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番外編 IF 野猿な囚人 2.修道院
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アウスフォーデュ修道院に一週間かけて着いたリーリア。
一週間もの間の道中、一応、食事は与えられたが、ろくな食べ物を与えられなかった。
そのせいで、大抵の捕まった貴族令嬢は栄養不足やストレスもあり、気を失った状態でアウスフォーデュ修道院に着くことが多かった。
しかし、リーリアは幸いにも、断罪されて、捕まる直前に、いつもセリウスに禁止されているお菓子をドレスにたくさん仕込んでいたため、こっそりお菓子を食べてエネルギーを維持しながら、何とか体力を一週間、保てていた。
(アウスフォーデュ修道院では魔法が使えるのかしら?
魔法が使えても制限があるわよね、きっと……)
リーリアは道中に何とか逃亡をしようと企てたが、魔力を封じられ、手足を拘束された状態ではなかなか十分に動くことすらできなかった。
そのため、修道院に着いてからの対処を色々とシュミレーションしていた。
ただ、いくつかのパターンを考えてはいたが、実際に見てみないとわからないことだらけであった。
着いた所は、一応、修道院であり、入所する罪人を管理する看守の役割はシスター達が行っていた。
リーリアを迎え入れた管理側のシスターである女性達は、一応、シスターの恰好をしていた。
しかし……。
(え?この人達、シスター?
着ている服はシスターっぽい格好だけど、そのムキムキの腕とか、きびきびしたその動きは、どう見ても騎士というか、戦士でしょう?
いや、もうそこらの男ですらねじ伏せそうなお姉さま方なのですが…。
しかも、しっかりした武装をしている時点で、絶対に修道院のシスターじゃないでしょう?
女戦士?
……そういえば、お父様から女性の護衛用騎士の育成や、有事の際の女戦士も指導しているお話を聞いたことがありますね。
この方たちがまさにそうなのかも?)
ちなみに、リーリアの父親であるメナード公爵はこの国の王国騎士団を統括する騎士団長である。
修道院の自室に入る前に、リーリアは着てきたドレスはもちろん、下着なども含めて全て脱がされ、身体チェックされて、一週間ぶりにシャワーを浴びた後、囚人用のシスター見習いのようなシンプルなワンピースに着替えさせられた。
そして、手枷を付けられ、修道院長室に連れて行かれた。
「おや~?今回のご令嬢は、気も失わず、騒ぎもせずに無事なのね~。
いっそ、死んでくれた方が楽だったのにな~。」と、この修道院長らしきシスターがリーリアの様子をみて、やる気もなさそうに言う。
「へえ、そんなご令嬢はあいつ以来ですね。すごいな。
……って、このご令嬢、メナード公爵令嬢だわ!?
どうゆうこと??」と更にリーリアの身元を確認して、驚くもう1人の幹部シスター。
「そうなのよ。
醜い嫉妬で国賓の隣国のお姫様に手をだして、連れて来られたみたい。
さっさとあんなブラコン王子なんかあきらめてメナード公爵の庇護下に入れば、こんなことにならなかったのにね~。
ああ、めんどー!」とかったるそうな修道院長。
「あの!私は冤罪で連れて来られて…」と、つい無実を言い張ろうとしたリーリアであったが、次の瞬間、空中に吹っ飛んだ。
ゴッ!!
ベチャッ、ゴン。
リーリアは横にいた看守のシスターに顔を殴られて吹っ飛び、壁にぶつかった。
「おい!先ほども説明したが、こちらが口をきいても良いという許可がない限り、言葉を発するのは禁じていたはずだ。
ましてや罪の言い訳は最悪だな。二度とするな」と看守から冷たく言い放たれる。
最も、リーリアは殴られた衝撃と痛みとショックで、頭がクラクラしていて聞いていなかったが……。
(くっ、そういえば、そうだった。
つい、お父様の名前をだされて、いけると思ってしまった。
ああ、ぶつかった歯は、大丈夫かしら?ちょっとグラつくような……。
口は間違いなく切れたし、頭も痛い……)
泣きそうになるリーリアであったが、今は泣いている場合ではないと考え、深く頭を下げて、やり過ごした。
「……リーリア・メナード。
お前の罪状は特に王族の許可の元、承認され、刑の執行がなされた。
このアウスフォーデュ修道院に生涯いてもらうことになる。
まあ、恩赦でもあれば別だが、このアウスフォーデュ修道院から無事に出られると思うな。
ああ。あと、お前は魔力が強いようだから、魔力封じの枷もつけてもらうぞ」と修道院長から囚人へのお決まりのセリフを言われた。
その後、すぐに腕へ魔力封じの枷をつけられたリーリアは、修道院内へ連れて行かれ、俯きながら、周囲をうかがっていた。
(思っていたより広そうだな、この修道院。
くっ、悪い予想があたったな。
やっぱり魔法導師の試験に受かったのがばれているのね。
この魔力封じの枷は魔法導師レベルの魔力も封じられる高度なやつだわ。
あ、でも、割と古い型だから時間をかければ無効化できるかな?
無理すると腕がちぎれるから、慎重にやらないと。
うーん。今日はとりあえず、解除は無理だわ……)
ぐるぐるとリーリアが考えている間にも修道院の奥へ連れて来られた。
奥に進むに連れて、他の囚人達もちらほら見かけるようになり、いくつかの関門をくぐる度に囚人数は増えて行った。
囚人達が集まるホールのようなところを通ろうとした時であった。
「おら、新人だぞ」とリーリアを連れてきた看守がホールに入る際に言うと、そのホールにいた柄の悪そうな囚人達が一斉にリーリアへ注目し始めた。
「わお!今回の新人、随分、かわいこちゃんじゃない?」
「ああ、ボスが好きそう~」
「まあ、でもあの可愛い顔がどれだけ保てるかな?」
「はは!1日もどうせもたないかもな」などと不吉なことを言い合っているのが聞こえた。
(ひいー!
な、なに?何なの?
1日目にして何されちゃうの?)
他の囚人達のもの言いに、恐怖を抱くリーリアであった。
しばらく進むと、鉄の扉で、鉄格子の小窓がついた小部屋がたくさんあるエリアに連れていかれた。
「ほら、ここがお前の部屋だ」とその扉の1つの前に立たされた。
「よかったな。今のところ、同室の奴はこの前、死んだからいないぞ。しばらく、1人部屋だ」と看守から嬉しくないことを言われるリーリア。
「規則は先ほど、説明した通りだ。破れば命がないと思え。
ああ、ここは修道院だから、生きていたくないのなら、すぐに神の元に送る手段を与えるぞ。
…つまり、ここは簡単に自殺がOKだから、死にたくなったら、すぐに言ってくれ。
それまではおとなしくしていろよ、いいな!」と言い、去っていく看守。
リーリアが室内に入ると、部屋にはトイレ、洗面台、机と椅子、二段ベッドがあった。
その二段ベッドの下段のベッドを使おうとしたら、そのベッドのマットレス部分が人型に黒ずんでいるのが見えた。
(あれ?
そういえばさっき、看守が前室者は死んだって言っていたな。
このマットレスの人型はもしや……。
いやいや、まさかね。
このベッドの上で死んだわけではないよね?
マットレスが古くて使い過ぎただけの跡よね、きっと!)
そう思いながらも、下の段のベッドに寝る気が起きず、一応、人型の跡がない上の段のベッドで寝ることにするリーリア。
この修道院にいる間のやるべきことや規則は一通り説明されたが、今日はもう夜になったため、就寝しても良いと許可をもらった。
リーリアは、明日からの地獄のような生活に備えて、来るまでの道中で心身ともに疲れ切った体をベッドに横たえるのであった。
一週間もの間の道中、一応、食事は与えられたが、ろくな食べ物を与えられなかった。
そのせいで、大抵の捕まった貴族令嬢は栄養不足やストレスもあり、気を失った状態でアウスフォーデュ修道院に着くことが多かった。
しかし、リーリアは幸いにも、断罪されて、捕まる直前に、いつもセリウスに禁止されているお菓子をドレスにたくさん仕込んでいたため、こっそりお菓子を食べてエネルギーを維持しながら、何とか体力を一週間、保てていた。
(アウスフォーデュ修道院では魔法が使えるのかしら?
魔法が使えても制限があるわよね、きっと……)
リーリアは道中に何とか逃亡をしようと企てたが、魔力を封じられ、手足を拘束された状態ではなかなか十分に動くことすらできなかった。
そのため、修道院に着いてからの対処を色々とシュミレーションしていた。
ただ、いくつかのパターンを考えてはいたが、実際に見てみないとわからないことだらけであった。
着いた所は、一応、修道院であり、入所する罪人を管理する看守の役割はシスター達が行っていた。
リーリアを迎え入れた管理側のシスターである女性達は、一応、シスターの恰好をしていた。
しかし……。
(え?この人達、シスター?
着ている服はシスターっぽい格好だけど、そのムキムキの腕とか、きびきびしたその動きは、どう見ても騎士というか、戦士でしょう?
いや、もうそこらの男ですらねじ伏せそうなお姉さま方なのですが…。
しかも、しっかりした武装をしている時点で、絶対に修道院のシスターじゃないでしょう?
女戦士?
……そういえば、お父様から女性の護衛用騎士の育成や、有事の際の女戦士も指導しているお話を聞いたことがありますね。
この方たちがまさにそうなのかも?)
ちなみに、リーリアの父親であるメナード公爵はこの国の王国騎士団を統括する騎士団長である。
修道院の自室に入る前に、リーリアは着てきたドレスはもちろん、下着なども含めて全て脱がされ、身体チェックされて、一週間ぶりにシャワーを浴びた後、囚人用のシスター見習いのようなシンプルなワンピースに着替えさせられた。
そして、手枷を付けられ、修道院長室に連れて行かれた。
「おや~?今回のご令嬢は、気も失わず、騒ぎもせずに無事なのね~。
いっそ、死んでくれた方が楽だったのにな~。」と、この修道院長らしきシスターがリーリアの様子をみて、やる気もなさそうに言う。
「へえ、そんなご令嬢はあいつ以来ですね。すごいな。
……って、このご令嬢、メナード公爵令嬢だわ!?
どうゆうこと??」と更にリーリアの身元を確認して、驚くもう1人の幹部シスター。
「そうなのよ。
醜い嫉妬で国賓の隣国のお姫様に手をだして、連れて来られたみたい。
さっさとあんなブラコン王子なんかあきらめてメナード公爵の庇護下に入れば、こんなことにならなかったのにね~。
ああ、めんどー!」とかったるそうな修道院長。
「あの!私は冤罪で連れて来られて…」と、つい無実を言い張ろうとしたリーリアであったが、次の瞬間、空中に吹っ飛んだ。
ゴッ!!
ベチャッ、ゴン。
リーリアは横にいた看守のシスターに顔を殴られて吹っ飛び、壁にぶつかった。
「おい!先ほども説明したが、こちらが口をきいても良いという許可がない限り、言葉を発するのは禁じていたはずだ。
ましてや罪の言い訳は最悪だな。二度とするな」と看守から冷たく言い放たれる。
最も、リーリアは殴られた衝撃と痛みとショックで、頭がクラクラしていて聞いていなかったが……。
(くっ、そういえば、そうだった。
つい、お父様の名前をだされて、いけると思ってしまった。
ああ、ぶつかった歯は、大丈夫かしら?ちょっとグラつくような……。
口は間違いなく切れたし、頭も痛い……)
泣きそうになるリーリアであったが、今は泣いている場合ではないと考え、深く頭を下げて、やり過ごした。
「……リーリア・メナード。
お前の罪状は特に王族の許可の元、承認され、刑の執行がなされた。
このアウスフォーデュ修道院に生涯いてもらうことになる。
まあ、恩赦でもあれば別だが、このアウスフォーデュ修道院から無事に出られると思うな。
ああ。あと、お前は魔力が強いようだから、魔力封じの枷もつけてもらうぞ」と修道院長から囚人へのお決まりのセリフを言われた。
その後、すぐに腕へ魔力封じの枷をつけられたリーリアは、修道院内へ連れて行かれ、俯きながら、周囲をうかがっていた。
(思っていたより広そうだな、この修道院。
くっ、悪い予想があたったな。
やっぱり魔法導師の試験に受かったのがばれているのね。
この魔力封じの枷は魔法導師レベルの魔力も封じられる高度なやつだわ。
あ、でも、割と古い型だから時間をかければ無効化できるかな?
無理すると腕がちぎれるから、慎重にやらないと。
うーん。今日はとりあえず、解除は無理だわ……)
ぐるぐるとリーリアが考えている間にも修道院の奥へ連れて来られた。
奥に進むに連れて、他の囚人達もちらほら見かけるようになり、いくつかの関門をくぐる度に囚人数は増えて行った。
囚人達が集まるホールのようなところを通ろうとした時であった。
「おら、新人だぞ」とリーリアを連れてきた看守がホールに入る際に言うと、そのホールにいた柄の悪そうな囚人達が一斉にリーリアへ注目し始めた。
「わお!今回の新人、随分、かわいこちゃんじゃない?」
「ああ、ボスが好きそう~」
「まあ、でもあの可愛い顔がどれだけ保てるかな?」
「はは!1日もどうせもたないかもな」などと不吉なことを言い合っているのが聞こえた。
(ひいー!
な、なに?何なの?
1日目にして何されちゃうの?)
他の囚人達のもの言いに、恐怖を抱くリーリアであった。
しばらく進むと、鉄の扉で、鉄格子の小窓がついた小部屋がたくさんあるエリアに連れていかれた。
「ほら、ここがお前の部屋だ」とその扉の1つの前に立たされた。
「よかったな。今のところ、同室の奴はこの前、死んだからいないぞ。しばらく、1人部屋だ」と看守から嬉しくないことを言われるリーリア。
「規則は先ほど、説明した通りだ。破れば命がないと思え。
ああ、ここは修道院だから、生きていたくないのなら、すぐに神の元に送る手段を与えるぞ。
…つまり、ここは簡単に自殺がOKだから、死にたくなったら、すぐに言ってくれ。
それまではおとなしくしていろよ、いいな!」と言い、去っていく看守。
リーリアが室内に入ると、部屋にはトイレ、洗面台、机と椅子、二段ベッドがあった。
その二段ベッドの下段のベッドを使おうとしたら、そのベッドのマットレス部分が人型に黒ずんでいるのが見えた。
(あれ?
そういえばさっき、看守が前室者は死んだって言っていたな。
このマットレスの人型はもしや……。
いやいや、まさかね。
このベッドの上で死んだわけではないよね?
マットレスが古くて使い過ぎただけの跡よね、きっと!)
そう思いながらも、下の段のベッドに寝る気が起きず、一応、人型の跡がない上の段のベッドで寝ることにするリーリア。
この修道院にいる間のやるべきことや規則は一通り説明されたが、今日はもう夜になったため、就寝しても良いと許可をもらった。
リーリアは、明日からの地獄のような生活に備えて、来るまでの道中で心身ともに疲れ切った体をベッドに横たえるのであった。
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