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第21章 馴染みの街
第178話 図書館でのんびりと
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「相談事って何だろう」
「ゴーレム関係と言っていたけれど、数を増やすだけなら注文すればいいしね。速度を速くするのかな。でもまあそれは話がきてから考えればいいよね。
とりあえず満腹商店の半月を買って、それからアコチェーノに戻って図書館に行こうか」
ここでテイクアウト購入が入るあたりがリディナだなと思う。でも悪くない。半月は美味しかったし。
「それにしても、トンネルが無い時はあの山を越えて行ったんですか。確かに辛そうですね」
セレスが山を見てそんな事を言う。
「実際大変だったんだよ。何とか2日でついたけれどね。今までで一番大変だったかな」
「もう二度としたくない」
あれは辛かった。そして今の私はあの頃より数段体力が落ちている。何せあの頃は自分の足で歩いていたから。
今は完全にライ君頼み。だからもう無理だろう。
半月を前以上に大人買いして、ゴーレム車でアコチェーノに戻り、そのまま図書館へ。
そう言えばリディナがゴーレムの報告書を読んだと言っていた事を思い出す。
あれはラクーラの図書館でだけれども、此処の図書館はそれなりに資料が揃っている。だからきっと同じ資料がある筈。探してみよう。
閲覧専用コーナーを見てみる。地図や公報、公的な報告書など国関係の資料がどっさりと並んでいた。
どうやら組織別に並んでいるようだ。確か第六騎士団の2年前の資料だよな。そう思って棚を探す。
『第六騎士団報告書集・王国歴295年』と書かれた分厚いファイルを発見。取り出して見てみる。
『シンプローン迷宮攻略報告書』というのがあった。
資料によると此処で使ったのはバーボン君と似た犬型のタイプ。ただし探索用にある程度速く動けるように現場改造したとある。ヒイロくん達と同じような感じだと思っていいだろう。
使ったゴーレムは合計9頭。3頭のゴーレムを1パーティとして運用し、迷宮を探索するとともに魔物討伐を行ったとある。
3頭でパーティを組んだ理由は2つ。
1 特定の属性に耐性を持つ魔物を確実に倒すため
2 より厳重に警戒を行うため
故にひとつのパーティでそれぞれ別属性の攻撃魔法を使えるよう、操縦者を組み合わせたとの事。
なるほど、つまり私達が混ざり物を倒した時とほぼ同じ方法という事か。つまりリディナ、この事を知っていたわけだ。
それにしてもリディナ、どうやって必要な資料を探し出しているのだろう。膨大な資料から参考になりそうなものを探す方法、私にはとても思いつかない。
なんて思ったらリディナがすぐ近くの本棚の前にいた。だから聞いてみる。
「この資料の中からどうやって欲しい資料を探すのか、教えて欲しい」
「それぞれ毎年まとめた目録が出ているの。分野によって違うけれどね。それをまず見て、必要な資料がどの辺にあるか探すわけ。
まずはこっちかな」
リディナはそう言って私をある本棚の前へ案内する。
「大きな図書館ならだいたいこうやって目録や紀要の棚があるの。ここからまずは調べていく感じかな。
例えば魔物関係なら全騎士団が出した報告書の概要がこの『王国騎士団総合目録』に載っている。だからこれを毎年分ざっと目次から見ていく。目次だけではなく『回顧と展望』の本文も読むとその年の活動が概ね掴めるかな。
経済関係なら『白書統計索引』。表やグラフなどの統計資料を検索するための索引で、これで必要な統計や表がどこに出ているかわかるわけ。
まあこの辺を全部おぼえるのは大変だからね。ある程度知りたい事をまとめた後、図書館の相談担当に聞くのが一番簡単で確実かな。ある程度大きな図書館なら相談専用のカウンターがあるからそこで。
勿論忙しい時は別だけれど、普通は聞けばある程度のアドバイスはしてくれるよ。回答まで時間に余裕があれば調べて教えてくれたりもするしね」
なるほど。索引になる書籍があって、そこから調べられると。
「ところでリディナは何を調べていたの?」
「カレンさんの関係、その後何か情報が出たかなと思って。
でも公報にはまだ載っていなかったな。新聞あたりでは南、カラバーラを中心とした南方の王家直轄領土を下賜されるんじゃないかって予想しているけれどね。家もかつてフェルマ伯爵家に統合されたスリワラ家を再興する形にするんじゃないかって。そうなると伯爵家かな」
うーむ。そんな予想まで此処の新聞には載っているのか。結構自由なんだなこの国は。
「ところで何か欲しい本か資料、見つかった?」
おっと、その辺はまだだった。
「これから見てみる」
さて、それじゃ少し私もリディナに教わった調べ方を試してみるとしよう。
さしあたって調べたいのはゴーレムについてだ。
とりあえず実用的にはライ君やバーボン君・改2で問題は無い。しかしより新しい技術等が無いだろうか。新しくて、そして使える技術が。
この辺はやっぱり王国魔法研究所の資料から見てみるべきだろう。この『王国魔法研究所・紀要』というのでいいのかな。
見てみると論文だの研究概要だの活動報告だのが載っている。しかも索引や概要までついて。
よしよし、ゴーレムで使えそうな技術は……
「ゴーレム関係と言っていたけれど、数を増やすだけなら注文すればいいしね。速度を速くするのかな。でもまあそれは話がきてから考えればいいよね。
とりあえず満腹商店の半月を買って、それからアコチェーノに戻って図書館に行こうか」
ここでテイクアウト購入が入るあたりがリディナだなと思う。でも悪くない。半月は美味しかったし。
「それにしても、トンネルが無い時はあの山を越えて行ったんですか。確かに辛そうですね」
セレスが山を見てそんな事を言う。
「実際大変だったんだよ。何とか2日でついたけれどね。今までで一番大変だったかな」
「もう二度としたくない」
あれは辛かった。そして今の私はあの頃より数段体力が落ちている。何せあの頃は自分の足で歩いていたから。
今は完全にライ君頼み。だからもう無理だろう。
半月を前以上に大人買いして、ゴーレム車でアコチェーノに戻り、そのまま図書館へ。
そう言えばリディナがゴーレムの報告書を読んだと言っていた事を思い出す。
あれはラクーラの図書館でだけれども、此処の図書館はそれなりに資料が揃っている。だからきっと同じ資料がある筈。探してみよう。
閲覧専用コーナーを見てみる。地図や公報、公的な報告書など国関係の資料がどっさりと並んでいた。
どうやら組織別に並んでいるようだ。確か第六騎士団の2年前の資料だよな。そう思って棚を探す。
『第六騎士団報告書集・王国歴295年』と書かれた分厚いファイルを発見。取り出して見てみる。
『シンプローン迷宮攻略報告書』というのがあった。
資料によると此処で使ったのはバーボン君と似た犬型のタイプ。ただし探索用にある程度速く動けるように現場改造したとある。ヒイロくん達と同じような感じだと思っていいだろう。
使ったゴーレムは合計9頭。3頭のゴーレムを1パーティとして運用し、迷宮を探索するとともに魔物討伐を行ったとある。
3頭でパーティを組んだ理由は2つ。
1 特定の属性に耐性を持つ魔物を確実に倒すため
2 より厳重に警戒を行うため
故にひとつのパーティでそれぞれ別属性の攻撃魔法を使えるよう、操縦者を組み合わせたとの事。
なるほど、つまり私達が混ざり物を倒した時とほぼ同じ方法という事か。つまりリディナ、この事を知っていたわけだ。
それにしてもリディナ、どうやって必要な資料を探し出しているのだろう。膨大な資料から参考になりそうなものを探す方法、私にはとても思いつかない。
なんて思ったらリディナがすぐ近くの本棚の前にいた。だから聞いてみる。
「この資料の中からどうやって欲しい資料を探すのか、教えて欲しい」
「それぞれ毎年まとめた目録が出ているの。分野によって違うけれどね。それをまず見て、必要な資料がどの辺にあるか探すわけ。
まずはこっちかな」
リディナはそう言って私をある本棚の前へ案内する。
「大きな図書館ならだいたいこうやって目録や紀要の棚があるの。ここからまずは調べていく感じかな。
例えば魔物関係なら全騎士団が出した報告書の概要がこの『王国騎士団総合目録』に載っている。だからこれを毎年分ざっと目次から見ていく。目次だけではなく『回顧と展望』の本文も読むとその年の活動が概ね掴めるかな。
経済関係なら『白書統計索引』。表やグラフなどの統計資料を検索するための索引で、これで必要な統計や表がどこに出ているかわかるわけ。
まあこの辺を全部おぼえるのは大変だからね。ある程度知りたい事をまとめた後、図書館の相談担当に聞くのが一番簡単で確実かな。ある程度大きな図書館なら相談専用のカウンターがあるからそこで。
勿論忙しい時は別だけれど、普通は聞けばある程度のアドバイスはしてくれるよ。回答まで時間に余裕があれば調べて教えてくれたりもするしね」
なるほど。索引になる書籍があって、そこから調べられると。
「ところでリディナは何を調べていたの?」
「カレンさんの関係、その後何か情報が出たかなと思って。
でも公報にはまだ載っていなかったな。新聞あたりでは南、カラバーラを中心とした南方の王家直轄領土を下賜されるんじゃないかって予想しているけれどね。家もかつてフェルマ伯爵家に統合されたスリワラ家を再興する形にするんじゃないかって。そうなると伯爵家かな」
うーむ。そんな予想まで此処の新聞には載っているのか。結構自由なんだなこの国は。
「ところで何か欲しい本か資料、見つかった?」
おっと、その辺はまだだった。
「これから見てみる」
さて、それじゃ少し私もリディナに教わった調べ方を試してみるとしよう。
さしあたって調べたいのはゴーレムについてだ。
とりあえず実用的にはライ君やバーボン君・改2で問題は無い。しかしより新しい技術等が無いだろうか。新しくて、そして使える技術が。
この辺はやっぱり王国魔法研究所の資料から見てみるべきだろう。この『王国魔法研究所・紀要』というのでいいのかな。
見てみると論文だの研究概要だの活動報告だのが載っている。しかも索引や概要までついて。
よしよし、ゴーレムで使えそうな技術は……
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