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第25章 開拓の日々
第210話 肥料の作成
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買い出しの翌日と翌々日はまた、種まきと芋や苗の植え付け作業。当然私とリディナは筋肉痛。治癒魔法と回復魔法全開で何とか回復させる。
自家消費用の苗木や野菜・ハーブ類の畑はお家の近く、土地の中心を通る道路の南側を拓いて作った。大きさは10腕四方とお仕事用の畑よりずっと小さい。
しかし蜜柑、レモン、ブルーベリー、木苺、苺、トマト、ナス、ハーブ類と種類が豊富。これはこれで成長がとっても楽しみだ。
そして今日はその自分達用畑の西側で新たな作業。
「今日は肥料を作る作業をします。これが終わればあとはしばらくの間、草取りや害虫退治といった定例作業だけになります。
今日もよろしくお願いします」
指示はセレスだ。農業関係については間違いなく3人のなかで一番詳しいから。
「まずはここに縦横10腕、深さ3腕位の穴を掘ります。これはフミノさん、お願いしていいですか。
ただ表面から20指位の土はいい成分が多いので、アイテムボックスに入れないで脇に退けておきましょう。後で使います」
「わかった」
「それじゃ表面の土を脇に退ける作業は手伝うね」
3人で土属性魔法を使い表面の土を削って移動させた後、アイテムボックススキルでさくっと穴を掘る。種まき作業に比べれば楽勝だ。
「これでどうするのかな?」
「次にこの穴に溢れる位、今まで刈った雑草や木を出してもらえますか。出来れば草や葉の部分を中心にして、木は1割以下で」
「わかった」
それも楽勝だ。アイテムボックス内で草と木をわけ、更に枝から葉をおとしてと。
分類が終わった草と葉中心の部分を穴へと出す。
穴の上、概ね30指位まで草や葉、枝のかけら等が積み重なった。溢れる位という事なら、こんなものでいいかな。
「やっぱり便利だよね、フミノのアイテムボックス」
「本当です。普通ならここまで数日はかかります」
「それでどうする?」
堆肥にするのかな、燃やすのかな。草が中心で木を少な目だから堆肥の方かな。そう思いながら私はセレスに尋ねる。
「次はリディナさんにお願いします。魔法で出来るだけこの草や葉っぱを細かく刻んで下さい」
「わかった。それじゃ嵐でやるから少し離れてね」
そう言ったリディナ自身も含めて30腕くらい離れた後、リディナが本来は風属性の攻撃魔法である嵐を起動。
強烈な渦巻きで中の草等が粉々になっていくのが見える。まるでミキサーのようだ。
その癖一定範囲の外には風も草の破片も飛ばない。リディナ、かなり腕を上げたなと思う。
「ありがとうございます。本当に粉々ですね。これならいい肥料になりそうです」
雑草等は粗めの砂粒くらいまでになった。今まであったすき間部分が無くなり、穴の中に完全に収まっている。
「これにさっき脇に退けた土を入れて、全体をかき混ぜます。これは私がやりますね」
セレスも土属性魔法を練習したようだ。土が動いて粉々になった草とかき混ぜられていく。
ある程度ふかふかな感じになったところでかき混ぜ作業、終了のようだ。
「あとは月に1回程度かき混ぜるだけです。半年くらいでいい肥料になると思います。麦の種まき時期にちょうどいいです」
やはり堆肥だな、これは。確か堆肥は他にもぬかとか油粕とか家畜の糞とかを入れる筈。でもそういった物は出来たばかりのこの農場には無い。
まあその分粉々にしたし、これでも肥料が無いよりは遥かにいいだろう。だからその辺は言わない事にする。
「次はもう一つの肥料、灰作りです。ただ灰を作るだけではなく、殺虫効果のある土もこれで出来ます。
フミノさん、さっきと同じ大きさの穴を作って貰っていいでしょうか。今度は表面の土ごと収納で大丈夫です」
なら簡単だ。一瞬で穴が完成する。
「次はこの穴にある程度の防水をします。灰の肥料分は水に溶けやすいので。これは私がやります」
セレスは穴の内側の土を乾燥させた後、高熱で軽く焼いて素焼きっぽい感じに仕上げた。
「フミノさん、今度は木を中心にしてさっきと同じくらいの量を出して頂けますか。また切り刻むので、木材として使えない部分でお願いします」
「わかった」
アイテムボックス内で枝を払い、かさばらないようにある程度切り刻んだ後、穴の上に出す。
こんもりと枝や細い木が積みあがった。
「最後は燃やす作業です。ここはやっと燃え出すかなという程度の火でじっくり焼くといいそうです。
私もやりますけれど、リディナさんとフミノさんも手伝っていただけますか。派手に燃えないよう、じっくりという形で、あまり派手に燃えたら軽く湿らせて勢いを弱めるという感じで」
うーむ、ただ燃やすだけではなくそんな細かい事までやるのか。でも了解だ。
3人でそれぞれ別の場所から作業を開始する。
「結構難しいね。油断をしたらすぐ派手に炎が出ちゃうし」
「ある程度は仕方ないです。それに農家でやる場合は魔法を使えないのでもっといい加減ですから。
ただこうやって燃やすといい灰が出来るんです。この灰は撒くと肥料としていいだけでなく、臭いで虫が近づきにくくもなります」
何気に細かいノウハウがあるのだな、そう感心する。
農業と言う産業はきっとこんな細かなノウハウの集大成なのだろう。思わず世間一般の農家の皆さんを尊敬したくなる。
勿論今回の知識全部を農家の全員が知っている訳でもないし、活用している訳でもないだろう。これらはセレスが実家で経験した事にプラスして、専門の本で学んだ知識が活用されているのだろうから。
そしてこの農場作業、面白い。こうやって物事が進んで行く様子を実際に目で見る事が出来る。物づくりと同じだ。
疲れるし筋肉痛にもなるけれど。
それにしても炎を出さないようじっくり焼く作業、結構魔力を消費する。火属性は3人ともあまり得意としていないし。
それでも私は火属性レベル3で、この中では一番上の筈なのだけれども。
あ、また思い切り炎が上がった。水属性魔法で霧を出して、火の勢いを殺す。そうしたらもう一度燃えるように少しだけ魔法で乾燥させて……
◇◇◇
ゆっくりじっくり燃やす作業、結構時間がかかった。概ね3時間くらい、つまりほぼお昼まで目一杯。
そしてメインで使うのは普段使わない火属性、しかも敢えて低温でという慣れない使い方。
その結果、全てが灰になった頃には3人とも魔力は残り僅か。
何とか簡単な昼食を食べた後、セレスを含め3人ともダウン。午後はお昼寝時間となったのだった。
自家消費用の苗木や野菜・ハーブ類の畑はお家の近く、土地の中心を通る道路の南側を拓いて作った。大きさは10腕四方とお仕事用の畑よりずっと小さい。
しかし蜜柑、レモン、ブルーベリー、木苺、苺、トマト、ナス、ハーブ類と種類が豊富。これはこれで成長がとっても楽しみだ。
そして今日はその自分達用畑の西側で新たな作業。
「今日は肥料を作る作業をします。これが終わればあとはしばらくの間、草取りや害虫退治といった定例作業だけになります。
今日もよろしくお願いします」
指示はセレスだ。農業関係については間違いなく3人のなかで一番詳しいから。
「まずはここに縦横10腕、深さ3腕位の穴を掘ります。これはフミノさん、お願いしていいですか。
ただ表面から20指位の土はいい成分が多いので、アイテムボックスに入れないで脇に退けておきましょう。後で使います」
「わかった」
「それじゃ表面の土を脇に退ける作業は手伝うね」
3人で土属性魔法を使い表面の土を削って移動させた後、アイテムボックススキルでさくっと穴を掘る。種まき作業に比べれば楽勝だ。
「これでどうするのかな?」
「次にこの穴に溢れる位、今まで刈った雑草や木を出してもらえますか。出来れば草や葉の部分を中心にして、木は1割以下で」
「わかった」
それも楽勝だ。アイテムボックス内で草と木をわけ、更に枝から葉をおとしてと。
分類が終わった草と葉中心の部分を穴へと出す。
穴の上、概ね30指位まで草や葉、枝のかけら等が積み重なった。溢れる位という事なら、こんなものでいいかな。
「やっぱり便利だよね、フミノのアイテムボックス」
「本当です。普通ならここまで数日はかかります」
「それでどうする?」
堆肥にするのかな、燃やすのかな。草が中心で木を少な目だから堆肥の方かな。そう思いながら私はセレスに尋ねる。
「次はリディナさんにお願いします。魔法で出来るだけこの草や葉っぱを細かく刻んで下さい」
「わかった。それじゃ嵐でやるから少し離れてね」
そう言ったリディナ自身も含めて30腕くらい離れた後、リディナが本来は風属性の攻撃魔法である嵐を起動。
強烈な渦巻きで中の草等が粉々になっていくのが見える。まるでミキサーのようだ。
その癖一定範囲の外には風も草の破片も飛ばない。リディナ、かなり腕を上げたなと思う。
「ありがとうございます。本当に粉々ですね。これならいい肥料になりそうです」
雑草等は粗めの砂粒くらいまでになった。今まであったすき間部分が無くなり、穴の中に完全に収まっている。
「これにさっき脇に退けた土を入れて、全体をかき混ぜます。これは私がやりますね」
セレスも土属性魔法を練習したようだ。土が動いて粉々になった草とかき混ぜられていく。
ある程度ふかふかな感じになったところでかき混ぜ作業、終了のようだ。
「あとは月に1回程度かき混ぜるだけです。半年くらいでいい肥料になると思います。麦の種まき時期にちょうどいいです」
やはり堆肥だな、これは。確か堆肥は他にもぬかとか油粕とか家畜の糞とかを入れる筈。でもそういった物は出来たばかりのこの農場には無い。
まあその分粉々にしたし、これでも肥料が無いよりは遥かにいいだろう。だからその辺は言わない事にする。
「次はもう一つの肥料、灰作りです。ただ灰を作るだけではなく、殺虫効果のある土もこれで出来ます。
フミノさん、さっきと同じ大きさの穴を作って貰っていいでしょうか。今度は表面の土ごと収納で大丈夫です」
なら簡単だ。一瞬で穴が完成する。
「次はこの穴にある程度の防水をします。灰の肥料分は水に溶けやすいので。これは私がやります」
セレスは穴の内側の土を乾燥させた後、高熱で軽く焼いて素焼きっぽい感じに仕上げた。
「フミノさん、今度は木を中心にしてさっきと同じくらいの量を出して頂けますか。また切り刻むので、木材として使えない部分でお願いします」
「わかった」
アイテムボックス内で枝を払い、かさばらないようにある程度切り刻んだ後、穴の上に出す。
こんもりと枝や細い木が積みあがった。
「最後は燃やす作業です。ここはやっと燃え出すかなという程度の火でじっくり焼くといいそうです。
私もやりますけれど、リディナさんとフミノさんも手伝っていただけますか。派手に燃えないよう、じっくりという形で、あまり派手に燃えたら軽く湿らせて勢いを弱めるという感じで」
うーむ、ただ燃やすだけではなくそんな細かい事までやるのか。でも了解だ。
3人でそれぞれ別の場所から作業を開始する。
「結構難しいね。油断をしたらすぐ派手に炎が出ちゃうし」
「ある程度は仕方ないです。それに農家でやる場合は魔法を使えないのでもっといい加減ですから。
ただこうやって燃やすといい灰が出来るんです。この灰は撒くと肥料としていいだけでなく、臭いで虫が近づきにくくもなります」
何気に細かいノウハウがあるのだな、そう感心する。
農業と言う産業はきっとこんな細かなノウハウの集大成なのだろう。思わず世間一般の農家の皆さんを尊敬したくなる。
勿論今回の知識全部を農家の全員が知っている訳でもないし、活用している訳でもないだろう。これらはセレスが実家で経験した事にプラスして、専門の本で学んだ知識が活用されているのだろうから。
そしてこの農場作業、面白い。こうやって物事が進んで行く様子を実際に目で見る事が出来る。物づくりと同じだ。
疲れるし筋肉痛にもなるけれど。
それにしても炎を出さないようじっくり焼く作業、結構魔力を消費する。火属性は3人ともあまり得意としていないし。
それでも私は火属性レベル3で、この中では一番上の筈なのだけれども。
あ、また思い切り炎が上がった。水属性魔法で霧を出して、火の勢いを殺す。そうしたらもう一度燃えるように少しだけ魔法で乾燥させて……
◇◇◇
ゆっくりじっくり燃やす作業、結構時間がかかった。概ね3時間くらい、つまりほぼお昼まで目一杯。
そしてメインで使うのは普段使わない火属性、しかも敢えて低温でという慣れない使い方。
その結果、全てが灰になった頃には3人とも魔力は残り僅か。
何とか簡単な昼食を食べた後、セレスを含め3人ともダウン。午後はお昼寝時間となったのだった。
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