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第23章 リハビリの海辺
第196話 食欲中枢と無駄な思考
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船のおかげで釣果はとんでもなく多彩。いつもとは明らかに違う魚も含め、これでもかという位に持ち帰ってきている。
ヒラメに似ているがもう少し縦に長い茶色い魚、ひげの大きい赤色の、鯛が太ったような魚、カサゴっぽい全長が30指位の赤い魚……
今まで釣った事が無い魚はこんな感じ。
勿論釣った事がある魚も大量にある。たとえばカツオとマグロの中間みたいなもの、黒鯛っぽいの、多分鯖、きっとアジ、おそらく鰯、その他色々……
「それじゃさっと料理するから待っていてね」
「わかった」
どう見ても楽しみで仕方ない。
魚も肉と同じで取れたてより寝かしておいた方が美味しいという話は知っている。確かに大きめの魚、それも白身系については4日目くらいが旨味が強いというのも感じる。
しかし取れたての魚の歯ごたえと身の固さというか締まっている感じもまた格別なのだ。
あと小魚系は新鮮であればあるほど美味しい。市場に並んでいるものより、自分達で捕ってそのまま自在袋やアイテムボックスに入れたものこそ至高。
刺身が特にそう感じるけれど、焼き物揚げ物煮物等でも同じ。
夕食を待っている間にアイテムボックス内に収納した船を、収納したままの状態であちこち点検。異常はなさそうだが取り敢えず水属性魔法で真水を出して洗い、塩分を除いておく。
一応金属部分は錆び対策で鉄ではなく銅や黄銅を使っている。それでもやはり海水に晒したままだと気になるのだ。
あと伝達部分のパイプに海水が侵入していないかも確認。大丈夫、固い鹿の脂でちゃんと防水出来ている。
そう言えば細かい作業をする時、アイテムボックス内に手を伸ばしてなんて事が出来れば楽なんだよな。魔法ではやりにくい作業もあるし。
何か方法はないかな。
「フミノ、ご飯できたよ」
おっと、もう出来たか。
今回も食卓の上は豪華だ。
「昨日作ったものとかぶっちゃうけどね」
まずはカルパッチョ風、サラダ風、刺身盛り合わせ風の生切り身シリーズ。
白身だけでも半透明なもの、皮目が赤っぽいもの、端の赤身が多い物、脂がのってそうな濁りのある白色のものとある。
更に赤身の魚もあり、イワシの頭とヒレ、骨と内臓をとった状態そのままのものあり……
揚げ物もパン粉をつけたフライと天ぷら風と素揚げ。そのままのもあるし、南蛮漬け風の汁につけたものもあるし……
あとはバター焼きにそのまま焼いた風に……
なおこれにアクアパッツア風の汁系煮物がつき、更にご飯、パン、ラルド等いつもの面子も揃っている訳だ。
どうやればこれを半時間程度で作れるのだろう。これだけの魚をさばくのだって半時間では終わらないとおもうのだけれども。大物だと鱗とりだけでも時間がかかるのに。
これって絶対何かのチートだと思うのだ。リディナもセレスも転生者じゃない筈だけれども。
「あとこっちのご飯は酢飯ね」
うん、チートだ。でもこんなチートは大歓迎。
ふとある数値が脳裏をかすめる。増加してしまった●重の値だ。食べる量を減らした方がいいだろうか。そんな考えが浮かばない訳では無い。
しかし今日は動けなくなる程に運動した。だからきっと大丈夫だ。それに食べないとリディナが心配するだろう。いつも食が細いと言われているし。
それに魚の脂は健康にいいという話を聞いた事があるような気もする。だからきっと問題無い。とりあえずそう思う事に決定。
だから夕食を心ゆくまで楽しもう。食べ過ぎても明日、頑張ればいい。
そんな感じで夕食開始。まずは酢飯を深皿に取り、上に刺身を並べる。こうすると刺身の味が悪くなるという意見があるのは勿論承知。しかし雰囲気というのも重要なのだ。
これに魚醤ベースで作ったリディナ特製刺身たれにすり下ろしたホースラディッシュを溶いて、海鮮丼の上にささっとかけて一気にかっ込む。
うん、日本でも正しくない食べ方だけれど美味しいから正義だ。
本当はこのまま生魚全種類を思い切り海鮮丼形式でかっ込みたい。でも私の胃袋容量は悲しいほど小さい。
だからその辺の身の丈にあわない野望は諦める。
次は分厚いアジフライ的なもの。うん、美味しい。この身の旨さとジューシーさがあるからこそ外側のサクサク感が活きるのだ。
前世いや日本時代に食べた薄くて小さいのとは完全に別物。まあ異世界だし魚種が違うかもしれないけれど。
この辺で早くも満腹中枢が刺激される。悲しい。でも諦めたらそこで試合終了だ。だからバター焼きを少しだけ。うん、良い。白身魚とバターって本当に合う。
そろそろ限界。でも誰かが言ったような気がする。『限界は挑むものじゃない、超えるものだ!』と。
だから私は果敢にも挑戦する。でも本当に限界だからあと一品だけ。天ぷらをとるか南蛮漬け風をとるか、それとも……
よし、今日は玉砕覚悟で。今度は酢飯ではなく白飯を取る。そして茶色くなった煮魚の身部分を汁ごと上にかけて……
ああ、楽園はここにあった。
ただ完全に限界は突破した。姿勢をさらに崩しお腹を楽にした状態で私は機能停止する。もう動けない。動くとまずい事態になる。動かせるのは視線と思考だけ。
その動かせる思考で考える。胃袋も鍛えれば大きくなるのだろうかと。ただ私の身体ではそもそも容量が足りない気がする。自在袋とかアイテムボックスとかを組み込まないと。
俺の胃袋は宇宙だ! そういう台詞も何処かであったような気がするな。宇宙なら次元拡張とかも出来るのだろうか。そうすればもっと食べられるのに。
ただ食べるとその分太りそうではある。そうすると当然重くなる。結果これ以上動けなくなるのは避けたい。
なお今日食べた分のカロリーは明日消費すればいいだろう。明日は歩くつもりだから。
船でサイクル運動はまだ私には早かった。まずは基本、ウォーキングだ。人間は考える足であるらしいから。
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
セレスが出てこない……一応いるんですけれどね。
さて、今回はネタ系発言が多いので、注釈です。
※ 『諦めたらそこで試合終了』 漫画『SLAM DUNK』の安西先生の台詞から。『SLAM DUNK』著 井上雄彦 集英社
※ 『限界は挑むものじゃない、超えるものだ!』 似たような台詞は各所でみられるが、今回はゲーム『Apex Legends』のオクタンの台詞。
Apex Legendsはエレクトロニック・アーツから2019年に販売されたシューティングゲーム。
※ 『俺の胃袋は宇宙だ!』 TVドラマ『フードファイト』における、主人公の決め台詞。2000年頃日本テレビ系列で放送。主人公役は草彅剛。
※ 『人間は考える足である』 本当は、『人間は、自然のうちで最も弱い一本の葦にすぎない。しかしそれは考える葦である』。間違えても『足』ではない。フランスの数学者・物理学者・思想家であるパスカルの遺稿集『パンセ』の中に出てくる一節。
フミノの知識はネットや図書館で得たものが中心です。原作は知らないけれどネットミーム的に知ったというものも多いです。
ですが最近の図書館は漫画やDVDまで置いてあったりもするのであなどれません。『何でこんなの読んでいるの』と思うようなものでも揃っているところには揃っていたりします。ベルセルクとか……これって司書の趣味なのだろうか……
ヒラメに似ているがもう少し縦に長い茶色い魚、ひげの大きい赤色の、鯛が太ったような魚、カサゴっぽい全長が30指位の赤い魚……
今まで釣った事が無い魚はこんな感じ。
勿論釣った事がある魚も大量にある。たとえばカツオとマグロの中間みたいなもの、黒鯛っぽいの、多分鯖、きっとアジ、おそらく鰯、その他色々……
「それじゃさっと料理するから待っていてね」
「わかった」
どう見ても楽しみで仕方ない。
魚も肉と同じで取れたてより寝かしておいた方が美味しいという話は知っている。確かに大きめの魚、それも白身系については4日目くらいが旨味が強いというのも感じる。
しかし取れたての魚の歯ごたえと身の固さというか締まっている感じもまた格別なのだ。
あと小魚系は新鮮であればあるほど美味しい。市場に並んでいるものより、自分達で捕ってそのまま自在袋やアイテムボックスに入れたものこそ至高。
刺身が特にそう感じるけれど、焼き物揚げ物煮物等でも同じ。
夕食を待っている間にアイテムボックス内に収納した船を、収納したままの状態であちこち点検。異常はなさそうだが取り敢えず水属性魔法で真水を出して洗い、塩分を除いておく。
一応金属部分は錆び対策で鉄ではなく銅や黄銅を使っている。それでもやはり海水に晒したままだと気になるのだ。
あと伝達部分のパイプに海水が侵入していないかも確認。大丈夫、固い鹿の脂でちゃんと防水出来ている。
そう言えば細かい作業をする時、アイテムボックス内に手を伸ばしてなんて事が出来れば楽なんだよな。魔法ではやりにくい作業もあるし。
何か方法はないかな。
「フミノ、ご飯できたよ」
おっと、もう出来たか。
今回も食卓の上は豪華だ。
「昨日作ったものとかぶっちゃうけどね」
まずはカルパッチョ風、サラダ風、刺身盛り合わせ風の生切り身シリーズ。
白身だけでも半透明なもの、皮目が赤っぽいもの、端の赤身が多い物、脂がのってそうな濁りのある白色のものとある。
更に赤身の魚もあり、イワシの頭とヒレ、骨と内臓をとった状態そのままのものあり……
揚げ物もパン粉をつけたフライと天ぷら風と素揚げ。そのままのもあるし、南蛮漬け風の汁につけたものもあるし……
あとはバター焼きにそのまま焼いた風に……
なおこれにアクアパッツア風の汁系煮物がつき、更にご飯、パン、ラルド等いつもの面子も揃っている訳だ。
どうやればこれを半時間程度で作れるのだろう。これだけの魚をさばくのだって半時間では終わらないとおもうのだけれども。大物だと鱗とりだけでも時間がかかるのに。
これって絶対何かのチートだと思うのだ。リディナもセレスも転生者じゃない筈だけれども。
「あとこっちのご飯は酢飯ね」
うん、チートだ。でもこんなチートは大歓迎。
ふとある数値が脳裏をかすめる。増加してしまった●重の値だ。食べる量を減らした方がいいだろうか。そんな考えが浮かばない訳では無い。
しかし今日は動けなくなる程に運動した。だからきっと大丈夫だ。それに食べないとリディナが心配するだろう。いつも食が細いと言われているし。
それに魚の脂は健康にいいという話を聞いた事があるような気もする。だからきっと問題無い。とりあえずそう思う事に決定。
だから夕食を心ゆくまで楽しもう。食べ過ぎても明日、頑張ればいい。
そんな感じで夕食開始。まずは酢飯を深皿に取り、上に刺身を並べる。こうすると刺身の味が悪くなるという意見があるのは勿論承知。しかし雰囲気というのも重要なのだ。
これに魚醤ベースで作ったリディナ特製刺身たれにすり下ろしたホースラディッシュを溶いて、海鮮丼の上にささっとかけて一気にかっ込む。
うん、日本でも正しくない食べ方だけれど美味しいから正義だ。
本当はこのまま生魚全種類を思い切り海鮮丼形式でかっ込みたい。でも私の胃袋容量は悲しいほど小さい。
だからその辺の身の丈にあわない野望は諦める。
次は分厚いアジフライ的なもの。うん、美味しい。この身の旨さとジューシーさがあるからこそ外側のサクサク感が活きるのだ。
前世いや日本時代に食べた薄くて小さいのとは完全に別物。まあ異世界だし魚種が違うかもしれないけれど。
この辺で早くも満腹中枢が刺激される。悲しい。でも諦めたらそこで試合終了だ。だからバター焼きを少しだけ。うん、良い。白身魚とバターって本当に合う。
そろそろ限界。でも誰かが言ったような気がする。『限界は挑むものじゃない、超えるものだ!』と。
だから私は果敢にも挑戦する。でも本当に限界だからあと一品だけ。天ぷらをとるか南蛮漬け風をとるか、それとも……
よし、今日は玉砕覚悟で。今度は酢飯ではなく白飯を取る。そして茶色くなった煮魚の身部分を汁ごと上にかけて……
ああ、楽園はここにあった。
ただ完全に限界は突破した。姿勢をさらに崩しお腹を楽にした状態で私は機能停止する。もう動けない。動くとまずい事態になる。動かせるのは視線と思考だけ。
その動かせる思考で考える。胃袋も鍛えれば大きくなるのだろうかと。ただ私の身体ではそもそも容量が足りない気がする。自在袋とかアイテムボックスとかを組み込まないと。
俺の胃袋は宇宙だ! そういう台詞も何処かであったような気がするな。宇宙なら次元拡張とかも出来るのだろうか。そうすればもっと食べられるのに。
ただ食べるとその分太りそうではある。そうすると当然重くなる。結果これ以上動けなくなるのは避けたい。
なお今日食べた分のカロリーは明日消費すればいいだろう。明日は歩くつもりだから。
船でサイクル運動はまだ私には早かった。まずは基本、ウォーキングだ。人間は考える足であるらしいから。
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セレスが出てこない……一応いるんですけれどね。
さて、今回はネタ系発言が多いので、注釈です。
※ 『諦めたらそこで試合終了』 漫画『SLAM DUNK』の安西先生の台詞から。『SLAM DUNK』著 井上雄彦 集英社
※ 『限界は挑むものじゃない、超えるものだ!』 似たような台詞は各所でみられるが、今回はゲーム『Apex Legends』のオクタンの台詞。
Apex Legendsはエレクトロニック・アーツから2019年に販売されたシューティングゲーム。
※ 『俺の胃袋は宇宙だ!』 TVドラマ『フードファイト』における、主人公の決め台詞。2000年頃日本テレビ系列で放送。主人公役は草彅剛。
※ 『人間は考える足である』 本当は、『人間は、自然のうちで最も弱い一本の葦にすぎない。しかしそれは考える葦である』。間違えても『足』ではない。フランスの数学者・物理学者・思想家であるパスカルの遺稿集『パンセ』の中に出てくる一節。
フミノの知識はネットや図書館で得たものが中心です。原作は知らないけれどネットミーム的に知ったというものも多いです。
ですが最近の図書館は漫画やDVDまで置いてあったりもするのであなどれません。『何でこんなの読んでいるの』と思うようなものでも揃っているところには揃っていたりします。ベルセルクとか……これって司書の趣味なのだろうか……
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