野猿な悪役令嬢

ルナルオ

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番外編 IF 野猿な囚人 38-2.(セリウス外ルート)その後のおまけ

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 リーリアとルイスは、無事に結ばれた。
  ルイスの主に餌付け作戦が功をなし、リーリアは、しあわせいっぱいに結婚することになった。
  その数年後、二人の間に子供が生まれた。
 子供は男の子で、名前はレイモンと名付けられ、ルイスにとてもよく似た顔立ちをしている。
 顔立ちはもちろんのこと、黒髪や性格も似ていて、唯一、リーリアに似ているのは緑の瞳だけだった。
 リーリアもルイスも、レイモンをとても可愛いがっているが、それ以上にルクレナが、レイモンを溺愛した。
 ルイスとリーリア、レイモンの3人が住む屋敷に、ルクレナがまた連絡もなくやって来た。

「レイモーン!ルクレナ姉さんが来たよー!!キスしておくれ~」
「きゃー!りゅくれなねぇた~ん」

 出会い頭に、ルクレナはレイモンを抱き上げてキスの雨を降らす。
 レイモンも、くすぐったそうにしているが、嬉しそうに、きゃっきゃっと喜んでいた。
  ちなみに、ルクレナは、レイモンの伯母にあたるが、伯母とは呼ばせず、「ルクレナ姉さん」と呼ばせている。

「ルクレナ、ほどほどにしておけよ。
 レイモンに変な癖がついたら困る」とルクレナに注意するルイス。
「なんだ、ケチ臭いことを言うなよ、ルイス」
「そんなに子供が好きなら、さっさと相手を見つけて、自分の子でも産んどけ」
「もう~!簡単に言うなよ!
 誰のおかげでこの幸せを掴めたと思っているんだ!?」
「リアのおかげだが?」
「違うだろう!そもそも、その野猿と結ばれたのは誰の協力のおかげだ!?ああ!?」
「……ルクレナには、確かにリアと結ばれるにあたり、随分と助けられた。
 けれども、それとレイモンに変な癖をつけるのは別問題だぞ?
 話をすり替えるな」
「いやいや、レイモンはいわば、戦利品みたいなもんだろう?
 愛の策略と戦いで勝ちとった戦利品!」
「いや、普通に考えろ。
 戦利品とは何だ!
 ひとの息子をものみたいに言っているな」

 いつもの通り仲良しなやりとりをする姉弟。
 その横でリーリアは、ルクレナ達みたいな関係を微笑ましく眺めている。

「いや~、正直に言うとさ。
 私、この世で一番好きな人間って、ルイスだったんだよね~。
 あ、変な意味じゃないぞ?
 家族としてだぞ?
 誤解すんなよ、ルイス?」とルクレナが思いがけないことを言ってきた。

 ルクレナが止めるも、ルイスはすすすーっとルクレナから距離をとる。

「だから~、違うって!!
 でも、ルイスの奥さんには口出そうと思っていたけどな~」

 今度は、レイモンを抱っこしながら、すーっとリーリアもルクレナから離れる。

「おい、大丈夫だから、野猿!
 今さら、お前らの仲を裂いたりしないから、安心しろ」
「……本当ですか?」
「ああ!そうしないと、レイモンが悲しむからな。
 私はレイモンを悲しませるものなら、たとえ王族だろうと、暗殺集団の頭領だろうと容赦しないし、全力で排除するぞ!」と力強い宣言をして、最後にボソッと「……そう、皆殺しになってもな」と、とんでもなく物騒なことを、低い声で呟くルクレナ。

(ひっ、ルクレナ様、やっぱり怖っ!
 噂で、ルクレナ様が裏世界のボスの頭をすげ替えたって聞いたけど、きっと噂じゃないな………)とリーリアは、震えた。
  そんなルクレナの怖さもしらず、レイモンはルクレナにとても懐いている。

「りゅくれなねぇたん、パパのちゅくったれもんけーき、たべよ?」
「ああ、そうだな!
 ルイスの作るケーキは、何でも美味しいが、特にレモンケーキが私は好きだな」
「れもん、すきなの?」
「ああ、レモンは好きだよ。
 でも、レイモンはもっと、もっと大好きだけどな!!」
「きゃー!」

 ルクレナは、またレイモンを抱き上げて、くるくる回りながら、ちゅっちゅっと絶え間なくレイモンにキスをする。

「うわ~、親馬鹿以上の強敵、伯母馬鹿がここに!」
「こら、変な癖がレイモンにつくから、ほどほどにしろ!」
「可愛いから、いいんだもーん!」

 やんややんやとリーリアやルイスから文句を言われても、へっちゃらなルクレナは、思う存分、レイモンを可愛いがった。

 しかし、年月は残酷なものだった。

 少し大きくなったレイモンが、リーリアの兄アーサーの娘である従妹イリーナに会った時、「僕、イリーナと結婚する!」と宣言してきた。
 それを聞いたルクレナは、ショック過ぎて、その場で倒れた。
 倒れて、ブツブツと呪いの言葉を唱えていた。

「へっ、わかっていたさ……。
 いつかは、可愛いレイモンをどこかの小娘に盗られるって。
 でも……」

 ガバッと顔をあげ、周囲をビクッとさせるルクレナ。

「早すぎないか!?
 まだまだ、レイモンは凄く可愛いのに、もう盗られちまったよ!
 早すぎだろうっ!?
 何が『良い男は、可愛い女に持っていかれる』だ。
 可愛い女というか、赤子だよ!
 しかも、見た目、野猿そっくりの小猿かよ!?
 相手も可愛い過ぎだろう!?なあ!」と軽く錯乱状態になるルクレナ。

「ルクレナ姉さん、どうしたの?
 僕、ルクレナ姉さんも大好きだよ」と優しく微笑むレイモン。
「本当か!?
 じゃあ、あの赤子じゃなくて、私と一緒にいてくれるな?
 せめて大人になるまででいいから!」
「ふふ、わかったから、そんな顔しないで?
 笑ったルクレナ姉さんが大好きなんだ!」
「レイモーン!!」

 ルクレナを上手いこと宥めるレイモンに、リーリアは、(レイモンは、誰に似たの?)と首を傾げる。
 ルイスは、すぐに気づいた。

「すまん、リーリア。
 レイモンは、ルクレナに似てしまった。
 小さい頃のあいつ、そっくりだ……」
「あぁ、なるほど。
 納得しました~。
 うーん、将来、不安かな?
 いや、むしろ安心かな?」
「とりあえず、ルクレナのような節操なしにならないように、レイモンを教育していこうな、リア」
「そうですね……」

 ルイスとレイモンの教育について真剣に話合うリーリアに、ルクレナは、「おい、ちょっと待て、聞こえているぞ!誰が節操なしだ!?」と怒っていた。

 レイモンは、将来、一途になってイリーナと結ばれるか、ルクレナのように老若男女、どんとこいっというような節操なしになるか、まだまだ未知数であった。
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みんなの感想(47件)

ピクミ
2019.05.02 ピクミ
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ルナルオ
2019.05.02 ルナルオ

ピクミ様

すみません、本編を書いた頃は、短編しか書けなくて、本当は、第1話のみの予定でした。
番外編IFは、野猿のキャットファイトとプリズンブレイクが書きたくて書いていたら、いつの間にか長編化していました。
番外編IFだけでも、面白いとおっしゃって頂き、嬉しいです!
ご感想をありがとうございました!

解除
ぽるくす
2019.02.25 ぽるくす
ネタバレ含む
ルナルオ
2019.02.25 ルナルオ

ぽるくす様

そうなんです。実は、ルクレナは、ルシェール殿下に負けないくらいブラコンで面倒くさい人でした。
まあ、ルシェール殿下と違って、一応、野猿を弟の嫁として応援しているので、ポイントは高いのですが。
あと、おっしゃる通り、本編や番外編IFルートの野猿はそれぞれ、3種類、別人かも。
確かにルイスの方が、セリウスにされたほど束縛もされずに自由でいられるから、一見、幸せそうですが、溺愛度的にはセリウスの方が上で、長年の積重ねもあったので、ルイスの方が幸せかは比べるのは難しいところですね……。
最後まで面白いご感想を、本当にありがとうございました!

解除
ぽるくす
2019.02.23 ぽるくす
ネタバレ含む
ルナルオ
2019.02.23 ルナルオ

ぽるくす様

また本編ベースの二人の番外編が書けたら、載せていきますね!
いつもご感想をありがとうございます!

解除

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