の子供の弟妹達と使い魔達だけだよ?
闇夜の現し人(ヤミヨノウツシビト)
ファンタジー
ー 母さんは、「絶世の美女」と呼ばれるほど美しく、国の中で最も権力の強い貴族と呼ばれる公爵様の寵姫だった。
しかし、それをよく思わない正妻やその親戚たちに毒を盛られてしまった。
幸い発熱だけですんだがお腹に子が出来てしまった以上ここにいては危険だと判断し、仲の良かった侍女数名に「ここを離れる」と言い残し公爵家を後にした。
お母さん大好きっ子な主人公は、毒を盛られるという失態をおかした父親や毒を盛った親戚たちを嫌悪するがお母さんが日々、「家族で暮らしたい」と話していたため、ある出来事をきっかけに一緒に暮らし始めた。
しかし、自分が家族だと認めた者がいれば初めて見た者は跪くと言われる程の華の顔(カンバセ)を綻ばせ笑うが、家族がいなければ心底どうでもいいというような表情をしていて、人形の方がまだ表情があると言われていた。
『無能で無価値の稚拙な愚父共が僕の家族を名乗る資格なんて無いんだよ?』
さぁ、ここに超絶チートを持つ自分が認めた家族以外の生き物全てを嫌う主人公の物語が始まる。
〈念の為〉
稚拙→ちせつ
愚父→ぐふ
⚠︎注意⚠︎
不定期更新です。作者の妄想をつぎ込んだ作品です。
病弱が転生 ~やっぱり体力は無いけれど知識だけは豊富です~
於田縫紀
ファンタジー
ここは魔法がある世界。ただし各人がそれぞれ遺伝で受け継いだ魔法や日常生活に使える魔法を持っている。商家の次男に生まれた俺が受け継いだのは鑑定魔法、商売で使うにはいいが今一つさえない魔法だ。
しかし流行風邪で寝込んだ俺は前世の記憶を思い出す。病弱で病院からほとんど出る事無く日々を送っていた頃の記憶と、動けないかわりにネットや読書で知識を詰め込んだ知識を。
そしてある日、白い花を見て鑑定した事で、俺は前世の知識を使ってお金を稼げそうな事に気付いた。ならば今のぱっとしない暮らしをもっと豊かにしよう。俺は親友のシンハ君と挑戦を開始した。
対人戦闘ほぼ無し、知識チート系学園ものです。
異世界転生目立ちたく無いから冒険者を目指します
桂崇
ファンタジー
小さな町で酒場の手伝いをする母親と2人で住む少年イールスに転生覚醒する、チートする方法も無く、母親の死により、実の父親の家に引き取られる。イールスは、冒険者になろうと目指すが、周囲はその才能を惜しんでいる
世界最強の公爵様は娘が可愛くて仕方ない
猫乃真鶴
ファンタジー
トゥイリアース王国の筆頭公爵家、ヴァーミリオン。その現当主アルベルト・ヴァーミリオンは、王宮のみならず王都ミリールにおいても名の通った人物であった。
まずその美貌。女性のみならず男性であっても、一目見ただけで誰もが目を奪われる。あと、公爵家だけあってお金持ちだ。王家始まって以来の最高の魔法使いなんて呼び名もある。実際、王国中の魔導士を集めても彼に敵う者は存在しなかった。
ただし、彼は持った全ての力を愛娘リリアンの為にしか使わない。
財力も、魔力も、顔の良さも、権力も。
なぜなら彼は、娘命の、究極の娘馬鹿だからだ。
※このお話は、日常系のギャグです。
※小説家になろう様にも掲載しています。
※2024年5月 タイトルとあらすじを変更しました。
他国から来た王妃ですが、冷遇? 私にとっては厚遇すぎます!
七辻ゆゆ
ファンタジー
人質同然でやってきたというのに、出されるご飯は母国より美味しいし、嫌味な上司もいないから掃除洗濯毎日楽しいのですが!?
【完結】公女が死んだ、その後のこと
杜野秋人
恋愛
【第17回恋愛小説大賞 奨励賞受賞しました!】
「お母様……」
冷たく薄暗く、不潔で不快な地下の罪人牢で、彼女は独り、亡き母に語りかける。その掌の中には、ひと粒の小さな白い錠剤。
古ぼけた簡易寝台に座り、彼女はそのままゆっくりと、覚悟を決めたように横たわる。
「言いつけを、守ります」
最期にそう呟いて、彼女は震える手で錠剤を口に含み、そのまま飲み下した。
こうして、第二王子ボアネルジェスの婚約者でありカストリア公爵家の次期女公爵でもある公女オフィーリアは、獄中にて自ら命を断った。
そして彼女の死後、その影響はマケダニア王国の王宮内外の至るところで噴出した。
「ええい、公務が回らん!オフィーリアは何をやっている!?」
「殿下は何を仰せか!すでに公女は儚くなられたでしょうが!」
「くっ……、な、ならば蘇生させ」
「あれから何日経つとお思いで!?お気は確かか!」
「何故だ!何故この私が裁かれねばならん!」
「そうよ!お父様も私も何も悪くないわ!悪いのは全部お義姉さまよ!」
「…………申し開きがあるのなら、今ここではなく取り調べと裁判の場で存分に申すがよいわ。⸺連れて行け」
「まっ、待て!話を」
「嫌ぁ〜!」
「今さら何しに戻ってきたかね先々代様。わしらはもう、公女さま以外にお仕えする気も従う気もないんじゃがな?」
「なっ……貴様!領主たる儂の言うことが聞けんと」
「領主だったのは亡くなった女公さまとその娘の公女さまじゃ。あの方らはあんたと違って、わしら領民を第一に考えて下さった。あんたと違ってな!」
「くっ……!」
「なっ、譲位せよだと!?」
「本国の決定にございます。これ以上の混迷は連邦友邦にまで悪影響を与えかねないと。⸺潔く観念なさいませ。さあ、ご署名を」
「おのれ、謀りおったか!」
「…………父上が悪いのですよ。あの時止めてさえいれば、彼女は死なずに済んだのに」
◆人が亡くなる描写、及びベッドシーンがあるのでR15で。生々しい表現は避けています。
◆公女が亡くなってからが本番。なので最初の方、恋愛要素はほぼありません。最後はちゃんとジャンル:恋愛です。
◆ドアマットヒロインを書こうとしたはずが。どうしてこうなった?
◆作中の演出として自死のシーンがありますが、決して推奨し助長するものではありません。早まっちゃう前に然るべき窓口に一言相談を。
◆作者の作品は特に断りなき場合、基本的に同一の世界観に基づいています。が、他作品とリンクする予定は特にありません。本作単品でお楽しみ頂けます。
◆この作品は小説家になろうでも公開します。
◆24/2/17、HOTランキング女性向け1位!?1位は初ですありがとうございます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。