93 / 95
女神
しおりを挟む
サーラさんに案内されるがまま更衣室のようなところに入らされたら、二人のメイドがいて、目を輝かせていた。
「お嬢様からレオさんの話は聞いております」
「あなたがレオさんですね!そして、このかわいいスライムはぷるんくん!」
「は、はい。よろしくお願いします」
僕が頭を下げたら、二人は早速僕の方へ近づいて服を脱がした。
「え、え!?いきなり!?」
「私たちにお任せを~」
「ふふ」
二人は慣れた手つきで僕に執事服を着せてゆく。
それから、髪を櫛でといたり、香水をつけたりと、二人は実に忙しなく動いていた。
数分が経つと
「ちゃんちゃじゃん!」
活発な性格のメイドさんが気持ち良さそうに両手を広げた。
「……なんか、恥ずかしい……」
鏡に写っている自分を見ていると、いつもとは全然違う姿が写っている。
手入れされた髪、作り込まれたお仕着せの執事服。
僕が鏡に写っている自分の姿を見て顔を俯かせていると、活発な性格のメイドさんが僕の背中をトントン叩く。
「すごく似合ってますよ。この際、カリナ様の専属執事になるのはいかが?」
「え?」
「ここは執事長と門番の方二人を除けば男がいないんですよね。だから、もしここで働いたら色々利用でき……彩が加わると思います」
今この人、利用と言ってたよな……
なんか怖い人だ。
僕が戦慄の表情をしていたら、落ち着いた感じのメイドさんがいつしか床で僕を見上げているぷるんくんに視線を向ける。
「ぷるんさんにはこれをつけていただきます」
「ん?」
名前を呼ばれたことでぷるんくんは、その落ち着いた感じのメイドさんに視線を向けた。
すると、その落ち着いた感じのメイドさんは、リボンに似た執事のネクタイをぷるんくんの体にくっつけた。
「はい。これでお揃いです」
「……」
ぷるんくんははてなと小首を傾げ、再び僕を見上げた。
ネクタイをつけたぷるんくん……
「似合ってるよ。ぷるんくん」
そう感想を言うと、ぷるんくんはドヤ顔をして、目をキリッとさせた。
黒いネクタイが一つ加わっただけなのに、なんだか、とてもしっかりしていそうなスライムに見える。
僕とぷるんくんは二人のメイドにお礼を言ってから、厩舎へと向かい、馬車を運転し邸宅の正門の前にやってきた。
厩舎の場所は厩舎を管理するメイドさんに教えてもらった。
御者を務めるのは僕。
そして、カリナ様の付き人としてサーラさんも一緒にこの馬車に乗ることになっている。
馬車の運転は、ライデン村にいた頃結構やっていたので、問題にはならないが、公爵家の長女が乗っている馬車を運転するとなると、かなり緊張してくる。
僕は馬車の隣に立ったまま、邸宅の扉を見つめている。
ぷるんくんはというと、いつしか馬と仲良くなったらしく、馬の頭の上でぴょんぴょん跳ねていた。
数分ほどが流れると、
やっとドアが空いた。
そこから出てきたのは、
サーラさんと一人の女神だった。
ツヤのある長い亜麻色の髪、青色の花の形をした髪飾り、白と青を基調としたドレスは彼女の女性として恵まれた体を覆っている。
深海を思わせる青い瞳からは名状し難い威厳が放たれているようで、整った目鼻立ちは鋭い印象を与える。
踏み込めないオーラ。
アランのような中途半端な貴族なんかが近づいていい相手ではない。
なんなら、平民生まれの僕は尚更。
僕はカリナ様に圧倒されてしまった。
彼女は前にかかった髪をかきあげると、僕の存在に気がつく。
彼女は頬を緩めた。
「レオくん!」
「……」
固まっている僕を見つめてカリナ様は腰に手を当てて、僕を訝しげに見つめてきた。
「レオくん?」
「……」
何も言わない僕を見かねたカリナ様は頬を膨らませて詰め寄ってきた。
「レオくん!」
「は、はい!」
「なんで何も言わないの?私のドレス姿ってそんなに変かしら?」
「お嬢様からレオさんの話は聞いております」
「あなたがレオさんですね!そして、このかわいいスライムはぷるんくん!」
「は、はい。よろしくお願いします」
僕が頭を下げたら、二人は早速僕の方へ近づいて服を脱がした。
「え、え!?いきなり!?」
「私たちにお任せを~」
「ふふ」
二人は慣れた手つきで僕に執事服を着せてゆく。
それから、髪を櫛でといたり、香水をつけたりと、二人は実に忙しなく動いていた。
数分が経つと
「ちゃんちゃじゃん!」
活発な性格のメイドさんが気持ち良さそうに両手を広げた。
「……なんか、恥ずかしい……」
鏡に写っている自分を見ていると、いつもとは全然違う姿が写っている。
手入れされた髪、作り込まれたお仕着せの執事服。
僕が鏡に写っている自分の姿を見て顔を俯かせていると、活発な性格のメイドさんが僕の背中をトントン叩く。
「すごく似合ってますよ。この際、カリナ様の専属執事になるのはいかが?」
「え?」
「ここは執事長と門番の方二人を除けば男がいないんですよね。だから、もしここで働いたら色々利用でき……彩が加わると思います」
今この人、利用と言ってたよな……
なんか怖い人だ。
僕が戦慄の表情をしていたら、落ち着いた感じのメイドさんがいつしか床で僕を見上げているぷるんくんに視線を向ける。
「ぷるんさんにはこれをつけていただきます」
「ん?」
名前を呼ばれたことでぷるんくんは、その落ち着いた感じのメイドさんに視線を向けた。
すると、その落ち着いた感じのメイドさんは、リボンに似た執事のネクタイをぷるんくんの体にくっつけた。
「はい。これでお揃いです」
「……」
ぷるんくんははてなと小首を傾げ、再び僕を見上げた。
ネクタイをつけたぷるんくん……
「似合ってるよ。ぷるんくん」
そう感想を言うと、ぷるんくんはドヤ顔をして、目をキリッとさせた。
黒いネクタイが一つ加わっただけなのに、なんだか、とてもしっかりしていそうなスライムに見える。
僕とぷるんくんは二人のメイドにお礼を言ってから、厩舎へと向かい、馬車を運転し邸宅の正門の前にやってきた。
厩舎の場所は厩舎を管理するメイドさんに教えてもらった。
御者を務めるのは僕。
そして、カリナ様の付き人としてサーラさんも一緒にこの馬車に乗ることになっている。
馬車の運転は、ライデン村にいた頃結構やっていたので、問題にはならないが、公爵家の長女が乗っている馬車を運転するとなると、かなり緊張してくる。
僕は馬車の隣に立ったまま、邸宅の扉を見つめている。
ぷるんくんはというと、いつしか馬と仲良くなったらしく、馬の頭の上でぴょんぴょん跳ねていた。
数分ほどが流れると、
やっとドアが空いた。
そこから出てきたのは、
サーラさんと一人の女神だった。
ツヤのある長い亜麻色の髪、青色の花の形をした髪飾り、白と青を基調としたドレスは彼女の女性として恵まれた体を覆っている。
深海を思わせる青い瞳からは名状し難い威厳が放たれているようで、整った目鼻立ちは鋭い印象を与える。
踏み込めないオーラ。
アランのような中途半端な貴族なんかが近づいていい相手ではない。
なんなら、平民生まれの僕は尚更。
僕はカリナ様に圧倒されてしまった。
彼女は前にかかった髪をかきあげると、僕の存在に気がつく。
彼女は頬を緩めた。
「レオくん!」
「……」
固まっている僕を見つめてカリナ様は腰に手を当てて、僕を訝しげに見つめてきた。
「レオくん?」
「……」
何も言わない僕を見かねたカリナ様は頬を膨らませて詰め寄ってきた。
「レオくん!」
「は、はい!」
「なんで何も言わないの?私のドレス姿ってそんなに変かしら?」
12
お気に入りに追加
1,644
あなたにおすすめの小説
異世界転移したけど、果物食い続けてたら無敵になってた
甘党羊
ファンタジー
唐突に異世界に飛ばされてしまった主人公。
降り立った場所は周囲に生物の居ない不思議な森の中、訳がわからない状況で自身の能力などを確認していく。
森の中で引きこもりながら自身の持っていた能力と、周囲の環境を上手く利用してどんどん成長していく。
その中で試した能力により出会った最愛のわんこと共に、周囲に他の人間が居ない自分の住みやすい地を求めてボヤきながら異世界を旅していく物語。
協力関係となった者とバカをやったり、敵には情け容赦なく立ち回ったり、飯や甘い物に並々ならぬ情熱を見せたりしながら、ゆっくり進んでいきます。
没落した建築系お嬢様の優雅なスローライフ~地方でモフモフと楽しい仲間とのんびり楽しく生きます~
土偶の友
ファンタジー
優雅な貴族令嬢を目指していたクレア・フィレイア。
しかし、15歳の誕生日を前に両親から没落を宣言されてしまう。
そのショックで日本の知識を思いだし、ブラック企業で働いていた記憶からスローライフをしたいと気付いた。
両親に勧められた場所に逃げ、そこで楽しいモフモフの仲間と家を建てる。
女の子たちと出会い仲良くなって一緒に住む、のんびり緩い異世界生活。
田舎暮らしと思ったら、異世界暮らしだった。
けむし
ファンタジー
突然の異世界転移とともに魔法が使えるようになった青年の、ほぼ手に汗握らない物語。
日本と異世界を行き来する転移魔法、物を複製する魔法。
あらゆる魔法を使えるようになった主人公は異世界で、そして日本でチート能力を発揮・・・するの?
ゆる~くのんびり進む物語です。読者の皆様ものんびりお付き合いください。
感想などお待ちしております。
ド田舎からやってきた少年、初めての大都会で無双する~今まで遊び場にしていたダンジョンは、攻略不可能の規格外ダンジョンだったみたい〜
むらくも航
ファンタジー
ド田舎の村で育った『エアル』は、この日旅立つ。
幼少の頃、おじいちゃんから聞いた話に憧れ、大都会で立派な『探索者』になりたいと思ったからだ。
そんなエアルがこれまでにしてきたことは、たった一つ。
故郷にあるダンジョンで体を動かしてきたことだ。
自然と共に生き、魔物たちとも触れ合ってきた。
だが、エアルは知らない。
ただの“遊び場”と化していたダンジョンは、攻略不可能のSSSランクであることを。
遊び相手たちは、全て最低でもAランクオーバーの凶暴な魔物たちであることを。
これは、故郷のダンジョンで力をつけすぎた少年エアルが、大都会で無自覚に無双し、羽ばたいていく物語──。
ごめんみんな先に異世界行ってるよ1年後また会おう
味噌汁食べれる
ファンタジー
主人公佐藤 翔太はクラスみんなより1年も早く異世界に、行ってしまう。みんなよりも1年早く異世界に行ってしまうそして転移場所は、世界樹で最強スキルを実でゲット?スキルを奪いながら最強へ、そして勇者召喚、それは、クラスのみんなだった。クラスのみんなが頑張っているときに、主人公は、自由気ままに生きていく
フリーター転生。公爵家に転生したけど継承権が低い件。精霊の加護(チート)を得たので、努力と知識と根性で公爵家当主へと成り上がる
SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
400倍の魔力ってマジ!?魔力が多すぎて範囲攻撃魔法だけとか縛りでしょ
25歳子供部屋在住。彼女なし=年齢のフリーター・バンドマンはある日理不尽にも、バンドリーダでボーカルからクビを宣告され、反論を述べる間もなくガッチャ切りされそんな失意のか、理不尽に言い渡された残業中に急死してしまう。
目が覚めると俺は広大な領地を有するノーフォーク公爵家の長男の息子ユーサー・フォン・ハワードに転生していた。
ユーサーは一度目の人生の漠然とした目標であった『有名になりたい』他人から好かれ、知られる何者かになりたかった。と言う目標を再認識し、二度目の生を悔いの無いように、全力で生きる事を誓うのであった。
しかし、俺が公爵になるためには父の兄弟である次男、三男の息子。つまり従妹達と争う事になってしまい。
ユーサーは富国強兵を掲げ、先ずは小さな事から始めるのであった。
そんな主人公のゆったり成長期!!
クラス転移で神様に?
空見 大
ファンタジー
集団転移に巻き込まれ、クラスごと異世界へと転移することになった主人公晴人はこれといって特徴のない平均的な学生であった。
異世界の神から能力獲得について詳しく教えられる中で、晴人は自らの能力欄獲得可能欄に他人とは違う機能があることに気が付く。
そこに隠されていた能力は龍神から始まり魔神、邪神、妖精神、鍛冶神、盗神の六つの神の称号といくつかの特殊な能力。
異世界での安泰を確かなものとして受け入れ転移を待つ晴人であったが、神の能力を手に入れたことが原因なのか転移魔法の不発によりあろうことか異世界へと転生してしまうこととなる。
龍人の母親と英雄の父、これ以上ない程に恵まれた環境で新たな生を得た晴人は新たな名前をエルピスとしてこの世界を生きていくのだった。
現在設定調整中につき最新話更新遅れます2022/09/11~2022/09/17まで予定
せっかくのクラス転移だけども、俺はポテトチップスでも食べながらクラスメイトの冒険を見守りたいと思います
霖空
ファンタジー
クラス転移に巻き込まれてしまった主人公。
得た能力は悪くない……いや、むしろ、チートじみたものだった。
しかしながら、それ以上のデメリットもあり……。
傍観者にならざるをえない彼が傍観者するお話です。
基本的に、勇者や、影井くんを見守りつつ、ほのぼの?生活していきます。
が、そのうち、彼自身の物語も始まる予定です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる