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ちゃんと守ってね
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「ん?レオく?」
「レオさん?」
「ん?」
カリナ様とサーラさんが小首を傾げ、ぷるんくんも僕の行動が理解できないとでもいわんばかりにはてなと首をひねる。
僕が事情を話すと、カリナ様は困ったように微苦笑した。
「あはは……もうとっくに広がっているのね」
「……」
どうやら、噂は本当だったようだ。
ぷるんくんを抱えた僕とカリナ様とサーラさんは並んで歩いている。
カリナ様は周りを見て、自分の声が周辺の人々に聞こえないことを確認してから口を開いた。
「レオくん、これは他言無用よ」
「は、はい……言える知り合いもございません」
「悲しいこと言わないで」
「……」
カリナ様は念を押すように、手を動かして風邪の魔法を使った。
おそらく、周りの生徒に声が聞こえないようにするための仕掛けだろう。
鑑定で確認したけど、僕の予想は的中した。
「実はね、バロン伯爵家は、もともと怪しいことをいっぱいしていたから、王室からも目をつけられていたわよ」
「え?そうなんですか?」
これまでずっと震えていたが、カリナ様の言葉でピッタリそれが止まった。
ぷるんくんはこれまで僕の震えによって共に振動していたが、元の姿を取り戻した。
「それで、昨日、そのバロン伯爵家を断罪するきっかけができちゃったの」
「きっかけ?」
「そうよ」
「なんでしょうか?」
「そ、それは……」
随分と言いたくなさそうな顔だ。
僕は早速手をブンブン振って口を開く。
「別に、言いたくなければ言わなくていいですよ!」
僕の言葉を聞いてカリナ様は頭を横に振って何かを決心したような表情を浮かべては、やがてしょんぼりする。
「ううん……レオくんなら知ってもいい……」
カリナ様が言い終えると、サーラさんが頬を緩めて事情を話してくれた。
アランが追い出されたこと。
アランの妹と弟のこと。
アランの父がアランを煽てて今度の舞踏会でカリナ様に強力な惚れ薬を飲ませようと企てたこと。
僕は腹が立った。
「そんなの……絶対許さない!!カリナ様にそんなことを……」
悔しそうに握り拳を作っていたらカリナ様が僕の背中をさすってくれた。
「落ち着きなさい」
「……すみません」
「いいの。ありがとうね。事前に発覚したのは、レオくんがアランさんとの決闘で勝ったことに起因しているから」
言ってカリナ様は僕の腕に収まっているぷるんくんに笑顔を向けた。
「ぷるんくんもありがとうね。ちゃんと主《あるじ》と共に戦ってくれて」
「……」
ぷるんくんはというと、
カリナ様に返事をすることなく、僕の腕に頭を埋め、隠れた。
「あ、あら?私、ぷるんくんに悪いことしたのかな?」
カリナ様が困ったように頭をガシガシする。
「い、いいえ!ぷるんくんは人見知りなところがありますので。カリナ様が嫌ってわけではないと思います!」
僕の慰めの言葉はカリナ様を癒すことができなかった。
憂鬱な表情のカリナ様。
だが、
すぐにいつもの元気のある表情になり、
「レオくん」
「はい」
小走りに走って、後ろを振り向き、僕の顔を見て言う。
「舞踏会の時、ちゃんと私を守ってね」
彼女の顔は明るい。
けれど、気のせいかもしれないが、内面には何かを抱えているようにも見える。
きっと彼女はこんな危機を何度も何度も経験してきたのだろう。
こうやって、彼女が学校にきて笑顔を向けてくれること自体が、奇跡ではなかろうか。
ふと、そんな気がしてきた。
僕はぷるんくんを下ろして跪いた。
「はい!最善を尽くして、必ずカリナ様を守ってご覧に入れます」
また、なんの根拠もないことを言ってしまった。
僕は一瞬、良心の呵責を感じた。
心が痛くなった。
けれど、
「ぷりゅん」
ぷるんくんが目力を込めて僕を見つめている。
ぷるんくんは頷いた。
僕もそんなぷるんくんを見て頷いた。
そんな僕たちを見て、カリナ様とサーラさんは優しく微笑んでくれた。
「レオさん?」
「ん?」
カリナ様とサーラさんが小首を傾げ、ぷるんくんも僕の行動が理解できないとでもいわんばかりにはてなと首をひねる。
僕が事情を話すと、カリナ様は困ったように微苦笑した。
「あはは……もうとっくに広がっているのね」
「……」
どうやら、噂は本当だったようだ。
ぷるんくんを抱えた僕とカリナ様とサーラさんは並んで歩いている。
カリナ様は周りを見て、自分の声が周辺の人々に聞こえないことを確認してから口を開いた。
「レオくん、これは他言無用よ」
「は、はい……言える知り合いもございません」
「悲しいこと言わないで」
「……」
カリナ様は念を押すように、手を動かして風邪の魔法を使った。
おそらく、周りの生徒に声が聞こえないようにするための仕掛けだろう。
鑑定で確認したけど、僕の予想は的中した。
「実はね、バロン伯爵家は、もともと怪しいことをいっぱいしていたから、王室からも目をつけられていたわよ」
「え?そうなんですか?」
これまでずっと震えていたが、カリナ様の言葉でピッタリそれが止まった。
ぷるんくんはこれまで僕の震えによって共に振動していたが、元の姿を取り戻した。
「それで、昨日、そのバロン伯爵家を断罪するきっかけができちゃったの」
「きっかけ?」
「そうよ」
「なんでしょうか?」
「そ、それは……」
随分と言いたくなさそうな顔だ。
僕は早速手をブンブン振って口を開く。
「別に、言いたくなければ言わなくていいですよ!」
僕の言葉を聞いてカリナ様は頭を横に振って何かを決心したような表情を浮かべては、やがてしょんぼりする。
「ううん……レオくんなら知ってもいい……」
カリナ様が言い終えると、サーラさんが頬を緩めて事情を話してくれた。
アランが追い出されたこと。
アランの妹と弟のこと。
アランの父がアランを煽てて今度の舞踏会でカリナ様に強力な惚れ薬を飲ませようと企てたこと。
僕は腹が立った。
「そんなの……絶対許さない!!カリナ様にそんなことを……」
悔しそうに握り拳を作っていたらカリナ様が僕の背中をさすってくれた。
「落ち着きなさい」
「……すみません」
「いいの。ありがとうね。事前に発覚したのは、レオくんがアランさんとの決闘で勝ったことに起因しているから」
言ってカリナ様は僕の腕に収まっているぷるんくんに笑顔を向けた。
「ぷるんくんもありがとうね。ちゃんと主《あるじ》と共に戦ってくれて」
「……」
ぷるんくんはというと、
カリナ様に返事をすることなく、僕の腕に頭を埋め、隠れた。
「あ、あら?私、ぷるんくんに悪いことしたのかな?」
カリナ様が困ったように頭をガシガシする。
「い、いいえ!ぷるんくんは人見知りなところがありますので。カリナ様が嫌ってわけではないと思います!」
僕の慰めの言葉はカリナ様を癒すことができなかった。
憂鬱な表情のカリナ様。
だが、
すぐにいつもの元気のある表情になり、
「レオくん」
「はい」
小走りに走って、後ろを振り向き、僕の顔を見て言う。
「舞踏会の時、ちゃんと私を守ってね」
彼女の顔は明るい。
けれど、気のせいかもしれないが、内面には何かを抱えているようにも見える。
きっと彼女はこんな危機を何度も何度も経験してきたのだろう。
こうやって、彼女が学校にきて笑顔を向けてくれること自体が、奇跡ではなかろうか。
ふと、そんな気がしてきた。
僕はぷるんくんを下ろして跪いた。
「はい!最善を尽くして、必ずカリナ様を守ってご覧に入れます」
また、なんの根拠もないことを言ってしまった。
僕は一瞬、良心の呵責を感じた。
心が痛くなった。
けれど、
「ぷりゅん」
ぷるんくんが目力を込めて僕を見つめている。
ぷるんくんは頷いた。
僕もそんなぷるんくんを見て頷いた。
そんな僕たちを見て、カリナ様とサーラさんは優しく微笑んでくれた。
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