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5章
日課
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まだ日も登り切らぬ頃、山の中を駆ける二つの影があった
「シンシアもだいぶ体力がついてきたな」
「ハァ、ハァ・・・まあね!けど、もう・・・ギリ、ギリ!」
その影は俺とシンシアで、日課である走り込みの最中なのだ
最初は俺だけでやっていたのだが、3,4年前だったか、シンシアも「アタシもいく!」と言い出して
それ以来一緒に行っている。
そんなわけで、走り込みを終え家まで戻ってきた。
「ほれ、飲み物」
「あ、ありがと・・・」
渡した水筒をシンシアは一気に飲み干す。
俺の分・・・と、一瞬思ったが、シンシアが笑顔なのでいいかなと思い直した。
そこからしばらく休憩をした後、俺達は立ち上がる。
走り込みの後は組手を行っているのだ。
「さて、じゃあ組手でもする?」
「そうだねー、今日はなに使う?」
「そうだな・・・」
俺は訓練用の武器が入ってる箱を見る。
これら武器は、ステラが昔、武器を作り始めたころに作ったものだ。
様々な武器があるのだが、俺はたまたま目に着いた短剣を選ぶ。
シンシアが選んだ武器はごくごく一般的なショートソードだ。
「今日こそルナ君に勝つよ?」
「ははっ、俺も負けないようにしないとな。じゃあ・・・はじめ」
その声と同時にシンシアが駆け出し、組手が始まる・・・
☆☆☆
「うぅぅ~~、また負けた・・・」
「ルナ、おはよ!・・・って、シンシアさんはどうしたの?」
朝食時、シンシアが唸っているのを見てアリスは俺に質問をしてきた。
なので俺は簡単にアリスに説明をした。
昔から朝の特訓をシンシアとしており、その際組手をするのだが戦績は1023戦1023負、つまり始めてからシンシアは一度も俺に勝ててないことになる。
「なんだよルナ、特訓するなら俺らも呼んでくれればいいのによ」
「そうだよ、僕も参加したかった」
エドとカーティスが俺に文句を言ってきた。
俺も最初は誘おうとしたけど、時間が時間だったし次回からでいいかなーって思ったんだよ。
「というか、シンシアはなんでルナと一緒にそんな修行してるの?戦うなら魔法を使えばいいじゃない」
「あれ、シルヴィアさんも知らないんですか?」
シルヴィの質問にアリスが尋ねる。
そういえば俺もなんで参加し始めたのか知らない。
精霊王達もなぜだか知らないのか、シンシアに視線を向ける。
確かに、精霊王なのだから戦うとした場合魔法を使えばいいよな。
「・・・だから・・・・なの・・・」
「え?なに?」
「シンシアちゃん、ちょっと聞き取れないわ」
シンシアが何かつぶやくが、ほとんど聞き取れない。
プリムとソフィアが聞き返す。
「だ、だから・・・なの・・・」
「シンシア、聞こえない」
「も、もうちょっと、大きく・・・」
声が小さくて聞き取れない、と思っていたらシンシアが叫んだ。
「だから!朝なら他に誰もいないからルナ君と二人でいられるなって思ったの!!」
俺達の間にちょっとした静寂が訪れる。
普段のシンシアはこういったことをほとんど言わない。
そんな様子に俺達は温かい視線をシンシアに送った。
「ちょ、ちょっと!なにその視線!皆が気になるっていうから言ったんじゃん!!」
「いや、シンシアは可愛いなぁって」
「うわああああん!!」
俺の一言にシンシアは部屋の外へ走り出してしまった。
しかし、そんな理由があったとは・・・やばい、ニヤニヤする。
(・・・私もあんな風に言ったらルナに可愛いって言ってもらえるかな)
「アリス様、何か?」
「ううん!な、なんでもないの!」
アリスがパステルの問いに大げさに答える。
そして俺の方をちらっと見た後ため息を吐いていた。
なんなんだろうか・・・昨日のことで何かあるのだろうか。
そんなこんなで朝の時間が過ぎて行った・・・。
「シンシアもだいぶ体力がついてきたな」
「ハァ、ハァ・・・まあね!けど、もう・・・ギリ、ギリ!」
その影は俺とシンシアで、日課である走り込みの最中なのだ
最初は俺だけでやっていたのだが、3,4年前だったか、シンシアも「アタシもいく!」と言い出して
それ以来一緒に行っている。
そんなわけで、走り込みを終え家まで戻ってきた。
「ほれ、飲み物」
「あ、ありがと・・・」
渡した水筒をシンシアは一気に飲み干す。
俺の分・・・と、一瞬思ったが、シンシアが笑顔なのでいいかなと思い直した。
そこからしばらく休憩をした後、俺達は立ち上がる。
走り込みの後は組手を行っているのだ。
「さて、じゃあ組手でもする?」
「そうだねー、今日はなに使う?」
「そうだな・・・」
俺は訓練用の武器が入ってる箱を見る。
これら武器は、ステラが昔、武器を作り始めたころに作ったものだ。
様々な武器があるのだが、俺はたまたま目に着いた短剣を選ぶ。
シンシアが選んだ武器はごくごく一般的なショートソードだ。
「今日こそルナ君に勝つよ?」
「ははっ、俺も負けないようにしないとな。じゃあ・・・はじめ」
その声と同時にシンシアが駆け出し、組手が始まる・・・
☆☆☆
「うぅぅ~~、また負けた・・・」
「ルナ、おはよ!・・・って、シンシアさんはどうしたの?」
朝食時、シンシアが唸っているのを見てアリスは俺に質問をしてきた。
なので俺は簡単にアリスに説明をした。
昔から朝の特訓をシンシアとしており、その際組手をするのだが戦績は1023戦1023負、つまり始めてからシンシアは一度も俺に勝ててないことになる。
「なんだよルナ、特訓するなら俺らも呼んでくれればいいのによ」
「そうだよ、僕も参加したかった」
エドとカーティスが俺に文句を言ってきた。
俺も最初は誘おうとしたけど、時間が時間だったし次回からでいいかなーって思ったんだよ。
「というか、シンシアはなんでルナと一緒にそんな修行してるの?戦うなら魔法を使えばいいじゃない」
「あれ、シルヴィアさんも知らないんですか?」
シルヴィの質問にアリスが尋ねる。
そういえば俺もなんで参加し始めたのか知らない。
精霊王達もなぜだか知らないのか、シンシアに視線を向ける。
確かに、精霊王なのだから戦うとした場合魔法を使えばいいよな。
「・・・だから・・・・なの・・・」
「え?なに?」
「シンシアちゃん、ちょっと聞き取れないわ」
シンシアが何かつぶやくが、ほとんど聞き取れない。
プリムとソフィアが聞き返す。
「だ、だから・・・なの・・・」
「シンシア、聞こえない」
「も、もうちょっと、大きく・・・」
声が小さくて聞き取れない、と思っていたらシンシアが叫んだ。
「だから!朝なら他に誰もいないからルナ君と二人でいられるなって思ったの!!」
俺達の間にちょっとした静寂が訪れる。
普段のシンシアはこういったことをほとんど言わない。
そんな様子に俺達は温かい視線をシンシアに送った。
「ちょ、ちょっと!なにその視線!皆が気になるっていうから言ったんじゃん!!」
「いや、シンシアは可愛いなぁって」
「うわああああん!!」
俺の一言にシンシアは部屋の外へ走り出してしまった。
しかし、そんな理由があったとは・・・やばい、ニヤニヤする。
(・・・私もあんな風に言ったらルナに可愛いって言ってもらえるかな)
「アリス様、何か?」
「ううん!な、なんでもないの!」
アリスがパステルの問いに大げさに答える。
そして俺の方をちらっと見た後ため息を吐いていた。
なんなんだろうか・・・昨日のことで何かあるのだろうか。
そんなこんなで朝の時間が過ぎて行った・・・。
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