野猿な悪役令嬢

ルナルオ

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番外編 IF 野猿な囚人 35-2.(セリウス外ルート)従兄

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 色々とあって、リーリアは、母親の実家、イルマリー侯爵家へ母親と共に身を寄せることになった。
 イルマリー侯爵家は、リーリアの母親の弟で、リーリアの叔父がイルマリー侯爵家を継いでおり、リーリアより年上の従兄、イーサン・イルマリーがいて、小さい頃はリーリアとも仲良く遊んでいた。
 リーリアがイルマリー侯爵家に来てから、イーサンはよくリーリアを構おうとしてくる。

「リーリア、今日の予定は?」
「イーサンお兄様、今日の午前は叔父様の書斎の本をお借りして、読ませていただく予定です。
 午後からはお母様の具合が良さそうなら、付き添うつもりです」
「え~、そんな読書なんて眠いだけじゃん。
 せっかくだし、私と街にでも遊びに行こうよ。
 あ、何ならベッドで恋の遊びでもいいよ~」
「いえ!結構です!!」とリーリアはきっぱりはっきりイーサンの遊びをいつも断っている。

 昔、リーリアとイーサンは、セリウスと婚約するまで、仲が良かった。
 しかし、セリウスは、子供の頃からイーサンをリーリアの貞操的な意味でも危険だと考え、今まで、ほぼリーリアと接触させないようにしていた。
 イーサンは従兄だけあって、見た目こそアーサーに似ており、優しくてしっかりしていそうであったが、中身は全然違っていた。

 大変な女好きであった。

 数多くの令嬢を渡り歩いたイーサンは、あのリーリアの友人ミランダ伯爵令嬢にも手をだそうとして、思いっきり振られたこともある。
 身分が高く、見た目も良く、でも、アーサーのように硬派ではないので、婚約者のいない貴族令嬢は、一度は、イーサンを婚約者候補として考えしまい、火傷してしまうことがあった。
 そして、イーサンは、久しぶりに会った従妹リーリアが思いのほか可愛いので、セクハラしまくっている。

「それにしても、よかったよー。
 リーリアが可愛く育って!
 小さい頃から期待はしていたけど、中身が野猿だったからなー。
 たぶん、メナード公爵のような騎士を目指して、むきむきの女性騎士にでもなったら嫌だなーって思っていたけど、そうならずに良かった!」
「むきむきって……」
「うん、そうそう。
 昔、かなりやんちゃだったよね。
 こんなんじゃ、嫁の貰い手がなさそうだからって、私の婚約者候補になったこともあって、困っていたんだよね。
 でも、あの奇特な野猿好き王子がいたからよかったけど、婚約破棄しちゃったし~。
 もうリーリアは、どこかの後妻の道しかなさそうだね。
 可哀想に……」と言って、同情するイーサン。

 そんなイーサンに対して、リーリアは、(余計なお世話だな~)と思い、密かにため息をつく。

「いえ、ご心配なく、イーサンお兄様……」
「あ、そうだ!!
 リーリアは、もう嫁ぎ先にろくなところがなさそうだから、私の愛人になる?」
「え?何で?
 愛人になんか、なりません!」
「いや~、リーリアさ、色々とやらかしちゃったから、社交界に戻れないでしょう。
 そうすると、田舎下位貴族の冴えない爺の後妻になる話くらいしか、結婚のチャンスはないよね。
 でも、それより、私の愛人になる方が、リーリアは幸せになれると思んだ~」
「いえ、お断りです。
 これからは、お父様の部下として、仕事があるので、大丈夫です」
「ふ~ん、リーリアのできる仕事ね~。
 顔だけは可愛いから、大人しくさえしていれば、事情を知らない外国要人のハニートラップの仕事になら就けるかな。
 でも、閨のテクニックとかなさそうだね~。
 なんなら、今から実地で教えてあげようか?」
「……テクニックですか。
 こんなんでいかがですか?」
「?ん?へっ!?
 う、うわあああああぁぁぁー!!」

 イーサンに対して、さすがに頭にきたリーリアは、例の触手的なものを出して、一気にイーサンを拘束してか、ブンブン振り回してやった。

「ひぃー!たっけて~」と吐きそうになりながら、泣き叫ぶイーサン。
 さすがに、ちょっと可哀想になって、止めておろしてあげた。

「いいですか、イーサンお兄様。
 たとえ従兄といえども、そのような失礼は許されないのですよ?」
「うぅー、酔った……。
 責任とって、ベッドで介抱してね?
 さっ、一緒に寝室に行こう~。
 リーリアの別なテクニックを堪能させて?」と懲りずに、下心満載のイーサン。
「……わかっていただけないようですね。
 しょうがないですね、今度は激しめの大出血サービスいたしますよ」

 リーリアも、さすがに呆れながら、セクハラ駄目、絶対!をわかってもらうため、イーサンにブンブン第二段(激しめ)をしてあげた。

「ぎゃー!!」
「あ、……」

 なんと振り回す勢いがよすぎて、イーサンを吹っ飛ばしてしまった。
 吹っ飛んだ先にあった木の枝に引っかかったが、梯子がないと降りられない程の高さである。

「り、リーリア!たっけて!!」
「……イーサンお兄様、ご無事ですか?
 どこか怪我はしていませんか?」
「これのどこが無事にみえる!?
 怪我も落ちたら大変なことになるぞ。
 すぐに梯子を持ってきて!!」と引っかかった枝に必死にしがみつきながら、プンプン怒るイーサン。
 やり過ぎたと思ったリーリアは、謝りながら、急いで梯子を取ってこようとした。
 しかし、リーリアの叔父であるイルマリー侯爵が現れ、イーサンを助けるのを止められた。

「あいつの悪い癖を止めるのが遅くなって、申し訳なかったね、リーリア。
 しかも、懲らしめてくれたようで、助かったよ」
「叔父様……」
「とりあえず、あいつはそのままでいいよ」
「え、でも……」
「あいつにはもっと厳しくしないとね」

 そう言ったイルマリー侯爵は、助けを求めるイーサンの引っかかっている木の根元にいき、冷たく言い放った。

「この色狂いのばか息子!」
「ひっ、父上!
 この時間は執務中のはずなのに……」
「お前が、あまりに愚かなことをしているんで、制裁にきたんだ」
「ち、父上、とりあえず、ここからおろして下さい~」
「……しばらく、そこで反省していろ。
 後で梯子を持ってきてやるから、無理に降りようとするなよ」
「そんな、殺生な!酷い、父上!」
「酷いのは、お前だ!
 色々と苦労して心も傷ついたリーリアを護り、サポートするというから、お前に任せたのに……。
 お前がリーリアを勝手に口説いていると報告があって、飛んで来たんだぞ!」
「えぇっと、その……。
 私なりのサポートというか、慰めようとしていたというか……」と言い淀むイーサン。

 リーリアは、イルマリー侯爵に「イーサンに口説かれたか?」と確認で聞かれたので、悪気なく「そういえば、愛人になるようにすすめられました」と報告しておく。
 イルマリー侯爵は、本気で怒った。

「……イーサン、いいか?
 これ以上、リーリアに遊びで手を出そうとするなら、もうお前は廃嫡だ。
 私は本気だぞ。
 いや、廃嫡だけでなく、即刻、追い出して、二度と一族として認めないからな。
 ちゃんと反省しろ!」

 そう言って、イルマリー侯爵は、リーリアにイーサンの代わりに謝罪し、イーサンの言いなりにならないイルマリー侯爵直属の部下に、イーサンの見張りをさせることになった。
 おかげで、イーサンは大人しくなり、リーリアはイルマリー侯爵家で快適に過ごせるようになった。
 リーリアの母親はまだ怪我の具合があまり良くならず、リーリアはなるべく母親に付き添う毎日であった。

 ある日、リーリアは時間に空きができたので、天気も良いので、イルマリー侯爵家の庭のテラス席で読書していた。
 すると、最近は接触を避けていたイーサンが、意味深な笑顔を浮かべながら、やってきた。

「やあ、リーリア、元気?
 何だか久しぶりな感じだね」
「……こんにちは、イーサンお兄様」
「ねぇ、仲直りしよう?
 私達は、血の繋がったいとこじゃないか」
「……叔父様から、必要以上にイーサンお兄様に近づかないように言われておりまして」といって、リーリアは、テラスから離れようとするが、イーサンがリーリアの手を掴み、また無理矢理、テラスの席に座らせる。

「まあ、待ってよ、リーリア。
 大事なお話をしよう。
 お互いにとって、良いことを考えたんだ」
「……お互いに?」
「そう、お互いに。
 父上から聞いたんだけど、リーリアってば、結構、この国で重要というか、特別で、管理がいる人材らしいね」
「……はぁ、どうなんでしょう」
「それで、セリウス殿下の婚約者を再打診されていたのに、断るから、次にリーリアを管理する人が検討されていたんだ。
 何と、私もその候補で、愛人は駄目みたいだけど、妻ならいいんだって!
 だから、結婚を前提に私のことを考えてみて?」
「……え、イーサンお兄様と結婚ですか?
 絶対に嫌です。
 考えるまでもなく、お断りいたします」
「えぇ!?私が正式に結婚してあげるって言っているのに、正気じゃないね、リーリア!?」
「……正気で、お断りしております」
「まあまあ、ちゃんとそのメリットをわかっていないから、しょうがないね。
 いい?私と結婚するということはね………」と、イーサンは長々と自分と結婚することがどんなにメリットがあるか、リーリアにとっては全くメリットとは思われない事項などを挙げた。
 リーリアは、ため息をついて、一応、「では、イーサンお兄様のメリットとは?私のことを愛人程度にしか考えていなかったのに、突然、結婚を言い出したのは何故ですか?」と聞いてみた。
「ああ、私のメリットは、可愛いリーリアを私のものにできるだけでなく、社交界に出られないリーリアの代わりの女性の存在を、公然で許して貰えることだよ!
 もちろん、その女性とは深い仲になっちゃうけどね~」
「……それって、公然で愛人を作るということですか?」
「まあ、その~、そんな感じだね。
 それなら、父上達も文句が言えないだろうし、私は好きな女性を好きなだけ選べるし、リーリアは後妻にいかないで済むし、皆、幸せになれるよね?」

 そう言われても、(イーサンお兄様に都合が良いだけで、どうして皆が幸せになれるなんて思うの?)と、イーサンの主張がよくわからないリーリア。

「……ちなみに、叔父様は、このことをご存知で?」
「うん、父上は私がリーリアにプロポーズするのを許してくれたよ。
 どうやら、父上は、私がリーリアに心底惚れて、セリウス殿下のようにリーリア一筋になったら、私の女癖が治るかと、希望を抱いたみたいでね。
 私がリーリア一筋になって、リーリアも私を受け入れるなら、結婚を許可してくれるっていう条件でね~」
「え?一筋?
 ……でも、イーサンお兄様は、結婚後、愛人作り放題にするつもりですよね?
 叔父様の挙げる結婚の条件と、真逆じゃないのですか?」
「うん、そうなんだよね。
 だから、リーリアと結婚する前に取り引きしたいんだ。
 結婚後、私の両親に、リーリアの立場上、やむを得ないから、私に愛人を作ることを許すように、上手く説得して欲しいんだ。
 まあ、リーリアが納得していいって言っているから、愛人がいても別にいいじゃんって感じに話を持っていってよ。
 もちろん、結婚後しばらくは、リーリア一筋のふりをちゃんとするからさ!」
「……それは、私とは白い結婚、つまり、体の関係がない書類上だけの結婚だから、愛人も仕方ないと叔父様達を説得するということですか?」
「え、まさか!
 白い結婚なんて、そんなもったいない!!
 ちゃんと初夜から頑張って、バンバン子供も作らせてあげるよ~。
 でも、きっとしばらくしたら、他の女性も味わいたくなるから、愛人は必須だね」
「……うわぁ、何それ。
 もう生理的に嫌です。
 絶対、結婚しません」
「そんなこと、言わないでさ~。
 それに、リーリアが私と結婚すると、私の両親だけでなく、伯母様も安心するよ?」
「……確かにお母様も、私がよく知っている方と結婚すれば、安心するかも知れません。
 でも、お母様も、イーサンお兄様の最悪な女癖をよくご存知なので、安心どころか、全力で反対なさいますよ」
「えぇ、嘘!
 伯母様には、ばれないようにしていたのに~」
「ばれない訳ないでしょう?
 イーサンお兄様が、アーサーお兄様のふりをして女性に手をだしたせいで、お母様を巻き混んだトラブルが、何回あったと思っているんですか……」
「そうか、それでばれていたか~。
 ……ねぇ、どうしても、結婚は、駄目?
 愛人が駄目なの?」
「愛人はもちろん、イーサンお兄様自体が駄目です」
「そんな、傷つくな~。
 ……ふぅ、無理矢理は趣味じゃないんだけど、しょうがないよね?」
「は?」

 突然、イーサンは、リーリアに襲いかかろうとするが、リーリアはそれよりも早く、身を守るための結界を展開する。

 バンッ

 リーリアの結界に跳ね返されたイーサンは、舌打ちをする。

「ちっ!やっぱり魔法で抵抗するのか~。
 まあ、そんな抵抗も時間の問題だけどね。
 魔力が尽きたら、これも消えるでしょう?
 人払いもしてあるから、誰も助けにこないし、時間はたっぷりあるしね~」

 悪い顔で笑うイーサンに、リーリアは、どうしてやろうかと考えていた。
 すると、そこへ、思いがけない人物が現れた。

「……へぇ、相変わらず、下衆だな、貴様」と冷ややかな態度でセリウスが現れた。
「うげっ!何で、セリウス殿下がここに!?」
「リーリアに用事があってね。
 しばらく様子を見ていたが、貴様、何、ぬけぬけとリーリアに近づいているんだ?あぁ?」
「えぇ、ちょっとお待ちを!
 殿下は、リーリアとは婚約破棄をしたんだから、もう関係ないんじゃないですか?」
「……確かに婚約破棄したが、リーリアが僕の大事な幼馴染なのは変わらない。
 それに、貴様、今、リーリアを襲おうとしたのか?
 それなら、リーリアに限らず、女性を襲おうとした奴は、当然、処罰対象だ。
 覚悟しろ!」
「え、でも、体に触れていませんし~。
 そもそも、何のことやら?」
「一部始終、見ていたぞ。
 とぼけても無駄だ」
「いや~、でも~、殿下。
 ここは私の家だし、リーリアはもう結婚相手もいないし。
 しかも、父上公認でプロポーズもしたうえで、ちょっと味見しようとしただけですから、いいんですよ~」
「いい訳あるか!
 本当に貴様は、誇り高い貴族なのか?
 ……ああ、そうか、貴様、社会的に抹殺されたかったのか。
 お前なら、もう、いつでも、消せるぞ。
 社会的にも、もちろん物理的にも……」
「ひぃっ!」

 セリウスの周囲を凍らせんばかりの冷たい威圧に、イーサンは、本能的にも怯え、その場を逃げようとするが、セリウスの護衛の騎士達にすぐに捕まった。
 とりあえず、イルマリー侯爵の元に、拘束されて連れていかれるイーサン。
 イーサンが退場した後、セリウスは、やっとリーリアと話始めた。

「リーリア、大丈夫か?
 助けるのが遅くなった。
 奴が近づいた時点で、すぐに対処するべきだった」
「そんな、大丈夫ですよ!
 それより、その………」と言って、リーリアは耳元でこっそり「……ルイスさんですよね?」と確認する。

 そう、ここに現れたのは、本物のセリウスではなく、セリウスのふりをしたルイスであった。
 セリウスに扮したルイスは、素早く、周囲の人払いをしてから話だした。

「……やはり、リーリアには違いがわかるのか。
 私はセリウス殿下らしくなかったか?
 それとも、リアは……」と寂しそうな顔をするルイス。
「いえ、私も一瞬、セリウス様ご本人かと思いました。
 でも、セリウス様ならもっと悪者っぽい感じの脅迫的で容赦のない物言いをするかもと思ったのと、私はセリウス様の事情を知っているので、たぶん、ルイスさんだろうなと思いました……」と言って、リーリアはあらためて、まじまじとルイスを観察してみた。

(ルイスさんって、顔は本当にセリウス様にそっくり。
 真似されると、本人にしか思えない時があるけど、素の中身は、全然、違うせいか人間性が違う感じがするな~。
 うん、やっぱり、セリウス様とは全く別人だわ。
 むしろ、中身はちょっとアーサーお兄様のような~。
 いや、でも、怒ったり、冷静になったりした時とか、ルクレナ様に似たところもあるな。
 さすが、ルクレナ様の弟!
 うーん、でも、どちらかというと……)

 リーリアは、かなりルイスについて興味を持って、ルイスという人間を分析してみた。
 一方、ルイスは、そんな考え事をしているようなリーリアをみて、まだセリウスに好意があるのだと思えて、さらに、寂しく感じるのであった。

「リア、考え事か?
 ……誰のことを考えている?」
「え?」
「やはり、セリウス殿下のことか?」
「え?いえ、ルイスさんのことです」
「私のこと?」
「はい」
「私の何について考えたか教えてくれるか?」
「えっと、その、ルイスさんは顔こそセリウス様に似ているけど、ルイスさんなんだな~っと思って」
「そうか……」といって、ちょっと嬉しそうな表情をするルイス。
 そんなルイスの表情をみて、リーリアは、心臓の鼓動がいつもより早いと感じた。
 それを誤魔化すように「あ、そういえば、私に用事とは、何でしょうか?」と尋ねる。
「ああ、実は、リアに、メナード公爵直属の部下としての辞令がだされた。
 それにあたり、しばらく訓練を受けてもらうが、訓練が済んだらすぐに、任務に就いてもらうことになる」
「え、もう辞令が?
 しかも、任務も決まったのですか?
 早いですね!」
「そうだな、それだけ、リアが有能な人材ということだ。
 それで、任務の関係であまり訓練時間をあげられないのだが、任務にあたり、良い知らせがある」
「おぉ、何でしょうか?」
「任務のリーダーは、メナード公爵直属の熟練の者が別につく予定だが、そのサポーターとして、ルクレナが同行することになっている。
 そして、あのバーナルも一緒だ。
 バーナルは、洗脳も無事に解け、あの実力のおかげで、罪人とするより、メナード公爵の配下で利用した方が良いという判断がくだされた。
 任務の成果にもよるが、成功すれば、リアの望み通り、バーナルがリアの専属の部下になるチャンスだ」
「わあ!バーナル、無事に採用されたのですね!!
 洗脳の問題も解決して、本当によかった~。
 しかも、初任務にルクレナ様とご一緒なのは心強いです!
 あ、じゃあ、その任務でバーナルのご飯が食べられますか?」
「ああ、大丈夫だ。
 あと、バーナルの相方フェスを覚えているか?」
「あ、あのバーナルを倒した強い人?」
「そうだ。バーナルと同様に、奴も実力を認められ、任務メンバーになる予定だ。
 バーナル以上に危険視されているが、正気の奴は、バーナルに従順なので、使えると考えられたようだ。
 奴等の監視やストッパーとしての役割が、ルクレナとリアにあるから、十分に気をつける必要があるぞ」
「はい、わかりました!
 全力で、訓練も任務もこなします!!」

 リーリアは、ルイスからの知らせが嬉しくて、イーサンの先ほどの件など、どうでもよくなった。
 ただ、リーリアの母親がまだ具合が悪いため、訓練と任務で付き添えないことが気がかりであったが、イルマリー侯爵が、イーサンの件を心から詫びて、リーリアの母親の更なる手厚い看病を約束してくれた。
 しかも、訓練中は定期的な休みがもらえ、任務が完了すれば、きちんと報酬と長めのお休みがもらえることがわかり、一安心したリーリア。
 メナード公爵夫人も、リーリアの高い能力を理解し、任務に危険がないかはとても心配していたが、リーリアの仕事自体には賛同してくれている。
 こうして、リーリアは、自分の望む人達と一緒に、新たな道へと進み始めたのであった。
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