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第29章 ちょっとだけ単独行
おまけ 今日は海の日(下)
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「海だ!」
レウス君が叫ぶ。
「それじゃまずは御飯にしようか。天気がいいし風も弱いしちょうどいいね」
確かに天候的には最高だなと思う。気温も快適な程度だし。
平らな岩、実は私がアイテムボックスで上部分を収納した跡だけれども、この上にテーブルと椅子を人数分出す。
この場合エルマくんは人数に含まない。彼の指定席はテーブル下だ。
「今日のお昼御飯は、此処でこれから捕れるかなというものを中心にしてみたから」
そう言ってリディナが出したのはこんなメニュー。
○ サバサンド
○ 二枚貝のバター焼き
○ ブイヤベース風魚介類のスープ
○ ツナ入りサラダ
メインのサバサンドは長くてガチガチの、日本で言うバゲット風のパンに骨を取ってニンニク入りの油でしっかり焼いたサバ、レタス、タマネギ、トマトと野菜がたっぷり入ったもの。
各人用に味付けが調節してあって、私用のものはバルサミコ酢のソースと粒マスタードが味の決め手だ。
リディナ用は塩とバターとマスタード、セレス用はバターだけ薄味、サリアちゃんとレウス君用はトマトケチャップに酷似した甘めのソース。
おまけの誰かさん用にサバの骨を取って焼いただけ味付け無し、なんてのもある。
「このサンドイッチの魚が捕れるの?」
「どんな魚が捕れるかはわからないけれどね。あとこの貝も、このスープに入っているお魚や貝も、このサラダのこれも捕れるかもしれないよ。もっと美味しいものも捕れるかもしれない」
「牡蠣がいるといいですね」
「牡蠣って何ですか?」
「岩みたいに見えるけれど美味しい貝です。形は少し気持ち悪いですけれど」
美味しいお昼を食べたらいよいよ採取活動開始だ。
「まずは食べられる貝を探してみるよ。さっきのバター焼きにした貝と同じような二枚貝の捕り方。サリアもレウスもついてきて」
全員で小さな砂浜へ。なおエルマくんは離して貰って、私達の周囲を走ったり臭いを嗅いだりしながらついてくる。
「海に足だけつかるからこの辺で靴を脱いでね。そして魔力探知で海水が被っている部分の砂浜を調べるの。そうするとごくごく小さい反応が砂の中に固まってあるのが見えるかな?」
リディナがそう2人に問いかける。
サリアちゃんとレウス君はかなり魔法が使えるようになってきた。だからそれくらいの魔力探査は出来る筈。
「見えます。同じくらいの深さに固まっています」
「僕も見える」
どうやら2人ともわかるようだ。
「なら靴を脱いで、その反応の上に裸足で立つの。そうしたらこうやって足を動かして。そうすれば足が何か固い物に当たるから、それを手で拾う訳。そうすると」
リディナが2枚貝を海の中から取りだしてみせる。
「こんな感じ。この貝はそのまま食べても美味しいし、後で釣りにも使えるから頑張って取ろうね」
「わかりました」
「わかった」
2人の返事。私は貝を入れるためのバケツを出して海水を汲む。
なお2人が海に入るのと一緒にエルマくんも一緒に海へ。しかし波をかぶって慌てて砂浜へと引き返す。
何かブシュブシュやり始めたので魔法で真水を水飲み皿へ出してやる。エルマくん、飛びついて勢いよくぴちゃぴちゃ飲み始めた。どうやら海の水が塩辛かったようだ。
「いた!」
レウス君の声に引き続き、サリアちゃんが頷いて足下に手をやる。
平たい貝が手の中に入っていた。
「こうやって捕れるんですね」
潮干狩りは順調だ。あっという間にバケツの中が貝で埋まった。
「それじゃ次は魚を釣りという方法で捕らえるよ。まずは……」
私は釣り竿と仕掛け、更に魚を入れるバケツを出す。あとはリディナとセレスに任せればいいだろう。
「それじゃ私は貝を捕ってくる」
「御願いね」
それでは私は私の作業、岩場の海面下にいる貝の採取を開始だ。
まずは断崖絶壁の下にある岩場へと移動。この辺りがそこそこ良い感じかな。魔力探査と偵察魔法でそう目星をつける。
海水の温度はまだ泳ぐには少し冷たい。それに私は泳ぎには自信がない。
だから主役は私では無くゴーレムのシェリーちゃん。久しぶりのK装備で岩場の海面下部分を捜索開始。
まずは岩にへばりついている岩牡蠣をガシガシと剥がす作業から。久しぶりの牡蠣だ。捕れるだけ捕っておきたい。
おっと、ウニを発見。勿論回収だ。全員が食べられる分捕れればウニ丼なんてのもいいな。もっと捕れればウニバターなんて作ってもいい。
サザエやアワビなんて高級な貝もしっかり確保。サザエの苦み、最近は美味しいと思えるようになってきた。これは私の舌が大人になったという事だろうか。あとアワビのソテー、美味しいんだよな。
リディナ達4人は釣りを始めたようだ。見たところリディナとサリアちゃんが遠くへ飛ばすカゴ釣りの仕掛け。セレスとレウス君がサビキ仕掛け。
サビキ仕掛けの方は早くも魚が釣れまくっている。ただカゴ釣りの方もしっかり魚がいる辺りに魔法で仕掛けを届かせている。だからそのうち大物も釣れるだろう。
私は私の採取活動に専念。おっと、タコを発見。ならシェリーちゃん、M装備だ!
◇◇◇
「海ってこんなに楽しいんですね」
「僕も楽しかった!」
帰りのゴーレム車の中、皆さんご満足の模様だ。エルマくんは遊びすぎて床でへたって寝ているけれど。
「収穫も結構あったしね。帰って山羊さん達を小屋に入れて、皆でお風呂に入った後、皆で今日捕ったもので御飯を作ろうか。きっと美味しいと思うよ」
「楽しみですね」
確かに今日は大漁だ。サビキ組は鰯や小サバ、小アジを100匹以上釣り上げた。カゴ仕掛け組もソウダカツオやシイラを合計10匹は釣っている。
私の方もしっかり捕った。岩牡蠣は30個以上剥がしたし、サザエもウニも、アワビすら10個以上確保している。
更にタコ、黒鯛なんてのもシェリーちゃんのM装備で確保した。今から食べるのが楽しみで仕方ない。
「今日はご馳走だね」
「うん!」
今日もいい日だったな、そんな風に感じる。まあこの後に山羊さん作業やお風呂、料理作業があるのだけれども。
レウス君が叫ぶ。
「それじゃまずは御飯にしようか。天気がいいし風も弱いしちょうどいいね」
確かに天候的には最高だなと思う。気温も快適な程度だし。
平らな岩、実は私がアイテムボックスで上部分を収納した跡だけれども、この上にテーブルと椅子を人数分出す。
この場合エルマくんは人数に含まない。彼の指定席はテーブル下だ。
「今日のお昼御飯は、此処でこれから捕れるかなというものを中心にしてみたから」
そう言ってリディナが出したのはこんなメニュー。
○ サバサンド
○ 二枚貝のバター焼き
○ ブイヤベース風魚介類のスープ
○ ツナ入りサラダ
メインのサバサンドは長くてガチガチの、日本で言うバゲット風のパンに骨を取ってニンニク入りの油でしっかり焼いたサバ、レタス、タマネギ、トマトと野菜がたっぷり入ったもの。
各人用に味付けが調節してあって、私用のものはバルサミコ酢のソースと粒マスタードが味の決め手だ。
リディナ用は塩とバターとマスタード、セレス用はバターだけ薄味、サリアちゃんとレウス君用はトマトケチャップに酷似した甘めのソース。
おまけの誰かさん用にサバの骨を取って焼いただけ味付け無し、なんてのもある。
「このサンドイッチの魚が捕れるの?」
「どんな魚が捕れるかはわからないけれどね。あとこの貝も、このスープに入っているお魚や貝も、このサラダのこれも捕れるかもしれないよ。もっと美味しいものも捕れるかもしれない」
「牡蠣がいるといいですね」
「牡蠣って何ですか?」
「岩みたいに見えるけれど美味しい貝です。形は少し気持ち悪いですけれど」
美味しいお昼を食べたらいよいよ採取活動開始だ。
「まずは食べられる貝を探してみるよ。さっきのバター焼きにした貝と同じような二枚貝の捕り方。サリアもレウスもついてきて」
全員で小さな砂浜へ。なおエルマくんは離して貰って、私達の周囲を走ったり臭いを嗅いだりしながらついてくる。
「海に足だけつかるからこの辺で靴を脱いでね。そして魔力探知で海水が被っている部分の砂浜を調べるの。そうするとごくごく小さい反応が砂の中に固まってあるのが見えるかな?」
リディナがそう2人に問いかける。
サリアちゃんとレウス君はかなり魔法が使えるようになってきた。だからそれくらいの魔力探査は出来る筈。
「見えます。同じくらいの深さに固まっています」
「僕も見える」
どうやら2人ともわかるようだ。
「なら靴を脱いで、その反応の上に裸足で立つの。そうしたらこうやって足を動かして。そうすれば足が何か固い物に当たるから、それを手で拾う訳。そうすると」
リディナが2枚貝を海の中から取りだしてみせる。
「こんな感じ。この貝はそのまま食べても美味しいし、後で釣りにも使えるから頑張って取ろうね」
「わかりました」
「わかった」
2人の返事。私は貝を入れるためのバケツを出して海水を汲む。
なお2人が海に入るのと一緒にエルマくんも一緒に海へ。しかし波をかぶって慌てて砂浜へと引き返す。
何かブシュブシュやり始めたので魔法で真水を水飲み皿へ出してやる。エルマくん、飛びついて勢いよくぴちゃぴちゃ飲み始めた。どうやら海の水が塩辛かったようだ。
「いた!」
レウス君の声に引き続き、サリアちゃんが頷いて足下に手をやる。
平たい貝が手の中に入っていた。
「こうやって捕れるんですね」
潮干狩りは順調だ。あっという間にバケツの中が貝で埋まった。
「それじゃ次は魚を釣りという方法で捕らえるよ。まずは……」
私は釣り竿と仕掛け、更に魚を入れるバケツを出す。あとはリディナとセレスに任せればいいだろう。
「それじゃ私は貝を捕ってくる」
「御願いね」
それでは私は私の作業、岩場の海面下にいる貝の採取を開始だ。
まずは断崖絶壁の下にある岩場へと移動。この辺りがそこそこ良い感じかな。魔力探査と偵察魔法でそう目星をつける。
海水の温度はまだ泳ぐには少し冷たい。それに私は泳ぎには自信がない。
だから主役は私では無くゴーレムのシェリーちゃん。久しぶりのK装備で岩場の海面下部分を捜索開始。
まずは岩にへばりついている岩牡蠣をガシガシと剥がす作業から。久しぶりの牡蠣だ。捕れるだけ捕っておきたい。
おっと、ウニを発見。勿論回収だ。全員が食べられる分捕れればウニ丼なんてのもいいな。もっと捕れればウニバターなんて作ってもいい。
サザエやアワビなんて高級な貝もしっかり確保。サザエの苦み、最近は美味しいと思えるようになってきた。これは私の舌が大人になったという事だろうか。あとアワビのソテー、美味しいんだよな。
リディナ達4人は釣りを始めたようだ。見たところリディナとサリアちゃんが遠くへ飛ばすカゴ釣りの仕掛け。セレスとレウス君がサビキ仕掛け。
サビキ仕掛けの方は早くも魚が釣れまくっている。ただカゴ釣りの方もしっかり魚がいる辺りに魔法で仕掛けを届かせている。だからそのうち大物も釣れるだろう。
私は私の採取活動に専念。おっと、タコを発見。ならシェリーちゃん、M装備だ!
◇◇◇
「海ってこんなに楽しいんですね」
「僕も楽しかった!」
帰りのゴーレム車の中、皆さんご満足の模様だ。エルマくんは遊びすぎて床でへたって寝ているけれど。
「収穫も結構あったしね。帰って山羊さん達を小屋に入れて、皆でお風呂に入った後、皆で今日捕ったもので御飯を作ろうか。きっと美味しいと思うよ」
「楽しみですね」
確かに今日は大漁だ。サビキ組は鰯や小サバ、小アジを100匹以上釣り上げた。カゴ仕掛け組もソウダカツオやシイラを合計10匹は釣っている。
私の方もしっかり捕った。岩牡蠣は30個以上剥がしたし、サザエもウニも、アワビすら10個以上確保している。
更にタコ、黒鯛なんてのもシェリーちゃんのM装備で確保した。今から食べるのが楽しみで仕方ない。
「今日はご馳走だね」
「うん!」
今日もいい日だったな、そんな風に感じる。まあこの後に山羊さん作業やお風呂、料理作業があるのだけれども。
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