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悪役令嬢でも死んじゃだめぇ~!7
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ラフィーナ様の危機を救って怪我をした私は、現在、アリード公爵家で療養中。
大好きなラフィーナ様に毎日、会えて、贅沢な日々で幸せです!
ただ、あれ以来、ラフィーナ様の兄のレオン様が、何かと私にちょっかいをかけてきて、ちょっと迷惑です。
今日も、お見舞いだと、私が療養している部屋にやってきて、お見舞いの品を渡してきた。それは有難いんだけど……。
「これはどうだ?
巷で流行っている笑わせてくれる小説だ。
面白そうだぞ」
「わあ、ありがとうございます!」
そういって、レオン様は、ベッドの上で、退屈していた私に小説を持ってきてくれた。
喜んで受け取って、枕元に置くと、レオン様は、ん?という顔をした。
「何故、すぐ読まない?」
「え?この本をですか?」
「そうだ、そのためにわざわざ買ってこさせたんだぞ。
さあ、読め!
今、読め!
そして、笑え!」
「……お見舞いの品ではないのですか?」
「一応、そのつもりでもあるが、お前を笑わせるためだ。
さあ、俺の前で読んで笑え」
「……」
何だか、そう言われると、絶対、読みたくないな。
それで笑えば、負けたような気がするのは何故だろう?
「どうした?その本では笑えそうにないか?」
「う、うーん、今は本を読むと頭痛がしそうなので……」
「ああ、そうか、それは悪かった。
じゃあ、読む気分になったら知らせろよ」
「はーい」
ちょっと残念そうな顔をしてレオン様は部屋から出ようとしたところ、「あ、そうだ!これはおまけだ」といって、また戻ってきて、私の手のひらに焼き菓子を1個おいた。
「甘いもの好きだろ?
その本を買った本屋の近くにお菓子屋があって、そこで評判の焼き菓子だそうだ」
「あ、ありがとうございます!」
「じゃあ、ゆっくり休め」と、今度こそ、レオン様は部屋から退出してくれた。
焼き菓子は、可愛いラッピングをされた花の形をしたバターたっぷりの高級菓子だった。
花びらの部分にはチョコレートが波のように練り込まれており、中心には甘酸っぱい赤い木の実が使われている。
食べるのが勿体ないくらいの完成度。
まあ、遠慮なく食べるけどね!
レオン様、かなり美味しいです!
ちょっと迷惑と思ってごめんなさい。
焼き菓子ひとつでニコニコする、チョロいエミリーです。
お菓子を食べた後は、ラフィーナ様が来るまではと、ベッドヘッドにもたれながら、ゆっくり過ごした。
そこへ、トントンと軽くドアをノックする音がした。
「どうぞ~」と返事をすると、ラフィーナ様に似た金髪碧眼の可愛らしい天使のような男の子が入ってきた。
まだ6歳のラフィーナ様の弟ロラン様である。
ロラン様には、ラフィーナ様を助けて以来、「ラフィーナお姉様を助けてくれて、ありがとう!エミリーお姉様って呼んでいい?」と懐かれました。やったね!
ただ、公爵令息であられるロラン様に、ラフィーナ様と同格の「お姉様」と呼ばせるのは烏滸がましいので、「エミリー」と呼び捨てでいいと伝えた。
すると、ロラン様は、「じゃあ、エミリーちゃんって呼ぶのは?」と言ってくれて、悶えた。
もちろん、全力でOKした。
ロラン様は、お土産らしきものを沢山持ちながら、トテトテと歩いて、ベッドサイドまできてくれた。
「エミリーちゃん。
お見舞いにきたよ。
おかげん、いかが?」と首を傾げる。かわいい。
「ええ、おかげさまで、今日は気分がいいです」
「よかった!
あ、これ、どうぞ」とロランは、庭で摘んできた菫をリボンで束ねてミニブーケ風にしたものをエミリーに渡す。
「まあ、菫ですね!
可愛い~、ありがとうございます、ロラン様」
「早くよくなってね?」
「はい!」
くぅー!
か・わ・い・い~!
罪深い可愛さよ!
「あのね、エミリーちゃん。
今日は、僕のおすすめのご本を持ってきたんだ」
「まあ、ありがとうございます!」
「それで、よかったら、このご本、読んであげるよ」
「まあ!ロラン様が読んでくださるの?
嬉しいです!!」
「ねぇ、お膝に乗っていい?」
「もちろん!いらっしゃ~い」
靴を脱いだロラン様は、んっしょって、これまた可愛らしい動作でベッドに乗り上げてきて、ベッドヘッドにもたれている私の膝の上に座った。
ロラン様、いい匂いがする~。
甘い匂いというか?
あ、いや、私は変態じゃないよ!たぶん。
私の膝の上で、思ったより、スムーズに絵本を読むロラン様。
公爵令息だけあって、6歳にしてもう凄く賢いって噂。
確かに、本の読み方が、もう抑揚とか、私より上手いかも。
ほほーと、感心しながら聞き入っていると、途中で疲れたのか、ロラン様が読むのをやめて、こちらを見上げる。
「エミリーちゃん。
ここからは、交代して?
僕にもご本、読んで?」と上目遣いで言われ、悶えた。
鼻血を出さなかった私の鼻、グッドジョブ!
「喜んで!」と、ロラン様の絵本の続きを読み始めた。
けど、こ、これは………。
絵本なのに、どんだけ愛の告白してんの?
告白シーンがやたら多いんですけど、この話。
ひたすら、「好きだ!」「君を愛している」「あなたをお慕いしております」などのシーンがあるんですけど。何なの?
しかも、調子に乗って、ちゃんと男女別に声色も変えてみた。
男性のシーンでは、声を男性風にカッコつけて低めにして、女性のシーンではワンオクターブ声を高くして読んでみた。
自分でも何を目指しているのか、わからなくなった頃、ふとロラン様を見ると……。
ロラン様は、私が「好き好き」言うたびに、頬っぺに手をあてて、真っ赤になりながら、「はわ~」と照れている。
何だ、この愛らしい生き物は!
またもや、私の鼻、グッドジョブでした。
危うく血を噴くところだったぜ。
そんな感じで、私とロラン様は、お互い照れ照れしながら絵本を読み進めていると、もう1人の天使ラフィーナ様がお部屋にきて下さいました。
「あら、ロラン、駄目よ!
エミリーはまだ療養中なのよ。
そんなにエミリーに甘えてはいけないわ」
「でも、ラフィーナお姉様。
エミリーちゃん、今日はおかげんいいって……」
「あ、私は大丈夫ですよ、ラフィーナ様。
むしろ、ロラン様のおかげで、痛みが和らぎましたよ~」
「まあ、エミリー、無理しないでね?」
「はい、大丈夫です!」
だって、天使が二人もいる!
この空間は、天国に近いのでは?
とりあえず、痛みも忘れるくらい幸せです!
でも、ロラン様も忙しい身ということで、ラフィーナ様と交代するように、自室に帰られました。
またきてね、私の天使その2!
その後は、天使その1であるラフィーナ様との至福の時間を過ごしました。
大好きなラフィーナ様に毎日、会えて、贅沢な日々で幸せです!
ただ、あれ以来、ラフィーナ様の兄のレオン様が、何かと私にちょっかいをかけてきて、ちょっと迷惑です。
今日も、お見舞いだと、私が療養している部屋にやってきて、お見舞いの品を渡してきた。それは有難いんだけど……。
「これはどうだ?
巷で流行っている笑わせてくれる小説だ。
面白そうだぞ」
「わあ、ありがとうございます!」
そういって、レオン様は、ベッドの上で、退屈していた私に小説を持ってきてくれた。
喜んで受け取って、枕元に置くと、レオン様は、ん?という顔をした。
「何故、すぐ読まない?」
「え?この本をですか?」
「そうだ、そのためにわざわざ買ってこさせたんだぞ。
さあ、読め!
今、読め!
そして、笑え!」
「……お見舞いの品ではないのですか?」
「一応、そのつもりでもあるが、お前を笑わせるためだ。
さあ、俺の前で読んで笑え」
「……」
何だか、そう言われると、絶対、読みたくないな。
それで笑えば、負けたような気がするのは何故だろう?
「どうした?その本では笑えそうにないか?」
「う、うーん、今は本を読むと頭痛がしそうなので……」
「ああ、そうか、それは悪かった。
じゃあ、読む気分になったら知らせろよ」
「はーい」
ちょっと残念そうな顔をしてレオン様は部屋から出ようとしたところ、「あ、そうだ!これはおまけだ」といって、また戻ってきて、私の手のひらに焼き菓子を1個おいた。
「甘いもの好きだろ?
その本を買った本屋の近くにお菓子屋があって、そこで評判の焼き菓子だそうだ」
「あ、ありがとうございます!」
「じゃあ、ゆっくり休め」と、今度こそ、レオン様は部屋から退出してくれた。
焼き菓子は、可愛いラッピングをされた花の形をしたバターたっぷりの高級菓子だった。
花びらの部分にはチョコレートが波のように練り込まれており、中心には甘酸っぱい赤い木の実が使われている。
食べるのが勿体ないくらいの完成度。
まあ、遠慮なく食べるけどね!
レオン様、かなり美味しいです!
ちょっと迷惑と思ってごめんなさい。
焼き菓子ひとつでニコニコする、チョロいエミリーです。
お菓子を食べた後は、ラフィーナ様が来るまではと、ベッドヘッドにもたれながら、ゆっくり過ごした。
そこへ、トントンと軽くドアをノックする音がした。
「どうぞ~」と返事をすると、ラフィーナ様に似た金髪碧眼の可愛らしい天使のような男の子が入ってきた。
まだ6歳のラフィーナ様の弟ロラン様である。
ロラン様には、ラフィーナ様を助けて以来、「ラフィーナお姉様を助けてくれて、ありがとう!エミリーお姉様って呼んでいい?」と懐かれました。やったね!
ただ、公爵令息であられるロラン様に、ラフィーナ様と同格の「お姉様」と呼ばせるのは烏滸がましいので、「エミリー」と呼び捨てでいいと伝えた。
すると、ロラン様は、「じゃあ、エミリーちゃんって呼ぶのは?」と言ってくれて、悶えた。
もちろん、全力でOKした。
ロラン様は、お土産らしきものを沢山持ちながら、トテトテと歩いて、ベッドサイドまできてくれた。
「エミリーちゃん。
お見舞いにきたよ。
おかげん、いかが?」と首を傾げる。かわいい。
「ええ、おかげさまで、今日は気分がいいです」
「よかった!
あ、これ、どうぞ」とロランは、庭で摘んできた菫をリボンで束ねてミニブーケ風にしたものをエミリーに渡す。
「まあ、菫ですね!
可愛い~、ありがとうございます、ロラン様」
「早くよくなってね?」
「はい!」
くぅー!
か・わ・い・い~!
罪深い可愛さよ!
「あのね、エミリーちゃん。
今日は、僕のおすすめのご本を持ってきたんだ」
「まあ、ありがとうございます!」
「それで、よかったら、このご本、読んであげるよ」
「まあ!ロラン様が読んでくださるの?
嬉しいです!!」
「ねぇ、お膝に乗っていい?」
「もちろん!いらっしゃ~い」
靴を脱いだロラン様は、んっしょって、これまた可愛らしい動作でベッドに乗り上げてきて、ベッドヘッドにもたれている私の膝の上に座った。
ロラン様、いい匂いがする~。
甘い匂いというか?
あ、いや、私は変態じゃないよ!たぶん。
私の膝の上で、思ったより、スムーズに絵本を読むロラン様。
公爵令息だけあって、6歳にしてもう凄く賢いって噂。
確かに、本の読み方が、もう抑揚とか、私より上手いかも。
ほほーと、感心しながら聞き入っていると、途中で疲れたのか、ロラン様が読むのをやめて、こちらを見上げる。
「エミリーちゃん。
ここからは、交代して?
僕にもご本、読んで?」と上目遣いで言われ、悶えた。
鼻血を出さなかった私の鼻、グッドジョブ!
「喜んで!」と、ロラン様の絵本の続きを読み始めた。
けど、こ、これは………。
絵本なのに、どんだけ愛の告白してんの?
告白シーンがやたら多いんですけど、この話。
ひたすら、「好きだ!」「君を愛している」「あなたをお慕いしております」などのシーンがあるんですけど。何なの?
しかも、調子に乗って、ちゃんと男女別に声色も変えてみた。
男性のシーンでは、声を男性風にカッコつけて低めにして、女性のシーンではワンオクターブ声を高くして読んでみた。
自分でも何を目指しているのか、わからなくなった頃、ふとロラン様を見ると……。
ロラン様は、私が「好き好き」言うたびに、頬っぺに手をあてて、真っ赤になりながら、「はわ~」と照れている。
何だ、この愛らしい生き物は!
またもや、私の鼻、グッドジョブでした。
危うく血を噴くところだったぜ。
そんな感じで、私とロラン様は、お互い照れ照れしながら絵本を読み進めていると、もう1人の天使ラフィーナ様がお部屋にきて下さいました。
「あら、ロラン、駄目よ!
エミリーはまだ療養中なのよ。
そんなにエミリーに甘えてはいけないわ」
「でも、ラフィーナお姉様。
エミリーちゃん、今日はおかげんいいって……」
「あ、私は大丈夫ですよ、ラフィーナ様。
むしろ、ロラン様のおかげで、痛みが和らぎましたよ~」
「まあ、エミリー、無理しないでね?」
「はい、大丈夫です!」
だって、天使が二人もいる!
この空間は、天国に近いのでは?
とりあえず、痛みも忘れるくらい幸せです!
でも、ロラン様も忙しい身ということで、ラフィーナ様と交代するように、自室に帰られました。
またきてね、私の天使その2!
その後は、天使その1であるラフィーナ様との至福の時間を過ごしました。
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